午後のサスペンス「警視庁黒豆コンビ2 蒼い霧」 2014.10.22

(作業員)1m4で53。
(作業員)はい。
(浅川)植田君。
(植田)はい。
(浅川)例の件だがね…誰かに話したかね?
(植田)いえ。
(浅川)それでいい。
あの件は忘れてくれ。
(史子)教授!おお。
(史子)今夜は雨になりそうなんです。
ちょっと早めにトレンチの保護をします。
(浅川)ああよろしく頼む。
(片岡)すみませ〜ん!今夜雨になりますから作業が終わったところから順番にシートをお願いします!
(植田)結論は出たんでしょうか?つまりその…。
植田君。
さっき私は忘れろと言ったはずだ聞こえなかったのかね?一度大学に戻る。
(片岡)教授お帰りですか?
(浅川)ああよろしく頼むよ。
(片岡)お疲れさまでした!
(浅川)はい…はいお疲れさま。
お疲れさまでした。

(雨音)〜
(黒田)じゃなにか?早い話俺は人生の負け組でお前は勝ち組だとそう言いたいわけ?
(豆田)まぁある意味そうですかねぇ。
なんだと?いやですからね人間にとって何がいちばん幸せかって話ですよ。
それはやっぱり温かい家庭であって…。
温かいよね君の家庭は。
生まれたばっかりの赤ん坊だけならまだしもさ女房からなにこれ!?犬っころのケツからオチンチンとかバシャバシャバシャバシャ撮りまくりやがって!まあ大げさに!ちょっと…!いけませんか!?あのな。
君の顔にそっくりな赤ん坊をさあくまでも白雪姫だと言い張る親馬鹿ぶりは許してやってもいいよ。
初めて親になった喜びに満ち溢れているんだろうからさ。
けどな娘自慢が女房自慢になってだよあげくに自分の幸せ自慢までされて俺がおもしろいと思うか?え!?マメちゃん。
こっちは今にも女房から離縁されそうで娘とも会わせてもらえない寂し〜い身の上なんだよ。
な?あれ?それは妬みですか?なに!?あぁ…。
そんな狭〜い了見の持ち主ですか黒さんは。
どうせなお前だって見捨てられるのは時間の問題なんだよ。
ご心配なく。
僕は黒さんとは人格が違いますから。
大体ね自分のだらしなさが災いして家庭崩壊につながってるわけでしょ!まったく…言ってみれば身から出た錆ですよ!それを棚に上げて人の幸せを妬むなんて。
あ〜!うるさい!お前なんかにな俺の気持がわかってたまるか!男のくせに針と糸まで持ち歩いてるような軟弱者に!わかりませんね!ズボンの裾のほつれもホチキスでとめてるようなくそだらしない男の気持なんて!ホチキスで悪かったな!ホチキスで!お前みたいにな針こうやって指3本立ててこんなことやって…こんな女みたいなことができるか!あぁ気持悪い!気持悪いのはそっちでしょう!ありえないホチキスでとめるって!ちょっと黒さん…!いいよこんなもんしまっとけ後ろへ。
・ああ!邪魔だよこんなもん全部。
・は〜い。

(村橋)お黒さんか。
・今どこいる?マメの車のなか。
・マメちゃんの車は今どこだ。
車道!・だからどこの車道だって聞いてんだろう!・からかってんのか!?
(村橋)そんなに暇なら西八王子行ってくれ。
今朝方連絡が入った発掘現場の事故なあれどうも他殺の疑いがあるらしいんだ。
こっちもあとで行くから先行ってくれ。

(村橋)いいな!上着脱いでくださいボタンとれかかって…。
うわ〜!早く脱いでくださいよ。
気持悪いって言ったろう!早くしまえ!そんなものは!係長なんですって?西八王子までなお前とドライブしろだって。
あ!その汚いホチキスの足乗っけないでくださいよ!俺の足どうしようと俺の勝手だろ!僕の車ですから。
やかましか!いたたた!なんてことすんだお前は!〜〜
(斉藤)昨日は夜になってかなりの雨が降りましたからね。
それで地盤が緩んだんだろうって作業員たちは言うんですよ。
作業員っていうのはあちらの方ですか?
(斉藤)そうなんですよ。
こういうところの発掘作業員っていうのはほとんどが近所の主婦とか定年退職者らしいですね。
あの作業員の言うにはですね決してありえないことじゃないそうです。
トレンチ内の事故も。
トレンチ?試掘溝のことです。
こっちです。

(斉藤)ここに死体が埋まってました。
被害者はたしか考古学の先生でしたね?
(斉藤)浅川亮介62歳。
東京文化大学国史学科の教授でここの発掘事業の総責任者だそうです。
(斉藤)死因は窒息死。
これは崩落した土砂の生き埋めになったせいですね。
口中や鼻腔に泥が詰まっていたそうですから。
窒息ですか…。
まあ死因から見るといかにも事故死って感じなんですがいろいろ調べてみるとどうも腑に落ちない点が…。
まず死亡推定時刻ですがゆうべの22時から0時の間。
つまりは夜中です。
そんな時刻しかも雨の中一体なんのために教授が1人でトレンチに入ったのか?そもそも昨日は大雨がくるというんでわざわざトレンチにシートをかぶせて夕方には全員ここを引き揚げてるんですからね。
外傷は?
(斉藤)後頭部に鈍器で殴られたような痕がありました。
土砂崩れの際の衝撃じゃないんですか?まぁその可能性も否定はできないんですが。
浅川のゆうべの足取りは?
(斉藤)夕方4時にはここを出ていったん大学の研究室に戻ってます。
そのとき部屋に残っていた研究員の話だと浅川はその夜西八王子に戻る様子はなかったというんです。
実際その夜「今晩はまっすぐ自宅に帰る」と言って6時半には研究室を出てます。
それから10分もたたないうちに浅川は自宅の奥さんに電話をかけてるんです。
「今夜は仕事で遅くなるから先に休むように」と。
つまり…大学の研究員には「自宅へ帰る」と言い奥さんには「仕事で遅くなる」と嘘を言ったわけか…。
(斉藤)そういうことです。
そりゃたしかに妙だな。
う…!あれは?
(斉藤)ああ…亡くなった浅川教授のご遺族で奥さんと娘さん。
(斉藤)それと娘さんのご亭主の今村助教授です。
助教授ってことは浅川教授と同じ文化大ですか?考古学者です。
(今村)すみませんお願いします。
どうも。
捜査一課の黒田といいます。
同じく豆田です。
(今村)捜査一課?刑事さんたちが来るっていうことは殺人の疑いがあるってことですか?所轄のほうでもいろいろお尋ねしたと思うんですがこちらからも2〜3確認したいことがありますんで少しお時間もらえますか?もちろんです。
ただ僕これから大学に戻らなきゃいけないんで。
やること山積みなんですよ。
でしたら我々と一緒にいかがですか?ちょうどこれから大学へ伺うとこだったんですよ。
お車ですか?いえタクシーを呼ぼうと…。
じゃああの車でどうぞ。
ポンコツですけど。
ちょっと待ってください散らかってますんで。
あ…ちょっと!どうぞ狭いけど。
すみません失礼します。
どうぞ…ポンコツですけど。
しかし驚かれたでしょうねえ今度のことでは。
はい…まさに青天の霹靂ってやつです。
そうでしょう…。
昨日私が水戸にたつ前は教授に変わったとこはなかったんですけどね。
水戸?はい。
茨城県の?ええ。
向こうで学会があったもので。
あそうですか…。
終わったのは何時くらいですか?6時頃です。
そのあとパーティーが8時頃まであったんでゆうべはそのまま水戸のホテルに。
じゃあ今朝水戸から直接こちらへ?いいえ。
朝7時頃ホテルの私の部屋に妻から電話があって教授が行方不明なことを知らされました。
奥様が教授の異変に気づいて妻に連絡させたみたいです。
(今村)それで急遽東京に戻ったんですがちょうど教授のご自宅に着く直前に西八王子署のほうから事件の一報が入ったみたいで。
それからこっちへ。
まぁこれは仮の話ですがもし今度のことが他殺とした場合何か思い当たることはありませんか?例えば浅川教授は誰かに恨まれていたとか…。
義理の息子だから言うわけじゃありませんけど教授は人に尊敬されることはあっても恨まれるようなことはない方です。
そうですか…。

(植田)あの…警察は遺体を司法解剖するらしいです。
(割れる音)
(榎本)ああ…何やってんだ君は!
(史子)すみませんついうっかり。
(榎本)冗談じゃないようっかりじゃ済まんだろ!どうした?
(菜穂)秦野さんがちょっとミスっちゃって。
(榎本)昨日や今日仕事についた素人じゃあるまいし。
この土器の修復に何日かかってると思ってるんだ!すみません…。
(榎本)はぁ…台なしだよ!私の努力も水の泡だ。
先生…許してあげてくださいよ。
彼女ふだんこんなミスするような娘じゃないじゃないですか。
(植田)浅川教授のことで動揺してたんです。
(今村)あの…紹介します。
こちら警視庁の黒田さん。
それと…えっと…。
豆田です。
こちらの刑事さんたちが皆さん1人ひとりに話を聞きたいとおっしゃってます。
まぁ教授のためでもありますからご協力お願いします。
お忙しいとこ恐縮ですがご協力よろしくお願いします。
はい…はい。
…じゃ。
〜おう黒さんか!今度のこのヤマ殺しに間違いないぞ。
なんか出たのか?・
(村橋)泥だよ泥!泥!?
(村橋)浅川の鼻腔から検出された泥だ。
科捜研が調べたらな西八王子の現場の土とは違う分析結果が出た。

(村橋)どこという特定は難しいらしいんだが西八王子でないことだけは確かだとさ。
じゃあ浅川はどっか別の場所で殺されて西八王子に運ばれたってことか?明日の朝8時に西八王子署に捜査本部を置く。
指揮官は…新任の山城課長だ。

(村橋)黒さんくれぐれも粗相のないようにお願いしますよ。
浅川の足取りを洗うんだ。
(足音)〜
(山城)君たちだな黒豆コンビというのは。
前任者から噂は聞いている。
かなり勝手な行動をするらしいが私の指揮下ではそれは許さん。
取れてるよ。
課長こちらです。
〜つけてよ。
ホチキスでつければいいでしょ!〜
(山城)このヤマには考古学界の隠されたスキャンダルが絡んでいる可能性も否定できない。
過去には出土品の捏造という事件もありそういったことが浅川の身辺でなかったか…。
(沢居)今度の課長ノンキャリらしいですよ。
あそう…。
いつか僕もああなりたいんですよ。
やめとけ。
人に嫌われるぞ。
(山城)容疑者は少なくとも…発掘作業に精通してる者であるのは間違いない。
トレンチの事故を装うなど素人には考えられんことだ。
そういう意味では捜査範囲はある程度絞られておる。
しかしそれに甘んじることなく各自1日も早い解決を願って頑張ってくれ。
(山城)以上だ。
(一同)はい。
なんで俺が泥集めなんだよ。
しょうがないでしょ?新任の山城課長の命令ですから。
それに殺害現場を突き止めるためには浅川の遺体から検出された泥がどこのものか特定されなきゃいけませんし…。
と言ったってな手がかりが泥に含まれてたわずかなプランクトンだけじゃねえか!そんなことありませんよ。
関東圏内の水辺に近い場所ってわかってるんですから…。
その関東圏内にいったいどれだけの水辺があると思ってんだよ!いったい何が不満なんですか?こんなのはな脇の脇の…またず〜っと脇の捜査だって言ってんだよ!はいはい。
だったらそこで1人でぼやいててください。
僕はこれを科捜研へ届けますから!〜あっ…!〜うわっ!〜よっよいしょ…。
(黒田のいびき)〜あぁっ…。
ちょっと…1回停まってな。
ん?こっちじゃないな。
やっぱあっちだな。
あっち…はい。
ちょっと浅すぎる。
あ…あっち…あっち?うんうん。
ちょっとねぇ…。
あぁ〜!!
(車の擦れる音)擦ったかな今…。
うっ…うっ…!あ〜やった!!いいかげんにしてください!
(菜穂)あっあたしこれ読みました。
(菜穂)教授が殺されたのは西八王子じゃないみたいですね。
(植田)あぁそうみたいね。
なんかすっごく嫌な空気になってるんですよマスコミの扱い方。
関係者の中に犯人がいるみたいに書いてるんです。
(片岡)警察がそういう見方してんじゃないの?俺のアリバイまで調べられた。
私もです。
西八王子の四号トレンチ。
これで終了しました。
あっご苦労さん。
今村助教授はいつから復帰されるんだ?明日からだと思います。
今日が初七日ですから…。
ああ。
(菜穂)あら植田先生。
もうお帰りですか?ええちょっと用事がありますんでね。
(菜穂)珍しいですね。
デートですか?
(片岡)デートですか?何言ってるんですか。
じゃあ失礼します。
(榎本)お疲れさん。
お疲れでした。
お疲れさまでした。
植田先生ってずっと独身なんですよねぇ。
うん…。
浮いた噂ひとつ聞かんなぁ。
女嫌いですか?女に不器用なだけだろ。
極め付きの堅物だからね彼は。
そういえばご存じですか?ん?浅川教授の後釜についての学内の噂。
最有力候補者は…植田先生だそうですよ。
はぁ〜…。
私は今村助教授でいいと思うがね。
歳は若いがなかなか誠実な男だよ。
でももともと浅川教授の後継者は植田先生だと僕らは思ってましたよ。
ところがどっこい…今村先生が教授の娘さんと結婚しちゃったもんだから順番が…。
(菜穂/片岡)ねっ!狂っちゃって…。
まっどっちがなっても遜色はないんじゃないの?
(片岡)そうなんです。
(片岡)仕事仕事!菜穂ちゃん。
そんなワイドショーみたいなこと…。
(雨音)植田さん!まっすぐ帰られるんですか?
(植田)ええ。
あの…あたしこの間のことで…。
〜誰にも言ってませんから。
教授以外…誰も知りません。

(車のエンジン音)
(車が走り出す音)はぁ…なんかだんだん虚しくなってきましたねぇ。
こう毎日泥の採取じゃまともな捜査やってる実感持てませんよ。
だから俺ハナからそう言ってんじゃないか。
こっちは脇の捜査だって。
大体な泥から殺害現場を特定して捜査するより浅川の足取りを洗ったほうが早いんだよ!ん?僕も思うんですけど浅川は事件の夜女のところへでも行ったんじゃないでしょうかね。
奥さんや研究員にも嘘ついて出かけたわけですから。
けど今のところそれらしい女の影は出てないって話だ。
もう一回大学の研究員に当たってみるか。
やっぱり教授のことにいちばん詳しいのはあの連中だろ?もう8時ですよ。
誰もいませんよ。
植田っていう講師の自宅がこの近くだ。
植田ですか…。
いやでも勝手な行動するとあの課長うるさいですよ。
知るかよ…。
子供ができてから最近ムラさんみたいになってきたんじゃないの?え?気をつけなきゃ!あっ…。
ああなったらおしまいだよ。
行こう!あれ?また俺立て替えで…?
(チャイム)アハッ…どうも。
夜分急にすみませんねぇ。
ええ。
ちょっとよろしいですか?あぁどうぞ。
おじゃまします。
あれ?ひょっとしてお出かけのところでしたか?あったった今車で戻ってきたんです。
あぁそうですか…。
私に…何か?いや…教授のことで2〜3確認しておきたいことがあったもんですからね。
あのお立場上たいへん答えにくいことだとは思うんですが教授にはですね奥様以外に特別なお相手がいたということはなかったかと思いまして…。
僕の知るかぎり浅川教授の身辺はきれいなもんでした。
刑事さんが想像するようなことはありませんから…。
そうですか…。
どうもお疲れのとこすみませんでした。
(植田)いえ。
なぁどうしたんだ?植田は我々に嘘をつきましたよ。
え?植田はたった今戻ったところだと言いましたがエンジン…冷えきってたんです。
僕ちょっと触ってみたんですボンネットを…。
おそらく植田はこれからどこかへ行くつもりです。
我々に嘘をついて出かけなければならない場所とはどこか?黒さん興味ありません?うん。
やっぱり来ました!〜いったいどこ行くんだろうな。
どんどん都心から離れていきますよ。

(車の振動音)なんだよ?いやちょ…。
え?いやあの…。
どうした?チキショー。
え!?
(車が停まる音)な…なに!?あぁ〜っ…!!パンクです!あ!?残念です…。
残念じゃねえだろうよ!追うんだよ!!は!?車!早く車つかまえろ!!〜すみません!お願い…。
(クラクション)ちょ…すみません。
お願いします!!ちょ…警察警察!こら〜!!停まらんか!こら。
おい!
(クラクション)スト〜〜ップ!!
(クラクション)
(運転手)馬鹿野郎!!死にてえのか〜!いやちょ…ちょっと…!!警察…警察なのに…。
停まれ!この馬鹿たれ!!〜どうすんだよ!え?植田の追跡どころか俺たちの足もねえじゃねえかよ!!大体なんでこんなときにパンクなんだよ!!パンクは予定外なんだからしょうがないでしょ!女房とか子供のこと人に自慢する暇あったらな常に新しいタイヤくらい交換しとけ!あぁもう!それとこれとは話が別でしょ。
よしてくださいよこんなときに八つ当たりなんて!八つ当たりじゃないよ!!あっタクシー!タクシー!
(車のブレーキ音)馬鹿もん!!私が何に腹を立てているかわかるか?君らが自分の役割を無視し勝手な行動に出たおかげで植田はゆうべを境に姿を消したんだ。
今朝方母親から…近所の交番に息子が戻らないと連絡が入った。
どこかで事故にでも遭ってるんじゃないかとね…。
(山城)いいか?植田はな君らの追跡のせいで逃亡という手段に出たんだ。
逃亡…?村橋君説明してやってくれよ。
(村橋)はっ!実はな黒さん…。
浅川と植田の関係についてなんだけどね。
25年前に亡くなった植田の父親と大学時代同期だった今は城東国際大学で考古学を研究してる村上教授という人物からさちょっと気になる話が出たんだよ。
(村橋)殺された浅川はあれでなかなか政治力に長けた男だったらしい。
(村橋)結婚も出世の道具とみていた節があって今の奥さんも浅川の前の代の教授の娘だ。
(村橋)そういう意味では娘婿の今村も浅川と似たようなもんかもしれんが浅川の出世欲はもっと自覚的だったようでね義父の死後はかなりあくどい手を使って教授のイスを手に入れたという噂だ。
しかしその陰でさ実力も人望も浅川よりもはるかに上回ってた考古学者の失脚があったらしいんだ。
その失脚した学者というのが姿を消した植田の父親だよ。
(村橋)しかもこの話はそれだけにとどまらず今の植田自身にもつながってくるんだ。
植田の父親を蹴落とした浅川はその息子の植田が国史学科に入ったと知ってわざわざ助手に選んでるんだ。
まぁ多少の後ろめたさがあったんだろうな。
(沢居)その頃すでに父親は病死していたから植田は素直に応じてやがてその片腕と称されるほど浅川に尽くしたそうです。
(沢居)おそらく植田は浅川がいずれ自分を助教授に推薦してくれるものと思っていたんじゃないでしょうか。
(村橋)ところが浅川はだ…自分の娘婿の今村を助教授に据えてしまった。
植田としてはさぞ悔しかったと思うよ。
親子二代にわたって浅川にしてやられたわけだからな。
つまり植田には浅川を殺す動機があったということですか。
ああだからさそろそろ植田を徹底的に洗おうかってそういう相談してた矢先なんだ。
それなのにまったく余計なことをしてくれたよ。
(山城)不用意に容疑者に接触し逃亡を許した。
いったいこの責任をどうとるつもりだ?君たちは。
申し訳ありませんでした。
豆田君…。
はい。
君は捜査で私用車を使う以上常にタイヤの点検くらいするのが警察官としての常識だろう。
それがパンクで追跡断念とはあきれはててものも言えない!マヌケ!お言葉ですけどね…。
豆田が毎日あちこちの悪い道路を走り回って関東一円の水辺の泥集めをまじめにこつこつやってきたんです。
悪い道路を延々走り続けりゃたまにはそりゃパンクだってしますよ。
黒さん…。
それに豆田には初めての生まれたばかりの子供がいます。
俺は本部に泊まり込みだから時間にロスはないけどやつは疲れているときでも産後のカミさん気づかって夜遅く川崎の自宅へ戻り毎朝この西八王子の本部まで通ってきてるんですよ。
やめとけって!少なくとも豆田は手は抜いとらんばい!抜いとらんから植田の嘘も見抜いたんじゃなかですか!そういう人間のどこがマヌケですか!一生懸命やっとるじゃなかですか!
(村橋)黒さん!豆田はなんも悪かことしとらんたい!なのにそういう部下に向かってマヌケとは何ごとですか!そぎゃんやり方じゃやっていけんとですばい!そうじゃなかですか!
(村橋)おいどこへ行くんだ!トイレ!言われたかねえよ。
現場の苦労も知らねえくせに。
〜マメちゃん行こうか。
はい。

(美津子)今朝がた別の刑事さんがいらして息子が事件に関わっているようなことをおっしゃいました。
けれど…そのようなことは決してございません。
学会の序列や肩書きのためにあの子は学問に励んできたわけではありませんから。
大変失礼なことを伺いますが…。
息子さんは浅川教授に少なからぬ遺恨を持っていた…ということはありませんか?聞くところによりますと亡くなったご主人も浅川氏のせいで不遇であったとか…。
息子は夫と浅川教授とのことは何も知りません。
それに夫は死ぬまで自分の仕事に精魂を傾けました。
たとえ富や栄誉には恵まれなくとも好きな道をまっとうし幸せな人生だったと私は思います。
息子も父親によく似ております。
無骨でまっすぐで…。
浅川先生には感謝こそすれ遺恨を持つ謂れはございません。
では夕べ息子さんはどちらにいらしたんでしょう?本当に行き先はおっしゃらなかったんですか?何も言いませんでした。
ただ夕食時に…。
美津子:はい。
(植田)…お母さん。
え?僕ね論文出せるかもしれない。
えぇ?いやまだいつってはっきりしたわけじゃないんだけど…。
そう…。
で…今から出かけるからちょっと遅くなるかもしれない。
お母さん明日仕事だよね?
(美津子)うん。
じゃあ…先に休んでて。
(美津子)はいフフフじゃあ息子さんは論文のことで出かけられたんですか?私はそう思っておりました。
どちらからか出版のお話があったのかと…。
(鳥のさえずり)お勤めはどちらへ?この近くの区民センターの食堂です。
もう長いんですか?夫が亡くなって息子が高校へ上がる直前からですので25年になります。
美津子:はいお待たせしました
(美津子)夫は大学を去った後すぐに病に倒れましたので当時はフルタイムで働いておりました。
じゃあ息子さんを学者にまで育て上げたのはあなたのお力ですか?いいえ父親です。
父親への尊敬があの子を同じ道へと導いたんだと思います。
〜ちょっとお待ちください。

(美津子)これは夫が残した本です。
〜息子はよくそれを眺めてはいつかは自分もと夢を語っておりました…。
そんなあの子が…。
あの子が人様を殺すなんて…。
するはずがありません…!
(美津子のすすり泣き)ちょっと失礼。
はい…。
え?どこで?わかった。
なんですって?植田の車が見つかった。
え?湾岸沿いにある工業地帯の路上に放置してあったらしいよ。
(パトカーのサイレン)
(山城)植田の車から浅川殺しにつながるものは何も出なかった。
これには二つの線が考えられる。
事件に巻き込まれたか逃亡だ。
(山城)いいか…植田と浅川殺しの関係を今すぐ洗い出せ!植田の行方を何がなんでも捜し出すんだ!以上だ!
(一同)はい!〜
(テレビのアナウンサー)行方がわからなくなっていた東京文化大学国史学科講師植田俊孝さん40歳の乗っていた自家用車が工業地帯に放置されているのが発見されました。
警察では今月2日…西八王子の遺跡発掘現場から遺体で見つかりました浅川亮介さんの事件と関係があるとみて植田さんの行方を追っています。
また浅川教授と植田さんの間でトラブルなどがなかったか…。
(玄関のチャイム)
(玄関のチャイム)
(菜穂)秦野さん!家にいらしたんですか?何回も電話したんですよ。
(史子)ごめんねちょっと出かけてたから…。
招集かかってるんですよ今村先生から。
植田先生のことだと思います。
見ました?ニュース。
ええ。
ビックリですよねぇ。
何がどうなってんだか?すぐに支度してくるわ。
はい。

(榎本)いったいどういうことなんだろうね。
こんなことになるなんて。
あのもしかして植田先生が教授を殺したってことなんですかね?まだ警察から正式な話があったわけじゃないからわかりませんが…。
ただマスコミが教授宅にも私の家にも押しかけてきてるんで。
(菜穂)ただいま戻りました。
すみません遅くなりました。
(今村)悪かったね休みのところ。
いえ…。
(片岡)学内にも押しかけてくるんでしょうねマスコミは…。
できれば皆さんはなるべく関わりを持たないでください。
これ以上話を複雑にしたくないんで。
でもなんか聞かれたって私たち別に答えられないですよ。
教授と植田先生に何があったかなんて知らないし。
(今村)だから事件そのものへの言及を控えてほしいんです。
つまりねチャックだよチャック。
(榎本)今村さん。
まさかどこからか横やりが入ってるんじゃないでしょうな。
実は市から事態が沈静化するまで中止してほしいと言ってきたんです。
発掘調査は市との共同事業ですから。
市の担当のほうにまでマスコミが押しかけてるみたいで…。
(榎本)まったくとんだ事態になったな。
(片岡)ホントそうっすね〜。
黒さん…。
これは?ここに挟んでありました。
恐れ入りますがこの女性をご存じですか?いいえ…。
どちらのお嬢様ですか?息子さんと同じ研究室の方です。
きれいな方ですねぇ。
お名前はなんて?秦野史子さんです。
そうですか…。
あの子いくらお見合いを勧めてもその気にならなかったんですけど。
そうですか…。

(土を掘る音)植田さんがこれを?いつ頃のお写真ですか?
(史子)4〜5年くらい前です。
植田さんがフィルムがあまったからとおっしゃって研究室のみんなを一人ひとり撮ってくださったんです。
その時の写真です。
おつきあいはなかったんですか?一度お食事に誘われましたけど都合がつかなくてお断りしました。
それ以後はまったく…。
でも植田さんはどうして私の写真なんか…。
お母さんの話だと…お見合いを断り続けていらしたそうです。
ずっと胸に秘めた人があったんでしょうね。
あの…大変失礼なことを聞きますが…あなたには特別な男性はいらっしゃらないんですか?縁がありませんでしたから…。
それは研究室という狭い世界におられたせいですか?もともと結婚は考えておりませんでしたので。
どうしてですか?この世界では自分の研究に一生を捧げる女性も少なくないんです。
私はそういう生き方に憧れてましたから。
(史子)それに…結婚という形式にこだわらなくても保証や約束のない愛情のほうがずっと純粋なんじゃないかなって。
(史子)ごめんなさい。
(史子)これから西八王子の発掘現場のほうへ参りますので。
すみませんお手間を取らせました。
〜彼女…浅川となんかあったんじゃないですかねぇ。
男女の関係ってことか?ありえないことじゃないですよね。
彼女浅川を尊敬してたわけですから。
ひょっとすると植田は嫉妬心から浅川を殺したのかもしれませんよ。
長い間思い続けていた史子が実は浅川のものだったと知って。
植田はどこへ消えたのかな…。
え?あの夜は誰かに呼び出されたんじゃないのか…?ちょちょっとちょっと待って!あのこの車僕のだけどね捜査で使ってるのねほら僕捜査一課。
(鈴子)あ〜!どうもご苦労様です!じゃこれはそっちへ。
(鈴子)あ駄目です。
駐車違反ですから。
いや…だから僕捜査一課。
(鈴子)でもこれ私用車ですよね。
いやそうだけどね借り上げ車両で許可をもらってるのね。
今日は仕事で文化大へ。
(鈴子)だったら文化大へ止めてください。
いやだって…来客用のスペースが空いてなかったんだもん!その場合は有料駐車場に止めてください。
経費でおちるんですから。
えぇ〜!ちょっと…。
この人子供が産まれたばっかりで今いろいろ大変なんだよだからさ…。
駄目です!駐車違反は社会の悪だと言われてます。
それは相手が誰でも許すべきじゃありません!マメちゃんあきらめろ。
いやだって…!黒さんちょっと。
はい?本部へ戻りますよね?あぁ。
じゃあ先に戻っててください僕こっち片づけますから。
無理だって。
きれいな顔してるけどああいうのにかぎって融通きかないんだから。
じゃあ後で報告しますから。
え?ちょっとすみませんあのホントすみません。
警察官としてあるまじきことをいたしまして…。
ホントです。
ちょちょっといいですか?ちょっとこっち…。
彼女君の先輩?
(朋子)はい。
いつもああなの?正義感の塊なんです。
あっそう…。
大変だね君も。
はい…。
頑張ってね。
ご苦労様でした。
(村橋)うんうん…で?どこの建設会社だ?うんうん。
うん…裏取ったんだろうな?はいはい…はい。
わかったご苦労さん!おぅ黒さんどうだった?植田と秦野史子は特別親しい間柄じゃなさそうだよ。
そうか…。
あれ?マメちゃんは?交通課の婦警と遊んでるよ。
何やっとんのかね彼は。
今の電話は?
(村橋)あぁ事件当夜の浅川の足取りがとれたよ。
え?いやいやあんまり期待するな夜の8時までの足取りだ。
大学を6時半に出た浅川はタクシーを拾って新宿の小料理屋に行ってる。
タクシーを見つけ出したのか。
所轄が頑張ったよ。
小料理屋じゃ浅川のことをよく知ってて当日は夜の8時までいたそうだ。
なんでも建設会社の開発部長と一緒だったらしい。
建設会社…。
(鈴子)私一度こういうのやってみたかったんです。
君ならできますよ頑張って。
はい!正義と法のために頑張ります。
来た…いいですか?絶対に警察だって悟られないでくださいよ?あなたはだ〜れ?交通課の中村鈴子です。
いや違うでしょう!?あ!秦野さんの縁談のことで調査をしている者です。
そうよくできました。
じゃ行って。
(鈴子)すみません!あの…浅川先生の研究室の方ですね?
(菜穂)えぇ…。
私秦野さんの縁談のことでちょっと調べてるんですけど。
あの浅川先生って…。
ねぇなんで私が研究室の人間だってわかったの?え?
(菜穂)あぁ〜!マスコミ!?
(鈴子)いやいや…。
(菜穂)マスコミでしょ!?…ち違います。
(菜穂)じゃあ週刊誌でしょ?違いますよ〜。
(鈴子)やだ〜豆田さ〜ん!
(安藤)警視庁捜査一課の方が私になんの用でしょうか?いやぁちょっと気になることがありましてね。
教授はあの晩ご家族には仕事で遅くなると言い研究室の先生方にはまっすぐ自宅へ帰ると言って大学を出られたんです。
まぁあなたと別れた後のことはともかくとして行きつけの料理屋であなたと食事することをどうして周りに隠す必要があったのかと少々疑問に思いましてねぇ。
教授にはうちの会社の顧問をお願いしてましてね。
顧問?えぇ。
建設会社が考古学者に何か相談することでもあるんですか?ま一般的にはあまり知られていませんが例えばですね郊外の開発地で工事中に遺跡にぶち当たったとします。
そうすると工事は中断場合によっては永久的に土地使用ができなくなるということも考えられます。
特に天皇陵や古墳にぶち当たったときなどは。
その場合は我々の損失は莫大なものになりますしときには会社の死活問題ともなります。
そこでそれを避けるためにあらかじめ専門家に判定をしていただくわけです。
開発予定地は安全かどうかを。
なるほどねぇ。
じゃあ顧問料もかなりのもんでしょう?
(安藤)それなりにね。
しかしそれでも工事中に遺跡にぶち当たったときはどうするんですか?できるだけ早めに発掘作業をしていただいてこちらの工事の再開を待つだけです。
遺跡に目をつぶらせるとういうことはないんですか?発掘事業ってのは何年もの長期に亘ると聞いてますけどもしかしそれを待てない場合は考古学者を黙らせて工事を続行するということは…。
ちょっといいですか?どうぞ。
安藤さん。
やっぱり私には気になりますねぇ。
あの晩浅川教授があなたとお会いになるのを誰にも告げなかったということが。

(村橋)賄賂?案外遠山建設が開発した住宅地のどっかに浅川が金で目をつぶった遺跡が眠ってるのかもしれねえな〜。
他の研究員たちはさぁ浅川のそういうやり方を知っとんのかね。
どうかな〜。
真面目な奴なら黙っちゃいないと思うけど。
ただいま戻りました!あおかえんなさい。
ご苦労さん!よぅどうした?あの交通課の美人は。
へ?うまく丸め込んだか?やだなぁきっちり仕事してきましたよもぅ…。
黒さんちょっと。
秦野史子妊娠してますよ。
え?研究室の若い助手がようやく教えてくれました。
史子は母子手帳を持っていたそうです。
相手は誰だよ?まさか浅川じゃねえだろうな。
最初はそう思ったんですけどね。
ありえないわよ浅川教授が相手だなんて。
え?もし離婚覚悟で産ませるなら別だけど。
でもそれはないんだなぁ。
だって娘にメロメロだったもん教授は。
娘ってあの今村助教授の奥さんってことですか?実家にベッタリの奥さん。
(菜穂)結婚しても親にブランド物のバッグとかねだるタイプ?今村先生こぼしてたもの。
今の収入じゃ満足してくれないってじゃ結局相手は誰だかわかんないのか。
今村って線もあるのかなっと思うんですけどね。
今村かぁ。
ムラさん…。
(村橋)ん?今村の水戸でのアリバイのウラを取ったのは誰が…?あぁそれは川辺君の班だな?
(川辺)はい。
特に問題はありませんね…。
12月1日の夜は8時まで学会のパーティーに出席してその後はホテルの部屋へ戻ってます。
ずっとホテルにいたという証拠は?11時半にルームサービスを頼んでるんですよ。
朝のチェックアウトも済んでるのか?えぇ。
それも確認済みです。
〜浅川の死亡推定時刻は午後の10時から午前0時の間。
実際の殺害現場はわからんが西八王子に死体を遺棄したということになれば水戸に11時半に戻ることは不可能だな…。
それに犯行には車が不可欠。
だが今村は電車で水戸に行ってる。
自分の車は…。
それが車検に出てたっていうんだ。
だがな2週間も早いらしいんだ車検切れまで…。
2週間…?あぁ。
〜黒さん…何か考えてる?いや〜…もし史子の相手が今村だとしたら…それが浅川に知れた場合果たしてどんなトラブルに発展するのかと思ってなぁ…。
(雨音)
(犬の吠え声)
(男)おいおい…。
あぁ〜っ!
(吠え声)
(男)うわ〜っ!!
(サイレン)
(作業員)ご苦労さまです。
(斉藤)どうもご苦労さまです。
(斉藤)犬が異臭を嗅ぎ取って鳴きやまないので掘り起こしてみたら人間の手が出てきたそうです。
(斉藤)お願いします。
僕らが彼を見失った晩に…。
美津子:父親への尊敬があの子を同じ道へと導いたんだと思います〜申し訳ありません…。
我々の責任です!〜どうだった?浅川殺害の1日の木曜の晩だけ史子の車が駐車場になかったと証言する住人がいました。
ただそのとき部屋に明かりはついてたそうですから本人中にいたかもしれません。
やっぱりそうか!えっ?もしやと思ったけど今村は史子の車を使って水戸と西八王子を往復したのかもしれんなぁ…。
わざわざ2週間も前に自分の車を車検に出したのは捜査の目をあざむく今村の計算ですか?そこに史子の協力があったとしたら…。
ともかく2人の関係を突き止めるしかありませんよ。
〜マメちゃん…。
はい。
こいつら絶対つかまえるぞ!こんなやつとっつかまえられんで俺らなんのための刑事だよ。
〜出ました!史子がかかっていた産婦人科医を見つけ出しました!相手がわかったのか!?今村です。
ウラは取れたのか!?はいいや…やっぱり医者は守秘義務があって何も教えてくれませんでしたが看護師が史子に付き添っていた男を覚えていました。
写真を見せたから確かだと思います。
(村橋)よ〜し呼びましょう!
(山城)早い!
(村橋)しかし…!
(山城)何も証拠が出とらんじゃないか。
2人が事件に関わったという証拠が。
(山城)ただの不倫だといわれればそれまでだろう。

(山城)植田の遺体が発見されたことでホシは慎重になっている。
このまま捜査を続行しても行き詰まるだけだ。
(山城)せめて殺害現場でもつかんでいれば攻めようもあったんだ…。
(山城)ないのか確たる証拠をつかむ方法は!1つだけ…ないこともないんですが…。
こりゃあ賭けですけどねぇ…。
ううん…特に用はないの。
ちょっとお母さんの声が聞きたくなっただけ…。
私?元気よ。
うん…。
(玄関のチャイム)こんちは。
すでにもうご存じかと思いますが…我々が第1容疑者と考えていた植田さんが他殺体で発見されました。
そこで真犯人を割り出すためにぜひともあなたに協力いただけないかと思って伺いました。
私に何をしろと…?植田さんが殺された今月の8日この日の夜8時から翌日にかけての研究者全員の行動を調べていただいてですね…これに書き込んでもらいたいんですよ。
教授が殺された場所は西八王子の発掘現場ではなくて鼻腔から検出された泥の成分から別の場所だということがわかっています。
その場所も特定されました。
今の段階で捜査はここまできています。
それでもし研究員の行動をすべて把握することができたら真犯人を特定するのも時間の問題になると思うんですよ。
実はですね…事件があったあの日植田さんは浅川教授に数枚の写真と手紙が入った封筒を渡したはずなんです。
写真?えぇ。
植田さんがその日の朝に教授宛てのその封筒を大事そうにカバンに入れて西八王子へ出かけていったのをお母さんが見てるんですよ。
我々はその数枚の写真とそれに添えられた手紙の中にこの事件を解明する何か重要な手がかりがあるのではないかと思っています。
しかしその封筒が見つかりません。
教授の遺体からも西八王子の発掘現場からも出てきませんでした。
まぁそこで我々としては今度は実際の浅川殺害現場に特定されたその場所を大々的に近々捜索することになったんですがその前に犯人の目星がついていればそれに越したことはないんですよ。
つまり…私にスパイになれとおっしゃってるんですか?こんなことを他に頼める人いないんですよ。
あなたしか…。
植田さんはおそらく犯人に気づいていた。
だから殺されたんだと思います。
あの人は不器用だが純な人だった。
ずっと陰からあなたを愛し続けた人です。
その植田さんのためにもぜひ…犯人逮捕に協力していただきたいんです。
私はね〜秦野さん…植田さんの母親が気の毒でならないんですよ…。
たった1人しかいない家族を奪われたあの母親が…。
息子さんの成長だけがあの人の生きがいだったんです。
〜事件の背景にどんな理由があったのか私にはわからない…。
けどどんな理由があったにせよ…人の命だけは奪っちゃならないはずだ。
違いますか?秦野さん。
〜わかりました…。
〜黒さん…ホントはイヤなんじゃないですか?こんなやり方…。
〜〜黒さん!警視58から本部。
史子が動きました。
本部から全車秦野史子が動き出した。
各自配置につけ。
〜史子の車がマンションを出ます。
このまま追います。
マメちゃん行こう。
はい!
(山城)本部から警視26。
黒田の後につけ。
警視26後につきます。
史子の車は新山下から高速に乗ります。
本部了解。
黒田そのまま追尾しろ!〜西八王子から本部。
今村が動きました!追尾します。
どうぞ!本部了解!本部どうぞ!こちら本部!今村の車は環状線を羽田方面に向かって走行中…。
本部了解!本部から警視30どうぞ。
こちら警視30。
対象車両を捉えました。
追尾始めます!本部了解!本部から各局。
今村の車は羽田方面に向かっている。
高速入り口付近をかためてくれ。
どうぞ!〜警視58から本部。
史子の車は湾岸線を北上中。
警視30から本部。
今村の車は高速で湾岸線に入りました。
史子と同じ方向です!
(山城)全車に告ぐ!今村と史子は必ず落ち合う。
行き先は浅川の殺害現場だ。
本部から各局そのまま追尾しろ!絶対に見失うな!〜史子の車は245号線のアウトレット店。
そこの駐車場へ入ります。
本部から。
そのまま店の手前で待機しろ!警視30から本部。
今村の車が史子と同じアウトレット店に入ります!マメちゃん今村だ!行こう!勝手なことをしたら怒られますよ。
いいんだって!行かなきゃまた見失うだろ!はいはい…。
早く早く!!はいはい…!警視58。
黒田さん?黒田さん!
(山城)黒田…?おい黒田!黒田!!〜警視30から本部。
今村と史子が合流します!本部から。
まだ動くな!〜今史子が今村の車に乗り込みました!駐車場を出ます!〜車は裏から出ました!見えません!
(山城)今村の車は店の裏から出た。
(山城)全車追尾しろ!警視30。
視界に入りません!捉えられません!トラックに阻まれました!本部どうぞ!今村の車を見失いました!!〜ホントなんだな…?ホントに…刑事がそう言ったんだな?
(今村)植田のやつ…教授に何を渡したんだ!?君も探してくれないか!この辺なんだよ!たしかこの辺だ…!
(史子)もう終わりにしましょう。
これ以上の悪あがきはあなたらしくないわ。
2人の人の命を奪ったのよ。
罪を償いましょう。
お腹の子のためにも…。
(今村)何言ってんだよ!!
(今村)君たちを守るためにこの手を汚したんじゃないか!
(今村)しかたなかった…ああするしか…!
(今村)ああするしか僕たちの未来なかったんだよ!
(史子)未来はあったわ。
あなたが求めていた未来とは違っていても…つつましくて…静かな未来がきっと…。
(史子)それなのに…。
弱かったのよあなたも私も…。
今を捨てるのが怖くて…新しい未来におじけづいてた…。
(史子)だからあのときあんなに震えたのよ…。

(史子)あなたは言ったわ…。
(史子)すべてを捨てて…生まれてくるこの子と新しい未来を築こうって…。
でも結局あなたは捨てられなかったのよ…教授の椅子を…。
違う…違うよ史子…。
僕は…!〜もう私たちにどんな未来もない…。
罪もない人を殺してしまったんですもの…。
産まれてくる子供に…私たちの罪を背負わすわけにはいかないわ。
だから…!史子…。
お願い!最後にあなたの真実を見せて!〜やめなさい!ナイフを捨てろ!!〜やめんか!!
(今村)やめろ!嫌〜!〜
(今村)やめてくれ…やめてくれよ史子…。

(今村)頼むよ史子…。
僕たちの子供を殺さないでくれ…。
〜罠にかかったんですね…。
植田さんの手紙や写真など…最初からなかったんですね。
フッ…。
君に子供ができたとわかったとき…僕はホントに嬉しかった。
どこか遠い地方の大学に移って地道に研究を続けていくつもりだった。
産まれてくる…子供と君と3人で暮らしていくつもりだった。
〜君には話してなかったけど教授にはある建設会社との癒着があったんだ。
多額の報酬と引き換えに建設現場で出た遺跡をもみ消すんだ。
遠山建設だろ?開発部長と会ったことあるよ。
教授のしたことは…学者としての魂を売ることです。
けど教授は…。
浅川:世の中ってのは表と裏があって1つの社会だ。
これ真理だよ君。
この真理を理解してこそ勝者になれる。
青臭い論理を振りかざすな
(今村)僕は遠山建設と手を切るよう教授に頼んだ。
でも教授は相手にしてくれなかった。
そんなときだ…君との仲を植田さんに知られてしまったのは…。
(今村)教授はこれで僕を潰す理由ができたと喜んでたよ。
笑ってた…君は馬鹿な男だって。
浅川:私の婿としておとなしくしてればいいものを…。
君もこれでおしまいだね。
地方大学の教授として迎え入れてもらいたいつもりなら今のうちにあきらめなさい。
私の目の黒いうちは許さない。
1日学会が終わったら君のほうから自主的に退職願を出しなさい。
あぁそれから念のために言っておくが遠山建設の一件…公にしようと思っても君に勝ち目はないよ。
(浅川)せいぜいが負け犬の遠吠えだね
(浅川の笑い声)だから殺した…。
それが君の言い訳か。
…研究者として!僕は教授の生き方がどうしても許せなかった。
それに…教授がその気になれば僕の研究者生命を絶つことなんかわけないんです。
浅川:離婚の理由は仕事上の失態だと言え。
(浅川)あとは私が娘を説得する。
(今村)お世話になりました。
(今村)でも…最後に1つだけ頼みを聞いていただけませんか?
(浅川)頼み?はい。
私の知り合いに古美術収集を趣味とする資産家がいます。
彼はある筋から出た天平の太刀の鑑定を私に依頼してきました。
どこから出たんだ?それは…公にできないそうです。
その鑑定を明日…教授にお願いしたいんですが…。
盗品かね?引き受けてくださるならそれ相応の謝礼金を出すと言っています
(今村)教授はこの話に乗ってきました。
(今村)お金で心が動く人ですから。
そして鑑定の日にちを学会のあったあの日としたんです。
それが浅川を周りから隠しながらおびき寄せるえさだったのか?資産家の家は千葉の佐倉だから水戸でのパーティーの後にお連れすると言って当日は佐倉の駅で待ち合わせし史子の車でここへ連れてきました。
秦野さんもすべて承知の上だったんですか?いいえ。
史子には教授が僕らのことで内密な話がある…そう伝えてきたと話しました。
彼女には…すべてが終わった後話すつもりでした。
(今村)すべて…。
〜死体を車に積んで…その後一度水戸のホテルへ戻ったんだよなぁ?
(今村)はい。
ホテルの自分の部屋へ戻った11時半にルームサービスを頼みました。
それからまたホテルを出て遺体を西八王子の発掘現場へ運んだんです。
なんでわざわざそんな手間をかけたんだよ。
まさか土砂崩れを予想してたわけじゃないんだろ?当日僕がいた水戸からできるだけ遠くに遺体を捨てる必要があったんです。
アリバイさえあれば…僕は疑われることがないんじゃないかと思って…。
(今村)だからあの大雨は予想外でした。
でも僕には…恵みの雨に思えたんです。
(激しい雨音)発掘現場を出て僕はそのまま史子の部屋へ行き教授を殺したことを伝えました。
(今村)彼女は泣いてました。
ただずっと…。
今村さんよぉ…植田まで殺したのはいったいどういうわけだ?いずれ彼は僕を疑うでしょう。
それがとても怖かったんです。
だから…教授と同じように鑑定の話を持ち出し謝礼金の代わりに論文集の出版の便宜を図らせる…そういう約束で…。
(今村)彼には論文集の出版という箔が必要だったんです。
次の教授の椅子を欲しがってましたから。
僕と史子との不倫の関係を知ったとき…彼はさぞ喜んだでしょうね。
これで僕を引きずり落とせると。
だから殺したってのか?研究者生命か何か知らねえけど結局あんた自分のことしか考えてなかったんだろ?人を殺してまで何の研究すんだよ?えぇ!?その前に罪の意識ってのはなかったのかあんたには!教授を殺してしまってからは…毎日不安で不安でとても怖くて…つい自分見失ってました…。
植田さんまで…。
あのなぁ…植田は何もあんたをおとしめるために浅川にあんたたちのことを話したんじゃないんだよ。
史子さんのためだ!ずっとひそかに惚れとった彼女が不幸にならんために浅川に打ち明けたんだろう。
純な男だったんだよ。
死んだ父親ば尊敬して学問ひと筋に励んできた。
そぎゃん男ば苦労して育て上げた母親が植田にはおったとよ。
ひたすら息子のために生きてきた母親が!あんたはなその母親の命さえも奪ったんじゃなかか!それがお前のやったことだ!!どぎゃん理屈よりも…それが真実だ!この馬鹿たれが!!〜秦野さん…。
あんたさっき死のうとしたね。
だけどその気持さえあったらこれからいくらだってやり直しができる。
あんたはまだ若い。
親からもらった命を粗末にしたらいかん。
〜生きてください。
生き抜くんです。
〜よかですね?史子さん。
〜〜学者の世界ってのもいろいろあるんですね。
僕学者になんなくてよかった。
大丈夫よ間違ってもなれねえから。
はい。
…あ君か!久しぶり。
…え?今月の養育費?あっごめんごめん!ここんとこすっかり忙しかったもんだからつい忘れちゃって…。
大丈夫すぐ振り込むからさ。
それより今度さ美加と一緒に食事でも…。
もしもし?もしもし!?もしもし?あっその声はミュウちゃんでしゅか?パパでちゅよ〜。
あっママですか?今から帰るから。
あのね今日ミュウちゃん僕がお風呂入れるからその後ゆっくり食事しましょ…。
あ…あちょっと!何すんですか!頼んだ覚えないってそんな言い方ないでしょ!だったらこの裾だって縫ってくれりゃあいいじゃない。
ホチキスを馬鹿にしやがって。
ホチキスなんてそんなのありえないでしょ!縫いますよ。
いいですよどうぞ。
脱いでくださいその代わり。
脱いでくださいだって…あ〜気持悪い!あ〜やだやだ!何ですかそれ!気持悪い!女みたい!〜2014/10/22(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「警視庁黒豆コンビ2 蒼い霧」[字]

遺跡発掘場に生埋め死体!考古学会を覆うスキャンダルな黒い巨塔!

詳細情報
番組内容
東京・八王子の遺跡調査の発掘現場で、東京文化大学教授・浅川亮介の遺体が発見される。浅川はどこか別の場所で殺された後、現場に運ばれたらしい。警察は発掘作業に関わっている人物が犯人とみて捜査を開始する。一方、研究員の植田と今村による考古学界の後継者争いが絡んでいる可能性も浮上。そんな中、植田が突然失踪する。果たして植田は、浅川殺しに関係しているのか…。
番組内容続き
熱血漢の警視庁捜査一課刑事・黒田憲造と、マメな性格の後輩・豆田淳也の”黒豆コンビ”が、考古学界のスキャンダラスな“黒い巨塔”で起きた難事件に挑む!
出演者
黒田憲造…大地康雄
豆田淳也…村田雄浩
山城俊男…中山仁
村橋勝…深水三章
沢居健作…山田アキラ
片岡悟…古本新之輔
高橋菜穂…和鞍さほり
浅川亮介…清水紘治
浅川和代…中村万里
植田美津子…長内美那子  ほか
原作脚本
【原作】黒川博行
【脚本】坂上かつえ
監督・演出
【監督】長谷川康

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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