逆ギレ誘導員がムチ連打 ローブはパニックで大惨敗
先週、京都競馬場で行われた京阪杯。 スタート前、正視できない映像が飛び込んできた。 とてもホースマンの端くれとは思えない、誘導員の行動だ。 この日、15番枠を引いたローブティサージュだったが、 追いきりでの好調さとスプリンターズSからの巻き返しを期待されて4番人気。 先入れの奇数枠で、厩務員に引かれてゲートに向かったのだが、入るのを嫌がって輪乗りの場所まで後ずさりしてしまった。 ローブはトレセンでも馬場入りを嫌がることがままあり、 その際は目隠しをして入れるようにしていた。 そのため、鞍上の三浦騎手は「目隠しをすればスッと入る」と進言したが、 聞き入れてもらえなかった。係員2人が力ずくでバックさせるが、 馬は興奮するばかり。そして、後ろから無理矢理入れようとしていた誘導員を蹴ってしまった。それ自体はアクシデントだが、 問題はその後である。誘導員は怒りに任せて、持っていた長いムチを連打したのだ。
もともと同馬は後ろ脚で蹴る癖があり、周囲に注意を促す赤いリボンが結ばれている。注意を怠らなければ、誘導員が蹴られることもなかっただろう。 だが、自らの不注意が原因だったことで却って逆上したのか、 馬を威嚇するようなステップで近づき、ムチを二度、三度と振り続けた。 三浦は「職員が蹴られて、それに怒ったのか余計に鞭を打ってきました」と述べている。 その後、騎手が下馬し、ようやく目隠しされたローブは素直にゲートまで引かれていった。 しかし、一度、パニック状態に陥った同馬の目は血走り、 「体も硬直していたし、ゲートを出てからは冷静さを欠いて走ってた」(三浦)。 結果は人気を裏切る14着。 レース後、調教助手は「なぜすぐに目隠しをしなかったのか」と聞きに行ったが、 「こちらにも順序がある」と突き放されたと言う。 最初から騎手の進言に従っていれば、逆ギレした職員が馬を興奮させなければ、 結果は違っていたはずだ。
JRA職員も人の子だから、大観衆の前で失態すれば感情も高ぶるだろう。 発走時間の遅延を避けなければというプレッシャーもあっただろう。 だが、それらを差し引いても、今回のローブへの対応は看過はできない。 同馬の背後には多額の馬券を賭けているファンがいる。 丹念に世話をし、調教を重ねてレースに臨んだ関係者がいる。 職員が考えなくてはならないのは、どう馬を落ち着かせてゲートに導くかである。 個人的な感情に任せて不必要なムチを連打し、馬を興奮させるなど、 プロフェッショナルとして最低の振る舞いではないか。 JRAの唱える”公正競馬”とは対極にある行為である。 ローブには発走調教再審査が課せられたが、それより不安は精神面への悪影響だ。 繊細な牝馬、今後、レースで枠入りを怖がるようになれば、 競走生活そのものが終わってしまう。 JRAの誘導員は一時の感情に流されることなく、一つ一つの行動を慎重にしてほしい。
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