本紙は三日、第四十七回衆院選(十四日投開票)について、共同通信社と本紙などが行った電話世論調査に、独自取材を加味して序盤情勢を分析した。自民党は、単独で過半数(二百三十八議席)を確保し、大幅に上積みする情勢。ただ、世論調査では小選挙区、比例代表とも五割前後が投票先を決めておらず、情勢次第で状況が大きく変わる可能性がある。
公示前に二百九十五議席あった自民党は、小選挙区の多くで有利な戦いを進めており、比例代表十一ブロックでも民主党などを大きく引き離している。総裁の安倍晋三首相が勝敗ラインとする「与党で過半数」を自民党だけで上回る情勢。
野党では、民主党が多くの小選挙区と比例代表で、自民党に先行を許している。政権を失った二〇一二年の前回衆院選で獲得した五十七議席や公示前の六十二議席以上は望めるが、安倍政権に批判的な有権者の支持を集めきれていない。
維新の党も比例代表などで一定の議席が見込めるが、小選挙区で苦戦している地域が多い。次世代の党は比例代表で伸び悩んでいる。両党に分かれる前の旧日本維新の会は前回、五十四議席を獲得したが、今回はその勢いはない。
ただ、世論調査では投票先を「まだ決めていない」と回答したのが小選挙区で53・5%、比例代表で45・5%あった。いずれも前回衆院選をやや下回ったが、過去数回の衆院選の序盤調査と比べて高い水準だ。
◆都内も自民優位
東京都内二十五選挙区のうち二十四選挙区に候補を擁立した自民が、ほとんどの選挙区で優位に序盤戦を進める。前回は民主などが勝利した選挙区の一部でも支持を広げ、民主や維新などと競り合っている。比例代表東京ブロック(定数一七)も自民が優勢だ。
ただ選挙区では六割近く、比例代表では四割以上が投票先を「まだ決めていない」と回答し、形勢が大きく変わる可能性もある。
小選挙区で、民主は野党間の候補者調整で擁立を十九選挙区に絞った。優勢な選挙区もある一方、閣僚などの経験を持つ前職が自民を追う形の選挙区も複数。維新は七選挙区に公認候補を立て、多くの選挙区で自民などを追う。
公明は一選挙区で前職が出馬し、生活、共産などに先行する。
比例代表では自民が支持者の八割以上を固めている。民主、共産、公明、維新などが支持拡大を目指す。
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