こんばんは。
タモリです。
「巨大災害MEGADISASTER」。
これまで4回放送してきましたが今年は想像以上に多くの災害が起きました。
そこで今夜は特に危険性が高くなっている災害についてご覧頂きます。
戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火。
900ヘクトパスカル。
スーパー台風となって接近した台風19号。
日本列島は相次ぐ災害に襲われています。
(雷鳴)更に今後多発が懸念されるのが豪雨による災害です。
広島市では大規模な土砂災害が発生。
豪雨による犠牲者は7月以降だけで90人を超えています。
大気と水そして大地が絶えず循環している星地球。
そのバランスが崩れた時秘められたエネルギーは暴走し私たちに襲いかかります。
荒ぶる地球。
私たちを待ち受ける未来の脅威が姿を現しつつあります。
突然発達し豪雨を引き起こす積乱雲。
(雷鳴)地球温暖化の進行でかつてないほどの猛威を奮い始めています。
積乱雲を生み出すのは大量の水蒸気。
日本列島に流れ込み豪雨を頻発させています。
雨が激しさを増し僅か数時間のうちに大規模な災害が起きるのです。
豪雨をもたらす積乱雲はいつどこで発生するのか。
その手がかりが見つかりました。
僅か10分で急発達する豪雨の卵の存在が浮かび上がってきました。
危険性が高い。
雨はどこまで激しさを増し災害を引き起こしていくのか。
見え始めた異変を最新の科学で分析し将来の豪雨の脅威に迫ります。
タモリさん今年は本当に災害が続きましたね。
多いですね。
スーパー台風出来ましたね。
そうでしたね。
それから御嶽山も噴火しまして。
本当に日本は災害が多いと思いましたね。
今回テーマに取り上げるのは災害の中でも危険性が高まっている豪雨についてです。
気象庁はこの夏の各地の大雨について「平成26年8月豪雨」と名付けて異常気象だったと発表しました。
確かに今年は雨が多かったんですけども将来このまま地球温暖化が進むと今年みたいな年が増えていくと。
これ心配ですよね。
心配ですよね。
そこで今回は今年の異変を徹底的に分析してまた最新の研究と合わせて将来どうなっていくかを見ていきます。
まず初めにこちらのデータをご覧下さい。
1時間に降った雨の量この記録が今年塗り替えられた地点を地図上にまとめてみました。
北海道から沖縄までその数はおよそ50か所あります。
本当に極端ですね雨の降り方。
こういう雨が何時間も降り続いたというケースもあって。
広島市内では3時間に200ミリを超す記録的な雨が観測されたんですね。
すごい量ですね。
この雨の降り方についてちょっと表でまとめてみました。
30ミリ以上で激しい雨という言い方をするんですがその上に1時間に50ミリ以上が「非常に激しい雨」。
「滝のような雨」。
車の運転も危険といわれるレベルなんです。
50ミリはすごいと思います。
更にその上が80ミリ以上の「猛烈な雨」。
80ミリってどうなるんですかこれ。
立ったまま溺れるんじゃないですかね。
「猛烈」という表現ですからね。
大規模な災害もこれぐらいになると起きやすくなる。
ふだん私たちが傘を差してしのげるくらいが1時間に10ミリ程度といわれているのでこれらの雨がいかにすごいかというのが分かりますよね。
日本で豪雨が相次いだ今年。
地球規模で起きている異変によって豪雨が引き起こされていました。
アジアではこの夏から秋にかけて豪雨による災害が多発しました。
中国南部では3日間で平年の月間降水量の1.6倍を記録。
インドでは洪水や土砂災害が相次いで発生し1,000人以上が亡くなりました。
ヒマラヤ山脈では季節外れの大雪も降り吹雪や雪崩で40人以上が亡くなりました。
こうした災害の要因の一つが海水温の上昇です。
今年5月以降世界の海面水温は平年を0.2℃ほど上回り観測史上最も高い状態が続いているのです。
海水温が上がると多くの水蒸気が発生。
海の熱を抱えて上昇していきます。
水蒸気は上空で冷やされると熱を放出しながら次々と水滴に変わります。
その水滴が集まって雲をつくります。
海水温が高くなると雲が出来雨が増えるのです。
今後地球温暖化が進むと豪雨による災害が多発すると危惧されています。
アメリカ大気研究センターのジェラルド・ミールさんです。
青や紫は将来特に雨が強まる地域です。
日本をはじめ人口の多い中緯度帯では一度に降る雨が増えると予想されています。
この夏日本で相次いだ豪雨。
将来の雨の脅威を強く予感させるものでした。
8月の雨量はほぼ全国的に平年を上回り西日本の太平洋側では3倍となりました。
なぜこれほどの雨が降ったのか?注目されているのは地球規模の水蒸気の流れです。
気象庁は人工衛星のデータなどから見えない水蒸気の動きを探っています。
解析を基に初めて映像化したこの夏の世界の水蒸気の動きです。
赤や黄色は特に水蒸気が多い所です。
熱帯の海で大量の水蒸気が生まれ広がっていくのが分かります。
8月上旬日本には台風が相次いで接近。
大量の水蒸気が運ばれてきました。
更に特異な状況が続きます。
東シナ海から帯状になった水蒸気が次々と流れ込みました。
8月西日本に流れ込んだ水蒸気の量は平年の2倍に達していたのです。
西日本に流れ込んだ大量の水蒸気。
地球規模の異変が原因となっていました。
地表近くの風の流れです。
一つ一つの矢印は風の強さと方向を示しています。
8月上旬フィリピン付近で西から東に吹いていた風。
ところが中旬になって風は北東に向きを変えます。
このため東シナ海の水蒸気が日本に送り込まれました。
風の流れを大きく変えたのは遠く離れた熱帯の海でした。
8月インド洋東部と太平洋東部では海水温が平年より高くなっていました。
海から強い上昇気流が生まれます。
それぞれの気流がフィリピン付近で下降します。
この気流が東に向かっていた風の行く手を阻み風向きを変えました。
その結果日本には帯のような大量の水蒸気が流れ込み続けたのです。
科学者たちは今雨の降り方の変化に危機感を強めています。
中でも警戒しているのが僅かな時間で災害を引き起こす短時間豪雨です。
その豪雨は大量の水蒸気から積乱雲が出来た時に発生します。
水蒸気が上空で水滴に変わる時に放出する熱。
大量に水滴が出来ると膨大な熱が生じます。
この熱が空気を温めて上昇気流を生み周りの水蒸気が雲に変わります。
大量の水蒸気は繰り返し上昇気流を生み出しながら危険な積乱雲へと変わっていくのです。
今年短時間豪雨に襲われた広島市。
僅か3時間で200ミリを超える雨が降っていました。
この災害を引き起こした積乱雲から豪雨のメカニズムが見えてきました。
当時のレーダーの画像です。
雲の断面を見ると高さ10キロを超える発達した積乱雲が実に9つも並んでいました。
気象庁気象研究所の加藤輝之さんです。
多くの積乱雲が出来た原因を分析しました。
当時西日本の上空には帯のような水蒸気が流れ込んでいました。
水蒸気の帯は高さ10キロに及んでいます。
その南には地をはうように伸びるもう一つの水蒸気の流れがありました。
加藤さんはこの南からの水蒸気が積乱雲を次々と生み出したと考えています。
当時の天気図です。
太平洋高気圧の縁を回る風。
南からの水蒸気はこの風で運ばれていました。
水蒸気は九州と四国の間を通って広島市に近づいていきます。
この時もし上空の水蒸気がなければ積乱雲が出来てもすぐに蒸発し1時間ほどで消えてしまいます。
雨量は30ミリほどにとどまります。
ところが広島市の上空は水蒸気の帯に覆われていました。
積乱雲は周りが湿っているため蒸発する事なく発達していきます。
水蒸気が流れ込み続けた事で積乱雲が次々と発達し一度に200ミリを超える雨を降らせたのです。
今後増えていくおそれがある短時間豪雨。
防災科学技術研究所の大楽浩司さんは今世紀後半の夏水蒸気がどれほど増えるのか予測しました。
日本の南の海では海面水温が3℃ほど上昇水蒸気は今よりおよそ30%増えます。
太平洋高気圧も勢力を増し南寄りの風が強まります。
この結果流れ込む水蒸気は今より50%増加。
豪雨の危険性が高まるのです。
はあ〜。
なかなか詳しい事が分かってきてるんですね。
そうですね。
さあここからは専門家の方と一緒にお伝えしていきます。
東京大学大気海洋研究所木本昌秀教授です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
水蒸気というと大体我々が感じるのは鍋とかやかんでお湯を沸かした時出るんですけども大気中の水蒸気というのは分かりづらいんですけども湿度が高いという事がいわゆる水蒸気が多いと。
湿度が高いと水蒸気が。
鍋から出るのは湯気ですのであれは水滴ですからどっちかと言うと雲に近いやつ。
鍋から離れていくと見えなくなりますね。
あれ水蒸気ガスになった訳ですよね。
今このスタジオにも水蒸気は…。
あります。
水蒸気があるだけではこれは雨にならない訳ですよね。
水蒸気だけでは駄目なんだけど上昇気流があって雲が出来て雲粒がくっつき合ったり周りの水蒸気を取り込んだりするとどんどん粒が大きくなってこれ以上は浮かんでられる訳にはいきませんよってなると雨になって降ってくる訳ですね。
積乱雲ってカリフラワーみたいな格好してますね。
夏の積乱雲だと見えますけども。
あれは周りの空気を取り込みながら上へ上へ盛り上がって成長してるんですけど周りの空気が乾いてると中が薄まっちゃいますから水蒸気が薄まっちゃいますからなかなか発達しにくい。
だけど周りも湿ってると入ってきた空気までやっぱり湿ってるからあまり薄まらないでもっともっと高く成長できる訳です。
上昇気流もあってあと周りが湿ってると更にまた盛り上がっていくと。
特に上空でね。
もちろん雲が出来る訳ですから下の方は湿ってるんですけども上空行った時に「あれ?乾いちゃってるね」という事になると雲がそれ以上成長しにくくなる訳ですね。
第1集の時も地球温暖化で雨の降り方が変わってくるというお話をされたんですがまさにその事なんですね水蒸気が多いという事は。
大体温度我々の常温ですと温度1℃上がりますと水蒸気7%ぐらい増えるんですね。
地球温暖化で地球全体の温度が2℃上がれば14%増える訳ですよね。
雨は平均雨量はそんなには増えませんけど一回一回の豪雨みたいな雨は7%どころか10%15%1℃当たりですよ。
温暖化で2℃上がっちゃえば20%以上の今より強い雨が降る事になってしまう訳ですね。
温暖化の影響を受けやすいのはやっぱり日本の特質なんですよね。
そうですね。
大陸の東側海の西側というのは非常に湿ってるんですよ。
それは高気圧海にある夏だと海の方が高気圧ですから高気圧が大陸の西の端を通って水蒸気を北へ運ぼうとするからです。
そういう場所に日本はありますので。
水蒸気の通り道にあるって事ですか?そうですね。
ですので梅雨前線はある台風も来るというような事になっててだから同じような緯度にあっても世界中でも日本は雨の非常に多い国ですね。
そうすると雨の降り方って今後元のようには戻らないという事ですよね。
温暖化はもう既にだいぶ進んでおりますしこれからもっとはっきりしてきます。
残念ながらこの傾向は続きます。
戻れません。
こちらのデータをご覧頂きたいんですがこれは東京都内で1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降った頻度回数を示したものでこの30年余りで3倍以上にその数が増えている。
将来豪雨が都市を襲った時どうなるのか。
最新の研究を見ていきます。
(雷鳴)激しさを増す雨によって都市では浸水の危険性が高まっています。
逆流した水が噴き出すマンホール。
雨水が下水道で排水しきれず内水氾濫と呼ばれる現象が起きているのです。
下水管の模型を使った実験です。
流れ込む水が容量を超えた瞬間…。
あふれ出しました。
こうした事が大雨の度に起きているのです。
東京都の下水道は総延長およそ3万キロに及びます。
国も地下に一旦水をためる巨大な施設を造り対策を強化してきました。
しかし激しさを増す雨に対応しきれなくなっています。
東京・板橋区にある下水処理場です。
大雨が降った10月中旬。
大量の雨水を排水するためポンプを操作する作業に追われていました。
雨が降り続けば処理能力を超えるおそれがありました。
将来大都市はほかの地域より雨が激しくなると指摘されています。
東京工業大学の神田学さんは都市を吹き抜ける風の影響に注目しています。
神田さんは東京湾から流れ込む風の動きをスーパーコンピューターで解析しました。
風が建物の影響でまとまり合い巨大な気流になっているのが分かります。
この筋のような気流が積乱雲をより発達させると神田さんは考えています。
大都市では車や建物から大量の熱が発生しています。
神田さんは都市の熱と上空の気流との関係を調べるためビルに見立てたコンクリート製のブロックを使って実験しました。
レーザー光線をあててブロックの間を流れる風を煙を流しながら見ていきます。
煙はブロックの間に入り込み渦を巻くように流れています。
都市を流れる気流がビルの間にたまった熱を取り込んでいる事が分かったのです。
神田さんが考える都市の雨が激しくなるメカニズムです。
海から水蒸気を運ぶ風。
ビルの上空で巨大な気流となり建物の間にたまった熱を取り込みます。
その結果気流に集められた熱が上昇気流を強め積乱雲を急激に発達させます。
今より水蒸気が多くなる将来都市では雨が激しさを増すおそれがあるのです。
都市の雨が激しさを増していくと内水氾濫の危険性が高まります。
早稲田大学の関根正人さんです。
地下街や地下鉄など都市の広大な地下空間が危険にさらされるのではないかと懸念しています。
関根さんは下水管の配置や太さ道路の傾斜などのデータを基にコンピューター上に街を再現しました。
1時間100ミリを超える雨が都心の広い範囲で降り続いたらどうなるのか。
雨による浸水と地下の下水道の流れ方を詳細にシミュレーションしました。
雨が降り始めて20分。
細い網の目のような下水管が緑や青に変わります。
流れる水が次第に増えていきます。
50分を過ぎると容量の限界に達した事を示す赤色が急速に広がっていきます。
下水道が限界を超えた時地上はどうなっているのか。
色がついた道路は内水氾濫によって浸水しています。
赤坂や品川などでは道路が黄色やオレンジ色になり水深が1メートル前後に達しています。
地下の入り口では浸水を防ぐ止水板を乗り越える所も出てきます。
このシミュレーションを基に浸水の被害がどのように広がっていくのか見ていきます。
マンホールから噴き出した水で道路は川のようになります。
水かさが増すと高さ70センチの止水板では防ぎきれません。
止水板の設置が間に合わない所では水が一気に流れ込みます。
地下鉄のホームは1メートル以上浸水。
停電も発生し都市機能がまひ。
多くの人が災害に巻き込まれるおそれがあるのです。
う〜ん。
これは大変な事ですよね。
そうですね。
ここからは社会部災害担当の菅井デスクにも加わってもらいます。
長年災害報道に携わってこのシリーズの取材制作も担当しています。
地下の貯水池というかそういうのは見た事はあるんで調整池ですよね。
巨大なものだったんですけどもそれは1か所ではなくて相当あるんですけどもそれでも将来防げないですかね?確かにそういう施設かなり増えてきていまして最近そういう施設があったおかげで浸水が防げたという事も増えてきてるんですね。
更に東京の場合はこれから30年ぐらいかけて下水道全体の能力を上げていこうという事をやってます。
ただそれがもし完了しても排水できる能力というのは1時間の雨量に換算して75ミリという事なんですね。
全国の主な都市が1時間に何ミリの雨を目標想定して下水道の整備を進めているかというものです。
大半の都市が1時間に50ミリ前後。
そして札幌は35ミリという想定なんですね。
これは目標でしてこういう目標で今整備をしていますという事でまだ達成されてない所もかなりあるんですね。
やっぱり最近の雨の降り方を見てますと今年秋には北海道でも連日猛烈な雨が降るというような事がありましたしこれが整備されてもなかなか防ぎきれないのかな。
浸水の被害というのは全国どこでも今後大きな課題になっていくんじゃないかと考えます。
そうですね。
多くの人が暮らす都市近郊で将来土砂災害の多発が危惧されています。
8月土砂災害で74人が犠牲となった広島市。
崩れた斜面では表層崩壊と呼ばれる現象が起きていました。
表層崩壊は豪雨によって突然発生します。
斜面が1〜2メートルほどの深さから崩れ落ちます。
今後表層崩壊はどれほど起きやすくなるのか。
住宅街によくある裏山を想定した30度の斜面。
広島市の地質と似た土を1メートル余り載せて実験しました。
まず1時間に20ミリの強い雨を降らせます。
斜面に雨水が染み込んでいきますが5時間たっても変化はありませんでした。
同じ条件で1時間に60ミリの非常に激しい雨を降らせます。
実験を始めて2時間。
土の中のセンサーが異変を捉えました。
急激に染み込んだ雨水によって斜面の中で水位が上昇していきます。
実験開始から3時間余り。
斜面が崩壊しました。
たまった水で土砂が浮き上がり一気に崩れたのです。
酒井直樹さんは実験の結果から雨の強さと崩壊するまでの時間の関係を分析しました。
この斜面の場合1時間20ミリの雨ではおよそ10時間で表層崩壊が発生。
雨が60ミリ以上になると2〜3時間ほどで崩壊する事が分かりました。
表層崩壊の危険性はどのような場所で高まるのか。
地質学が専門の鈴木毅彦さんは地層の組み合わせに注目しています。
水を通しにくい層の上に火山灰などの水を通しやすい層が重なっている斜面が特に危険だといいます。
鈴木さんがまとめたデータです。
火山灰が厚く積もった地域と岩が風化して出来たマサ土が多い地域。
これらの地域ではなだらかな斜面でも今後表層崩壊のおそれがあると指摘しています。
う〜ん。
こうやって見ていきますと全国どこでも危ないという感じですね。
そうですね。
日本全国の地滑りマップというのを私持ってるんですけども土砂災害がある地域というのはある程度分かるんですけどね。
大体毎年今年間全国で1,000件前後の土砂災害が起きているんですね。
後でいろいろ調べてみるとやはり同じ所で過去に同じような土砂災害が起きていたりあるいは自治体とか国がここは危険箇所だよと土砂災害危険箇所だよという事で印をつけているような所で起きているという事はかなり多いんですけども問題はそれがきちんと事前に伝わってないというか知らされてないという事が多いんですね。
だから先ほどのVTRに出てきましたけども見ててこれぐらいの傾斜だと土砂崩れはないだろうというふうに思うんですよ。
実験で見るとあるんですよね。
そうですね。
なので今は調べようと思えば例えば県のホームページで危険箇所を公表しているとかいろんな方法でそういった情報を得る事ができますのでやっぱりふだんからそういった情報をなるべく集めてとにかくどういう所に自分が住んでいるのかを知っておくという事がまず第一。
大事だと思います。
被害を防ぐにはまず知るという事。
ほかには何かあるんですかね?もちろん対策はできる限りとってもらわなくてはいけませんけれどもやっぱり逃げれば遭わなくて済む場合もある訳だから集中豪雨なんかは2時間早く情報が出てれば十分助かるという事はありますよね。
水蒸気…雨のもとになる水蒸気の分布を測る。
なるべく早く予測してそれを早く伝えられれば余裕があってちょっと逃げれば大丈夫だったという事はあると思いますのでね。
激化する豪雨からどう命を守るのか。
全国の自治体が抱える大きな課題です。
去年10月伊豆大島では大規模な土砂災害が発生。
36人が死亡3人が行方不明となりました。
雨は予想を超える速さで激しさを増し最大で1時間122.5ミリに達しました。
急激な変化に大島町は住民に避難を呼びかける事ができませんでした。
この災害を教訓に町は雨が強まる前に避難を呼びかけようと取り組んできました。
あれから1年。
台風の接近で再び大雨が予想された伊豆大島。
町役場では翌日の昼前にかけて雨が強まるという予報を基に避難を呼びかけるタイミングを検討していました。
ところが翌日の早朝。
予想より早く雨が強まりました。
台風が接近する前から雨量が多くなっていたのです。
出ました?えっ!北部の地域で土砂災害の危険性が高まりました。
自治体が避難を呼びかける目安にしている土砂災害警戒情報の判定画面。
地域を5キロ四方に分け斜面に染み込む雨の量などから危険度を表します。
島の北部から危険な状態を示す紫色が急速に拡大しました。
町は危険性が高まった地域から避難を呼びかけていきました。
しかし雨や風が強まり避難するのがかえって危険な状態になってきました。
雨を予測しきれず避難の呼びかけを断念せざるをえない地域もあったのです。
豪雨をより早く正確に予測する事はできないのか。
京都大学の中北英一さんは6年前のある災害をきっかけに短時間豪雨の兆候をつかむ研究を進めています。
神戸市の上空が突然積乱雲に覆われました。
天気が急変し滝のような雨が降りだしたのです。
市民の憩いの場となっていた都賀川では僅か10分間で水位が1メートル34センチ上昇しました。
川べりにいた人たちが逃げる間もなく流され小学生を含む5人が亡くなりました。
中北さんは積乱雲の発達を事前に予測できていれば被害は防げたのではないかと考えています。
中北さんは国が設置した高性能のレーダーを活用し発達する積乱雲の特徴を見つけ出そうとしてきました。
従来のレーダーによる観測では地上近くの雨粒を捉えていました。
これでは積乱雲の発達を事前につかむ事はできません。
そこで雨が降りだす前の雲に注目しその内部をレーダーで細かく観察する事にしました。
さまざまな雲を分析した結果積乱雲の発達を予測する手がかりを見つけました。
レーダーが映し出した細い線。
上空に現れた小さな雲です。
10分後巨大な積乱雲になりました。
この間雲の内部ではある現象が起きていました。
小さな雲の中では上昇気流が発生し渦を巻いていました。
上昇気流に乗って雲の中で回転する水滴。
この回転が見つかった雲が豪雨をもたらす積乱雲に発達していたのです。
中北さんが見つけた回転する水滴。
それはいわば豪雨の卵でした。
水滴の回転を見つけ出す事ができればいち早く豪雨の兆候がつかめます。
左は中北さんが分析した雲の画像。
右はその時に降った雨の様子です。
上空に豪雨の卵が現れた段階ではまだ雨は観測されていません。
11分後雨が降り始め一気に激しくなりました。
雨が降りだす10分以上前から豪雨を予測できる可能性が出てきたのです。
中北さんの研究成果を基に国土交通省は試験的に豪雨の予測を始めています。
レーダーで豪雨の卵を捉え積乱雲に発達する可能性を予測します。
1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る確率をリアルタイムで判定。
豪雨の危険性が高くなるにつれて黄色から赤へと表示が変わります。
中北さんたちは豪雨の予測の精度を高め一日も早く実用化したいと考えています。
う〜ん…。
豪雨の卵をつかむ研究っていうのはすごいですね。
そうですね。
実用化にはだんだん近づいているといえると思います。
全国どこも等しくこういう予測の情報が出るようになるまでにはもう少し時間がかかるのかなというふうに思ってます。
ほかにも今後期待される技術というのはあるんでしょうか?まずもう既に打ち上げ成功しましたけれど気象衛星のひまわり新しいの上がりまして今までの30分間隔から10分あるいは日本付近だと2分半の細かい間隔でしかもカラーでそれから水蒸気のバンドも増やしてより正確に早く現象の卵を捉えられるようになるのではないかと期待されてます。
まだちょっと実用化されてませんけどレーザー光線で上空の水蒸気を測る機械とかいろんなデータを集めて処理をして情報を統合的にコンピューターで処理していく技術というのも大事になってきますね。
雨の情報の伝え方にも工夫の余地があるんじゃないかと思うんですが…。
一例なんですけれどもこの8月に広島市で大規模な土砂災害があった時の広島市内の雨量なんですが3時までの1時間それから4時までの1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降っていた。
実はこの土砂災害が起きたのが3時ごろからという事なんですね。
そうなりますと3時の雨量を確認してから呼びかけを…「危ないですよ」と呼びかけたんでは間に合わない訳です。
そこで我々今注目してますのが10分ごとに雨量を見たらどうなるかという事なんですけれども比べますと1時間以上前から降り方の変化というのが見える訳です。
10分に10ミリとか20ミリというような降り方になった時にはちょっと早めに警戒を呼びかけるような取り組みをこれからはもっと積極的にやっていこうというふうに考えています。
でも実際に我々が大雨に遭遇したりなんかする時に現場では情報が分かりづらい伝わりにくいですよね何が何だか…。
大雨なんかですとまず昔からある大雨警報というのがある訳ですけどもそのほかに短時間で豪雨になりますと記録的短時間大雨情報というのが出て更に先ほど大島でもありましたけれども土砂災害警戒情報。
今度川の水位が上がると氾濫危険情報とか氾濫警戒情報と非常に多くの情報が…。
本来はそれぞれ大事な意味があるんですけれど年々本当に伝えたい危機感とか情報の意味みたいのが伝わりにくくなってきてるなと。
そうなんですよね。
これからの時代にふさわしい情報がどういうものか。
分かりやすく伝えるには我々メディア自身も含めて考えていかなきゃいけない課題だというふうに考えています。
地球温暖化や何かのせいで既に豪雨も増えてきておりますので今までの常識今までの経験が通用しない。
まさかこの場所でこうなるまいというのが起こる時代になってきましたから。
予報や観測ももちろん一生懸命やりますけれども限界はありますのでやはり最後は「俺はこういう時にはこういう所へ逃げるんだ」。
早くから心構え準備をして頂くというのが一番大事な事だと思いますね。
そういう危機意識を私たちも持たないといけませんね。
やっぱり最終的には自分で一応の事を情報を集めておいて想定しておく事でしょうね。
でとにかく逃げる。
卑怯と言われてもまず逃げるという事が大事じゃないですかね。
都市の背後に山が迫る神戸市。
豪雨による災害から命を守るための挑戦が始まっています。
兵庫県は地元の科学者と共同で土砂災害を事前に予測するシステムの開発を進めています。
山の地形を精密に再現。
土地を10メートル四方に区切って危険性を細かく分析します。
斜面の傾きや表面の土の厚さ地下水の状態など詳細なデータを重ねていきます。
実際に雨が降った時どこが危険なのか具体的に判定。
結果をリアルタイムで公表し迅速な避難につなげたいと考えています。
世界に先駆けて打ち上げられた…来年夏の運用開始に向けた準備が進められています。
観測の頻度は従来の12倍。
解像度は4倍に向上。
水蒸気や雲の動きを詳細に捉え豪雨の兆候をつかもうとしています。
そしてスーパーコンピューターを駆使した究極の研究が動き始めています。
大気中の水蒸気が雲に変わる前からいつどこで豪雨が発生するか予測しようというのです。
日本が直面する豪雨の時代。
避ける事のできない脅威からどう命を守り未来を切り開くのか。
私たちはその答えを見つけ出していくのです。
2014/11/17(月) 00:50〜01:50
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル 巨大災害 地球大変動の衝撃「日本に迫る脅威 激化する豪雨」[字][再]
記録的な大雨によって水害や土砂災害が相次ぐ日本。その原因が、地球規模で進む海水温上昇と大気の異変にあることが分かってきた。激化する豪雨にどう備えるか。司会タモリ
詳細情報
番組内容
今年、西日本の太平洋側で史上最多の雨が降り、全国的にも大雨によって土砂災害や水害が相次いで発生した日本。最新の研究から日本列島に流れ込んだ大量の水蒸気が豪雨をもたらしていたことが明らかになってきた。科学者たちは、地球温暖化が進むと雨はさらに激しさを増し、大都市に深刻な被害を引き起こしていくと指摘している。番組では、地球規模の視点から日本を襲う豪雨を徹底的に解明。どう備えればよいのかを考えていく。
出演者
【司会】タモリ,上條倫子,【ゲスト】東京大学大気海洋研究所教授…木本昌秀,【解説】菅井賢治,【語り】武内陶子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番
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