黒人男性の首絞め死亡させた警察官も不起訴12月4日 11時59分
アメリカで黒人の少年を射殺した白人の警察官が起訴されなかったことに反発が広がるなか、ニューヨークでことし7月に黒人の男性を逮捕する際に首を絞めて死亡させた白人の警察官についても地元の大陪審が起訴を見送る決定を行い、中心部のマンハッタンではこれに抗議する市民のデモが続いています。
ニューヨークでは、ことし7月、違法なたばこを販売していたとして43歳の黒人の男性が複数の警察官に取り押さえられて逮捕され、その際に首を絞められたことが原因で死亡しました。
近くにいた人が撮影したという映像には男性が背後から白人の警察官に首を絞められて地面に押さえつけられている様子が映っていて、警察による過剰な取締まりだとして反発を呼んでいました。
この事件について、地元の陪審員からなる大陪審は男性の首を絞めた警察官の刑事責任を問うかどうかを審理した結果、3日、起訴を見送る決定をしたことを明らかにしました。
アメリカでは先週も、中西部のミズーリ州で黒人の少年を射殺した白人の警察官の起訴が見送られ、「黒人への差別だ」として全国に抗議デモが広がったばかりです。
大陪審の決定を受けて、ニューヨークのマンハッタンでは深夜になっても数千人の市民が街頭に出て抗議のデモを続けていて、「人権を尊重せよ」とか「われわれは公正を求めている」などと口々に訴えています。
沿道では大勢の警察官が警戒に当たっていて、各地で車の通行も規制され、大渋滞が起きています。
市長「改めなければならない」
ニューヨークのデブラシオ市長は記者会見を行い、「市民を保護する警察官が市民を脅かしている現実を改めなければならない」として、警察の改革を約束するとともに、市民に対して抗議活動は平和的に行うよう呼びかけました。
司法長官「今度は司法省が捜査を」
ホルダー司法長官は3日夜、緊急の声明を発表し「地方レベルの捜査は終わった。今度は司法省が捜査を進める」と述べ、ニューヨークの警察官の行動に行きすぎがなかったか、連邦レベルで再捜査することを明らかにしました。
そのうえで、ホルダー司法長官は「このところの一連のケースは司法当局と地域住民との信頼関係が問われる事態を引き起こしている」と述べ、連邦政府として客観的な立場から捜査を尽くすと強調しました。
そして、「デモに参加しようと思っている人たちは平和的に行ってほしい」と述べ、冷静な対応を呼びかけました。
オバマ大統領「法の下の平等を」
オバマ大統領は3日、講演の中で言及し、「少数派の人々の多くが警察当局から公正に扱われていないという懸念を抱いている」と指摘しました。
そのうえで、「私は大統領として全国民が法の下の平等を確信できる国にすると誓う。警察当局と地域の間で信頼関係が強化されるまで諦めない」と述べ、人種差別などの問題の改善に向けて取り組む決意を強調しました。