(一柳)
ほかほかご飯に3つのおかずそして汁物。
一汁三菜と呼ばれる日本伝統の献立スタイルです
ユネスコの無形文化遺産に登録された和食。
その一汁三菜がさまざまな食材を使いバランスよく栄養がとれると今世界から注目を集めています
ですが毎日作るとなるとそれぞれをおいしく味付けるのが大変ですよね。
そんな時これさえ知っておけば安心
加える調味料の割合に秘密があります。
これで和食上手も夢ではありません。
教えて下さるのは京都の料亭の三代目主人村田吉弘さん。
「料理は科学」との考えから生まれたシンプルで分かりやすい和食の方程式を教えて頂きます
これで今日から四季折々の食材で日々の献立とおもてなしの献立の両方が作れますよ
(テーマ音楽)今年度の「きょうの料理」では春夏秋冬の年4回それぞれの季節の一汁三菜を日々の献立とおもてなしの献立の両方で教えて頂きます。
村田さんです。
(2人)よろしくお願いします。
今回はシリーズの第3弾という事で秋の献立です。
前にはこの日々の献立の一汁三菜が並んでいますね。
これは…。
もう秋は新米がおいしい季節ですからねご飯が進むご飯が主役の秋の献立を紹介します。
今メニューを見ていてもほんとにご飯が食べたくなるようなおかずが並んでいますね。
もちろんこれ全部割合で出来てるんです。
ですからね「割合」さえ覚えとけば和食は「わりあい簡単」という。
「わりあい簡単」と。
その簡単な割合がしょうゆとみりんが「1:1」なんですよね。
後からだしを「8」とか「1:1:8」とか「1:1:12」とか「1:1:15」とかゆうてだしの割合変えるだけでみんな味が出来てしまうんです。
今村田さんがおっしゃると簡単なのかなっていうふうに思うんですが和食ってどうしても敷居が高いようなイメージもありますからね。
そうですね。
ほんとはね日本人にとっては一番作りやすくて簡単な料理なんです。
先人がメーカーが違ってもおしょうゆの塩分濃度もみりんの糖度もきちっと合わしてくれてますんでね。
さあそれでは今日ご紹介するお料理こちらです。
今日は秋の献立日々の一汁三菜を教えて頂きます。
まずは…だしのおいしさが味の決め手になりますからね。
ここで使う割合はいろいろな野菜を使っておひたしが出来ると思いますよね。
続いてまいりましょう。
こちらは…いつもよく見慣れたお総菜ですけどもしょうがの香りでご飯が進みます。
これこそ秋の日本料理ですね。
続いて…がんもどきなかなか買ってもどうやって炊いたらいいか分からないとかおっしゃってますけどねこれはおだしが飲めるぐらいの味で味をたっぷり含まして炊くのがおいしいんですね。
そして「里芋のみそ汁」です。
里芋も今が季節ですからね。
こういう季節のお野菜をおみそ汁にして食べるっていうのがやっぱり日本の食ですよね。
以上秋の一汁三菜日々の献立をご紹介します。
さあまずは「ほうれんそうのおひたし」です。
いろいろなおひたしにも使える割合を教えて頂きます。
では2人分の材料のご紹介からです。
こちら。
熱湯で色よく湯がきまして冷水にすぐとってます。
こういうのは水でさらすとか冷水にとるとかいうのは色止めと一緒にほうれんそうなんかはシュウ酸がありますからこうやって水に一回さらした方がいいですね。
切ってから湯がいてもいいんですけど今日は長いまんまこう湯がいてますけども。
力強く水けを…。
これねもうほんとに固く。
随分ギューッと。
もうねギューッと雑巾絞るみたいに絞ってますけどねほんとに固く絞らないと。
そやからねよく奥さん方はみんなあんまり絞るとかさが減るなぁと思われるんですけどそれは大丈夫ですから。
水けが後でだしの中に入ると味の加減が変わりますのでね。
ここはしっかりと水を絞っておく。
しっかりと。
これ大体1寸。
3.3cmですね。
3cmほど。
ぐらいに切って頂くとお子様でも年寄りでもね喉を詰めない寸法なんです。
ちょうど一口に入る大きさ。
これはものが横になっても縦になっても奥に行っても喉に詰まらない引っ掛からない寸法ですから。
何でもあえ物する時はねこの寸法に合わせて下さい。
そういう事が考えられた寸法になってるんですね。
そうなんです。
さあおひたしにします漬け地割合を。
これは…今回はしょうゆの「1」は薄口しょうゆでやってます。
これは割合に変わりはありませんけど。
濃い口しょうゆでもいいんですけども色がきれいに出るために薄口しょうゆを使ってます。
今回は薄口しょうゆとみりんそれぞれが15m。
そしてだしが180mとなっています。
それではここにこれをつけます。
こんなに固く絞ってもねこうやってだし含みますとまた元戻りますから。
そんな心配要りませんから。
ただ漬け地につける時に水けがあるとやっぱり味が薄くなっちゃいますよね。
そうですね。
ほんで一回火にかけて沸騰させてもらうとみりんのアルコール分がとびますんで。
大人ばっかりやったらいいですけどね子供さんはちょっとアルコールがプンと匂うのは苦手ですから一回煮きったら大丈夫ですね。
こういう状態にして…こうやってつけて味を中に入れるっていうのが含ますっていう事ですね。
これ日本独特の調理法ですから。
もうこうやってつけとくだけですから。
これほうれんそう湯がいておしょうゆかけて食べるのとえらい違うものになりますからね。
おひたしっていうと簡単におしょうゆかけてというだけというイメージもありましたけどこういうふうに1時間ここに浸す。
そうするとこちらのようにねこのようになりますけど。
盛りつけたものがこちらです。
今その上に削り節が。
削り節なんかねこう添えて頂くとかね。
それからごまでもいいんですよ。
切りごまなんかを添えて頂くとお料理屋さんの料理みたいになりますよね。
そしてそのお隣に作って頂いたのが…。
これも同じ割合で作ってあるんです。
キャベツなんです今度は。
キャベツをサッと湯がきまして。
ゆで過ぎると駄目ですよ。
ほうれんそうもキャベツもね。
あんまりぐたぐたになるとおいしくないので生でも食べられますからシャキッと歯応えがある程度に湯がいて頂いてつけといて頂くとこういうふうに色よく。
上に黒ごまですけどね今は。
白ごまでも何でもいいんですけど。
それでは材料のおさらいです。
おひたしの漬け地の割合は「1:1:12」。
他にもいろいろな野菜で応用してみて下さい。
続いて「さばのしょうが煮」です。
魚を煮る時はしょうゆみりんの基本に酒と水を加えます。
よく魚の煮物難しいように皆さん思ってられますけど非常に簡単なんですね。
いろんな魚に応用できますから。
まず今日はさば2人分の材料です。
さばに切り込みを入れましょう。
こういう布巾なんかをちょっと丸めて頂いて。
さばをこう丸くなるような。
でこの膨らんでるとこをこう切れば。
これ下まで切ったら駄目ですよ。
バラバラになりますから。
こうやればねっ。
こういうふうに切れ目が入りますね。
この切れ目は何のために入れるんですか?これはねだし汁が染みやすいのと火が入りやすいですね。
こうですね。
はい。
切り目を入れた次は…。
次はここに沸騰してるお湯ございますけどもこれで霜降り。
今生ですよねこれ。
それがサッと霜が降ったような状態ちょっと白くなりましたよね。
これ霜降りって言いますね。
熱湯にサッとくぐらすという事ですね。
このようになります。
これをすぐに冷水にとって下さい。
冷水にとらないと余熱で火が通りますからね。
もうほんと2〜3秒ですね。
そうですね。
ちょっと皮がギュッとこうなりますけども。
これはうろこのついてる魚は特にやっとかないとここにうろこがついてる事がありますからね。
さばのぬめりとかこっち側についてる血とかがありましたらきれいにこの中で洗い取って下さい。
その独特の血の臭さというかそういうのも取れますもんね洗えば。
周りについてるこのたんぱく質がそれが匂いになってますからそれを取り除く事で随分匂いがなくなりますね。
さあそしてさばを煮ていきます。
鍋には霜降りしたさばと薄切りにしたしょうがが1かけ入っています。
さあその煮汁の割合。
しょうがはこういうふうに薄くスライスしといてもらうといいですね。
煮汁の割合です。
普通の煮物は「1:1:8」でしょうゆとみりんと「8」がだしですけどね。
これを煮しめますと煮しめが出来るんですけど魚の時は「1:1:4:4」。
だしは?「8」を2つに割ったんです。
だしは入ってないんです。
「4」はお酒と水なんです。
「4」全部お酒でやってもよろしいけどももったいないでしょお酒が。
「8」の分を全部お酒だとそうですね。
せやから「1:1:4:4」。
魚は生臭いですからだしで煮るこれからだしが十分出ますからだしで煮るのと違って酒で煮る。
生臭い香りがアルコールと一緒にとんでいくっていう事ですよね。
十分にさばそのもののお魚の風味が出るからだしは必要ないと。
ないと。
…の「1:1:4:4」だったんですね。
そうなんです。
これでいろんな魚何でも炊けます。
今回の分量ですが…ちょっと煮立ってきましたけどもこうやってつかるかつからんか程度でしょ。
これぐらいで炊くんですよ。
いつも炊かはんのは煮汁が多すぎるんですよ。
ちょっとジャブジャブになっちゃう。
こうやって落としぶたをしておきますと煮汁が回りますんで。
これで中火にして頂いて煮汁が大体なくなるまで7〜8分かかると思いますけどね。
その間放っといたら駄目ですよ。
見てもらわんとね。
はい。
7〜8分煮て盛りつけたものがこちらです。
こちら。
「さばのしょうが煮」です。
う〜んいい香りがしてきました。
ちょっと立ったままですが失礼いたします。
う〜ん。
ちょうど脂ののったさばとしょうがの香りですかねそれをふわっと爽やかにしてくれるっていうか。
そうですね。
しょうがと違ってもごぼうとか他のお野菜でもいいんですけども。
「さばのしょうが煮」って昔からの日本の料理の伝統の中にありますからね。
これでいろんなもんが炊けるんです。
例えばさわらと焼き豆腐とかね。
焼き豆腐も入っていいですねこちらは。
これは煮しめる加減をちょっと弱いめにしてますけどね。
これ全部煮しめてしまえばあら炊きみたいなもんになりますね。
その時その時の旬のお魚を使ってこういうふうに煮物をするっていうのがやっぱりおいしく頂けるというのもありますよね。
そうですね。
それでは材料のおさらいです。
煮る前には霜降りをして臭みをとるのがポイントです。
魚を煮る時はだしではなく酒と水を使って「1:1:4:4」です。
さあ3品目は「がんもどきの含め煮」です。
だしを味わう煮汁の割合を教えて頂きます。
割合はね「1:1:15」なんです。
これは「1:1:15」というのはちょっと薄いのか濃いのかというのはちょうど中間くらい?これはちょうど「薄味で炊いてある」って言う人が京都のおかずようありますよね。
ちょうど材料にだしを含ましてだしも一緒に頂こうという時は「1:1:15」ですね。
さあそれでは今日使う材料ですがこちら。
このがんもどき4コを今教えて頂いた「1:1:15」の煮汁で炊いていくという事ですね。
今日の煮汁の分量ですがこちらです。
これがんもどき油抜きも何もしてませんよ。
そのまま入れて頂いてこの煮汁「1:1:15」。
入れましてもうあと…落としぶたをしてもうこれだけですよね。
これだけで大体沸騰してきたら中火にして頂いて5分ぐらい炊いて頂いてもう出来上がりです。
はぁ〜もうほんとに割合を覚えて煮汁を作って入れて火にかける。
これだけですね。
そやから非常に簡単でしょ。
昔ねお母さん方今と違ってもっと忙しかったですからそんな長い事お料理に時間かけてる暇もなくてそやけど何品も作ってられましたよね。
そうですよね。
煮上がる前にそのいんげん。
こちら下ゆでしてありますけども。
下ゆでしたいんげんを両端を切ってがんもどきと一緒に2〜3分ほど煮たら味も付いてますからね。
それで出来上がりですね。
それで出来上がったものがこちらですね。
今はこの上にしょうが。
すりおろしたものですね。
これから冬になってくると温かくしてあんを葛あんなんか引いてねそれをかけるっていうのもまたおいしいですよね。
基本をこの割合で覚えておけば少しアレンジもきくという事ですよね。
この飲めるぐらいのお加減で炊くっていうのは京都では非常に多いんです。
そやから「何とかの炊いたん」とか言いますよね。
その「炊いたん」のお加減はみんなこの「1:1:15」ですね。
ああ。
一般的でしたらこれから寒い季節土鍋でおでんなんか炊きますよね。
それがこちらですね。
こちらですね。
おでんのだしなんかはちょうど「1:1:15」でおいしい加減ですね。
はぁ〜おいしそう。
これからの季節にはどのご家庭でも食卓に並びますもんね。
鍋もんは大抵この「1:1:15」の割合でいけますから。
これでおだしも飲めるしものもおいしく煮上がるという事ですね。
さあそれでは材料のおさらいをしましょう。
「1:1:15」これは煮汁も一緒に味わう時の割合です。
煮汁も一緒に飲めますのでうどんのつゆなどにも応用する事ができます。
では一汁「里芋のみそ汁」です。
割合はみそ汁の基本。
「みそ:だし」が「1:15」です。
まずは2人分の材料こちら。
これ2人分で8コですけどえらいたっぷりですけどね。
これふんわりとラップして。
ピチッとしますとね膨れてあとしぼみますのでふんわりと空気が抜ける程度にラップして。
600ワットでしたら6分から7分ぐらいですかね。
芋もこれぐらいの大きさやったら6分か7分ですけど大きくなってきたらもうちょっと長い事して下さいね。
これもうツルッと…。
こうやってツルッとむけるようになってますから。
こうやって一回レンジアップしてからむきますと手もかゆくなりませんのでね。
里芋もこれからの季節ですもんね。
そうですねこれ今非常に粘りがありますからこのままお塩振って食べてもらうだけでも十分おいしいんですよ。
そやからねみそ汁里芋わざわざむいてみそ汁にするのは面倒くさいなとお思いでしょうがこうやってレンジでレンジアップしますとすぐにむけますんでね。
さあむいた里芋を…。
ヘタのとこは切り落として。
これを半分に切ります。
さあそれではこちら…。
これで里芋がだしの中でこうやって煮えてますけども。
みそ汁の割合です。
割合はこちらは…これが基本ですね。
そやから大体2人前で300m。
みそは梅干しぐらいの大きさって覚えておいて頂いたら。
これぐらいですね。
沸騰してたらちょっと弱めましてこれで溶きます。
沸騰してたらもう火を止めるくらいの。
沸騰してましたらみその風味がとんでしまいますからね。
みそを入れたら煮立てないというのが一つの基本ですから。
はい。
もうこれで出来上がりですね。
盛りつけたのがこちら。
こちらですね。
ねぎなんかをあしらって頂くと彩りもよくて。
非常に季節感のあるおみそ汁が出来ましたね。
それでは材料のおさらいです。
みそ汁の基本の割合は「1:15」です。
みそは煮立ててしまうと風味がなくなるので注意して下さい。
さあ秋の献立日々の一汁三菜出来上がりました。
どれも作り方はシンプルでしたね。
簡単でしょ?ええ。
ただ割合を覚える時に「あれはみりんだったかなしょうゆだったかな水だったかなって」その割合の数字とちゃんとそのものをしっかり覚えないといけないですね。
そうですね。
大体濃いもん順になってますけど。
しょうゆが一番濃いでしょ色がね。
その次はみりんが濃いですよね。
でだしですよね。
そやから「1:1:8」とか「1:1:15」とかいうのはその順番ですね。
大体分かりますよね「しょうゆ15」って言うわけないなと思いますからね。
ええ。
和食の基本さえ身につけておけばいろいろとまた応用もしていけるという事なんですよね。
とりあえず「1:1」で合わしてもろうてあとはだしを順番に自分の加減に合うように入れていってもらって味を見ながらっていうのでもいいんですよ。
ああ。
一応「1:1:8」っていうのは基本に決めてますけどもこれを基本にして「うちはみんなちょっと甘いめが好きやから」って言うてお砂糖をちょっと入れてもらうとか。
「みんなちょっと辛いめが好きやから」って言うて辛みも入れて頂くとかいうのも結構ですよね。
さあ明日は秋の味覚をたっぷり使ったおもてなしの献立をご紹介します。
村田さん今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
今日ご紹介した内容は「きょうの料理」10月号に載っています。
そちらをご参考になさって下さい。
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出演者
【講師】京都の日本料理店三代目主人…村田吉弘,【司会】一柳亜矢子
ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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