林先生の痛快!生きざま大辞典【☆天ぷらの神・早乙女哲哉】 2014.10.24

その圧倒的な仕事ぶりで仕上げた天ぷらはもはや…
そのたたき上げの生きざまから学ぶ
林先生が今夜も…
今回生きざまをご紹介するのは日本一の天ぷら職人と呼ばれる男ですこちらですいや…親方の天ぷら召し上がったことないですか?ないですね僕はもう親方の天ぷら何回ぐらいですかね申し訳ないですそれはまた後ほど詳しく事情を説明したいと思うんですがそんな行ってんですか?おいしいですね親方の天ぷらがおいしいということはともかく…さらには早乙女さんの生きざまから…それを皆さんにお伝えしていきたいと思いますまずはVTRどうぞ
東京下町・門前仲町に
天ぷらの神と言われる人物がいる
その男こそ…
天ぷら一筋52年
音がするんです
早乙女が揚げた天ぷらは芸術品と呼ばれ
歴代総理をはじめ各界の著名人
さらには世界の名だたる料理人たちが
その味を絶賛する
さらに定番海老も早乙女の手にかかると…
究極の海老天に
大衆料理の天ぷらを芸術と言われるまでに高めた…
もしかして皆さんが期待されてるといけないんで最初に申しておきますけれども出ないの?何で?ここで親方がいつものベストの仕事ができる環境にはないですから今日は想像の中でおなかを満たしていただきたいそもそも皆さん大木さんはいかがですか?ふだん僕そんなに天ぷら食べないんで「ああ油か」って感じがしますうかみさんいかがですか?なのに「今夜天ぷらだよ」って言うだけで何かとてもその日ときめくっていうか僕の莫大な経験で言って…うかみさん相当食べてきましたよね?あの〜…初球は外角低めのストレートから入りますからね
(大木)店で言うと何食なんですか今だったらイタリアンですバブルの時代だったらフレンチが外角低めのストレート決め球なんですか?決め球にも使えるよくご存じですねそんな話も実はこの後しようと思ってたんですよ今日はついてきていただけそうですね?話を戻すと僕の中での食は…お寿司屋さんもすごく技術を感じるんですけれども僕ホントに…こんな技術を感じた料理ってないとは言わないですよでもすごいなと思った経験があるもんですからどうも先ほどから見ていて天ぷらというものがどんな料理かもちろんご存じだと思うんですよだけど…順番にそれをお伝えしていかなければならないなと使命ですねこれは早乙女さんがおっしゃってることです
揚げるとは一見衣をつけて油に入れる
たったそれだけのことに見えますが
実はプロだからこそ知る味にかかわる…
うかみさんいかがですか?水分に関係あることかなと蒸発と何かじゃあいきましょうこれはどういうことかと僕実は…そのときに親方がおっしゃったのは…要するに天ぷらの例えばこういうふうに海老があったらこの衣の表面は細かい穴があいてますからそうするとここに油が入っててだから脱水だよって言ってわかりにくいものを先ほどの表現で蒸すと焼くとを同時に行うことだと揚げる時間がですか?そしていかの天ぷらを食べるとポッと見たときにこれも図に描きますけれども…例えばいかなんかこういうふうに切って出してくれるんですけどこんな感じでここが白くてここが半透明になるんですだけど中は冷たくないですからいわゆる本当の…
こちらがそのいかの天ぷら
この断面をご覧あれ
中心は火を通しすぎないレアの状態
何という絶妙な技術
さらに…
僕が痛感したエピソードを実際にご紹介するといつもどおりに予約して妻と一緒に行ったんですよ1本目はその若い方が揚げてくださった2本目が出てくるというところで早乙女さん戻ってこられてパパパッとつけて「はい」ってポッと2本目が出てきてそれを食べた瞬間に僕と妻が顔を見合わせたんですジーッと見てたんですけど…本当に衣のつけ方であったりとか入れ方とか時間とかそういったことの…
林先生を驚がくさせた早乙女
その調理中の姿はごく淡々としたもの
しかし表面的には見えませんが
早乙女は常にある真剣勝負に挑んでいたというのです
家でだと割といっぺんに3種類4種類揚げますがこの先生は一つずつなんですか?揚げるのは海老なら海老を何本かでも…嘘ッいえいえ大丈夫ですよ一流と言われる料理人の方は毎回勝負って感覚で絶対やってますよある日こんなことがありました天ぷら食べに行ってもちろん季節によりますけれども「今日ハゼないの?」ってなりますからそれに対してこう言いますね多分この顔では言ってないと思うんですねちょっとネタっぽくは言ってくれるんじゃない?「ハゼが入りませんでした」では…じゃあどうしたらいいの?でもこれだけ聞くとひどい人に聞こえるじゃないですかそういう長い間のつきあいがあってハゼがないとそれは通らないよと言われたら…逆に言えば自分で進んで船を出してでも早乙女さんのためにハゼをそろえるのがそれでお金がすごくかかってその日は赤字であってもトータルでは自分がこの値段で買ってほしいっていう値段でずっと買ってくれるんですから変態ですか?
(大木)変態じゃなきゃできないですってこういう緊迫した雰囲気はお店に行って食べてる間もお客さんも感じるものなんですかそれを感じる人と感じない人がいるっていうのが実情ですね僕はやっぱり…それでも食べたい?
ここで林先生流
そうするとカウンターがあっておやじさんがいますよね入って行きますよねこのぐらいのときにもうこの店はいいなとかここはイマイチだなってもう判定終わってますだから僕が昔僕ほとんど友達がいないんですけど…全員ちょっとピリッとしてるんですねゆっくりできないんだお母さんはそれではここでそろそろ生きざまQUESTIONいきましょうかもうさっき出ちゃったんだよなこれはぼぼ答え出てますね生徒でもいるんですよここにこういう根拠があるからもう答えわかったはいどうぞって言ったら「はッ?」って何を見てんだ文脈をおさえて答えを出すというそういう勉強が世の中にあるのご存じですか?今言われてももう遅いんで今までの流れを考えるならばいかがでしょう?はいさすがだからどうしたってそういう緊張感が店に漂うんですそういうところにちょっとチャラチャラフワーッとした感じ「え〜この店ホントにすごいの?」みたいな感じでもし吉田アナが行くとおやじさんがギラッと目を光らせるってことはありうるんですよねそこまではおっしゃらないと思いますけれどもあるいはこの本に書かれていることとしては…特に中があんなふうに半分レアで出てきたら火がどんどん余熱で通ったら味変わっちゃうんですよそんなに嫌われてないと思うんですただ僕の唯一の問題点は…これ多分お気づきになってたと思うんですけど結構…先生それどこで知り合った女性を連れてってるんですか?何それ?ですから早乙女さんこんなこともおっしゃってましていや〜でもね何のために行ってるんですか?写真を撮るために行ってる?撮影会ですか食事は?食べに行ってます本来ならそんな撮る時間がないとないはずだと
(ケラ)戦場みたいですね載っけたことある…何なんすか先生!それはもうホントに出てくるのを待っててその瞬間にバシャッと撮ってですぐ食べましたしかも…穴子はいいんですか?写真撮って穴子は結構じっくり火を通すんで変化が一番小さいんですよ撮るならどれだろうと考えててサツマイモか穴子だなと思ったんですけれども
常に客と勝負する姿勢で最高の天ぷらを出す早乙女
そこには常識でははかれない
こんな早乙女さんですけれどもじゃあ大木さんが天ぷら屋さんだとしましょういや〜大将の天ぷら最高だねうまいねさあどうおっしゃいます?ありがとうございますと言いますなるほど早乙女さんはこんなことをおっしゃってます基準レベルが高いんですね常にね確かにこれは感じ悪いなと思う人もいるかもしれないそういうお客さんに宣戦布告やっぱり勝負ですよ戦場ですよ早乙女さん自身…だから最高ですねって言われたらこうこうこうだっていうことが言える状態でなければいけないもっと言うならばこんなふうにご自分の仕事のことをおっしゃってまして…このせりふ僕好きなんですけど…論理的に把握してるわけですから偶然できたものではないうまいといわれるものをきちんと自分が全部知り尽くして出してるそうやって揚げてますそしてそれはそういうことを続けなければならないという自戒でもある
天ぷらを理論的に分析することで
毎回究極の状態で出す早乙女
しかし
それでも完璧に仕上げるのが難しい天ぷらがあるという
かき揚げだとおっしゃってますかき揚げの位置づけを説明しておかねばならないですかね一般的な特に東京の天ぷら屋さんだったら大体この順番だと思うんですが最初に必ず海老が2本から始まるんです白魚一本一本ですよこれが見てて楽しいんですがそういうのと野菜が入ったりしてそして穴子が出てきて穴子さっきの映像で一瞬ありましたけれども一本づけでこう出されて箸でキュッとシュ〜ッてこの音シュ〜ッいい音がするんですよ…って聞かれるんです
早乙女が最後に出すのが
このかき揚げののった天丼
もしくはだしとわさびの風味が絶妙な天茶
究極の天ぷらの最後をなぜ飾れるのか?
ある謎が隠されていました
このかき揚げについてもうこれが本当に最大の勝負コースのシメでこれでどうだととどめを刺す一品なんですがその理由すごい言葉が出てきますよ針のこの細い先そこへこう目がけて狙うぐらい難しいマニアックそんな学問あるんすか?あるんですよじゃあ皆さん聞きますよ大木さんいかがですか?桜えびだけですか?いろんなもの混ざってましたかはい何か入ってましたケラさんいかがですか?あ〜そうかそうか根菜はいわかりましたうかみさんいかがですか?やはり魚介ですね貝柱のみ?吉田アナは?外で食べたことそんなにないんですけどそういうイメージです貝柱って言い方もしますけれども小柱ですね江戸前のネタの考えてみてください結局一番火が通らないものに合わせて最後まで火を通すのでほかのものは火が通りすぎになるのでかき揚げにいろんなもの混ぜるなんてそんなバカなことあるかって…これに近いことを昔早乙女さんに言われたことがありますさらにはこの小柱大きさもまあほぼ同じとはいえいろいろ形をつくっていくと表面と中で火の通り方違うじゃないですかそれを均一に揚げるなんてホント至難の業だと50年以上天ぷら屋さんをやってらっしゃる早乙女さんにしてもかき揚げは針の先の点を狙う
そんな最も難しいものだからこそ
最後にふさわしい感動を呼ぶ味が出せるというのです
そんな早乙女の人生をひもといたとき…
しかし天ぷら職人として駆け出しの頃
ある欠点に悩んだというのです
もう本当に日本一の天ぷら職人と呼ばれる早乙女さんですがそれがこちらですすごく神経質で小心だからこそだから逆に成功すると別に何とかなるんじゃないのみたいな感じでそれで…いろんなことが起きる早乙女さんはこういう状況でお客さんにも笑われてこれはもうちょっと自分は…しかし辞めよう…いやでも今日はちょっと言えないなまあ明日言おうかっていうようなことでそんな中早乙女さんにある考えが浮かびますそれがこちらですそうなんですよ小心であるってことは裏を返すと神経質で繊細細やか自分の欠点だと思ってしまえばそうなんですけれどもそれを繊細である自分の武器になるんじゃないかと例えばこの繊細さはどういう方向に生きたかといいますと奥深いですよ何で連れていく相手がそんなに毎回コロコロ変わったかということに関して言うと1回目のデートはフレンチなんですこれは先ほど申し上げたように外角低めのストレートで1回目の天ぷらってないんですいきなり横になるんで1回目の様子で今度天ぷら行くっていうとカウンターでとってもおいしいお店があるんだよって言ってそのときに横の彼女がどういう食べ方をするか見るんですだからこういうふうに真剣勝負で出してくださる早乙女さんのそれがわからないで急に何かトイレ行ったりとか僕としゃべりたがるような子なのか出てきたらパッパと食べるような子なのかそういう雰囲気を読んで対応する力があるかどうかを見るこれを僕はこう呼んでたんですよ怖くない?この知らない間のオーディションでもそれができるのはこういう最高の料理を早乙女さんが出してくださったからですようかみさんは天ぷらのときにそういうことを気にされてますかそうですねそうですよ
欠点であった
その結果…
それは…
そんな早乙女さん今ではこんな境地にまでなっている音ですべてがわかる領域にもう今は到達したとてことはこの音は違うがあるってことですか?はいちなみにどういうふうに…こんな単純じゃないんでしょうけどね簡単に書けばですよこれちょっと音違いますけどね自分は天ぷらの鍋だけを見ていながらもどのお客さんにあそこに今度おみそ汁出るないよいよもうごはんが出るなというようなことを店内のことを全部音で把握してんだ天ぷらをもし揚げられる方が見てこの温度おかしくないですか?ですよね大体天ぷらっていうのは170度から180度でというふうに料理の本なんかにも書いてあるんですけれどもプロですから自分のやっていることを論理的に把握されてるなぜ180度と言うかというと…発煙点要するに…もう230度でもいいんだこれは確かに否定する人もいるんです温度上げすぎで焦げてるんじゃないかと言う人もいるんですがそれが嫌いな人はいらっしゃるとは思うんですが僕はあの天ぷら好きですから高温でっていうのもちゃんと理論的裏付けがある
もはや音ですべてを把握できるようになった早乙女
しかしそんな境地に達したがゆえに…
天ぷら職人として最高の技術を身につけた早乙女
しかし
しかし繊細であるために早乙女さんはこんなことにも気づいてしまいますほかの人から見たら何がいけないの?ということなんですよこれと通じるところがあると思うんですよね結局ミスが全然減らないだから早乙女さんは130歳まで生きるっておっしゃってるんじゃないですよ130歳まで仕事をするとおっしゃってるんですそんな早乙女さんのお考えこちらですねあれだけ自信がおありでも100点じゃないんですねご自分で常にもう毎日毎日ミスだらけだとでも店の緊張感がうちの母親のようにちょっと私は…っていう人がいるのも事実ですからね僕のようにそういうビリビリした空気がある店じゃなければ行く意味がないと思う人間もいる人それぞれの自分の楽しみ方があってもいいと思うんですがでもう〜ん…でもできれば何がそうじゃない人と違うかってことがわかるとそれは一つの世界が広がるということだけではなくてだからそこはまず自分の足で行ってみるネット情報で何点だからやめたということをやってしまうともしかしたら自分が何か大きなものを得られるチャンスを逃すことになるのになと思って今の若い人たちを見てはいるんですけれどもその若い人たちへのメッセージとしてはこんなことをおっしゃってます今これがない若者が多いですからねこれをもう一歩突っ込んで言うと我慢を覚えたときは逆に言えば仕事を覚えてるそういうことを早乙女さんはおっしゃってるそして…中川さんに先ほどちょっと今日親方を扱うけども一言あれば言っていただけませんかと言ったらこんなことをおっしゃってました
林先生が解説します
中川さんから見て親方ですね親方は簡単にやる…最初におっしゃいましたよね天ぷら簡単に揚げられるあんなもの衣つけて揚げるだけだから誰でもできるよ…ホントに素人の人とわずかな差しかないそれは例えば時計で言うならば12時ジャストと59分のこのくらいの差しかないでもそれは1分の差ではなくぐるっと回った実は59分の差があるようにやるのがプロなんだと本当のプロというのはもしかしたら素人とどこが違うのということを無造作に簡単にやるしかしそこは時計で言うと1分ではなく59分もの差があるそれを難なくやってしまうのが本当のプロであると最後にお伝えしておきたいと思います
これであなたも話し方のプロに!
次週から3週間お休みします
次回は…
この異名を持つ
伝説の男に迫る
2014/10/24(金) 00:59〜01:44
MBS毎日放送
林先生の痛快!生きざま大辞典[字]【☆天ぷらの神・早乙女哲哉】

日本を代表する天ぷら職人・早乙女哲哉氏。この男が揚げる天ぷらはまさに芸術品。林先生をはじめ各界の著名人たちも絶賛する当代屈指の天ぷら職人・早乙女の生きざまとは?

詳細情報
お知らせ
この番組は2014年9月16日に関東地方で放送されたものです。
番組内容
人々の心に名を刻む「偉人」たち。華やかなエピソードだけではない彼らの人生。
時に無様に…、時にもがき苦しみ…、それでも諦めなかったからこそ成功を掴んだのです。
そんな「生きざま」を持つ人物たちを林先生が徹底的に分析。独自の視点と選び抜いた言葉で、分かりやすく解説します!
日々何かと闘う皆様へ、林先生があなたのヤル気に火を付けます!
出演者
【MC】
林修先生

【ゲスト】
うかみ綾乃、ケラ、ビビる大木
※50音順

【進行】
吉田明世(TBSアナウンサー)

ジャンル :
バラエティ – トークバラエティ
ドキュメンタリー/教養 – その他
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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