NHK高校講座 国語表現「小論文作成プロセス」 2014.10.21

「ちり積もって山となる」。
「頭隠して尻隠さず」。
中江有里です。
今日のテーマは…これまで主張や根拠をはっきりさせる構成を工夫するなど小論文を書く準備を進めてきました。
今日はそれらを踏まえて実際にどのように論文を書き進めていけばいいのかを勉強しましょう。
どうも。
(2人)かもめんたるです。
いよいよですね。
論文を書いていく訳ですね。
今までいろいろ準備してきていよいよ大事な日っていう訳ですけどそんな日にもかかわらず相方が欲望の赴くままにこのような格好をしていてすいません。
何よすいませんじゃないよ。
むしろ今日論文書くからって急に私がスーツで来てたらそっちの方がおかしいでしょ。
いつもどおりね。
論文だからって緊張しないでね。
みんなならやれるって俺信じてるから!分かってるから。
逆にプレッシャーになるからね。
今日演習に参加してくれるのはこちらの皆さんです。
(生徒一同)よろしくお願いします。
皆さんにはあらかじめ宿題を出させて頂きましたけどももちろんやってきましたよね。
(生徒一同)はい。
(槙尾)おっちゃんとやってきたようね。
(岩崎)自信満々だねみんな。
では最初の演習です。
最初の演習は…論文を書くにはまず論文全体のイメージを持つ事が大切です。
その時に役に立つのがマッピング・メモです。
こちらにマッピング・メモの見本を用意しました。
これは平和について書いたマッピング・メモですね。
(槙尾)バスの路線図に似てますね。
ああ…はい。
この場合は言葉の出発点と目的地を表してるような感じがしますね。
1つの言葉からさまざまな所に延びてきていてとても面白いですけれども…。
生徒の皆さんにはそれぞれマッピング・メモをつくってきてもらいました。
では順番に見ていきましょう。
まず僕はもともと家事について書こうと思っていて…。
宏紀君は「家事」をテーマにして……という言葉を書き出しました。
中でも「料理」に注目したようです。
僕は暇だったんで結構音楽を聴いてみてですね…。
圭祐君は「良いバンド」をテーマに……という言葉を展開しました。
特に注目したのは「個性」です。
私はもともと動物がすごい好きで動物ってなると…。
「動物」をテーマにしたかなみんさん。
…という言葉に広げていき最終的には「飼育」を切り口にしました。
僕は調べ物する時によくインターネットを使うのでインターネットについてよく調べてみました。
秀太朗君「インターネット」をテーマにして……などさまざまな言葉を並べました。
最終的には「メディア」について考える事にしました。
皆さんのふだんの生活が見えてくるというようなマッピング・メモでしたね。
「あっこの人こういうテーマで書いてるんだ。
意外」とかいうのもあったり…。
テーマの選び方からねそこからの派生して考えていくのもそこつながってるかなって…。
厳しい意見ですが。
どういう事でそうなってんだろうとかいろいろ面白いですよね人それぞれって感じで。
いろいろ伺ってみようと思います。
講師の石垣先生です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
先生マッピング・メモ結構ね皆さん緊張して苦労されてたみたいなんですけどつくり方のポイントっていうのはどのようなものがあるんですか?単なるメモではありません。
それではマッピング・メモのつくり方についてポイントを説明したいと思います。
こちらはかなみんさんの先ほど発表してくれたマッピング・メモですけれども「動物」というテーマから「飼育」というキーワードでまずは…そして次に…更に……といったようなマッピング・メモのつくり方になります。
でも自由に連想するだけじゃ駄目なんですよね。
そうなんです。
自分の主張が何かという事を考えながらつくる事が大切なんですね。
はい。
街角で聞きました。
この四角の中に言葉を入れるとしたらどんな言葉が入りますか?私だったら…あなただったらどんな言葉を入れますか?後半の演習は…まずアウトラインが具体的にどのようなものか見本を紹介しましょう。
はい。
こちらがアウトラインです。
アウトラインには主張根拠分析裏付けの要素があって論文の骨組みになります。
このアウトラインは平和について書いたマッピング・メモから組み立てたものです。
例えばですね「友情」が主張のキーワードになっている。
そして「小学校からの親友」というのが根拠のキーワードになっていますね。
そして「絆」が分析のキーワードに。
「近い国ほどよく衝突する」が裏付けのキーワードになっています。
このようにマッピング・メモに挙げた言葉からキーワードを見つけてそれぞれの要素を決めるのがポイントです。
(槙尾)アウトラインって大事なんですね。
では生徒の皆さんがつくってきたアウトラインを見てみましょう。
では宏紀君からどうぞ。
はい。
まず僕はマッピング・メモを書いている間に…。
宏紀君はマッピング・メモの「料理」という言葉を展開し男性は積極的に料理に参加すべきだと主張します。
根拠としては女性の働く場が増えている事。
また分析では「男子厨房に入らず」という古い考え方がある事などを挙げています。
更に裏付けとしてはアメリカやヨーロッパでは男性が料理をするのは当たり前という事を挙げています。
マッピング・メモのキーワードがアウトラインの要素に的確に表現されていますね。
私がつくったアウトラインはこちらです。
主張は…「生きる」をテーマにマッピング・メモをつくったうめゆいさん。
感情を切り口にして自分の体験を例に挙げました。
主張と根拠ははっきりしましたがテーマの「生きる」に結び付く分析と裏付けが弱いようです。
でもいい主張だと思いますよね。
これね。
感情って目に見えるものではないのでそれをどのように人に伝えるかっていうのは分析裏付けどういうふうに持ってくるのかなと思ったんですけれども…。
私のアウトラインの主張は動物園の動物はかわいそうじゃないよっていう事です。
まずその根拠として…。
かなみんさんの場合主張ははっきりしています。
具体的な動物の名前を挙げて根拠や裏付けをしっかりさせるとアウトラインが固まります。
結構勇気のあるテーマですよね。
主張が。
(岩崎)反論とか受けそうじゃない。
だって「料理は男の人もやる」とかはさ「いいぞ!」ってさみんなが「いいと思うよ」って言うような事言ってるけどこれ結構さ半分半分に分かれそうな事をさ…。
私がつくったアウトラインはこちらです。
テレビではさまざまなジャンルを楽しむ事ができると思ったのでそれを主張にしてアウトラインをつくりました。
「テレビ」をテーマに選んだ萌弥さん。
マッピング・メモには番組のさまざまなジャンルを書き出しています。
しかしキーワードのつながりが短絡的です。
そのためどれが主張や根拠分析裏付けになるのかはっきりしません。
マッピング・メモもっと自由にもうちょっといけるかなって感じはしたけどね。
例えば何かもっとテレビの今後とかいろいろ…。
インターネットとの関わりとか…。
もっと絞ってもよかったかもしれないですよね。
ドラマでもたくさんいろんな種類があるしそれを客観的に考えてみるっていうのも…。
あんまりドラマに興味のない人とかにブームとかそういうのとかを書いてったらもっと引き込まれそうな気がするなあ。
その原因はどこにあるのでしょうか。
なぜアウトラインがうまくいかなかったかと言うとマッピング・メモをつくる時に小論文にまとめていくっていう意識が弱かったからかもしれません。
なるほど。
主張や根拠がないと柱がしっかり立たないという事で…。
こうなってしまう。
(槙尾)これを論文にするにはどうしたらいいんですかね。
はい。
マッピング・メモをやり直すしかないですね。
主張と根拠をはっきりさせる必要があります。
そこで先ほどの萌弥さんのマッピング・メモですが整理してみました。
非常にきらきらと輝いてる言葉それが「共感」という言葉ですね。
この「共感」という言葉を使ってこれを主張に持ってきて…例えばこんな番組があるという番組名を挙げてそれを根拠にします。
その番組の内容について分析をして更に視聴率はどうなのかという裏付けが入ると納得のいくマッピング・メモになると。
先生のアドバイスを参考にもう一度マッピング・メモからつくり直してみるといいですね。
なるほど。
マッピング・メモとアウトラインをしっかりマスターすれば小論文が書ける訳ですね。
よ〜しみんな!これで小論文作成の頂上が見えたぞ〜。
(生徒一同)オ〜!
(理乃)言葉の…。
(一同)言葉のプロに聞いてみよう。
アメリカ・ニューヨーク出身の日本文学研究者です。
キャンベルさんは高校時代に論文を書いたりとか読んだりする事っていうのはお好きだったんですか?苦手ではなかったんですね。
ただ論文っていう言い方はしないんですね。
僕はアメリカで高校時代を過ごしてるんですけれどもexpositorywritingといってexpositoryつまり何か自分が考えている事を人に伝えたい事を表す。
論文っていうよりも何か自分が気付いて人に伝えたい事をどういうふうに問題を明らかにこれについて考えようっていうまず問題を作って論理的にそれを人に伝えるという…。
キャンベルさんは日本でも大学生に教えてらっしゃいますけども日本の学生の論文の書き方って何か特徴はありますか?意識して書いていない。
はい。
一般的に割と書きながら考えてる。
構図そのものをどこに向かって書いてるかっていう事が途中で分からなくなったりそれこそ感想文。
最後に自分はどう思ってるかとか感じてるかっていう事をそれまでに積み上げてきた根拠をあんまり使わずにドンとそこを押し出してみたりっていう…。
ちょっとこう…あと一歩でもう少し論理的にそれを構築すれば最後に自分がよかったとか面白かった…どこに課題があるかという事がもっとインパクトが出せるような気がするんだけれども…。
結構論文を書く事が苦手な高校生というのがいますけれどもアドバイスするとしたらやっぱり客観的に論理立ててとかそういったアドバイスになりますか?そうですね。
私たちがやってる事って朝から晩まで結構いろんな論理によって支えられてる生き方をもう既にしてる訳ですから全然別の営みとして論っていうものがある訳ではないんですね。
ただそれを発見する見方であったりあるいはそれを発見させる工夫を先生たちであったり先輩だったりが一緒にシェアしてもらえるといいかなという気がしますね。
皆さんこれで終わりではありません。
(生徒一同)え!実は論文を書くためのステップ3があります。
見本を見てみましょうね。
「平和」のマッピング・メモを基にしたアウトライン。
アウトラインからパラグラフという事でパラグラフとは…序論本論結論というふうに3つの段落から成っています。
パラグラフは…アウトラインの主張の所この主張がそのまま序論になっています。
そして根拠の所ですが「家も近く小学校からの親友がいる」という根拠やそしてまた分析ですね。
この2つをまとめたものが本論という事です。
そして裏付けの内容を膨らませてまとめ上げたものが結論という事になります。
アウトラインの要素がパラグラフの段落を構成してるのが分かりますね。
「かゆいところに手が届く」。
今日は小論文を書くというよりも書き始めるまでについて勉強しましたけれども皆さん分かってもらえましたか?今回アウトラインを書く時に例えば分析とか裏付けとかっていうのがマッピング・メモの中に全然なくてどうしようかなって迷ったのでそこをどれだけ広げられるかっていうのを頑張っていきたいなと思います。
出来上がってやっぱり指摘もされてから思った以上に本当に難しい事だなって思ったので次の機会があったら今日の事を生かして残念な結果にならないようにしたいなって思います。
頑張って下さいね。
今日本当皆さんの頭の中をのぞいたというような感じがしましたけれどもかもめんたるの2人いかがでしたか?そうですね。
だからやっぱり最初にちゃんとマッピング・メモアウトラインをしっかりしとけば小論文ね書けるようになるんだなって改めて思いましたね。
今日小論文書くのかなと思ったら書いてなかったんでびっくりしました。
まだ。
まだ順番が…。
やっぱりね順番が大事ですね。
そうですよね。
達人への道はまだまだ続くのじゃ〜!じゃ〜。
それでは皆さんさよなら〜。
(一同)さよなら!
(礼央)僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
2014/10/21(火) 14:10〜14:30
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 国語表現「小論文作成プロセス」[字]

読む、書く、聞く、話す。あらゆる教科で必要な表現の基礎力を養います。ユニークな演習や様々な分野で活躍する表現の達人へのインタビューで、表現のコツを学びます。

詳細情報
番組内容
文章の構成には、目的や種類に適した「型」がある。小論文などの論理的な文章の場合、三段構成が効果的だ。三段構成の基本的なバリエーションを知る。また構成を組み立てる際には構成ノートを作ることが有効だ。構成ノートの作り方を学ぶ。【ゲスト】ロバート・キャンベル(東京大学教授)【出演】中江有里、かもめんたる【講師】石垣明子(つくば国際大学)
出演者
【講師】つくば国際大学教授…石垣明子,【ゲスト】東京大学教授 国文学者…ロバート・キャンベル,【出演】遊馬萌弥,梅村結衣,佐奈宏紀,薗佳波,斉藤圭祐,吉田秀太郎,【司会】中江有里,かもめんたる ほか

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趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
バラエティ – その他

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