最初の名古屋での修行時代は、主にバタークリームを使っていましたが、昭和33年ごろから生クリームを使ったケーキが出はじめました。その後、神戸の和菓子屋さんで修行を積んでいた時に、スポンジケーキを焼くことをとことん教え込まれました。当時はぱさぱさのスポンジばかりで、長崎カステラのようにふわっと口どけのよいスポンジケーキはなかったんですね。それから半年ほどは、スポンジを焼き続けました。どうしたらふわっとして「しとり」のある生地が焼けるんだろう?水分を含ませたまましっとりと焼き上げるにはどうしたらいいんだろう?と、それはもう一生懸命、とりつかれたように焼き続けました。そうやってやり通したことがフーケの美味しいお菓子作りの原点になっています。しっとりとしたスポンジケーキに新鮮な生クリームをサンドすることで、ふわっとして柔らかいより一層「しとり」のあるケーキになる。それはフーケの特長ですね。
諏訪山の「フーケ庵」(本店)、生田神社近くの「神戸洋菓子倶楽部」(「エスプリ・ドゥ・フーケ」)など地元・神戸の5店舗で生涯頑張って行こうと考えていましたが、1995年の阪神・淡路大震災で5店舗のうち4店舗が大きな被害を受けました。あの時、お店は大変でしたが幸いオーブンが使えたので、材料をかき集めてパンを作りご近所の方たちに配って食べて頂いたこともありました。「他の場所で商売をしたら?」という声もありましたが、なんとしても神戸で再建したかった。また、震災以降は「そごう」をはじめ百貨店やショッピングセンターなどにもお世話になっています。店舗限定のスイーツも好評を頂いており、オンラインショップでの販売も充実をはかっています。スポンジケーキのほかにも米粉のクッキーやシューラスク、生キャラメル、アマンドロール、450年前から伝わるポルトガルの伝統菓子でカステラのルーツと言われているパン・デ・ローなど、おかげさまでヒット商品も数々生まれています。
生クリーム、卵、砂糖、牛乳、バター、季節の果物は特にこだわりを持ってやってきました。材料を選ぶ上で第一に心がけているのは、自然の素材を活かすということ。これは当初からの方針です。また、これからの洋菓子作りは地産地消がひとつのポイントであると考えています。現在も兵庫県産の牛乳、同じく県内産のお米からできた米粉を使っていますが、今後も兵庫県で収穫された果物や農産物を使ったお菓子作りを積極的に展開していく計画です。時代が変わっても、変わることのない美味しさを第一に、みなさまに心から喜んで頂けるお菓子を作り続けて行きます。
- 1943年
- 三重県伊勢二見市に誕生
- 1965年
- 神戸・元町「二つ茶屋」にて修行
- 1970年
- 神戸・中山手「フーケ」創業
- 1979年
- 神戸市優秀技能者表彰
- 1998年
- 兵庫県技能顕功賞
- 1998年
- 「ひょうごの匠」認定
- 1999年
- 神戸マイスター認定
- 2000年
- 神戸市技能功労者表彰
- 2010年
- 神戸市産業功労者表彰
- 2012年
- 兵庫県技能功労者表彰
神戸市内だけでなく、広く全国的にも通用するハイレベルの技術 ・技能者 を神戸マイスターとして認定し、技術・技能職の認知を高め、技術・技能 者の励みとし、あわせて後進の指導に当ることで、すぐれた技術・技能の 伝承を測るものです。これまでに51職種82名が神戸マイスターとして認定されています。