深夜食堂 3 第5話「春雨サラダ」 2014.11.17

(マスターナレーション)
一日が終わり人々が家路へと急ぐ頃俺の一日は始まる

営業時間は夜12時から朝7時ごろまで
人は「深夜食堂」って言ってるよ

客が来るかって?それが結構来るんだよ
ボーン
(柱時計の音)
宵の口から雨が降っている
傘を差した方がいいような差さなくてもいいような春雨が
(田島ミホ)ここだよ。
(小松サユリ)ああ〜うん。
こんばんは。
いらっしゃい。
まだ降ってるかい?うん。
傘差すほどじゃないけど。
とりあえずビール。
あいよ。
大丈夫?うん。
この店は食べたいもの言ったらだいたい作ってくれるからなんでも言って。
へえ〜どうしよう迷うな。
それにしてもさぁショック。
山ちゃんの頭があんなんなっちゃって…昔好きだったのに。
山ちゃん苦労したみたいだから。
リストラされて離婚して。
そっかじゃあ苦労が全部髪の毛で出ちゃったのね。
あいよ。
マスター小学校の同級生のサユリ。
今母校で先生やってんの。
どうも。
同窓会?今日。
ううん。
同窓会は月末なんだけど私たち幹事になっちゃって今日はその打ち合わせの帰り。
卒業のときに埋めたタイムカプセルを25年ぶりに掘り出すからもう準備が大変。
へえ〜25年ぶり…。
(金本)タイムカプセルといえば1970年の大阪万博で大阪城公園に埋めたのが有名ですよね。
掘り出すのはなんと5000年後の6970年。
(ルミ)へえ〜。
(カナ)私も小学生の頃クラスで埋めたな。
それってどうなったの?10年後に掘り出したんだけど中とか水がしみちゃってて手紙もうぐちゃぐちゃで読めなかった。
ええ〜そんなことってあるんですか?
(カナ)カプセルの蓋がちゃんと閉まってなかったのよ。
二人のはうまくいってるといいね。
同世代として幸運をお祈りするわ。
(小道)同世代!?
(ルミ)何か異論でも?
(金本)25年前に卒業だから…。
(カナ)こら!計算すんな。
(2人)ふふっ。
ねえサユリ何食べるか決めた?ああ…うん。
春雨サラダ。
ふ〜ん。
はいお待ち。
いただきま〜す。
いただきます。
うん…おいしい!うん。
ねえ春雨サラダといえばさシガッチだよね。
給食のときほかの人の分までもらって食べてたじゃない?ふふっ…ミホ変なこと覚えてんね。
山ちゃんの次の次ぐらいに好きだったんだもん。
あっサユリは誰好きだったの?ええっ?ふふっ…。
教えなよ〜。
シガッチ。
ええ〜っ!そうだったの?私春雨サラダってほんとは嫌いだったの。
だけど志賀君が大好きだからふふっ…私も好きになろうって思って毎日食べてたらいつの間にか好きになって…。
そうだったんだ。
じゃあ来るといいねシガッチ。
うん。
(山ちゃん)よいしょ!当たりある?
(山ちゃん)分かんない。
ああ〜もうダメ。
交代。
だらしないなぁ。
もう〜頑張ってよ。
(山ちゃん)はぁはぁ…。
まっちゃん頼むよ頑張って。
ねえねえ山ちゃんサユリ見なかった?
(山ちゃん)えっ?見てないけど…来てないの?携帯に掛けてもつながらないし。
どうしたんだろう…。
えっ…どうしたんだろうね。
もしかして田島?ん?あっ…シガッチ?
(志賀)ふふふっ…。
へえ〜。
あったぞ!
(金本)いやあの…ミホさんの旦那さんかとすっかり勘違いしてしまってすみません。
(志賀)小学校の同級生で志賀といいます。
(金本)ああ〜あなたが噂のシガッチさん。
(志賀)えっ?それでこっちが息子のタイチ。
私バツイチで今独身なの。
(タイチ)はじめまして田島タイチです。
母がいつもお世話になっています。
(小道)しっかりしたお子さんですね。
私が仕事でいないことが多いから自然とね。
(タイチ)酔っ払って帰って来るしね。
いやちょっと…それ言わないって約束したじゃん。
はい。
春雨サラダ大盛りとこちら特製お子様ランチ。
ありがとう。
お待ち。
食べな。
(志賀)いただきます。
熱い?おいしい?よかった。
(志賀)うんうまい。
今日サユリさんは?盲腸で入院しちゃったの。
しかも同窓会の当日に。
そりゃあお気の毒に。
で今日お見舞いに行ってきたんだ。
久しぶり。
久しぶり…。
(志賀)ふふふっ。
ふふっ嫌だごめんなさいこんな格好で。
何言ってんのよ病人のくせに。
はいこれ。
あっありがとう。
タイチ君も来てくれたんだ。
(タイチ)うん。
あとこれも。
何?
(志賀)タイムカプセルに入ってた小松の手紙とオルゴール。
うわぁ〜懐かしい。
ミホこれ覚えてる?もちろん!ねえねえ手紙なんて書いてあるの?読ませてよ。
ダメ!あとでこっそり見るから。
(志賀)あははっ!なんだケチ。
せっかく持ってきてあげたのにねえ。
(幸子)そうよ。
読んで聞かせてあげたら?お母さん余計なこと言わなくていいからほらお花取り替えてきてよ。
(幸子)はいはい。
はいはい。
(志賀)あっお母さん僕が行ってきますよ。
(幸子)いえいえせっかく来ていただいたんだから…。
ねえサユリ。
ん?シガッチまだ独身だって。
よかったね。

(志賀)小松ってちっとも変わってないなびっくりしたよ。
純粋な子って変わらないのよ。
お父さん早くに亡くしてずっとお母さんと二人暮らしだったからなかなかお母さんを一人にできないの。
(志賀)ふ〜ん詳しいんだな。
つきあい長いから。
私が初めての出産で不安なときも離婚が決まって落ち込んだときもいつもサユリが支えてくれたんだ。
(志賀)じゃあさ小松が退院したらお祝いしないとな。
三人でまた来ようよ。
うんそうしよう。
マスター春雨たくさん用意しといてね。
あいよ。
(志賀)じゃあどうもごちそうさまでした。
大丈夫?
(志賀)うん。
マスターごちそうさま。
(志賀)熟睡しちゃったよ。
ほんとだね。
重い?
(志賀)ううん大丈夫。
大丈夫?ありがとう。
ふふっ…。
退院おめでとう!ありがとう。
(志賀)よしじゃあ乾杯。
はいお待ち。
(3人)かんぱ〜い。
おめでとうよかったね。
ありがとうございます。
ふふっ。
あぁ〜あ…でも行きたかったな同窓会。
せっかく幹事までやったのに。
(志賀)あははっ。
文句言わないの。
私とシガッチだけじゃ不満?そうじゃないの。
ただほかのみんな元気にしてたかなぁと思って。
(志賀)うん。
でもさすがに25年も経つとみんな変わっててさ。
結婚して家庭持ってるヤツらは特にな。
志賀君は全然変わんないね。
(志賀)ふふっ…小松もな。
ふふふっ。
(志賀)田島はなぁ…。
ん?
(志賀)最初見たときぎりぎり分かったよ。
ちょっと何?それ。
私の方がおばさんになってるってこと?
(志賀)いやいやおばさんとは言ってないよ。
大丈夫ほら中身は変わってないから。
何?それ。
えっ?
(志賀)怒らせるとおっかない。
全然うれしくない!
(志賀)あははっ!ふふふっ。
ねえいいじゃんシガッチ。
ふふっ…うん。
デートに誘っちゃいなよ。
いやそんな急に…。
こないだ会ったばっかりだよ。
何言っちゃってんのよ。
25年前から知り合いでしょ。
いやそれは…。
いいじゃん二人とも独身なんだし。
ミホだって。
いや私は男は息子だけで十分です。
ふ〜ん。
だってイケメンでしょ?タイチ。
まあかわいいからね〜。
(志賀)ん?何?なんの話?ふふっ。
ないしょ。
ああ〜…。
(志賀)ほいほい着いた着いた。
あっそこのソファーんとこ。
(志賀)ああ。
ほらほら。
危ない…。
はい着いた。
はい。
はぁ〜まったくもう。
久しぶりだなぁミホがこんなハメ外すの。
小松が元気になってうれしかったんだよ。
こないだ言ってたよつらいときにはいつも小松が支えてくれたって。
あっ…。
私はただそばにいただけ。
ミホが自分で乗り越えてきたのよ…強い人だから。
案外小松に頼ってるんじゃないの?えっ?じゃなきゃこんなふうにすやすや寝れないよ。
あははっ。
(志賀)あははっ。
しょうがないなぁほんと。
あははっ…。
ふふふっ。
あははっ。
(2人)先生さようなら!は〜いさよなら。
気をつけてね。

(2人)は〜い。
・ふ〜ふふふふ〜ふふふ…
(鼻歌「別れの曲」)・サユリ先生。
ゴロゴロゴロ…
(雷鳴)あっサユリさん久しぶり。
こんばんは。
いらっしゃい。
今日は一人?はい。
春雨サラダとビール下さい。
あいよ。
(金本)聞きましたよ盲腸で入院したんだって?あっ…。
(カナ)残念だったね同窓会。
うん。
(金本)こないだミホさんが息子さんと一緒に同級生連れてきててね例のシガッチ。
(カナ)春雨サラダの?
(金本)そうそうそう。
俺ミホさんの旦那さんだと勘違いしちゃって恥かいちゃいましたよ。
ふふっ…それがねほんとにそうなりそうなんです。
うわぁ…。
んん〜。
いろいろ変わってるけどやっぱり懐かしいなぁ。
私の席はここだった。
私の席はここ。
ふふふっ。
結構覚えてるもんね…25年も経つのに。
志賀君の席あそこ。
私いつもここから志賀君のこと見てた。
ミホとこうしてるとあのころのこといろいろ思い出すな。
サユリごめん。
どうしたの?急に。
志賀君から言われたの…好きだって。
えっ?結婚を前提につきあってほしいって。
何それ。
私最初断ったのサユリの気持ち知ってるから。
でもね彼タイチのこともちゃんと考えてくれてて…。
正面から私に向き合おうとしてくれる姿見てたらああ〜私もこの人のこと好きだなって…。
もういい!聞きたくない!でもちゃんと話さないとサユリに…。
勝手なこと言わないでよ!ごめん。
でも…自分の気持ちにうそはつけない。
だったら私の気持ちどうなるの?ミホっていっつもそう。
私に話するときにはもう答えは出てる。
ただ自分を肯定してもらいたいだけじゃない。
最初の結婚のときだって私もっと慎重に考えた方がいいって言ったよね。
それなのに結局自分で答え出してさぁ…。
しょうがないじゃない!私はそういうふうにしか生きられないの。
だったら…私なんて必要ないよね。
私昔からミホに憧れてた。
自分をしっかり持ってて失敗してもいつも前向きで…私もそうなれたらいいなって…。
でもね…私はミホみたいに強くなれない。
お待ち。
タイムカプセルに入れた手紙に「大好きな人と結婚して春雨サラダを作ってあげたい」って書いてあったんです。
そんなこと書いたなんて私すっかり忘れてたのに…。
このオルゴールも手紙と一緒に入れてあったんですけど…。

(オルゴールからの音楽「別れの曲」)ああ…「別れの曲」。
これミホが誕生日にくれたんです。
私がこの曲好きだったから。
今の私にぴったり。
笑っちゃいますよね。
そうよ。
笑い飛ばして忘れちゃいなさいよ。
ふふっ。
そうですよね。
よ〜し今日はヤケ食いしちゃおっと。
いただきま〜す。

(オルゴールからの音楽「別れの曲」)う〜ん。
マスター春雨サラダすっごくおいしいです。
そうかい。
ありがとう。

(オルゴールからの音楽「別れの曲」)ふふっ…。
いいんだよ無理に笑わなくたって。
ピシャーン!ゴロゴロ…
(雷鳴)ザァー…
(雨音)ううっ…。
ふふふっ…。
うっ…うう…うう…うっ…うぅ…。
今夜の雨はサユリさんの涙雨かな
ううっ…うぅ…うう〜!うぅ…。

(「別れの曲」)コンおはよう。
あっ…おはようございます。
あぁ…昨日はすみませんでした。
なんかバカみたいに泣いちゃって…。
かまわないよ。
これ捨てちゃおうと思って持ってきたんです。
捨てられるのかい?トントン…
(包丁で切る音)カチッ
(スイッチを切る音)もしもし…。
ミホ…幸せになってね。
私強くなるから。
だから幸せになって。
うん。
ありがとう。
あっ…。
はぁ〜。
春雨の季節はもう終わりだな。
そうですね。
ふふっ。
じゃあ…。
春雨はゆでたあと流水で洗ってしっかり水けを切ります。
具材はきゅうりハムきくらげなどをお好みで。
ドレッシングにネギ油を加えるとコクが出て深みのある味になりますよ。
お待ち。
(志賀)来た来た!マスター私はマカロニサラダね。
あいよ。
ふふっ。
(志賀)えっ?おやすみなさ〜い。
あんたのおっぱい私の若い頃と一緒だわ…。
風船みたいに男と男の間ふわふわ飛び回ってるあんたにねぇ男の善しあし語る資格なんかないわよ!味っていうのはいつまでも忘れないもんなんだな。
いらっしゃい。
いいことなんて一つもないって思ってたけどなんかふっきれそう。
2014/11/17(月) 01:50〜02:20
MBS毎日放送
深夜食堂 3 [多][字]第5話「春雨サラダ」

繁華街の片隅の小さな食堂。営業時間は夜の十二時から朝の七時頃まで。人呼んで『深夜食堂』▽小林薫 粟田麗 辻香緒里 眞島秀和ほか

詳細情報
お知らせ
【解説放送あり】

繁華街の片隅の小さな食堂。営業時間は夜の十二時から朝の七時頃まで。人呼んで「深夜食堂」。メニューは豚汁定食にビール、酒、焼酎、それだけ。あとは勝手に注文すれば、できるものならマスター(小林薫)が出してくれる。
今夜も、小寿々(綾田俊樹)や忠さん(不破万作)たち、お馴染みの面々が、めしやで話に花を咲かせている。
番組内容
シングルマザーのミホ(辻香緒里)が親友サユリ(粟田麗)を連れて店にやってくる。二人は小学校の同窓会幹事をしていて、25年ぶりにタイムカプセルを掘り出すことになっている。マスター(小林薫)に春雨サラダを頼むサユリ。ミホは小学校時代、春雨サラダが大好きで他人の分までもらっていたシガッチ(眞島秀和)のことを思い出すが、サユリが春雨サラダを好きな理由はまさにそのシガッチだった。同窓会を機に再会した三人は…
出演者
マスター…小林薫
小松サユリ…粟田麗
田島ミホ…辻香緒里
志賀しが…眞島秀和
ほか
原作・脚本
【原作】
安倍夜郎「深夜食堂」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載中)

【脚本】
小嶋健作
監督・演出
【監督】
野本史生
音楽
【主題歌】
高橋優「ヤキモチ」(ワーナーミュージック・ジャパン)
制作
【番組HP】
http://www.meshiya.tv/
http://www.mbs.jp/meshiya/
【Twitter】@meshiya
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