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<成長なき1年>(下) 観客と再び一体感を 目立つ空席消えた凱歌

(2014/12/ 4 08:10)
ホーム最終戦で客席のサポーターにあいさつする選手。今季は平均観客数が1万人を切り、空席が目立った=11月15日、ヤマハスタジアム

 ヤマハスタジアムにかつて鳴り響いていた凱歌(がいか)が消えた。ホーム初勝利を飾った3月16日の熊本戦。ゴール裏からサポーターに一礼した選手たちは早々とベンチに引き揚げていった。

 昨季までは勝利後、応援歌「勝利は続くよどこまでも」を観客と選手が大声で斉唱したが、今季から取りやめになった。「試合に勝って選手と一緒に喜ぶのが楽しみだったのに」。数年前から毎試合応援に足を運ぶ少年はどこか寂しげだ。

 クラブ関係者によると、一部の選手の態度に失望したサポーターからの指摘がきっかけだった。「不快そうな顔をして歌うくらいなら、やらない方がいいのでは」

 今季のホーム平均観客数は過去最低の8774人で、Jリーグ加盟後初めて1万人を割った。今の磐田には、派手なパフォーマンスで客席を沸かせた“隊長”こと中山雅史さんのような選手はいない。ピッチと客席の近さがヤマハスタジアムの特長だが、最近はゴールを決めた選手がサポーターに駆け寄る光景は少なくなった。

 一体感を欠いた雰囲気に、黄金期を知る元クラブ幹部は「プロクラブの経営の本質はサービス業。愛されるためには選手の人間教育も必要なはず。スタッフも選手も危機感が足りない」と嘆く。

 黄金期の礎を築き、「ジュビロの父」と慕われた荒田忠典元社長が11月に逝った直後の一戦。客席には、熱狂的なサポーターがこんな横断幕を掲げた。「荒田社長が築き上げたクラブは多くの歓喜をもたらしてくれました。残してくれた宝物を私たちは支え続けます」

 4位で終えた最終節翌日に開かれた年間シート購入者向けの感謝祭には過去最高の約800人が駆け付け、名波監督は「われわれは愛されている」と受け止めた。J1復帰へ、クラブが目指すのは「現場、フロント、サポーターが共に戦うチーム」。三位一体の関係を取り戻すことから、名門再建の宿命を負う指揮官の改革は始まる。

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