衆院選:投票先に悩むアナタへ…「戦略的投票」のススメ

毎日新聞 2014年12月03日 19時54分(最終更新 12月03日 23時23分)

衆院選公示日の2日、東京・新宿駅西口で街頭演説を聞く大勢の人たち。1票を生かしたい=2日午前10時7分、本社ヘリから
衆院選公示日の2日、東京・新宿駅西口で街頭演説を聞く大勢の人たち。1票を生かしたい=2日午前10時7分、本社ヘリから

 師走の衆院選がスタートした。自分が心から支持する候補者に1票を投じる……それができれば一番いい。だが「自分が望む政策と同じ公約を掲げる党がない」「与党も野党も信用できない」「小選挙区に意中の候補がいない」……そんな時、棄権するしかないのか、何かできることはないのか。専門家に聞いた。【田村彰子】

 ◇アベノミクス「判断しなくてもいい」 党首の好き嫌いでもいい

 今回、安倍晋三首相は「消費増税先送りの是非を問う」として、争点にアベノミクスの評価を掲げた。先送りには野党も賛成で、「解散の大義がない」と批判している。

 北海道大の吉田徹准教授(政治学)は「今回の総選挙は争点の設定やタイミングなどすべてが現政権が有利になるよう非常によくできている」と指摘する。「アベノミクスに反対の人は増税にも反対の人が多いので、延期は望ましい。アベノミクスに賛成の人は、安倍政権を支持する。だから賛成の人も反対の人も与党に投票しやすい。しかも小泉(純一郎)元首相の時の郵政選挙とは違い、意見が分かれないので熱狂的な選挙にはなりにくく自民党に有利です」

 野党側は集団的自衛権や原発再稼働への賛否など、意見の割れる「分断的争点」を作りだそうとしている。だが吉田さんは「各政党がばらばらに争点を言い出した時点で、実は有権者の判断は難しくなる」と話す。

 混沌(こんとん)とした状況で、自分の1票を生かすにはどうしたらいいのか。考え方を整理するためまずは、ゲーム理論に詳しい早大の船木由喜彦(ゆきひこ)教授を訪ねた。

 船木さんによると、自分が最も支持する候補者に1票を投じる、これをゲーム理論では「真実表明」と呼ぶ。そして、それ以外の投票方法を「戦略的投票」と呼ぶ。

 典型的な戦略的投票の一例はこうだ。例えば小選挙区で、AとBの候補者がいて自分はどちらも支持していない。棄権をしたくなるが、こうした場合でも、どちらがより支持できないか、どちらがより嫌いかを考える。最も嫌なのがAなら、Aを倒すためにBに入れる。

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