(河上加奈子)お義母さん!
(河上貞子)加奈子さん。
康夫を返しておくれやす。
あの子は河上家の大事な跡取り息子です。
あんたは嫁にはふさわしくないのや。
私は康夫さんと結婚したんです。
私は認めていません!早う東京に帰りなはれ!嫌です!絶対に嫌です!あんたさえいなければ康夫は私のところに帰ってくるのや。
私は康夫さんを愛しています!あんたさえいなければ…!加奈子さん…!嫌…!お義母さん!今のお嫁さんは気楽ですなぁ。
お天とさん上がってるのにうたた寝なんかして。
すみません。
原稿の締め切りが今日なんで明け方まで仕事をしていたものですから…。
ルポライターかなんか知らんけどそんなに仕事して康夫の世話が手抜きになるんと違いますか?そんなことは…。
まるで康夫の稼ぎが悪いみたいや…。
私かて身重のお嫁さんを働かせてるってよそさまに思われるのはかないまへんわ。
そんな…私が働きたいから働いているんです。
働いてうちへの借金返して康夫と東京に帰ろうと思ってるのかもしれへんけどそんなことは許しませんえ。
私そんなこと…。
でもお金をお借りしているのはいくら親子でも心苦しいんです。
加奈子さんあんた何か勘違いしてるんと違いますか?あのお金は康夫にやったんです。
あんたに1円たりともあげたつもりはありませんえ。
(河上康夫)お待たせしました。
すみません。
わざわざ迎えにきてもらって。
(高瀬正文)いえ。
おはようございます。
こちら高瀬さん。
はじめまして。
妻の加奈子です。
高瀬です。
高瀬さんが異動になって後任が僕なんでいろいろと教えていただいてるんや。
お世話になってます。
いやそんなたいしたことは…。
(杉井美知代)楽しそうですこと。
美知代さんどうしたんですか?お茶のお稽古に来たの。
ああ…。
こんにちは。
へぇあなたが康夫さんの奥さん…。
おふくろが茶道を教えている杉井美知代さん。
着物のデザイナーで…。
あっ僕の会社の杉井支社長のお嬢さんでもあるんや。
いつも主人が…。
それだけ?私の紹介。
えっ?僕の幼なじみでしょ!あっ親父と美知代のお父さんが親友で小さいころからよく一緒に遊んだんや。
そうよ。
だから私康夫さんのこと誰よりもよーく知ってるの。
ハハハ…。
大丈夫ですか?何か顔色悪いみたいで…。
いえ…。
(小島明美)高瀬さんの異動って河上さんが途中入社したとばっちりでしょ?表向き係長に昇進なんて言ってるけど河上さんのポストあけるために高瀬さん配送部に飛ばされたんだって。
(横内香)かわいそう高瀬さん…。
でもさうちの会社中途採用なんかしないのに河上さんだけ特別扱いよね。
(明美)杉井支社長と強力なコネがあるらしいわよ。
(香)世の中実力よりコネかぁ。
やだね〜!
(小笠原千春)河上さん?大丈夫?気分が悪いときに無理しちゃダメよ。
今大事にしないとお産のとき大変よ。
すみません。
用意ができたら呼びに来るからそれまで車で休んでればいいわ。
ありがとうございます。
(祇園囃子)
(長友)上流から流れてきたのかな。
(田村)ええ。
(長友)ご苦労さんです。
何だこりゃ?一緒に流れてきたそうです。
外傷は?特になし。
(小笠原信夫)上流のほうでキャンプしてたんですけどね女房がいなくなっちゃったんですよ!ダメだダメだ。
千春ー!千春…。
千春ー!加奈子?どないしたんや?加奈子?加奈子!頑張って頑張って…。
(柳田春子)残念やったなぁ。
しぶとい人や。
何です。
流産したほうがええみたいな言い方…。
お母ちゃんかてそう思ってるくせに。
あの人のこと追い出したいんやろ。
うちはお母ちゃんの娘やさかい何でも知ってるえ。
康夫と美知代さんを結婚させて室町の呉服屋さん再興するのがお父ちゃんが死なはってからのお母ちゃんの夢やったもんな。
執念みたいなもんや。
それをぶち壊した加奈子さんなんか気に入るわけないわ。
あぁ〜あ。
他人がいーひんとせいせいするわ。
あの人が来てからリラックスできへんかったさかいな。
春子さん!かまへんやないの。
自分の家でくらいくつろいでも。
あんたは柳田さんとこに嫁いだんやからいつまでもこの家の娘の気分でいたらあきまへんえ。
康夫はずるいわ!お母ちゃん康夫の借金払うためにこの家抵当にお金借りたんやて?康夫が加奈子さんと一緒につくったベンチャー企業が倒産したんやから仕方ないでしょ。
康夫のためやったら何でもするんやさかい…。
康夫の借金肩代わりしてもいいさかいうちの分はちゃんと残しといてな!よかったな。
赤ん坊無事で。
うん…。
(祇園囃子)聞こえる…。
あぁ祇園囃子?あぁ…。
そうか初めてやったな加奈子。
祇園祭…。
祇園祭はな山鉾巡行だけやないねん。
今月の初めから始まっているんやで。
来年は赤ちゃんと3人で行けるといいね。
せやな。
せやから元気な子産んでや。
・
(ノック)はい。
失礼します。
失礼します。
京都東署の長友といいます。
田村です。
(長友)河上加奈子さんですね?はい…。
小笠原千春さんが亡くなった件で2〜3お尋ねしたいことがありましてね。
あのどういうことでしょう?小笠原さんが亡くなった現場に落ちていた日傘なんですがあなたの物に間違いありませんね?はい。
千春さんに勧められて車で休んでいることになったので私の日傘を貸してあげたんです。
そうですか…。
何か?実は小笠原千春さんが川に転落した崖なんですがどう考えても過って落ちるとは考えられないんです。
それに自殺というのも考えにくい状況でして…。
小笠原千春さんは何者かに突き落とされた可能性があるんです。
突き落とされた…!?怨恨の線で小笠原さんの身辺を洗っているんですが彼女を恨むような人物は出てきませんでね…。
それで狙われたのは河上加奈子さん。
あなただったんじゃないかと思いましてね…。
えっ!?はぁっ?小笠原さんはあなたと背格好も似ていますし同じようなスカートをはいていました。
そのうえあなたの日傘をさしていた…。
あなたと間違えて突き落とされた可能性があるんです。
そんなアホな…。
誰かに恨まれてるとか何か心当たりはありませんか?
(祇園囃子)お義母さん来なかった…。
やっぱり歓迎されてないんだ。
私も赤ちゃんも…。
俺が心配するなって言うたからやって。
まぁ堪忍してやってくれや。
うん…。
じゃあ俺会社行くし…。
大丈夫やな?ええ。
じゃあお願いします。
(美知代)康夫さんと一緒にさせるって言ったじゃないですか!だから私おばさまが望むとおり着物のデザイナーにもなったんです!私諦めませんから!もう少し待ってちょうだい。
康夫の子がお腹にいる人追い出すわけにもいきまへんやろ。
それどういう意味ですか?立ち聞きですか?まぁお行儀のいいこと。
聞きたくなくても聞こえます。
康夫かわいそうに…。
加奈子さんのせいで会社で肩身の狭い思いしてるんやて。
あんたが康夫の足引っ張ってますのや。
小笠原さんの奥さんには本当に申し訳ないと思います。
でも…。
ああ康夫さん何でこんな人と…。
気分悪いわ!世の中いうもんはうまい具合にいきまへんな。
いてほしい人が亡くならはっておらんでもええ人がぬけぬけとなぁ…。
やめてください!何よ!私がやりますから!主婦がいなくて困ってるから家事を手伝ってくれっておばさまが言うから来てあげたのに…。
加奈子さんあんたという人は礼儀も知らん人ですな。
あんたが入院している間美知代さんにどれだけお世話になったと思ってるんです!その人にお礼のひとつも言わんと失礼な態度は私が許しませんえ。
ひどい…。
私ずっと待ってたのに!お父さんだってこのままじゃ利用されただけじゃない!康夫さんを中途採用したり…。
私知ってるのよ。
康夫さんのお父さんが亡くなって河上呉服店が危なくなったときにお金都合したでしょ?
(杉井剛志)そりゃね親友の忘れ形見の康夫くんとお前が結婚すればいいなと貞子さんと話したこともあったよ。
だが康夫くんは東京で他の女性と結婚してしまったんだ。
諦めるしかないじゃないか。
お父さんはわかってない!私がどんな思いで待ってたか。
私絶対に諦めないから!康夫さんったら全然誘ってくれないんだから…。
久しぶりね。
2人っきりで会うの…。
今夜はおふくろが君に期待させるようなことを言って振り回してきたことをちゃんと謝りたいと思って来たんや。
期待させるようなことって康夫さんと私の結婚の話?私はするつもりよ。
康夫さんと結婚…。
僕はもう結婚したんや。
離婚すればいいじゃない。
何を言うてんねや?好き…。
好きなの!どうしようもないの!美知代…。
ずっと康夫さんを見つめてきた…。
抱いて…。
そんなこと…!できるわけないやろう!僕は加奈子のことを…。
やめてくれって…。
私が一番康夫さんを幸せにできるのよ!どうしてわからないの!やめてくれ…。
やめてくれって!あなたを殺して私も死ぬ!それとも私を殺してくれる?一緒になれないんなら殺して!何を言うてんねや!
(祇園囃子)どうもすみません。
河上さん…。
加奈子さん!高瀬さん!あれ?どうされたんですか?雑誌の記事を書くのに舞妓さんの取材をしたくて来たんですけど断られちゃって…。
こういうところはお客さんでも一見さんは断られるんですよ。
舞妓の取材ですか?ええ。
(花村久子)高瀬はんの頼みやったら断れまへんなぁ。
営業にいはったころにはようごひいきにしていただきましたさかいに。
加奈子さんはうちの営業に入った河上康夫さんの奥さんなんですよ。
ほな河上貞子さんとこの…?義母をご存じなんですか?いえまあ…。
祇園のことで訊きたいことがあったらどうぞおいでやす。
わてでよかったらお力になりますさかいに。
お母さんただいまどす。
おかえり。
小雪ちゃんに葛力ちゃん。
(2人)へえ。
このお方が祇園のことで取材をしたいそうやしすまんけど教えてあげて。
(2人)へえおおきに。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
おかげでいい記事が書けそうです。
またいつでもお寄りやす。
はい。
じゃあ女将。
高瀬はんもおきばりやっしゃ。
いつもこうやってはっぱかけられるんですよ。
じゃあね。
ありがとうございました。
偶然高瀬さんに会えなかったら取材させていただけないところでした。
京都はよそ者には排他的な街ですからいろいろ大変だと思いますけどいつでも相談してください。
よそ者はよそ者同士。
じゃあ高瀬さんも?加奈子さんと同じ東京育ちですよ。
まあもっとも京都に来てもう10年になりますけど…。
そうですか。
高瀬さん…?目にゴミが入ったみたいで…。
ママ!キャッ!えぇ〜ん…。
どうしたの?りえちゃん!どこ行ってたの?捜したのよ。
同じスカートだから間違えちゃったのね。
あぁ…。
すみません。
本当すみません。
ほら心配かけないでね。
大丈夫ほら…。
あなたと間違って突き落とされた可能性があるんです。
誰かに恨まれてるとか何か心当たりはありませんか?世の中いうもんはうまい具合にいきまへんな。
いてほしい人が亡くならはっておらんでもええ人がぬけぬけとなぁ…。
お義母さん…。
ただいま帰りました。
えらいゆっくりどすなぁ。
お義母さんもお出かけだったんですか?いいえ。
加奈子さんが出歩いてる分やらないかんことがたくさんあってそんな暇あらしませんわ。
(携帯電話)もしもし杉井ですが…。
わかったわ。
お池の橋の下に10時ね。
あそこなら人目につかないから…。
会社のほうはどうどす?うん何とかやってるよ。
お義母さん何か!?どないしたん?こんな濃い味付けして早う死なせようと思ってるかもしれへんけど私はその手にはのりませんよって。
そんなこと!加奈子がそんなこと思うわけないやん!へえそうですか…。
康夫かて私の味で育ってきたんやからこれでええと思ってるはずないわ。
いなくなってほしいと思う人間1人や2人いるのが世の常です。
なあ加奈子さん?加奈子はい。
何?もう買ったの?何かしてやりたくても何もしてやれんからなぁ男は。
おふくろきついけど頼むな。
ねえ康夫さん。
うん?千春さんが亡くなったのってやっぱり私と間違えられて殺されたんじゃないかしら。
何を言うてるんや?誰がお前を殺そうとするんや。
あれは事故やて。
でも刑事さんも言ってたじゃない。
私を殺したいほど憎んでいる人がいるのかもしれない。
何をアホなこと言うてんのや。
私怖くって。
加奈子!あなたこの家を出ること考えられない?私お義母さんとはもう…。
あのなぁ…。
おふくろには1千万円の借金を肩代わりしてもらってんねや。
それにおふくろの面倒を見ることを条件にここに戻って来たんやし…。
康夫さん私よりもお義母さんを?俺を困らせるなよ。
そんなに…。
お茶碗はカチャカチャいわせんと洗うもんどす。
お里がしれますえ。
私のすることはお義母さん何もかも気に入らないんでしょ。
(春子)おお怖っ。
康夫もえらい人嫁さんにもろたもんやな。
うちなんかお姑さんに口答えしたことなんかないわ。
わざわざすんまへんなぁ。
(春子)うちを呼ばんかて物置の整理やったら加奈子さんにやってもらったらええのに。
加奈子さんはお腹にやや子おるし物書きのお仕事でお忙しいしそんなことする時間はおへんでしょ。
へえうちなんかよう働いたほうがお産が楽になる言われて何から何までやったけどなぁ…。
物置の整理なら私やります。
私がやりますから。
やってもらったらええやん。
あっお母ちゃん今日はお茶の稽古やろ?それうち参加させてもらうわ。
(足音)驚かせないでください。
お茶碗取りに来たのよ。
へえ康夫さんのお父さんと美知代さんのお父さんミステリー研究会で一緒だったんだ…。
「葵祭に人が死ぬ」…。
それは葵祭に姑を殺す嫁の完全犯罪の話だった
子供のいる煩雑さを嫌った姑は親戚の接待を嫁に任せて出かけるふりで出て行く
裏口から戻った姑は2階に隠れているのだ
それを知った嫁は鴨川の水をバケツに汲んでおき…
姑をその水で殺し遺体を押し入れに隠す…
親戚が帰ったあと車で遺体を運び鴨川に捨てる
溺死体として姑は発見される
死亡推定時刻には嫁には自宅で親戚の接待をしていたというアリバイがあり完全犯罪が成立する…
物置の整理終わりました。
雨が降りそうやから洗濯物取り込んでおくれやす。
はい。
キャー!加奈子さん…。
加奈子さん!痛い…お腹が…。
今救急車呼びますさかい。
お願い赤ちゃんを助けて…。
待ってて!赤ちゃんは?
(嗚咽)加奈子加奈子。
(嗚咽)
(電話)はい河上でございます。
おふくろ…。
赤ん坊ダメやったよ…。
あんたがやったんどすな?何でこんなこと…。
これくらいしないとあの人出て行かないわ!いつまでも私康夫さんと結婚できないじゃない!だからって…!おばさまがいけないのよ。
康夫さんが大学出たら絶対結婚させてやるから待っててくれって言ったじゃない!私康夫さんが好きだったからうれしかった…。
それが康夫さんあの女と結婚して子供ができて何もかもおかしくなったのよ!お腹の子は康夫の子や。
正臣さんの血を受け継いだ私の孫です!それを…。
だったら殺人罪で私を警察に突き出せばいいじゃない!そんなことできないわよね。
私の気持ちを踏みにじったのはあの女だけじゃないわ。
康夫さんもおばさまもそうでしょ!憎いのにまだ諦めきれない自分が惨めで…。
おばさま私にはもうあとがないの!私加奈子さんから康夫さんを奪ってみせる…。
それがかなわないときは私は死ぬわ!美知代さん…。
まさかお義母さん…?ああおかえり。
ただいま。
気が付かなくて…。
加奈子さんの様子はどうどす?うん。
だいぶ落ち着いたよ。
なぁおふくろ。
明日加奈子帰って来るけどもうちょっとあいつに優しくしてやってくれへんかな?このままやったら俺らこの家にいられんようなる…。
私は加奈子さんにあんたのいい奥さんになってほしいだけどす。
康夫…お願い。
私を放っていかんといて!康夫お願い…。
おふくろ…。
わかってるて。
おふくろ!
(祇園囃子)おふくろにはちゃんと言うといたし。
ほな行ってくるな。
うん。
ただいま帰りました。
お義母さんの望んだとおりになりました。
お義母さんは私に康夫さんの子供を産ませたくなかったんでしょう?まぁ今日はゆっくり休んで…。
明日は祇園祭の宵山や。
お客様も来はるし接待の準備をちゃんとやってちょうだい。
加奈子です。
入っていいですか?
(貞子)どうぞ。
お義母さん釘抜きを使いたいんですけど。
物置にないんです。
どこに置いたかご存じないですか?お義母さん…。
階段の釘を抜いたのお義母さんだったんですね!?そんなに私が憎いですか?私が気に入らないからって赤ちゃんには何の罪もないでしょう!?もう気がすんだでしょう?東京に帰りなはれ。
康夫さんと別れろってことですか?そうです。
ここでの暮らしはあんたには無理どす。
幸せにはなれまへん。
出て行きなはれ。
私別れません!出て行くときは康夫さんと一緒に出て行きます!あんたが悪いんどす。
私にあんなひどい仕打ちをして先に死なはるさかい。
私には康夫しかおらんかったんや…。
ただいま。
康夫さん東京に帰りましょう。
どないしたん?急に…。
赤ちゃんを殺したのはお義母さんよ。
何言うてるの?流産させるために物干しの階段の釘を抜いたの!アホなことばっかり…。
本当よ!釘抜きと抜かれた釘がお義母さんの部屋に隠してあった。
おふくろは厳しい人やけどそんなことする人やないって。
おふくろに確かめたのか?否定しなかったわ。
今は気持ちが高ぶってるんや。
しばらく東京にでも帰ったらどうや?そんなことしたらお義母さんの思うツボ…。
私たち引き裂かれるわ。
加奈子…。
親父が突然死んでおふくろ大変やったんや…。
おふくろも歳をとったよ。
いまさら悲しませるようなことしたくないんや…。
頼むわ加奈子。
許せない…。
(祇園囃子)今夜は東京から来るお客さんの接待で遅くなるわ。
うん…。
どうかしたんか?ううん何でもない。
いってらっしゃい。
ほないってきます。
加奈子さん今夜は祇園祭の宵山です。
宵山の日には親戚が集まって接待するのが恒例になっているんです。
そやけど子供がうるそうてかないまへんのや。
私は出かけるふりをするよって加奈子さん接待しておくれやす。
何をそんなに驚いているんです?わかりましたか?出かけるふりをして戻ってくるってことですか?そうです。
今日はどこに行っても混んでますやろ。
私は自分の部屋に隠れてますし頼みましたよ。
「葵祭に人が死ぬ」…。
(物音)
義母は子供がうるさいから出かけるふりをして自分の部屋に隠れているという
それは正にこの小説そのままの成り行きだ
小説の主人公は完全犯罪を成し遂げた
これがただの偶然だろうか?
いやこれはチャンスだ
あの子が…亡くなったあの子が与えてくれたのかもしれない
今度こそいつか生まれてくる子を私の腕で抱きしめられるよう…
(祇園囃子)いらっしゃいませ。
(春子)こんばんは。
(林信江)はじめまして。
ああ信江さんは初めてやったな。
いとこの林信江さん。
お父ちゃんのお姉さんの娘さん。
よろしくお願いします。
ふうん。
あんたが康夫さんの…。
あっどうぞ。
さあ上がり上がり。
久しぶりやねこの家来るのも…。
あぁそうやなぁ。
(信江)上がらしてもらうね。
キャー!
(柳田淳)やーいひっかかった!これ!さっきも電車の中で怒ったでしょ!まぁまぁにぎやかなこと。
お母ちゃんお出かけ?せっかく来ていただいたのに出かけんならん用事ができてしもてすんませんなぁ。
そんなお気づかいなく。
加奈子さんにあとのことは頼んでありますよって…。
ゆっくりしていってくださいね。
ありがとうございます。
いってらっしゃい。
淳透おいしいもんいっぱい食べていきなはれ。
(淳・透)うん!いってらっしゃい。
今日はジャンジャンいこう。
お祭りやで!ほんまやな!こういう日はビールがおいしいねんな!さあ飲もう飲もう。
おおきに。
あぁおいしそうやね。
あぁ〜おいしい!いやっ!おいしそう!ほんま!みんな加奈子さんが作ったんどすか?はい…。
お口に合うかどうかわかりませんけどどうぞ召し上がってください。
へぇ〜お母ちゃんが加奈子さんの料理はどうしようもない言うてはったけどちゃんとできるやんな!ほな遠慮なくいただきます。
どうぞ。
淳透ちゃんと食べや。
家に帰ってお腹空いた言うたかて何もあらへんで。
(淳・透)はぁい。
(自転車のベル)何やその顔。
お化けでも見たみたいな…。
いえ…。
うっかり渡すの忘れててんけどなこれお土産。
ドラゴンフルーツ?珍しいやろ?枚方のデパートでたまたま見つけて食べよ思うて買うてきたんやけど切ってもええかな?ええあっ私が切って持っていきます。
そうか?ほな。
なあお水もろてもええか?はいどうぞ。
おおきに。
はぁ…。
女って損やなぁ。
今までの自分の家がお嫁さんもろたとたんにお水1杯もらうのに遠慮せなあかん他人の家になる。
あ〜あごちそうさん。
街は見物でえらい人出やったわ。
それで私を殺したいんやろなぁ。
そんなあんたと私がひとつ屋根の下で暮らさなあかんことほど不幸なことはあらしません。
これからの自分の幸せのことよう考えて祇園祭が終わったら東京へ帰りなはれ!口紅がつかんように飲むのがマナーどす。
それ春子さんがつけたんです。
あっそうなの…。
春子やったら許せるのに何であんたやったら許せへんのやろなぁ…。
おかしなもんやねぇ。
ああもうお腹いっぱい。
おいしかった!加奈子さんごちそうになりましたなぁ。
いいえおかまいもできなくて…。
いやっもう8時半?お母ちゃん遅いなぁ。
どこ行かはったんやろ?さぁ…。
おばちゃんテレビゲームないの?ないのよ。
ごめんね。
そろそろおいとましましょうか?そうやね。
子供らも飽きてきたし。
お母ちゃんお祭り行こうや!そやな。
山鉾見に行こか!加奈子さんも祇園さんは初めてでっしゃろ?一緒に行きまひょ。
そうさせてもらおうかしら。
そうしよそうしよ!
(祇園囃子)キャッ!淳くんったら…。
お義母さん春子さんたちお帰りになりました。
出かけたのかしら?
(祇園囃子)
(携帯電話)すんません。
ちょっと失礼。
もしもし?康夫さん?今話してて大丈夫?「ああ」お義母さんこんな時間にどこか行くところある?「えっ?何で?」まだ帰らないの。
おふくろが?こんなに遅くなるなんてことないよ。
その辺捜してくれへんか?俺もなるべく早う帰るようにするし…。
わかりました。
(祇園囃子)おふくろ何時ごろ出たんや?6時半過ぎぐらいに…。
おかしいな。
こんな時間まで…。
警察に電話したほうがええな。
もしもし?
(祇園囃子)
(パトカーのサイレン)
(祇園囃子)こちらです。
お義母さん…!嘘やろ…。
おふくろ。
おふくろ!おふくろ…。
まあどうぞ。
こちらに…。
この度のご不幸お悔やみ申し上げます。
しかし奇遇ですなぁ。
保津川で転落した小笠原千春さんといいあなたの周囲の人間が約10日のうちに2人も溺死するなんて…。
率直に申しましてお母さんの死因に多少不自然な点がありまして…。
事故と他殺の両方の線で捜査を進めています。
他殺って母は誰かに殺されたってことですか?はい。
誰が?誰が母を…?昨夜ですがお2人ともどちらにいらっしゃいましたか?僕らを疑っているんですか?まあまあ…。
念のためみなさんにお訊きしていることですから。
僕は会社の接待で木屋町の「味がさね」という店にいました。
何時から何時ごろまでの間です?確か7時ごろから11時過ぎくらいまでです。
奥さんは?私は6時40分ごろに義姉の春子さんたちをお迎えしました。
入れ替わりに義母が出かけましたのでそれから8時30分まで家で春子さんたちをおもてなしして。
そのあとみんなで一緒にお祭りを見に行きました。
10時30分ごろ四条の駅で春子さんたちと別れて家に帰ったのは確か11時ごろでした。
義母が帰って来ないので夫に電話をかけました。
ええ11時に連絡をもらいました。
付近を捜すように頼んだんです。
それから近所を捜して家に帰ったのは12時過ぎだったと思います。
細かい時間までよく覚えておいでだ。
まるで訊かれることを予想していたかのようですな。
いえあの…お客様がいらしたもので…。
いつもより時間が気になったものですから…。
死亡推定時刻は胃の中の消化具合からみて午後7時から午後11時の間と断定されました。
ここで死体の腐敗度について説明させてください。
死体の腐敗は死体があった場所によって進行の度合いが違います。
空気中を1として水中をその2分の1。
土中を8分の1。
つまり空気中にあった場合より水中にあった場合腐敗が遅いんです。
河上貞子さんの場合腐敗の具合から見てずっと川の中に遺体があったとすると死亡推定時刻は午後6時ごろになります。
ですが嫁の加奈子さん娘の柳田春子さんたちの証言から午後6時40分には生きていたことが証明されています。
そのことからわかるのは河上貞子さんの遺体は溺死したあと3〜4時間は空気中にあってそのあと午後11時に川に落ちたことになります。
ということは何者かが11時ごろに遺体を川に捨てたということですか?そういうことになりますね。
実は川から引き上げた遺体の腰や足に死斑がありました。
えっ死斑?そうです。
水中にあった死体に死斑ができるわけがありません。
ご存じのように死斑というのは死後2〜3時間まで下になった体の部分に出てきます。
つまり犯人は溺死した死体をどこか狭い場所…。
そうですね押し入れの中とかに隠しておいたんでしょう。
アリバイ作りのためですかね?犯人は完全犯罪をもくろんだんだ。
つまりアリバイのある人物こそ河上貞子の殺害の容疑者ということです。
(電話)ああいいいい。
すみません。
(電話)はいもしもし。
あっすみません。
もう一度お願いします。
(男)「河上加奈子が宵山の夜に家の裏の鴨川でバケツで水を汲むのを見ました」もしもしあなたは?
(電話の不通音)おいおい…。
あなたが姑の貞子さんを憎んでいたのは調べがついてるんですよ。
物干し台の階段を踏み外して流産したのを貞子さんのせいだと思い込んでたそうじゃありませんか?私義母を殺したりなんかしてません!でも殺意はあった…。
でしょ?私はずっと春子さんたちと一緒にいたんですよ。
アリバイですか?その春子さんですが10分くらいあなたが何度か席を外していたと証言してるんですよ。
奥さん貞子さんは午後7時から9時の間にこっそり家に戻っていたんじゃありませんか?えっ?そうとしか考えられないんですよ。
そんなことありません。
私は知りません!じゃあ伺いますがドラゴンフルーツは誰が食べたんでしょう?ドラゴンフルーツ?柳田春子さんがお土産に持ってきたそうですね。
それは春子さんたちにお出しして残りは私が…。
貞子さんは?食べるわけないでしょう!義母は外出してたんですから!それは変ですねぇ。
ドラゴンフルーツはどこでも手に入るような物じゃありませんから。
貞子さんの遺体の食道にドラゴンフルーツが引っかかっていたんです。
貞子さんはドラゴンフルーツを食べているすきをつかれて頭をバケツの中に突っ込まれて殺されたんです。
そんな…!事件の夜鴨川の水をあなたがバケツで汲んでいるのを見た人がいたんですよ。
私じゃありません。
義母を殺したりしてません。
本当です!何なんやこれ…。
お前のたんすから出てきた。
お前が殺したんやろ?この小説真似て殺したんやろ?違う!これは罠よ。
誰かが私を…。
アホか…。
本当なの!康夫さんこの小説を知ってる誰かが私を…。
私は殺したりしてない!信じて!杉井支社長もこの小説を…。
申し訳ありませんが杉井支社長はお目にかかりたくないと申しております。
そうですか…。
それじゃ伝言だけでもお伝えいただけますか?はいかしこまりました。
(高瀬)あっ河上さん!高瀬さん…。
どうも。
ミステリー研究会の同人誌?はい。
20年前に亡くなった義父の河上正臣と杉井支社長が同人として名前を連ねているんです。
わかりました。
支社長は僕が会って話訊いてみます。
ありがとうございます。
夫には頼みにくくて…。
河上くんも今はそんな気になれんでしょう。
はい。
会社のほうは心配しないでしばらくゆっくり休むように伝えてください。
あっ!ごめんなさい!いえいえ…。
ありがとうございます。
ああ生まれつき右目の涙腺が弱いんですよ。
風の強い日は涙が止まらなくなっちゃって困ったもんです。
河上貞子様が信託として私共の銀行に預けられていたものです。
「私はこの遺言状により次のとおりに遺言する」。
「私はその有する生命保険金3千万円を左の者に遺贈する」。
何やこれ!おふくろ受取人に花村久子って人を指名している。
花村久子さんって「花村」の女将?ほな河上貞子さんとこの…。
どういうことかしら?お義母さんどうして花村の女将に生命保険のお金を遺したりしたのかしら?康夫さんは何かお義母さんから聞いてないの?ねえ康夫さん久子さんに会いに行きましょう。
この生命保険の話をしなきゃならないし何か手がかりがつかめるかもしれないわ。
康夫さん…。
たまらんわ!おふくろがあんなことになったと思ったらこんな遺言状…。
おふくろ俺に何も話してくれへんかった…。
俺を頼りにできひんかったからや…。
そんなことない…。
花村の女将に会いたかったら君1人で行ってくれ…。
(久子)いまさらお金なんか!これで罪滅ぼしのつもりやろか?罪滅ぼしってどういうことですか?あの人はな人殺しなんや!人殺し!?どういうことですか?話してください。
わての妹はあの女に殺されたんや。
20年前のことや。
妹さんが…?妹の由美は祇園の芸妓やった。
それがお客はんと好きおうて2人は純粋に愛しおうてた。
その相手が…。
康夫さんのお父さんってことですか?けど正臣はんには貞子はんという奥さんがいはった。
けど2人の気持ちはどうにもならず…。
由美は周りの反対を押し切って子を産みましたんや…。
ところがその子が12のときに正臣はんは心臓発作で亡くならはって…。
(由美)ひと目だけでいいんです。
この子に最後の別れをさせてやってください!父親の顔を見せてやりたいんです。
父親なんて言わんといておくれやす!お願いです。
お願いします!汚らわしい手で触らんといて!それからすぐに由美は自殺したんや。
お腹に2人目の子がいたのにな…。
あの女が殺したんや!それでその由美さんのお子さんは?京都は狭い街やしつらい思いをさせとのうて仕方なしに東京へ養子に出しましたんや…。
もうよろしいやろ!これ以上あの貞子のこと口にするのも嫌や!これお返しします。
警部補目撃者が出ました。
僕と美知代さんとの関係?そうです。
杉井美知代さんは何度もあなたに電話をかけてきていたと会社の人がおっしゃってるんですが。
僕と美知代さんとはただの幼なじみです。
実は杉井美知代さんが亡くなった現場付近で彼女と男がもみあっているのを目撃した人がいるんです。
その男の特徴が河上康夫さんあなたにピッタリなんです。
僕は知りません!彼女とは最近会ってもいないしそれに今日は1日中家にいましたから。
今日は朝からいなかったじゃない。
どこ行ってたの?どうして嘘なんかついたの?もう放っといてくれよ。
康夫さん…。
君も僕を疑ってるのか?だって嘘なんかつくから!そうや。
美知代に会いに行ったんや。
あいつに呼び出されて鳥居本まで行ったんや。
じゃあ…。
違うて!俺は何もしてへんて!おばさまを殺したのは加奈子さんよ!この同人誌を読めばわかるわ。
やめてくれ。
これが加奈子さんの正体なのよ。
もうええて!康夫さん!俺は加奈子を愛してるんや!何言ってるの!加奈子さんがおばさまを殺したのよ!知ってるよ!えっ?その小説俺も読んだ。
「葵祭に人が死ぬ」…。
なのに今でも加奈子さんを…?ああ…。
加奈子は人を殺せるような奴じゃない。
俺は信じてる。
もしかして美知代…。
君がおふくろを殺したんちゃうんか?違う!私じゃない!康夫さん信じて!私じゃない!康夫さん!私じゃないって!離せよ!康夫さん信じて!俺は美知代を残して先に帰ってきた。
そのあとのことは知らんねや。
保津川で河上加奈子と間違えられて小笠原千春さんが他殺…。
その約10日後河上加奈子の姑貞子さんが殺害…。
さらに今回加奈子の夫と幼なじみの杉井美知代さんが変死…。
この3つの事件何か関連がありますね。
ああ。
長友さん!あっ?驚いたなこりゃ…。
河上貞子殺害のトリックと同じことが書いてあります。
何だって?「葵祭に人が死ぬ」?藤田玄二…。
これはペンネームです。
これが作者。
杉井剛志…。
これは杉井美知代さんのお父さんじゃないのか?そうです。
京栄商事の支社長です!杉井さん…。
何も話すことはない。
帰ってくれ。
このままでいいんですか?美知代さんが疑われたままで亡くなったんですよ!杉井さん!私真実を知りたいんです。
美知代さんが持っていた同人誌…。
あれは杉井さんが…?美知代が欲しいって言うから何気なく…。
それがあんな…。
あんなことになってしまって…。
私も疑われてるんです。
花村久子さんはどうでしょう?あの同人誌のことを知っていたんでしょうか?久子さんね…。
あれはどうだったかな?正臣と由美さんが付き合ってるころに…。
あっ由美さんってのはね…。
久子さんから聞いています。
義父の愛人だったと…。
久子さんも正臣と懇意にしてたからあの同人誌のことを知ってても不思議じゃないな。
義父と由美さんの間にお子さんがあったそうなんですが…。
私も一度会ったことがある…。
お願いです。
お願いします!汚らわしい手で触らんといて!お願い!最後にひと目だけ!私は結構ですからこの子だけでも父親と最後の別れをさせてやってください!お願いします。
父親父親って認知したわけでもなしその子がうちの人の子供って証拠はおへんやろ!そんなこと…。
わかったらさっさとお帰りやす。
私のお腹には正臣さんの子供がいるんです!キャー!嫌…!やめて…。
貞子さん!今夜は引き取っていただけませんか?お願いします!何でよ!何で私じゃダメなのよ。
死んでやっと…。
やっと私のところに帰ってきたと思ったのに…!
(杉井)貞子さんが変わったのはそれからだったな…。
夫の正臣に裏切られた愛情を康夫くんを溺愛することで埋めようとしたのかもしれないね…。
貞子さん正臣を愛してたんだね。
正臣の隠し子のその少年の右目からね涙が溢れていたんだ。
今何て?だからその少年の右の目からだけ涙が流れていたんだ。
それがとても印象深くてね…。
その子は今はどこにいるんでしょう?さあ東京に養子に出されたって話は聞いたけどね…。
名前をご存じですか?確かね…正臣の正という字を1字取ったと聞いた…。
淳くん!どうしたの?1人で来たの?ゴキブリ取りに来たんや。
落としてったの知ってたの?落としたんじゃないよ!あっおじさんビックリしてた?えっ?ビックリさせようと思ってここにゴキブリはり付けといたんや。
えっ!?両面テープではったの?おじさんビックリせえへんかったんか?康夫さんは靴べら嫌いだから使わないのよ。
何や…。
はい。
ありがとう。
ねぇ淳くん。
お祭りの日に靴べらにこれくっつけてから帰ったってこと?そうやで。
誰かが靴べら使ったんだわ…。
えっ?あの夜私たちが出かけたあとに忍び込んだ人間が靴べらを使ったのよ!何言ってるのおばちゃん?そうじゃないとゴキブリが落ちてるわけがないのよ!康夫さん犯人かもしれない人がわかったの。
・
(鐘の音)今から会って確かめてみます。
どうしたんですか?こんなところに呼び出したりして…。
私の想像が真実なら…。
私の夫はまた苦しみをひとつ背負うことになります。
何を言ってるんです?母親を殺したのが自分の異母兄弟だと知ったら…。
高瀬正文さんあなたが義母を殺したんですね?何言ってるんですか?何で僕が?義母を恨んでいたからです。
義母があなたのお母さんの由美さんを死に追いやったから…。
高瀬さんお願いです。
自首してください。
よくわかりましたね。
僕が由美の息子だってこと。
風が吹くと右目だけ涙が流れる人はそんなにいるもんじゃありません。
僕はね職を得て京都に戻ってきたときもう一度生き直そうと思ったんです。
父が生きていたころ父は僕をかわいがってくれた。
つらかったことは忘れてあの愛された記憶だけを信じて生きていこうってそう思ってたんです。
あのあたたかな思い出で恨みも悲しみも洗い流せるって…。
でも違った。
東京から帰って来た康夫のポストを空けるために僕は大切な職場をリストラ同然に奪われた。
あいつが…康夫が。
いや貞子って女が…。
いつも僕の幸せを奪っていく…。
そんなこと康夫さんは知らなかったのよ!ああ。
知らないってことほど罪なことはないからね!知ってますか?僕の母は父が死んだあと貞子にお腹の子をおろすように迫られて…。
精神的に追いつめられて…。
お母ちゃん…。
お母ちゃん!お母ちゃん!お母ちゃん…!記憶の奥に追いやっていたあのときのことが鮮やかに蘇ってきた…。
今度こそ僕は復讐しようって決めたんです。
河上正臣の隠し子が事件に関係している可能性がある。
至急その隠し子の居所を捜してくれ!
(一同)はい!刑事さん!どうしました?加奈子が…妻が危ないんです!何だって?犯人に会いに行くって留守番電話に入ってました。
「康夫さん犯人かもしれない人がわかったの」「
(鐘の音)」「今から会って確かめてみます」鐘の音が聞こえてるがどこの寺なんだ…?加奈子さんの声に混じって何か変な音聞こえませんでした?おっ。
「康夫さん犯人かもしれない人がわかったの」「
(鐘の音)」「今から会って確かめてみます」列車の音か?地図持って来い!はい!列車の通ってる範囲は広すぎて特定は難しいですね。
この列車の音気になるんです。
トロッコ…?トロッコ列車だ!トロッコ列車だ。
トロッコ列車が走る周辺の寺…。
保津峡大悲閣だ!千春さんを突き落としたのもあなたなの!?あれは…。
康夫の心を奪ったあなたを憎んでいた美知代が間違って突き落としたんです。
物干しの階段の釘を抜いたのも…。
そんな…。
あなたはまんまと貞子がやったと思い込んだ…。
美知代が僕に小説を読ませたのもあなたに罪をきせる方法だと言ってね…。
そして美知代は祇園祭の宵山の日に外に出るふりをして戻ってきたらどうかって貞子に吹き込んだ。
あの日ね僕は小説のとおりにやろうと思って…。
あなたの家に行ったんですよ。
そしたら…。
驚きましたよ加奈子さん。
あなたが人を殺そうとするなんてね…。
あのときのことを私は一生忘れません。
結局あなたは貞子を殺さなかった…。
だから…。
高瀬さん…。
何どす?本当にやっちゃうとはねぇ!口止め料安くないわよ。
今まであなたに千春さんのことで脅迫されてた分取り返すくらいじゃすまないわよ。
君だって共犯なんだぞ!私がやったなんて証拠どこにあるのよ!?高瀬さんの証拠はいっぱい残ってそうだけど…。
このことは私誰にも話さないわ。
そうすれば加奈子さんがおばさまを殺した犯人になるんですもの。
まさか美知代さんも高瀬さんが?あいつ金をせびりやがった!それまでは僕が脅迫していたのに…。
立場が逆になった途端に豹変しやがって…。
康夫さん信じて!離せって!康夫さん!
(高瀬)これで美知代殺しの犯人は憎い康夫に被せることができる。
青酸カリは叔母の久子が帯留めを壊したときにメッキ工場からもらったものが残っていたんです。
あとはあなたを事故死に見せかけて殺せば全てが終わる。
何泣いてるんだよ…。
かわいそう…。
高瀬さんのお父さんもお母さんもあなたの幸せだけを願っていたはずなのに…。
高瀬さん…。
自首して。
うるさい…!やめろ!高瀬!大丈夫か?ごめんな。
一時でも加奈子を疑ったりして。
私もごめん。
何で謝るの?お義母さんのことは心残りがいっぱいなの。
私物干しの釘を抜いたのはお義母さんだって思い込んで…。
私にきつく当たるのが許せなくて負けたくない気持ちでいっぱいだった…。
今になってわかったの。
お義母さんも苦しんでいたんだって…。
あなたを私に取られたような気がして寂しくて心が壊れてしまうほど嫉妬して…。
そやな。
おふくろとお前を比べることなんかできへんのにな。
俺にとってはどっちも大切やった。
嫁と姑じゃなく出会ってたら私とお母さん気の合う友人になれた気がするの。
加奈子東京に帰ろうか…。
きれいな街…。
来年は2人でゆっくりと祇園祭が見たいわ。
えっそれって…。
再来年は3人になってるかもしれないし。
俺もしっかりせなな…。
2014/10/24(金) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
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嫁VS姑VS愛人…祇園祭に燃えた殺意!新妻の完全犯罪超絶トリック!
詳細情報
◇出演者
松下由樹、山本陽子、高橋かおり、長門裕之 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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