市場を揺るがすのは大銀行より債券保有者か、脆弱性高まる
12月3日(ブルームバーグ):銀行は2008年の信用危機以降、安全性が高まったのかもしれないが、リスクは債券の買い手に移りつつある。
この点をアナリストや政策当局者が一様に心配している。ウォール街がマーケットメークの役割を減らす一方で、投資家が頻繁に取引されない債券に投資しているとみられるためだ。こうした状況が重なって取引が少なく価格変動の大きい「新しい世界が投資家にもたらされた」とロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のアナリストは11月のリポートで指摘した。
米財務省も注目しており、投資家が金融の安定に突き付ける脅威が増しているとの見解を今週示した。同省金融調査局(OFR)は年次報告書で「下降局面では利用できる流動性が低下する恐れがあるため、市場は一段と脆弱(ぜいじゃく)になった」とし、「最近の金融市場のボラティリティは、ここ数年で広がった脆弱性の一部に関心を集めている」と分析した。
10月15日には投資家が高リスク資産から資金を引き揚げて安全資産とされる米国債に殺到し、指標の米国債利回りが2009年以来最大の低下を記録した。バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのMOVE指数でみた米国債のボラティリティはこの日、1989年以来最大の上昇を記録し、ボラティリティが過去最低付近からいかに急上昇し得るかが浮き彫りになった。
米連邦準備制度理事会(FRB)による6年にわたる異例の景気刺激策を受け、金利が上昇に迎えば大量の資金流出を招く下地が作られたと監督当局は懸念している。
RBSのクロスアセット戦略責任者、ジョン・ブリッグズ氏は11月21日のリポートで、「当局が金融危機で痛手を受けた納税者と銀行システムを保護する措置を講じた」一方で、「投資家はプロもリテールも一段と打撃を受けやすくなっている」と指摘した。
原題:What’s Worse: Big Banks or Exposed Bondholders Shaking Markets?(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Lisa Abramowicz labramowicz@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Papadopoulos papadopoulos@bloomberg.net Caroline Salas Gage
更新日時: 2014/12/04 15:09 JST