世界初の技術で透明マントに手が届く!?3次元メタマテリアル

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流行りモノから新技術まで! 5分でわかる最新キーワード解説

世界初の技術で透明マントに手が届く!?3次元メタマテリアル

2014/12/03


 日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは原材料の物性ではなく、立体的なナノ構造=カタチで光の屈折率を変えてしまう「3次元メタマテリアル」。背後や前方からの光を迂回させるマントを作ればまるで映画「プレデター」の怪物が纏った光学迷彩のような「天狗の隠れ蓑」が出来上がるかも! 光通信を高速化する可能性も秘めた、自然界にはない「疑似物質」が、現実の世界に誕生しています。

3次元メタマテリアル

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「3次元メタマテリアル」とは?

 「メタ」は「超越」、「マテリアル」は「物質」を意味する言葉で、「メタマテリアル」と言えば人工的に作り出した、いわば「超物質」、あるいは「疑似物質」といった意味になる。つまり自然界の物質にはない性質を備えた人工の「物質のようなもの」だ。自然界の元素や化合物はそれぞれ固有の性質を持っていて、その性質を変えたいと思うと化学的組成を変える必要があるのだが、メタマテリアル研究は、新しい化合物を作成するのではなく、原材料の物性はそのままに、超微細な形状パターン、つまりカタチによって性質を変化させようとしている。
 その最先端の研究成果の1つが、今年10月、理化学研究所・田中メタマテリアル研究室の田中拓男准主任研究員らの国際共同研究チームが世界に先駆けて作製に成功した、立体的な形状をもつ「3次元メタマテリアル」(図1)だ。これは、自然界にはあり得ない、真空を進む光の屈折率(1.0)よりも低い屈折率(0.35)を持つ新しい人工物質。これまで2次元のパターン形成によって同様の特徴をもつメタマテリアルは作られていたものの、ある特定方向からの光に対してのみ作用するものでしかなかった。同研究チームは、光の波長よりも小さい3次元素子を一定のパターンでたくさん並べ、どの方向からの光に対しても同じように作用する(等方性をもつ)メタマテリアルの作製に成功したのだ。

図1 真空の屈折率よりも低い屈折率を示す3次元メタマテリアル
図1 真空の屈折率よりも低い屈折率を示す3次元メタマテリアル
左:微細構造の集合パターン
右:その拡大写真
資料提供:理化学研究所田中メタマテリアル研究室
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光の屈折率をカタチでコントロールすれば「透明マント」が実現?

 このような微細なカタチを作りこむことで、何が実現できるのだろうか。そもそもメタマテリアル研究が一般に注目される1つの契機になったのは、2006年にイギリスのジョン・ペンドリー教授らが発表した論文だ。そこには「光の進行方向を思うままにコントロールできる“覆い“で物体をくるめば、その物体は見えなくなる」ことが示されていた。その覆いとして想定されたのがメタマテリアルだった。
 この論文はマスコミにも大きく取り上げられセンセーションをもたらした。なにしろ、ドラえもんの「透明マント」や昔話の「天狗の隠れ蓑」が現実のものになるかもしれないのだ。SFやアニメファンの心が踊らないはずがない。マンガ「攻殻機動隊」読者なら「やっと光学迷彩ができるのか」とワクワクしたことだろう。実際、軍事に応用すれば、迎撃困難な「見えない戦隊」ができるはず。軍事機関のDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)もこれに触発されてか、2007年に、マントの内側からは相手が見えるが外側からはマントとその内部が見えない「非対称マテリアル」を開発すると大風呂敷を広げた。

■「透明マント」の仕組みとは?

 ともあれ、この「透明マント」の原理は、光の進む方向を思いどおりの方向に導けるメタマテリアルで隠したいものを覆い、その背面からの光をメタマテリアルで迂回させ、前方にいる誰かの目に届くようにするというものだ。さらに、背後から前方にいる相手に直接届く光と、「透明マント」を迂回して届く光とが時間差なく、同時に届かなくてはならない。
 これを実現するには、光の屈折率が自由にコントロールできることと、隠したい物体を迂回する光は直接届く光よりも速く伝搬することが不可欠だ。このような特徴を備えるメタマテリアルの研究が世界中で進められる中で、今回の田中氏らによる屈折率0.35の3次元メタマテリアルの実現は、3次元形状によりあらゆる方向からの光の屈折をコントロールできることを実証したとともに、真空中の光よりも速く伝搬する光の波を作り出したことにより、「透明マント」の必要条件の一部を満たして、大きく研究を前進させた。

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