コラム:ECBの「量的緩和」決断は目前か=田中理氏
田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト
[東京 3日] - 筆者はこれまで、欧州中央銀行(ECB)が本格的な量的緩和政策、すなわち国債購入に踏み切るまでにはまだ「距離」があるとの立場をとってきた。
追加緩和期待をつなぎ止めることでユーロ安に誘導し、世界景気の回復加速や通貨安効果の浸透を待つのがドラギECB総裁の戦略と考えていたためだ。
時間稼ぎの観点からはハードルの低い順に政策を小出しにすることが自然で、まずは社債や欧州連合(EU)機関債の買い入れ開始でお茶を濁し、それでも景気や物価が十分に浮揚しない場合に初めて国債購入に踏み切ると予想していた。
だが、最近のドラギ総裁やコンスタンシオ副総裁の発言からは、ECBの主流派がこうした漸進的な政策対応ではデフレ入りを阻止することが難しいとの切迫感を強めており、国債購入を通じた本格的な量的緩和に傾いている様子がうかがえる。
では、Xデーは今週4日に予定されるECB理事会となるのだろうか。結論から言えば、そうではなく、来年の早い段階での実施となる可能性が高いと筆者はみている。むろん、市場参加者の間で国債購入を含めた追加緩和への期待が著しく高まっているため、仮に今回見送るとしても、近い将来の緩和決定を示唆する強いメッセージを発し、市場の失望を招かないように配慮する公算が大きい。
以下、その根拠を説明しよう。
<カギを握る長期資金供給オペ第2弾> 続く...