水曜ミステリー9「森村誠一サスペンス 刑事の証明8」 2014.10.22

広瀬:人は生きていくうえでさまざまな重荷を背負う。
秘密や後悔そして悲しみ。
それらは誰かと分かち合うことで軽くもできるだろう。
しかし罪を犯した人間は一生その重荷をおろすことはできない。
ではその人物が裁かれた場合重荷は同時に消えてしまうのだろうか?重荷は決して消えない。
今度は裁いた人間にそのまま重くのしかかるのだ
(パトカーのサイレン)
(渡辺)ご苦労さまです班長。
(佐野)お疲れさまです。
(磯部)ご苦労さまです!ご苦労。
身元は?椎名凌40歳。
現住所東京都北区赤羽。
死亡推定時刻は?はい!深夜1時から3時の間。
背中や腹に複数の刺し傷があります。
手口がえげつねえな。
まず背後から襲いかかりガイシャの息絶えるまで何度も刺した。
今都内で多発してる通り魔殺人。
あれと手口が同じですね。
あれは3件ともガイシャは女だ。
決めつけるのはまだ早い。
凶器は?鋭利な刃物と思われますが犯人が持ち去ったようです。
(今井)班長。
どうだ?付近を回ってみたんですが目撃者はいませんでした。
やじ馬の写真も撮っておきました。
これから調べます。
そうか…。
ところでガイシャの職業はわかってるか?
(佐野)名刺の類は見当たりません。
(野々村)つけ礼休め!
(大倉)これより捜査会議を始める。
本件は都内で発生してる連続通り魔事件との関連性が高いためここ警視庁に捜査本部を設置し情報を集約することにした。
まずはガイシャの情報について捜査一課野々村菊池。
はい。
(菊池)はい。
(野々村)殺された椎名凌ですがいわゆる情報屋でした。
企業や個人の内部情報を不正に入手し外部に売りつけていたようです。
顧客は雑誌記者や暴力団投資家などさまざまです。
恐喝でもして恨まれたんじゃないのか?情報屋がそんな下手を打ちますかね?なんだと?ケータイの通話記録からここ最近つきあいのあった人物をリストアップしろ。
はい。
いいですか?情報屋ってのはいかに敵を作らないかが腕の見せどころです。
情報はあくまでそれを必要とする相手に売るためのものであって本人を脅すためのものじゃない。
目先の金欲しさにリスクを冒すようなマネはしませんよ。
ではこれが怨恨でないなら一連の通り魔の犯行だというんだな?いや怨恨だと思います。
どっちなんだ?できたか?はい大体こんなところです。
これが椎名の顧客だな?衆議院議員は政敵を追い落とすスキャンダル。
雑誌記者は芸能人のゴシップネタ。
個人投資家はインサイダー情報といったところか。
失礼します。
磯部解剖の結果は出たか?はい被害者の爪の先から皮膚片が検出されました。
皮膚片?犯人のものか?はい犯人ともみ合った際に抵抗したものと思われます。
これか…。
(那須)科捜研に回してDNAを採取してくれ。
わかりました!さて広瀬お前はどう見る?そうですねリストアップした人物をうちで手分けして当たってみます。
好きにすればいい。
残りの捜査員は怨恨の線および通り魔事件との関連性を当たってくれ。
(一同)はい!
(大倉)各所轄報告を。
はい。
鮫洲署木村報告します。
まったく班長にはやれやれだ。
なんで課長に毎回あんなケンカ売るような物言いするかな?しようがないですよ。
ああいう人ですから。
操作を受け付けました。
(逢沢)この皮膚片からDNAを抽出すればいいんですね。
わかりました。
よろしく。
いつもありがとうね。
仕事ですから。
(若槻)ご苦労さま。
あっ若槻所長。
昨日のサンプルなんですが…。
佐田与志之さんという方こちらの常連だそうですね?ええ佐田さんなら先日もお見えになってましたよ。
(門倉)何か変わったことはありませんでしたか?そうですね…いつもは物静かな方なんですがその日はひどく荒れてましたね。
ほうそのときの様子詳しく聞かせてもらえますか?〜
(玄関チャイム)佐田与志之さんですね。
警視庁捜査一課から来ました。
お話伺えますか?ほうこれが個人投資家の仕事場ですか?やってみますか?一瞬で数億吹き飛びますよ。
いやいや結構。
それにしても大変そうだ。
一日中パソコンの前にはりついてるんですか?そういうイメージなんでしょうね。
投資家とデイトレーダーの区別もつかないとは。
では好きな時間でお出かけもできると?リスクを背負って自由を買ってるんです。
では買った自由でゆうべはどちらへ?パソコンにはりついてましたよ。
ご覧のとおりひとり身ですからそれを証明できる人はいませんが。
そりゃそうだ。
大変なお仕事ですからね。
ところで佐田さん椎名凌って男ご存じですか?ええ。
ゆうべ何者かに殺されました。
それはお気の毒なことで。
その傷どうされました?ハッハッハ近所の野良猫にやられました。
ほうそりゃまた災難なことで。
佐田さんご足労ですが署までご同行願えますか?一応任意です。
あと5分待ってもらえませんか?利益確定しておきたいので。
任意で5,000万ふいにしたくない。
どうぞどうぞごゆっくり。
〜先日アンタひどく荒れていたそうだね。
喫茶店で大声で電話していたとか。
アンタのせいでガセネタつかまされた。
大損だ!ちょうどその時間椎名さんのケータイにあなたからの着信がありましたよ。
椎名さんから買い取ったインサイダー情報がインチキでしたか?DNA採らせてくださいよ。
お断りします。
まあそうおっしゃらず。
簡単な作業です。
な?頬の裏側の粘膜を綿棒で少しかきとるだけです。
すぐ済みますよ。
人に触られたくない。
気持悪いんです。
ほう。
断らなきゃいけない理由でもあるんですか?
(ノック)班長…ちょっと。
なんだ?椎名の顧客の雑誌記者ですがハズレでした。
アリバイがあります。
わかった。
そのかわりといっては何ですが…あの男なんですが。
(佐野)10年前暴行をはたらき微罪処分を受けています。
微罪処分?ええ。
相手が訴えを取り下げたので前科はつかなかったんですがその際に指紋とDNAがデータベースに登録されていました。
本当か?わかった。
すぐ科捜研に行って照合してもらえ。
はい。
わかりました。
はぁ…すみませんね。
アンタのDNA必要なくなりましたよ。
結果が出るまでここで待っていてもらいましょうか。
ね。
〜佐田与志之で決まりです。
通り魔事件とは無関係だったか。
今回は割とあっさりと片づきましたね。
そうだな。
(磯部)失礼します!科捜研の結果は出たか?はい。
ガイシャの爪の先から採取した皮膚片とデータベースの佐田与志之のDNA型は…一致しませんでした。
(那須)確かなのか?はい間違いないです。
そんなバカな!佐田の手の甲には最近できたようなひっかき傷があった。
椎名を殺す動機もある。
あらゆる状況が佐田の犯行を物語ってる。
だがDNA型が違うんだ。
洗い直すしかないだろう。
何があったんだ…。
(那須)広瀬!一課の広瀬だ。
(逢沢)そんなはずありません。
鑑識の磯部さんから確かに皮膚片を受け取りDNAを抽出しました。
その後鑑定依頼があったのでデータベースと照合しました。
じゃ10年前のその佐田のデータベース見せてくれ。
10年前に採取した佐田与志之のDNA型データです。
ご自分の目で確認してください。
結果は不一致でした。
鑑定ミスなんてありえません。
本当に間違いないのか?いいですか?科学技術の進歩というのは要するに正確さ精度のことなんです。
今の最新設備なら4兆人に1人というとんでもない精度で同一人物を絞り込むことができるんです。
4兆人ですよ?つまりは理論上別人と一致する可能性はゼロということです。
(若槻)うちの鑑定に何か問題でもあるのか?若槻。
久しぶりだな。
刑事は普通ここには来ないし我々科捜研の人間も現場とは距離を置いてる。
お互い先入観が入るといけないからな。
俺は疑問に思ったことを確かめにきただけだ。
疑問?お前の見立て違いだろ。
何だと?鑑定の結果が不服だからと怒鳴りこむのはルール違反だろ!相変わらずだな。
現場を離れてもちっとも変わってない。
何事も杓子定規だ。
俺は自分の仕事に責任を持ってるだけだ。
彼女もな。
そうですよ。
なんなら目の前でもう一回再現しましょうか?それで同じ結果だったら土下座ぐらいじゃ足りないぞ?やってもらおうじゃないか。
もしそうだとしたら土下座でも何でもしてやるよ。
広瀬!何をやってた。
お前にも指示を出す。
ガイシャのカネの流れを調べリストに上がらん人物をあぶり出す。
課長。
俺は一人で動きます。
勝手は許さん。
ホシは佐田だ。
(大倉)広瀬!あ〜あ…。
ベンさんどうします?うん…捜査本部の方針に従おう。
それが基本だ。
(一同)はい。
〜あの男どっかで…。
〜おはようございます。
おはようございます。
ガイシャの椎名凌の資料はあるか?ええ。
ああこちらに。
4年前までディアナ工業に所属…。
(今井)ええ精密機械大手の。
椎名は4年前までそこの営業担当でした。
辞めた理由は何だ?懲戒解雇です。
待てよ。
ディアナ工業といえば…。
科捜研にディアナ工業製の装置があった。
いつだったか警察庁が全都道府県警の鑑定装置を一新したことがあったな。
ありましたね。
確か30億近くかかったとか。
30億か!改めて考えるとものすごい額の取り引きですね。
それを決める権限は誰にあったのか…。
(佐野)えっ?
(門倉)班長!
(渡辺)門倉。
何か考えがあってのことだろう。
今は俺たちのできることをやろう。
な。
(一同)はい。
またあなたですか…。
今度は何です?若槻について聞きたいことがある。
彼が所長に就任したのは6年前だったな。
はい。
これらの装置を一新したのはいつだ?4年前だったと思います。
4年前か…。
で所長は今どこにいる。
今日は半休をとってますが。
若槻。
おう。
すまんな。
かみさんが亡くなっていたとは知らなかった。
3年前だ。
俺はもう現場から離れていたからな。
お前の奥さんも病気が原因だったか。
うちのはもう17年になる。
苦しまずにいけただけでもマシだったかもしれない。
うちのは長患いだった。
その間夫として何もしてやれずせめて月命日くらいは顔を見せたくてな。
そうか。
俺も死に際には立ち会えなかった。
因果な商売だ。
まったくだ。
そんな話をしに来たんじゃないだろ。
4年前の警察庁による最新設備導入の件だ。
あれは一般競争入札だったのか。
当然だ。
科捜研の所長ともなれば発注先のメーカーを決めるのに強い権限があったはずだ。
まぁな。
長患いか。
治療費や入院費もずいぶんかかっただろう。
何が言いたいんだ広瀬!お前は身内を疑うのか。
可能性の話をしているだけです。
当時の若槻がカネに困っていたのは事実だ。
そこに当時ディアナ工業の営業だった椎名がつけ込み受注の見返りに賄賂をおくった。
もしそのことを椎名が佐田に話していたとしたら…。
それをネタに佐田が若槻所長を脅したと?可能性はある。
バラされたくなければ嘘のDNA型鑑定をしろと。
事件発生から任意同行までは半日ほどの間があった。
その間に働きかけることは十分に可能だ。
ふざけるな!身内を信じられなくなったら捜査なんかできるか!身内だからこそ俺一人で動くと言ってるんです。
班長。
ああ勝手にしろ。
こんなヤツは捜査から外す。
ひとまず解散だ!若槻警視が鑑識にいた頃俺も一緒に仕事をしたことがあります。
とても実直な人で部下からの信頼もあつかった。
いくら班長とはいえその見立ては承服できません!俺たちは通り魔の線でいかせてもらいます。
行こう。
はい。
(那須)お前のおかげで捜査本部はガタガタだ。
あれだけのことを言うからには覚悟があるんだろ?俺だって好きで身内を疑ってるわけじゃありませんよ。
でもね自分のデカとしての直感を否定するわけにはいかないんです。
確かにアイツが…。
間違いない椎名殺しは佐田の仕業だ。
万が一俺の見立て違いだったとしたらすぐにでもデカを辞めてやりますよ。
かといって若槻君がDNA型鑑定に手を加えたと疑うのは筋が違うんじゃないのか?お前と若槻君はよき戦友だろ。
ええ。
アイツはかつて鑑識のエースだった。
同じ現場にあたったこともある。
今や科捜研の所長だ。
祖父から三代続く警察の家系。
筋金入りのサラブレッドだ。
組織捜査を何よりも重んじる。
一匹狼タイプの俺とは正反対だって言いたいんでしょ。
だが互いの実力は認め合っていた。
それとこれとは話が別ですよ。
疑わしい点はひとつずつ潰していく。
たとえそれが身内だろうと戦友だろうとね。
戸上元気そうだな。
よぉ那須管理官殿か。
どうだ警察は。
暇がいちばんなんだがなかなかそうもいかん。
ほどほどにな。
体を壊してリタイアするバカもいる。
そのバカもすっかり好々爺だな。
鬼刑事と恐れられた面影のかけらもない。
羨ましいか?羨ましいな。
こうやって座ってるとな急ぎすぎた時間を取り戻してるような感覚になるんだよ。
俺たちは閉じられた組織のなかであまりにもいろんな荷物を背負いすぎた。
こうやってひとつずつそいつをおろしてるんだ。
荷物か。
若槻君のことで来たんだったな。
ああ私の部下が彼に疑念を抱いている。
当時の若槻がカネに困っていたのは事実だだとすればその部下はボンクラだな。
私は信用してるんだが。
それを言うなら俺もだ。
若槻は信用できる男だ。
俺が保証する。
科捜研所長の後釜として俺が鑑識から引っ張ったんだ。
安心してあとを任せられると思ってな。
組織に弓を引くような男ではないと。
弓を引くどころか組織のためなら矢面にだって立つよ。
彼は誰よりも組織のことを思ってる。
そりゃもう片思いかってくらいだよ。
そうか。
悪いがその部下の目が曇ってんじゃないのか。
今回ばかりはそうかもしれんな。
久々に若槻君に会いに行ってみるか。
酒の一杯もおごってやるとしよう。
あ広瀬さんごめんなさいお待たせしちゃって。
お久しぶり調子はどうです?今ですね食品偽装問題追ってるんですけどおかげさまでなかなかハードな日々です。
へぇ〜大変ですね。
どうしたんですか?珍しいじゃないですか。
こんなところまでいらっしゃるなんて。
いや実はこの本を書いた…。
あそこにいる彼に用があって来たんです。
早川さんですか?ええ。
うちのエースです。
気骨のある社会派の記者で相手が公権力でも敢然とああやって立ち向かいますから。
これが彼の代表作です。
知ってます。
警察の捜査ミスを指摘し自ら真犯人にたどり着いたという内容ですね。
彼に話を聞きたいんですがいいですかね?早川さんにですか…。
ええ。
まぁ取り次ぐことはできますけど。
何かあるんですか?あの人相当癖がありますよ。
バカやり直してこい。
もう一回やってこい!ハハッお互いさまですよ。
お忙しいところすみません。
警視庁の広瀬といいます…。
いや結構。
でご用件というのは?じゃあ早速ですがひとつお尋ねしたいことがあります。
おとといの夜あなたを街で見かけました。
佐田与志之って男を尾行してましたね。
なぜです彼に何か用でもあったんですか?では逆にお尋ねしたい。
警察はなぜ佐田を釈放したんです?任意なので釈放ではありません。
帰ってもらっただけです。
椎名凌さん殺害に関してはシロだと?それは何か確証があってのことなんですか?DNA型鑑定が一致しませんでした。
彼がDNAの提供に応じたんですか?いいえかつて微罪で警察沙汰になった際指紋と一緒に採取してました。
しかし私は佐田が犯人だと思ってます。
現在警察は別の線を当たってます。
私が一人で動いてるのはそのためです。
あなたも組織の人間でしょう。
従わなくていいんですか?ええまあ。
なぜです?あなたならおわかりのはずでしょう。
組織の危うさってもんを。
みんなで同じ方向を向いてしまったら危なっかしくてしようがない。
そう思いませんか?失礼をしたようだ。
改めまして早川です。
ちょうだいします。
以前から個人的に佐田与志之を追っていました。
ほうそれはどういった理由で?それは明かせません。
そのかわり一つだけこちらも教えてあげましょう。
あの晩佐田は仲間にこう言ったそうです。
俺は運がいいなんですって?この言葉の意味するところはおわかりになりますよね。
警察は虎を野に放ってしまったんですよ。
被害者の交友関係に関しては以上です。
次!はい!凶器関連です。
都内の量販店を当たった結果犯行に使われたものとほぼ同じ刃渡りの包丁を購入した不審な人物がいました。
現在防犯カメラの映像解析を進めています。
4年前若槻が奥さんを亡くした頃彼はどんな様子だったんだ?ずっと大変そうでしたよ。
当たり前じゃないですか。
治療費や入院費といった費用の面でもそうだったのか?なんですかそれ?え?今ものすごく失礼なこと聞いてません?いったい何を調べてるのか教えてください。
じゃなきゃ私言いませんよ。
じゃあ率直に言おう。
彼のカネの出どころを調べてるんだ。
さあそっちも答えてくれ。
そうすりゃ二度と俺の顔を見なくて済むぞ。
助かります。
親戚中に頭を下げて回ったって言ってました。
親戚から?言うまでもなくお金を借りるためです。
もういいですね失礼します。
班長!どうした?4年前の若槻警視の件ですが…。
彼は奥さんの入院費のために警察共済からもカネを借りてました。
収賄に手を染めるような人間がいちいち借金なんかしますかね?ご苦労。
ええ。
おい!俺の見立て違いだったのか…。
若槻お前のことを疑っていた。
すまない。
気にするな。
疑わしき点はひとつずつ潰す。
捜査の鉄則だ。
だがなお前本当に佐田がシロだと思ってるのか?佐田の件は俺がとやかく言うことではない。
俺の今の仕事はあくまで科学鑑定だ。
お前どうして佐田を知ってる?佐田のことは新聞にも何も出てないはずだ。
お前が怒鳴りこんできたあと鑑識で捜査資料を見た。
予断が入るといけないとは思いつつお前がそこまで言うからには何かあるのかもしれないと思ってな。
そうか…。
すまんな急に呼び出したりして。
いえ。
少しやつれたんじゃないのか?大丈夫か?俺みたいに体壊したら元も子もないぞ。
先輩はすっかり晴れ晴れとしてますね。
肩の荷がおりたみたいに。
いやぁまあな。
こっちはおろしたくてもおろせない。
ん?なんか言ったか?いえ…戸上さん相談があります。
相談?なんだ改まって…。
(若槻)実は…。
お仕事ご苦労さまです。
(東海林)なんですか?これあなたですよね?菊池追え!はい!おい待て!
(野々村)佐野!今井!はい!おとなしくしろ!公務執行妨害および殺人容疑で逮捕する!知らねえっつってんだろ!とぼけるな!一連の通り魔事件はすべて金曜日の深夜に起きている。
お前確か仕事休みだったよな?おとなしく吐いて楽になれよ。
な?それからこの男性だが…。
誰だよそれ?4件すべての事件において東海林幹生のアリバイは不明です。
女性3名については犯行をほのめかす供述もはじめています。
落ちるのも時間の問題でしょう。
椎名凌殺害に関してはどうだ?はっその件についてはまだ。
この国で3人殺せば確実に死刑だ。
今さら4人目を否認するなんて理由がわかりませんね。
そうだな。
くれぐれも慎重に当たってくれ。
失礼します。
戸上?高いところが好きなんだな。
邪魔しないでくださいよ。
貴重な時間なんです。
その貴重な時間を永久に奪われた人間もいる。
どうです?捜査のほうは?お前の生い立ちについて調べていた。
はあ?佐田与志之昭和45年生まれ。
東京都立川市出身5人兄弟の次男。
父親は蒸発。
母親に女手ひとつで育てられ幼少期の生活は貧困を極めた。
そういう話するなら帰ってくださいよ。
酒がまずくなる。
日頃から素行が悪く気に入らないことがあればすぐに暴力に訴えるたちだったと同級生から聞いている。
しかし不思議と表沙汰にはならず巧妙に責任逃れをする知恵の回るガキでもあった。
おい!いいかげんにしろよアンタ!そんなガキが今や財を成し高層マンション暮らしだ。
頑張ったんだな。
これといった職歴もないお前が何をどう頑張ったかわからないがな。
アンタには一生わかんねえよ。
貧困の極みから抜け出すのがどんだけ大変か。
身の上話ならいくらでも聞いてやるぞ。
取調室でな。
せっかくの時間が台なしだ。
もしもし?
(戸上)ああ俺だ。
おお戸上か。
悪いなこんな時間に。
どうした?いや…何でもない。
何でもないってことはないだろう?お前らしくもない。
そうか?お前今日警察庁に来ていなかったか?ああちょっとな。
お偉いさんに挨拶まわりと置き土産だ。
そうか。
若槻君とは会ったのか?昨日な。
軽く飲んで話したよ。
彼はあまりに重い荷物を背負いすぎている。
荷物?俺が背負わせてしまったのかもな。
どういうことだ?戸上。
戸上?〜ご苦労さまです!戸上…。
(磯部)死亡推定時刻は午前4時前後。
遺書などは見つかっていませんが自殺に間違いないでしょう。
(渡辺)東海林幹生ですが女性3人の殺害についてはほぼ認めております。
が椎名凌に関していえばまったく知らないと言い張っているというのが現在の状況です。
(佐野)DNAの採取には応じました。
椎名の爪に残っていた例の皮膚片と現在照合中です。
何にせよ明日の昼には身柄を送検しなければいけません。
どうしますか?個人的には通り魔事件と椎名の件は別々に離して考えるべきではと…。
管理官?那須管理官?あっすまない。
広瀬を呼んでくれ。
失礼します!科捜研の前所長が自殺!?ああ。
このタイミングでどうして?どう考えても若槻君に会いにいったことが引き金になったはずなんだが…。
戸上:彼はあまりに重い荷物を背負いすぎている。
俺が背負わせてしまったのかもな重い荷物…。
那須さんそれはいったい何のことです?私にもわからん。
だがこの事件の背後にはとてつもない闇がある。
(ドアの開閉音)捜査本部は解散だ。
(一同)えっ?何を言ってるんですか?一連の通り魔事件は東海林幹生の犯行だ。
4件ともな。
すぐに送検の手続きをしてくれ。
4件っていやでも!慎重に当たれとおっしゃったのは課長じゃ…。
いいからやれ!何なんだよあの手のひら返しは!強引すぎますよ。
それは課長自身がいちばんわかってるはずだ。
ああ見えて筋は通す人だからな。
(今井)ということは?何らかの圧力がかかったとしか考えられない。
戸上さんの自殺も間違いなく関係している。
となるとやはり班長の見立てどおり?通り魔事件と椎名殺害はまったくの別問題だ。
これからどうします?班長。
俺たちに指示をください。
椎名殺害に東海林幹生が無関係であることを立証するしかない。
ベンさん佐野今井門倉は交友関係。
野々村菊池は生活パターンを徹底的に洗ってくれ。
ヤツのアリバイを証明するんだ。
いいな?了解!行くぞ菊池!はい。
(若槻)鑑識の磯部君から話は聞いた。
実に残念なことだ。
那須管理官によればお前と会った直後だったそうじゃないか。
そのようだな。
お前いったい何を話したんだ?ただの世間話だよ。
世間話で人は死なない。
戸上さんはこう言ってたそうだ。
彼はあまりにも重い荷物を背負いすぎてると。
前所長である戸上さんにも関係のあることだな?その重荷にたえかね彼は自殺した。
すみません。
ちょっと待て。
アンタは何か知ってるのか?おととい戸上さんから何か連絡はなかったか?いえ私は何も。
重荷がどうとか勝手な憶測で人の生き死にを語るな。
戸上さんを侮辱する気か?しかしな時をほぼ同じくして上からの圧力だ。
警察庁のお偉いさんの部屋から戸上さんが出てくるのを那須管理官が見てる。
なあ若槻。
何かあるんだったら言ってくれ。
闇は隠そうとすればするほど深くなるぞ。
お前に話すことなど何ひとつない。
さすがサラブレッドだな。
そんなに組織が大事か?何のことだか…。
戸上…。
悩みごとがあるんなら相談に乗ってやるぞ。
若槻のことが気になるのか?ところでアンタ俺に嘘をついたな?え?他の職員から聞いたよ。
戸上さんが若槻とコンタクトを取る際まずこの科捜研に電話してきたそうじゃないか。
少々お待ちください。
若槻所長前所長の戸上さんからお電話です。
戸上さんが?内線3番です。
はい若槻です。
大変ご無沙汰しております。
はいいえいえ…。
(ドアの開く音)実は…。
(ドアの閉まる音)こちらから連絡しようと思っていたんですどうして嘘をついたんだ?ごめんなさい。
私は何も知らないことにしたほうがいいと思ってついとっさに…。
若槻は戸上さんに何か伝えたいことがあったようだ。
少なくとも世間話なんかじゃない。
最近の彼の様子について聞かせてくれないか?なんだかひどく疲れてるようです。
私もう見てられません。
それは戸上さんが自殺してからか?いえもっと以前から。
そうどこかの記者さんが訪ねてきてからです。
ひょっとしてそれは早川って人じゃなかったか?そうです所長もそう呼んでました。
それはいつ頃のことだ?えっと…確か2日だったと思います。
2日…2人はどんな会話してたんだ?死んだんじゃない!警察が殺したようなものだ。
そうだろう!私は断固追及するぞ
(逢沢)私不安なんです。
所長が何か大変なことに巻き込まれてるんじゃないかって。
失礼。
はい広瀬ですが。
早川です。
急で申し訳ないがこのあと会えませんか?どうしました?わかったんですこの事件の真相が。
どうしてそれを私に?あなたなら信用できると思ったからです。
これから言う場所へ来てください。
(警笛)佐田!早川危ない!やめろ!早川さん!早川さん!早川さん!!早川さんアンタ俺に何を伝えたかったんだ?広瀬さん!早川さんは!?美奈代さん残念ですがつい先ほど…。
すみません…俺の目の前で…。
くそっ!ちょっとすみません。
俺だ広瀬だ。
あっ野々村です。
今早川さんの自宅に来てるんですが…。
どうだった?佐田に先回りされたようです。
おい菊池どうだ?ダメですね。
パソコンは破壊され本棚は荒らされてます。
ヤツにとって都合の悪い情報はもうここにはないと言っていいでしょう。
そうか…わかった。
となると…。
会社にはまだ何かあると思ったんですけど…。
パソコンどころかメモひとつ見つかりませんね。
ダメでしたか。
まぁ自分が追ってるネタは誰にも明かそうとしない人でしたから。
では最近で何か変わった様子はありませんでしたか?早川さんは今月の2日に科捜研を訪ねてます。
2日?すごいけんまくで所長に詰め寄っていたそうですが…。
あぁあの日なんかものすごく怒ってました。
えっ?朝刊に何か書いてあったみたいで。
その日の朝刊ありますか?死刑執行…。
早川:死んだんじゃない!警察が殺したようなものだ。
そうだろう!これか…。
あっ班長。
今回の事件のカギを握ってるのはおそらくこれです。
20年前立川で起きた強盗殺人事件です。
ある資産家宅に強盗が押し入り老夫婦を殺害。
金品を奪った末逃走した。
容疑者として浮上したのが小清水斉樹。
被害者一家の近くに住む自営業の男です。
目撃情報と現場に残された唾液のDNA型。
この2つが決め手となり逮捕送検。
小清水は一貫して無実を訴えましたが最高裁で死刑判決が下りました。
そういえばつい先日死刑が執行されたんだったな。
今月の1日椎名凌殺害事件が起きる少し前です。
それでちょっと気になることがあります。
ここのページですが通し番号が1つ抜けています。
つまりここには数ページあったはずなんです。
古い資料ですからね。
どこかでなくしたかあるいは何者かが抜き取ったか。
あぁ突然押しかけてすみません。
いや退職して時間を持て余してる身ですから。
さぁどうぞ。
おそれいります。
それはいいんですがねどうして今頃立川事件のことなんかを…。
我々が追っている事件と関係がある可能性がありましてね。
当時のことで何かご存じのことがおありでしたらお聞きしたいと思いまして。
なるほど。
当時の捜査資料以外で残ってるものといえば…。
ちょっとお待ちを。
はぁ。
これだこれだ。
これですが。
ちょっと拝見します。
このリストはどういった関係の方々ですか?捜査の初期段階で膨大な数の参考人が浮上しました。
そこで我々は慎重に絞り込んでいったわけです。
なるほど。
それで最終的に小清水斉樹が犯人と?はい。
ん?この名前…。
すみませんどちらに行かれます?うわっ!警視庁の広瀬という刑事を呼んでくれ!佐田与志之。
ちょっと失礼。
俺だ広瀬だ。
どうした?
(今井)班長佐田が…佐田が芝浦署へ出頭してきました。
なに!?班長を呼べと言っています。
昨日はどうも。
自分からやってくるとはいい心がけだ。
ようやく観念したか?追いかけ回されるの面倒なもんで。
断っておきますが捕まりに来たわけじゃない。
なに?早川記者のこと残念でしたね。
お前がやったんだろ。
俺の目の前で。
そうなんですか?まぁ目撃者がいるとすればアンタだけだ。
あぁ?アンタがどんだけ騒ごうが上は絶対に認めませんよ。
何を言ってる?警察はむしろ俺に感謝してもらいたいくらいだ。
お互いメディアに騒がれるの迷惑でしょ?だから騒ぎのもとを消してあげたんですよ。
どういう意味だ?また。
薄々感づいてるくせに。
立川事件のこと言ってるのか?わかってるじゃないですか。
じゃあ結構。
あっこれ以上俺にはもう関わらないほうがいい。
じゃ帰らせてもらおうかな。
フフ…ハハハ!このまま帰れると思ってるのか?仮に立川事件が冤罪だったとしてもちろんそれは大問題だ。
無実の人間が亡くなってるわけだからな。
だがお前も椎名と早川さんを殺したのは間違いないんだよ。
お前を野に放つということは新たな冤罪を生み出すってことだ。
やっぱわかってねえな。
何だと?釣り合わないんだよ。
そんなんじゃ全然釣り合わないんだよ!アンタはあれを単なる人為的なミスだと思ってるようだがな違う違う全然違う。
そもそも俺を送検できると思ってるのか?テメエ何様のつもりだ。
えっ?佐田!できるわけがない。
俺は警察に守られてるハハハ!守られてるだ?
(今井)班長これ以上は!守ってやるよ手厚くな。
留置場へ連れていけ。
はい。
いいんですか?知りませんよ。
早く来い!俺は運がいい。
20年前の立川事件これがすべての始まりだ。
真犯人は小清水さんではなく佐田与志之だった。
そう考えれば事件の全容が見えてくる。
冤罪ということですか。
小清水さんに死刑が執行されたことで佐田は気づいたんだろう。
自分の存在そのものが警察にとっての汚点であることを。
そしてあの情報屋椎名凌殺害事件が起きた。
ガセネタをつかまされた腹いせによる佐田の犯行。
実にくだらない単純な事件のはずだった。
椎名の爪には犯人の皮膚片。
佐田の手の甲にはひっかき傷。
状況的には明らかに佐田はクロだ。
ところがDNA型鑑定がそれを阻んだ。
これらがどうして一致しなかったのか。
そのカギは若槻が握ってる。
(今井)そうか!若槻警視は立川事件での鑑定ミスをネタに佐田から脅されたんですね!
(野々村)確かに彼は立川事件当時鑑識の主任だった。
そこで若槻君はDNA型鑑定に何らかの手を加えたんだな。
間違いないでしょう。
結果佐田は自由の身となった。
これで味をしめたわけか。
警察は脅しに屈したんだと。
そうだ。
ヤツが傍若無人に振る舞えるのはそのためだ。
警察には手出しができないとたかをくくってるんだろう。
なにしろ俺の目の前で早川さんを殺したくらいだからな。
やめろ!
(那須)どうするんだ広瀬。
若槻君が認めないかぎり動くわけにはいかないぞ。
俺がこれから直接会ってきます。
アイツの性格上今さら逃げも隠れもしないでしょうから。
早川:小清水さんが死んだ。
私はずっと彼が冤罪だと信じ調べてきた。
だが遅かった。
捜査は適正に行われた。
あなたがどう思おうが勝手だが言いがかりはよしてもらいたい。
当時あなたは鑑識の主任だった。
現場でDNAを採取したのもあなただ。
その鑑定の結果が100%正しいと自信を持って言えるのか?もう終わったことだ彼は死んだ。
死んだんじゃない!警察が殺したようなものだ。
そうだろう!私は断固追及するぞ若槻。
お前の背負ってるものがやっとわかったよ。
話をしよう。
少しは気が楽になるはずだ。
何がわかったんだ?20年前の立川事件。
お前は今でも小清水さんが犯人だと思うのか?確信はなかったんだな?お前はいつもそうなのか?自分の捜査が絶対正しいと言えるのか?科学捜査とはいっても人間のやることだ。
間違うことだってある。
犯人がおとなしく自供して初めて俺は安心できた。
ずっとそうだった。
罪を犯しそれを暴かれたら認める。
かろうじて残された警察と犯人との約束のようなものだよ。
ずっと否認なんてされ続けたらたまったもんじゃない。
そうじゃないか?立川事件の当時の参考人に佐田与志之の名前があった。
そして先日の椎名という情報屋殺しの件。
お前はすでに佐田の関与を知っていた。
何かあったんじゃないか?俺がヤツを引っ張る前に。
佐田が接触してきた。
やはりそうか。
ヤツは悪夢のようなことを口にした。
死んじゃいましたね立川事件の小清水さん。
まぁ死刑囚だから当然といえば当然なんですが。
なんだキミは?佐田と申します。
あれ私がやったんですよ。
(雷鳴)あなたは当時の鑑識の主任だったそうですね。
小清水死刑囚が死んだ今あのことが公になればあなたの立場はおしまいだ。
何が言いたいんだ?少し困ったことになってましてね手助けしてもらえればと。
手助けだと?あなたにしか頼めないんですよ。
大丈夫絶対にバレませんから。
2人だけの秘密にしましょう佐田が逮捕されては困る。
裁判で何をしゃべり出すかわかったもんじゃない。
だがいずれ椎名殺しの件で科捜研に鑑定の依頼がくる。
それまでに何とかしなければいけないと思った。
お前いったい何をしたんだ?あの科捜研の職員たちに気づかれずどうやってDNA型鑑定に手を加えた?佐田は10年前微罪処分をくらってるだろう。
その際DNAを採取されている。
まさかそれがヤツ自身を救うことになるとは。
本当に悪運の強いヤツだ。
お前まさか…。
他に方法がなかったんだ!
(元村)那須管理官。
戸上とは戦友だったそうだな。
彼からすべてを聞いた。
とんだ置き土産だよ。
(那須)立川事件のことですか。
彼は当時科捜研の所長だったからな。
相当責任を感じていた。
「自分が殺したようなものだ」。
そうつぶやいて帰っていったよ。
那須今お前の部下がいろいろ嗅ぎ回ってるらしいが目障りだ…潰せ。
すべての責任は若槻君が一人で背負うと言ってくれてる。
それで警察の傷も最小限で済むんだ。
それはどういう意味でしょうか?お前どうするつもりだ?責任は俺がとる。
これから上に行ってくる。
待て!お前一人が背負う必要はない。
言うなればこれは警察全体の失態だ。
隠そうとしたのは俺のエゴだ。
違う…エゴなんかじゃない。
お前は俺のことをサラブレッドだと言ったな。
確かに祖父から三代続く警察の家系だ。
生まれたときから警察官になるのが宿命だった。
それが当たり前だった。
俺にとっては警察組織がすべてなんだ。
俺は外の世界を知らない。
だから俺なりに始末をつける。
どうだ?結果は出たか。
ええもうすぐです。
出ました両者のDNA型は一致しました。
やはりな。
これはいったい?
(渡辺)これは佐田与志之の部屋から我々が採取した毛髪です。
そしてこっちが殺された椎名凌の爪の中に残っていた犯人の皮膚片。
つまり当初の見立てどおり椎名殺しの犯人はやはり佐田だったということだ。
じゃあどうして一度目の鑑定は不一致だったんですか?私まったく同じやり方でやりましたけど。
これだよこの佐田のDNAサンプルが違ってたんだ。
前回照合に使ったのはデータベースだっただろう。
まさか…。
ああそのデータベースそのものが改ざんされていたんだ。
一致するはずがない。
でもどうやってそんなこと…。
管理者ならいくらでもやりようがあるはずだ。
例えば他人の標本とIDをすりかえる。
あるいはデータの一部を書きかえる。
管理者ってもしかして…。
ああ実行したのは若槻だ。
所長が!?あの人がそんなことするはずありません。
あら?どうした?データがありません。
なに?改ざんされたっていう佐田与志之のデータそのものが削除されてるんです。
若槻の仕業だ。
何のために?彼一人で責任をとるつもりなんですかね。
これだと隠蔽じゃないですか。
念のため立川事件のほうもウラを取っておこう。
佐野鑑識に行って立川事件のDNA資料を持ってきてくれ。
わかりました。
その資料とこの佐田の毛髪のDNA型を照合するんだ。
出ました両者のDNA型は一致しました。
ということは…。
やっぱり立川事件の真犯人は佐田だったということになりますね。
待てよ。
おかしくないか?いいか。
Aは立川事件で採取した唾液のDNA。
そしてBは佐田のDNAとする。
Cは小清水さんのDNAだ。
このAは小清水さんのDNA型とも一致したんだろう?
(佐野)あれ?じゃあBとCも一致することに。
どういうことだ?別人同士のDNA型を同一人物と判定するなんてありえないんじゃなかったのか?まさか鑑定精度の低さが原因?これらの装置を一新したのはいつだ?4年前だったと思います立川事件の頃と今では精度がかなり違うんじゃないのか?確かにそのとおりです。
立川事件の頃は170万人に1人の精度でした。
170万人に1人というとかなり高い数値に見えますが1,300万人の東京都民の中で同じDNA型と判定される人が7人はいる計算になるわけで。
4兆人と比べると確かに信頼性は低いな。
それでも当時としては立派な判断材料だったんだよ。
それが決め手となって解決した事件はいくらでもあるよ。
いや。
責任は俺がとる。
釣り合わねえんだよ。
そんなんじゃ全然釣り合わねえんだよ。
アンタあれを単なる人為的なミスだと思い込んでるようだが違う違う全然違う!俺にとっては警察組織がすべてなんだ若槻が責任をとろうとしてるのは立川事件のことだけなのか?
(佐野)えっ?いや違う。
アイツは保身のために改ざんしたんじゃない。
守ろうとしてるんだ。
警察組織そのものを。
出ろ取り調べだ。
〜待ってましたよ若槻さん。
おとなしく来てもらおうか。
班長大変です!どうした?佐田が留置場から消えました。
消えた?どういうことだ?看守によれば取り調べだと言って若槻所長が連れていったそうです。
なんだと!?ぼんくら看守め!科捜研が取り調べなんてするはずないだろ!とにかく捜すんだ事態は一刻を争う。
緊急配備を要請します。
頼む。
車で連れ去られたらかなり厄介ですよ。
元鑑識の主任ならNシステムのないルートくらい熟知しているはずですし。
いや外に出れば人目につく。
佐田を始末するのが目的ならもっと違う方法があるはずだ。
(那須)広瀬かどうした?なに!?うん。
いいか絶対に救い出せ。
こちらのことは私に任せろ。
結局実力行使というわけですか。
警察のやりそうなことだ。
黙れ。
若槻!どこだ?刑事局長先ほどのあなたの言葉はすべての責任を若槻君だけに背負わせる。
このほうが正しいのでは?問題は立川事件だけにとどまらない。
そうですよね?アンタに人が殺せるんですか?やれるもんならどうぞ。
お前の悪運もここまでだ。
若槻やめろ!邪魔をするんじゃない広瀬。
コイツはな科学捜査の進化の過程で生まれたバグのようなもんだ。
バグ?当時上層部はDNA型鑑定を捜査に導入するべく躍起になってた。
立川事件でもそうだ。
だがDNA型鑑定だけで小清水さんを逮捕するのは性急すぎるというのが現場の空気だった。
ああしかし事件の早期解決を望む上層部はそれで手を打った。
そうだ。
実績欲しさにな。
結果コイツのようなヤツを野に放つことになってしまった。
そう俺が生きてるかぎり警察はおびえ続けなければならない。
俺こそが絞首台に上がるべき人間。
亡霊のようなもんだからな。
やはりお前は生かしてはおけない。
警察組織のためにも。
若槻!87年の桂山事件92年のひたち野事件。
そして立川事件。
いずれもDNA型鑑定が決め手となって解決に結びついた事件だ。
いずれも犯人は無実を主張しています。
うち2件はすでに死刑が執行されている。
考えてもみたまえ。
それらが科学捜査の不備が原因による冤罪だったとしたら?こんなこと口が裂けても言えるわけがない。
だから若槻君に背負わせようと?ああすべてを墓場まで持っていく覚悟で組織を去ってもらう。
彼の罪悪感につけ込みすべてを押しつける気ですか?戸上はその重荷にたえ切れずに死んだ。
このうえ若槻君まで犠牲になど絶対にさせない。
あれから夜も眠れないんだ。
小清水さんがどんな気持で死んでいったのか。
俺はやってないんだよ!よせよせよせよせ!よせよすんだ!よせ!俺たち警察が殺したんだぞ。
想像したことがあるか?科学捜査が万能でなかったことが明らかにされてしまう瞬間を。
警察が警察たりえるのは間違いを犯さないからだ。
少なくともそう思われているからだ。
その信頼性が根底から覆されたらもう…。
科捜研どころか警察はおしまいだ!それは違う。
人間がやることだ間違いはある。
お前がそう言ったんじゃないか。
警察は間違いを犯しちゃいけないんだ!そんなことはない!何をする気だ?確かにやってしまったことはもう戻せない。
だが二度と同じことが起きないよう努力することはできる。
真実を隠してしまってはそれすらもできないだろう。
俺をかばうつもりですか?こんなクズでも殺してはいけない。
裁くのは法であって俺たちじゃない。
どけ!俺の覚悟がまだわからんのか!やれるもんならやってみろ。
どういうつもりだ?見てのとおりだ。
ソイツさえいなくなれば組織はまだ立て直せるんだ。
そして俺は消える。
墓場まで秘密を持っていく。
無駄だ!俺はお前の墓さえも暴き出し真実を白日のもとにさらす。
お前は死に損だ!そんなことをしたら警察はどうなる?信用は権威は?失墜だ。
どう始末つけるつもりなんだ?お前を人殺しにしたくないんだ。
頼む。
もう遅い!俺の手は血にまみれている。
(野々村)班長!安全なところまで連れていけ。
(一同)はい!
(若槻)広瀬!どこまでも邪魔をする気か。
もうわかったよ。
若槻…。
若槻!離せこら!離せって!死なせろ!離せ!死なせてくれ!死なせてくれ!離せ!死なせてくれよ!何だこれ?お前を逮捕する。
椎名凌および早川憲太郎殺害容疑更に…。
立川事件についてもきっちり追及するからな。
立川事件?ハハハッ!警察が俺を追及できると思ってんのか?お前ら勘違いで人を殺してるんだろ。
俺と同じじゃないか人殺しが!騒いでも無駄だ。
こっちもそれなりの覚悟はできてるんだ。
警察をなめんじゃねえぞ坊や。
連れていけ。
(野々村/佐野)はい。
来い!〜アイツはこれからどうなるんでしょうね。
上層部次第だ。
科学捜査の不備など上は決して認めない。
問題を立川事件だけに集約しあくまで彼の人為的ミスとして片づける可能性が高い。
そんなんでいいんですか?それじゃ結局アイツの望みどおりじゃないですか。
彼は組織に片思いしているか…。
え?本当に今回の件では何と言ったらいいのか…。
早川さんのことは本当に残念です。
でもこれで少しは報われるかもしれませんね。
そう願ってます。
世間の警察バッシングしばらくおさまりそうにないですね。
当然だろう大問題だ。
でもおかげで警察の自浄作用は機能し始めたんじゃないですか。
科捜研でもあれから過去の事件を洗い直しているようですし。
そうかせめてもの救いだな。
那須さんあなたが仕掛けたんじゃないですか?どうだかな。
ハハッ。
まぁいいですか。
死ぬことが償いだなんて私は絶対に認めたくない。
我々警察が何をし何をしなかったのかを明らかにすることこそが生きている我々の責任だ。
えぇ。
しかし今回つくづく思い知らされましたよ。
俺たち警察は人の人生をいとも簡単に破壊してしまう可能性があるんだってことを。
そうだな。
自分たちの力を自覚すること。
それを忘れちゃダメだ。
警察は市民よりも偉いわけでも何でもない。
ただ捜査の権限を与えてもらっているだけだ。
そのことをしっかりと肝に銘じておかないとね。
さてと…。
もう行くのか?えぇ。
久々に部下を連れて飲みにでも行こうかと思いましてね。
うんそれはいい。
お前もいっぱしの立場なんだ。
あんまり部下に片思いさせてちゃいかん。
わかってますよ。
那須さんもどうです?一緒に。
それほど野暮じゃないよ私は。
野暮?そうきましたか。
それじゃ。
2014/10/22(水) 21:00〜22:48
テレビ大阪1
水曜ミステリー9「森村誠一サスペンス 刑事の証明8」[字][デ][解]

ある情報屋が殺され、捜査一課の広瀬(村上弘明)は顧客の佐田(加藤虎ノ介)を疑うが、犯人のDNAとは一致しなかった。しかし広瀬は直感を信じ、単独で佐田を追い始める…!

詳細情報
番組内容
情報屋・椎名凌の刺殺体が発見され、捜査一課三係の広瀬和宏(村上弘明)は椎名の顧客・佐田与志之(加藤虎ノ介)を任意で取り調べる。十分な動機もありこれで事件解決かと思われたが犯人と佐田のDNAは一致しなかった。納得できない広瀬は科捜研に向かうが、若槻所長(小木茂光)から怒鳴り込むのはルール違反だと一蹴されてしまう。それでも佐田が犯人だと信じる広瀬は単独で佐田を追うが、やがて若槻と佐田の意外な接点に気づく。
出演者
 広瀬和宏…村上弘明
 那須恵一…加藤剛
 若槻衛…小木茂光
 佐田与志之…加藤虎ノ介
 戸上典保…中野誠也
 渡辺勉…前田吟
 河本美奈代…筒井真理子
 大倉敏郎…小沢和義
 元村忠勝…中丸新将
 東海林幹生…中村靖日
出演者つづき
 早川憲太郎…信太昌之
 逢沢志織…佐藤みゆき
 諌山亮平…浜田晃
 野々村肇…島英臣
 佐野雄二…加藤頼
放送形態
※解説放送あり
原作脚本
【原作】森村誠一「人間の天敵」
【脚本】入江信吾

監督・演出
【監督】伊藤寿浩
音楽
【エンディング曲】
「FLY」
歌・作詞・作曲:BoA
編曲:Jeff Miyahara & Takashi Fukuda
(avex trax)
データ放送
データ放送では、作品の見どころやキャスト・スタッフ情報、次回予告などをご覧いただけるほか、前半までのあらすじもご確認いただけます。ぜひリモコンの<d>ボタンを押してチェックしてください!
ホームページ

http://www.tv-tokyo.co.jp/mystery9/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
音声ガイドあり
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:28775(0x7067)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: