NHK高校講座 地理「国のカタチとは?」 2014.10.24

改革を試みるも専制政治が続いたロシアにはヨーロッパの進んだ制度は適さず改革は不十分なものに終わった。
中田敦彦です。
ドミニクです。
ところでドミちゃん最近海外とか行ってます?私この間アメリカにあるお父さんの実家に行ってきました。
あ〜やっぱりね。
もちろんパスポートは有効期限切れてませんでしたね?もちろんです。
私思うんですけどパスポートとかって面倒くさくないですか?確かに面倒くさいよね。
いらないですよねああいうのは。
でも国境を越える時に通用する身分証明書ってあれしかないよね。
ビザも相手の国が「この人が来てもいいよ」って認めた証拠だからね。
でも何で国と国の間にはそういう紙の証明書がなきゃいけないんですか?確かにね。
パスポートとかビザがないと誰がどう困るのか分からないよね。
今日はそんな国や国境について考えていきたいと思います。
まずは国って何なのか見てみましょう。
世界は国つまり国家を単位として構成されています。
その国家の成立に必要なのが…主権とはほかの国の干渉を受ける事なく国家を統治するための最高の権力。
領域とはその主権が及ぶ範囲で領土・領海・領空から構成されています。
そして領域に属している人々が国民です。
国家と国家の境界線が国境です。
国境には接する国同士である程度合意して引かれたケースと住民の意思とは無関係に引かれたケースがあります。
ドイツとの国境沿いに位置する…中心都市のストラスブールは旧市街が世界遺産にも登録されている美しい街です。
こちら自転車でパトロールする警察官。
あれっよく見ると背中の文字はフランス語とドイツ語です。
国境の町らしく両国の警察官が一緒に仕事をしているんです。
ライン川に架かる橋を渡ればそこはドイツ。
国境での検問はもうありません。
ドイツの小学校。
児童の1割以上がフランスから通学しているそうです。
授業はドイツ語とフランス語の両方で。
教室の掲示物も2か国語。
小さいうちから国境をまたいで暮らすのが当たり前になっているんです。
この地域がどうしてこんなにボーダーレスになったのか。
そこにはストラスブールの石炭や鉄鉱石などの資源を巡るフランスとドイツの争いがあったのです。
15世紀には神聖ローマ帝国に属していましたが17世紀後半30年戦争をきっかけにフランス領に。
19世紀後半には普仏戦争でドイツ領。
そして第1次世界大戦でまたフランス領になり第2次世界大戦ではヒトラーの手に落ちてドイツ領に。
戦後はまたフランス領になっていたんです。
先祖代々この町に住む…フランス人として生まれましたがナチスドイツの侵攻で強制的にドイツ兵として徴兵されました。
(ベックマン)昨日まで敵だと思っていた国の兵士になり相手に銃を向ける事は本当に地獄でした。
その時はもう人間ではいられません。
機械になるしかないのです。
意思のないロボットです。
今では国境を越えて自由な移動ができるストラスブール。
そこには国境に翻弄された苦難の歴史を乗り越えた人々の姿がありました。
あんなきれいな町なのにあそこまで深い歴史があったんですね。
確かにね。
ドイツフランスドイツフランスって。
やっぱり国境の存在って大きいですよね。
その辺の事をちょっと先生に聞いてみましょう。
内藤正典先生です。
よろしくお願いします。
お願いします。
(内藤)よろしくお願いします。
このアルザス地方の場合はですね本当に歴史に翻弄される形でアルザスの人たちドイツ領になったりフランス領になったり行ったり来たりしてましたよね。
今ではEUのメンバーになった多くの国の人はかなり自由に移動する事ができるようになったんです。
パスポートがいらないなんてそりゃ便利ですよね。
確かに。
ドミニクさん「何であんな紙のものがいるんだ」って…。
おっしゃるとおりなんですよ。
今これだけ世界はグローバル化してるっていわれてますよね。
実際人が越えようとする時だけどうしてパスポートがいるか。
それって世界中が今のようなある意味狭苦しい国で国と国で分けてあるから証明書がいるんですよね。
実はEUというのは加盟している国の間でなるべく国の壁を低くしましょうという約束になっているからじゃあパスポートっていうものもなくしていきましょう。
最後は紙もほとんどいらないというふうにしたんです。
逆にですねもともとその土地はあったしそこに住んでいた人たちがいたんですがそこにほかの国から人がやって来てどんどんどんどんかなりある意味勝手に住み着いていってしまうというそういう事が起きたら一体どうなるだろうという事になりますね。
どう?それはちょっと嫌ですよね。
嫌ですよね。
でもさすがにそういう国はありませんよね?それがですねイスラエルとパレスチナの関係なんです。
イスラエルとパレスチナ。
その対立にはどんな歴史があるのでしょうか。
もともとパレスチナという所にはアラブ人…アラビア語を話す人たちが住んでいたんです。
ところがユダヤ人という民族の人たちはいろんな理由があってヨーロッパで迫害を受けてきたんですね。
さすがに長い事差別に苦しんできたユダヤ人たちの中に…自分たちの国をつくろうという政治的な運動の事をシオニズム。
これはシオンという伝説上のユダヤ人の土地に帰ろうという意味なんです。
そんなユダヤ人の国づくりの場所がなぜパレスチナだったのでしょう。
第1次世界大戦これが始まるとイギリスの当時の外務大臣だったバルフォアという人が自分たちイギリスがユダヤ人のために国を用意してやろうと言いだすんです。
イギリスはそのユダヤ人の人たちのバックから乗り込んでいってあの辺りを支配しようというのがたくらみであったので別にユダヤ人が好きだった訳じゃありません。
助けようというよりも…。
じゃないんです。
うまく利用しようとしたんですね。
ところがユダヤ人は必死ですからこのバルフォア宣言でお墨付きを得たという事で…なぜその場所がパレスチナだったんですか?これはユダヤ人の人たちの宗教…その中でもエルサレムの町はユダヤ教の聖地。
しかし同時にそこはアラブ人にとっても聖地でありキリスト教の聖地でもあるのです。
聖地を巡る争奪戦がいよいよ始まるのでした。
移住したユダヤ人がどのように居住地を広げていったのかその変遷を表した図がこちらです。
1946年まだイスラエルが出来る前ですがほとんどパレスチナの人たちですよね。
ところが…ここにユダヤ人の国をつくりましょうパレスチナ人の土地と分けましょうという事が決まった時で大体半々ぐらいになってますね。
その翌年ユダヤ人はついに自分たちの国イスラエルの建国を宣言しました。
周辺のアラブ諸国が一斉にイスラエルに攻撃を開始。
こうして中東戦争が勃発。
1948年から73年まで4回にわたり激しい戦いが繰り返されました。
そして…1993年のオスロ合意でパレスチナにも一定の自治権を与える協定を結び両者は共存の道を探ろうとします。
この時イスラエル側で和平交渉に当たったのがラビン首相でした。
ところが2年後ラビン首相は和平に反対するユダヤ人の過激派に殺害されてしまいます。
その結果パレスチナ問題は元の状態に戻ってしまったのです。
しかしこの問題の場合大変難しいのはユダヤの人たちかつてはヨーロッパで迫害を自分たちが受けてきた。
そこから逃れるために自分たちの国をつくった。
これは民族の国です。
ユダヤ人という民族の国をつくったらそこにもともといた人たちが邪魔になった。
でその人たちを今度は追い詰めてしまう。
そういう事になってるんですね。
なるほど。
さて続いてなんですけれども世界には…2,500万人もいて?うん。
オーストラリアの人口よりも多いそうなんですけども何でそんな事になったのかその謎を追ってみましょう。
イラクの北部アルビルという町。
ここを自治区としているのがクルド人です。
もともと…1914年第一次世界大戦が勃発。
当時クルド人の住んでいたオスマン帝国はイギリスフランスなどの連合国に敗れ新たな国境線が引かれる事になりました。
こちらが現在の西アジアの国境線。
クルド人居住地域はトルコシリアイラクイランに分断されてしまったのです。
それぞれの国で少数民族となったクルド人は自治や独立の運動を起こす度に厳しく弾圧されてきました。
しかしその後彼らはイラク北部にあるクルド人自治区で外資の力を借りて新たな油田を開発。
アルビルの町を「第二のドバイ」と呼ばれるほど発展させてきました。
しかしイラク国内では別の問題が起こります。
同じイスラームのシーア派とスンニ派という2つの宗派が対立するようになったのです。
更にスンニ派の過激派組織「イスラム国」と名乗る集団が世界中から戦闘員を集めながら攻撃を繰り返すようになりました。
…にも及んでいます。
ずっと今もテロが続いてるんですよね?先生。
続いています。
ちょっとこちらをご覧下さい。
今日はテーマ「国」ですよね。
じゃあこの国境を誰がつくったのかと言うとマーク・サイクスというイギリス人ジョルジュ=ピコというフランス人。
どちらも軍人。
この2人が「どこにしようか」って線引いただけなんです。
ここの形をちょっと頭に入れておいて頂いて…。
大体何となく三角形になってますよね。
それを頭に置いて頂いて…。
はいこちらを見て下さい。
こちらが今の国境なんです。
白い線ですね。
白い線で国境入ってますよね。
さっきので見るとこういうふうに伸びてたはずですね。
はいフランスの勢力下だった所。
そう緑色の濃かった所です。
ところがちぎれてますよねここで。
そこが全てシリアになった訳じゃないんですね。
誰がちぎったのかと言うとイラク側はイギリスでしたね。
イギリスがここ取っちゃったんですよ。
なぜそうなったか…。
実は当時第1次世界大戦というのは戦争で初めて自動車が使われた。
自動車は石炭じゃ動かない。
何で動きます?石油ですね。
石油が世界の地図を塗り替えてしまう。
それを先に読み取ったのがイギリスだったんです。
こうして出来たのが今のイラクなんですがしかし先ほどVTRにあったクルドの人たちここに住んでいます。
今でも国で言うとイランイラクシリアトルコに分かれてしまってついに自分たちの国を持つチャンスをなくしてしまった。
バラバラになってしまった訳ですね。
ドミニクさんが最初に今日言った国境線で切ってしまってパスポートを必要にしてしまった事がまさにこのクルドの人たちの悲劇に表れているんです。
これは世界の主な紛争地域を表した地図ですね。
紛争の背景としてね民族や宗教言語の問題が絡むもの一番多いですね。
この赤。
この赤が実は大体過去100年の間一番多い紛争だったという事になります。
民族や宗教の違いが原因となって世界中で人々は争ってきました。
そしてその度に国境線は移動する事になったのです。
さて民族と領土の問題を見てきましたが次は国籍について考えてみよう。
確かにそうか。
国籍ってどうやって決めるんでしょう?どうやって…?私が知ってるのはアメリカだと…じゃあ日本の国籍の方は?日本の国籍の方は…。
ちょっと分かんないですね。
私はお母さんは日本人ですけど…。
あれっ?さあここに2つありましたね。
つまり…はいそうですね。
1つは親から受け継いでいる血統によって国籍が決まるという考え方です。
例えば日本人のようにお父さんお母さんどちらかが日本人であれば自動的に日本人と認められます。
ところがこの考え方をしてる国は世界中には実は少ないんですよ。
へぇ〜。
アメリカを筆頭にそこの国で生まれて育ってそこの国の学校へ行ったりして教育を受けたらじゃあアメリカ人と認めましょうという考え方を取る国これ出生地によって国籍を決めるという事なんですけどそういう国の方が多いんです。
国籍の決め方は世界統一じゃなく国によるんですね。
はい。
日本の場合にはですからよくいわれるのは日本語が上手な外国の方がいてもいつまでたっても「日本語の上手な外国人」としかいわないんです日本人は。
でもそれっていわれてる方は嫌ですよねきっと。
だからそういう事に私たち注意を向けないといけないんです。
血でつながる何人というのを当たり前に思ってしまうとやっぱりいろんな国とのつきあいは難しくなっちゃいます。
なるほど。
その感覚をまず変える事から始めなきゃいけないですね。
先生ありがとうございました。
ありがとうございました。
ドミちゃん今日どうでした?何かいろんな国が争って「ここは私たちの国」って決めるのがちょっと本当にかわいそうだなと思って…。
周りの人にも影響を与えちゃうし。
確かにね。
できるだけ経済的にも文化的にも交流がスムーズなボーダーレスな社会になっていってほしいですね。
では次回も世界中のあんな事…。
こんな事…。
いっぱい知っちゃおう!知っちゃおう!同じ民族だけで国家を形成するのは困難です。
パレスチナではユダヤ人とアラブ人の紛争が長引いておりクルド人の場合はほかの民族がつくった国境線によって分断されてしまいました。
1つの国にさまざまな人がいるのはもう当たり前。
異文化を認めて共生できる社会をつくる事が大切です。
2014/10/24(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「国のカタチとは?」[字]

人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。

詳細情報
番組内容
現代世界は、国家を単位として構成されている。国家とはどのようなものなのか? 国境線はどうやって決められたのか? 今回は、地理的視点から“国”について学ぼう! 「国のカタチとは?〜民族問題と国境線〜」 (1)国家の要素は主権、領域、国民 (2)民族で国をつくることの難しさ (3)世界のほとんどは多民族・多文化の国
出演者
【講師】同志社大学大学院教授…内藤正典,【出演】中田敦彦,ドミニク,【語り】安元洋貴

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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