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青色LEDは「ベンチャー」から生まれた
中村修二氏 ロングインタビュー(上)

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2014/12/4 7:00
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日経エレクトロニクス

 2014年12月10日、スウェーデン・ストックホルムで2014年のノーベル賞授与式が開催される。1979年に徳島の日亜化学工業で技術者としての第一歩を踏み出した中村修二氏(現・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)は、青色発光ダイオード(LED)の開発で、ノーベル物理学賞の共同受賞という栄誉に輝いた。今、中村氏は何を思うのか。現在、過去、未来について同氏がその思いを吐露した受賞決定直後のインタビュー(2014年10月下旬実施)を、2回にわたって紹介する。

――ノーベル賞の受賞、おめでとうございます。今年(2014年)、受賞しそうだという感触はあったのですか。

中村 過去のノーベル物理学賞は、分野ごとに順番で受賞しているんです。発光ダイオード(LED)のような固体物性分野は、4年置きに受賞しています。その順番からいえば、今年は固体物性が受賞する年。「ひょっとしたら」という感じはありました。周囲の様子からも、何となく兆候を感じていました。だから、ノーベル賞発表の日はなかなか眠れなくて。明け方に電話がかかってきて、「ああ来たか」と。

――ある程度、受賞する予感があったということですね。

中村 今年受賞できなければ、もう青色LEDでは難しいのかなと思っていました。青色LEDの製品を発表したのが1993年で、もう21年もたっていますから。

■世の中に役立ったことが認められた

――ノーベル物理学賞は、基礎理論を対象にすることが多いですね。青色LEDの実用化という「ものづくり」が受賞したことについて、どう思いましたか。

写真:栗原克己
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写真:栗原克己

中村 今年もらえなかったらダメかなと考えたのは、「やはり、ものづくりではもらえないんだ」という思いもあったからです。例えば、4年前に固体物性分野で受賞したのは「グラフェン」でした。グラフェンの本格的な応用はまだ先で、基礎理論を固めて「将来、あんなことやこんなことに使える」と言っている段階です。つまり、応用ではなく理論で受賞というのが、これまでのノーベル賞の傾向ですよね。実際に製品まで作った「ものづくり」に対する授与は、ゼロではないですけれど珍しい。

――青色LEDを基にした白色LEDが、世の中に大きなインパクトを与えたと認められたわけですね。

中村 そうです。省エネルギーに大きく貢献したことが認められたのでしょう。世の中にいかに役に立ったかが重要だったのだと思います。

――中村さんはベンチャー企業を立ち上げていますが、ベンチャーキャピタルの見方に変化はありますか。

中村 やはりノーベル賞をもらった人間がいるというので、変化はありました。実際、あるベンチャーキャピタルなどは、私がノーベル賞をもらうことが発表されたその日に入金してくれました(笑)。

――ほかの企業から誘われたりはしないですか。

中村 ありますね。もうメールで何件か来ていますよ。

■半導体レーザーで革新再び

――現在のお仕事について教えてください。どこの企業など仕事をしていますか。

中村 例えば、韓国のソウル半導体の技術コンサルタントをやっています。あと、米ソラ(Soraa)というベンチャー企業のファウンダー(創業者)の一人です。これとは別のベンチャー企業にもファウンダーとして関わっています。

――「別のベンチャー企業」というのは、何を手掛ける会社でしょう。

中村 レーザーダイオード(半導体レーザー)です。まずはレーザープロジェクターへの応用を想定しています。このプロジェクターを使えば、床や天井などあらゆる場所に、映像を投影できるようになります。しかも、安価に大画面を実現できる。100インチが30万~50万円です。同等の液晶テレビであれば、200万~300万円はするでしょう。

 高出力のレーザーを光源にすることで、明るい場所でも液晶ディスプレーと遜色なく表示できます。現在、青色半導体レーザーの出力は製品レベルで3ワットほどですが、これから出力はどんどんと上がりますよ。

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中村修二、ベンチャー、LED、半導体レーザー、日亜化学工業、VC、ノーベル賞

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