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 警察庁は3日、国内外の治安情勢を分析した2014年版の「治安の回顧と展望」をまとめた。極端な民族主義や排外主義に基づいて活動する右派系市民グループの一つとして、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を初めて名指し。右派系市民グループと反対勢力のトラブルから、来年も「違法行為の発生が懸念される」と指摘した。

 在特会は在日韓国・朝鮮人らに認められる「特別永住資格」などを特権と主張しており、会のサイトによると会員は約1万5千人。デモで一部の参加者が特定の人種や民族への憎悪をあおるヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)をしていると批判されている。

 まとめは、1~10月に在特会を始めとした右派系市民グループのデモが全国で約110件あったことを報告。デモの最中や前後に反対勢力とトラブルになることがあり、警察庁の説明では13人が傷害や暴行などの容疑で摘発された。このほか、中東の過激派組織「イスラム国」に北海道大生が戦闘員として加わろうとしたとされる事件にも触れ、「外国人戦闘員問題は対岸の火事ではない」と記した。(八木拓郎)