美の壺・選「ブラウス」 2014.11.16

(テーマ音楽)う〜ん困ったなぁ…。
草刈さん?どうしたんですか?いやもうすぐ奥さんの誕生日なんだけどね…。
プレゼント何がいいかな〜って悩んでるんだよね。
アクセサリーもいろいろあげたしマフラーやバッグもあげたし…。
う〜ん何がいいかな。
それじゃあこれはいかがですか?うん?女性らしさをさりげなく演出できる定番アイテム「ブラウス」。
スカートやパンツに組み合わせて。
シンプルだからこそ難しいコーディネートです。
起源は11世紀頃にフランスで作業着として着られていたリネン地の「ブリオー」。
貴族の間でも19世紀巨大なスカートが姿を消す頃着られるようになりました。
身分を隠した王女役のオードリー・ヘプバーンが普通の女性を演じる時に身に着けたのがあの白いブラウス。
活動的で生き生きとした主人公を表現していました。
(悲鳴)ブラウスの魅力とは何か。
そして今年の流行を聞いてみました。
イメージとしてはフェミニンさの象徴ということが一番だと思います。
今年の秋冬もたくさんのブラウスが出てるんですけども第1に注目していただきたいのがシフォンのブラウスです。
とってもセクシーなんですがちょっとハードな装飾的なジャケットとあわせてハードアンドソフトな感じを楽しむのがいいと思います。
衣服の裾をスカートに入れた時にできるゆったりした膨らみをブラウジングといいます。
それが語源ともいわれているブラウス。
今日はファッション界をリードする専門家があなたの知らないブラウスの世界へご案内します。
はぁブラウスかぁ。
確かに奥さんよく着てるよなぁ。
1枚でも着れるし重ね着でも着れるし。
ああいいなぁ。
決まり。
でもブラウスとひと口に言ってもクラシカルなものからワイシャツっぽいものまでいろいろあるんですよ。
そっか。
じゃあちょっと奥さんのワードローブを確認したほうがよさそうだね。
よし。
京都にあるシャツ専門店。
こちらでは男性でも女性でも自分の体にぴったりと合うシャツやブラウスに出会うことができます。
というのも特に女性は体型が複雑。
通常サイズ展開が少なく合う物を見つけるのは難しいんですって。
シャツを知り尽くした…ブラウスを選ぶ際にまず注意すべきポイントがあるといいます。
それはしわ。
しわの寄り方でブラウスが体に合っているかどうか見極めることができるそうです。
シルエットが悪いものを着るとそれは結果的に体に合ってないということですから前だけじゃなくて横も後ろもチェックして選んだほうがいいです。
今日一つ目の「壺」。
重要なのはシルエット。
肩のサイズが大きいものを着ると前も後ろもテント形に膨らんで不格好になってしまいます。
また腕を挙げたときに裾も一緒に上がってしまうのは肩の運動を計算に入れた遊びの部分が適していないということ。
肩が大きいので少しつまんでいくと全体的なシルエットもきれいに収まってきますし腕を挙げたときに脇が上がらなくなるということで肩周りのサイズが合ってるということが非常に重要だと思います。
肩を合わせたことで裾が引っ張られずシルエットが崩れません。
肩を詰めるときつくなってさらに裾が上がってしまいそうですがそう単純ではないんですね。
またバストに合っていないものを着ると生地が前に引っ張られ背中にまっすぐな線が入ってしまいます。
前から見て特に問題が見当たらないだけに注意が必要です。
さらにこちらにも注目。
裾の辺りにしわができています。
上に着るものなので肩とかバストとかを気にしがちですが案外ヒップ回りのサイズに合わないシャツを着るとウェスト辺りでつかえてしまってここにもラインが入ってしまう。
あなたの周りにもこんなブラウス姿の人いませんか?背中のしわを見ることで体に合ったブラウスかどうかを見極めることができます。
では美しいシルエットはどのように作られるのでしょうか。
森蔭さんが最初に描くのがアイデアスケッチ。
すでにディテールまで細かく描き込みがされています。
紙の上での作業はここまで。
次に布をボディに当てながら姿を探っていきます。
まずこういうものを作ろうというのが頭の中にあったり絵を描いたりというのがあって…それをまず最初に考えます。
森蔭さんははじめから人間の体をイメージし立体で確認しながら細部を詰め最後に型紙に落としていたのです。
出来上がったのは着心地のいい理想的なブラウス。
肌に割と近いものですから着ていてストレスがないのと同時に体にフィットするわけではなく…それを作るというのが僕の良いと思うシャツですね。
女性らしい曲線を生かしたシルエット。
ブラウスならではの美しさです。
男性用シャツは白とか綿素材というイメージが強いんだけどブラウスにはいろんな素材があるんだね。
へえ知らなかったな。
男性のシャツとは違いますからね。
それは麻。
へえ。
そっちはシルクですよ。
へえ。
ブラウスは生地から楽しめるんだ。
ブラウスの素材はいろいろあるんです。
洗濯がしやすく丈夫な綿。
風通しがいい麻。
1枚でも暖かいウール。
パリコレで発表するなど世界的に活躍している…スカイツリーのスタッフの制服をデザインし話題になりました。
皆川さんの軽やかで優しいブラウス。
作る時どんなことを大切にするのでしょうか。
顔の近くにあるブラウスというアイテムでどのように表現するかというのはとても重要だなと思ってます。
独特の世界観を持つことで知られる皆川さんですがその作業の進め方は少し変わっています。
最初に書くのはなんと文章。
心に浮かんだことを一度言葉にします。
その後鍵となるモチーフを描きあたためていきます。
今感じてる中でも強いものを1つ抽出してそれでそこにある風景や景色や条件みたいなことを頭に置きながら図案や素材をつくるというふうにしたほうが自分の中の一番強い部分がきちんと表現される。
「ソーダウォーター」「タンバリン」「ランランラン」デザインしたテキスタイルにはすべて名前が付いています。
物語のある風景を図案に盛り込むことで生地からイメージが膨らみ服の世界観をさらに広げていくそうです。
素材柄形が一体となって醸し出される皆川さんの世界観。
例えば袖にはゆったりとした膨らみを作りまた袖口を斜めにすることで女性ならではの仕草を美しく見せます。
それが柄の世界とも響き合っているのです。
今日二つ目の「壺」。
こちらはビビッドな図柄がプリントされたブラウス。
北欧の港に集まる鳥たちがおしゃべりしている楽しい様子が伝わってきます。
こちらは細かな刺繍が全面にあしらわれたブラウス。
満点の星のようでもあり花畑のようでもあり。
実はこの2つのブラウス形が同じ。
でも描かれた風景によって着る人の雰囲気を変えるのです。
2つの風景をまとった気分はどうだったのでしょうか。
デザインの意図を表現するのが得意な…クールだったりかわいらしかったり印象がすごく変わるのできっと着る人によっても表情だったりあとしぐさすらも変わってくると思いました。
それでは皆川さんの描いたさまざまな風景をお楽しみください。
テーマは「花」です。
ブラウスいっぱいに広がる花。
さまざまに咲き乱れ何かをお祝いしているような華やかな雰囲気です。
刺繍にすることで躍動感を感じます。
そしてこちらはちょっと寂しげな花。
太い鉛筆で荒く描くことで冷たい風に吹かれて耐えているようなたくましい印象があります。
花そのものの表情ももちろん大事ですけれどもそれがどのような場所に咲いているかとかそこにはどんな風が吹いているかとか…そういうものを布の中にできるだけ表現したいなと…。
皆川さんの風景への思いはさらに製造の現場へとリレーされていきます。
この工場では機械でありながら手仕事のような風合いを出すことを得意としています。
今作っている生地の技法は…皆川さんからの指示は2段階に分けて2色を刺繍するという凝ったものです。
1ミリにも満たないズレも許されません。
さらにステッチの一つ一つに向きや重ね具合にまで要望が及びます。
この複雑で繊細な工程は職人の工夫によって支えられています。
例えば花の部分はステッチを重ねることで厚みを出し花びらの丸みを表しています。
思いのバトンは製造の現場から今度は着る人へ。
ブラウスに限らずジャケットコートなど一家3人で皆川ファンの家族がいます。
描かれた風景は着ている人の日常にも彩りを与えてくれるんですね。
今ね電話で探りを入れてみたらブローチみたいな大きなボタンのついたクラシカルなブラウスが欲しいって。
ずいぶん具体的だよね。
草刈さん。
ボタンはアクセサリー感覚でも使われていて今大人気なんです。
へえそうなの。
へえ。
ボタンなんか気にしたことなかったなぁ。
ファッション好きの集まる街ではボタンの専門店を見かけます。
色とりどりのボタンは洋服のアレンジに使ったりアクセサリーとしても人気なんです。
ボタンだけで全部違っちゃうんですお洋服が。
今っぽくなったり若くなったりするので割とボタンは頼りにしています。
値段も素材も大きさもさまざまなボタン。
凝って選んでみるのも楽しいものですよ。
こちらは銀座にあるオーダーメイドの店。
お客さんとブラウスのデザインの打ち合わせをしています。
…カジュアルなのでもう少し襟元を詰める感じにするとか…。
ボディから離れる空間がある方が今年の気分という感じなので…。
やはりブラウスというのはディテールとかボタン形というものに一番こだわって作りたいアイテムだと思ってお願いすることにしました。
庄司博美さんは打ち合わせ後まずは仮縫い用の生地でブラウスを作ります。
そこでお客さんの要望を吟味してより洗練させていくのです。
ブラウスってデザインの要素に…ご要望を伺いながら襟の表情やボタンのニュアンスを変えたりして出せればなぁと思いますね。
その人らしさを出すために庄司さんが向かったのは創業60年を超える老舗のボタン専門店。
ここには国内外のボタンが収められオーソドックスなものからアンティークの一点物までその数4,000種類以上だとか。
ボタン選びはブラウス作りの勝負どころ。
今回は女性らしい中にも凛とした気品のあるボタンを選びました。
洋服のボタンを決めるのって大体最後の最後になると思います。
そこでどう選ぶかによって洋服は本当に変わってしまってその人に合うもの合わないもの。
素材でランクアップする方法もあります。
数日後。
あ…。
こちらでございます。
すてきですね。
肩も合いましたね。
決め手はやっぱりボタン。
ブラウスの魅力をいっそう引き立てています。
キラキラして…。
今日最後の「壺」は…。
こちらは世界各国のボタンを集めた博物館。
15世紀のヨーロッパでは高価な宝石をボタンがわりに使うことがはやりました。
ボタンは機能だけでなく装飾性を併せ持ち小さな美術工芸品として愛されてきました。
こちらは18世紀のイギリスで流行したボタン。
さまざまな水辺の景色。
思わずひき込まれてしまいます。
よく見ると…。
手前のガラスには岸を描き奥の象牙の板には海と船を描くことで遠近感を表しています。
そしてこちらは石版画の技法で女性の写真を写したボタン。
19世紀上流階級ではあこがれの女性をボタンにして持ち歩くことが人気でした。
ボタンって服が朽ちてもまだ使えるものなんですね。
ですから昔から代々家宝として受け継がれ残されてきました。
おばあちゃんの大切な服から取ったボタンを思い入れを込めて孫に引き継ぐということが行われてきました。
時代を超え受け継がれてきたヨーロッパのボタン。
でも私たちの身近にもそんなボタンありませんか?料理や洋服など暮らし回りのスタイリングを手がける…伊藤さんが持ってきてくれたのはお母さんから譲り受けたという思い出の詰まったボタン。
子供の頃お母さんによく洋服を作ってもらったそうです。
ブラウスとかワンピースを作るときに「このボタンを付けて」って選んでその後に出来上がってすごくうれしいんですけどつけづらい。
何ていうか…やりづらいんですけどアクセサリーをつけてるみたいでうれしかった記憶があります。
さらにボタンには大切な意味があります。
遠足とか学芸会のときは服を新調してくれたんですけどその時これを付けてくれたなぁとか…アルバム見てるみたいな感じかな。
伊藤さんが作ったブラウス。
お母さんから受け継いだ貝のボタンです。
思い出のボタンを付けることで2014/11/16(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「ブラウス」[字]

身近なテーマを3つのツボで指南する美術番組。今回は「ブラウス」。美しいシルエット、生地模様の詩的な世界、ブラウスを変身させる個性ボタンの技まで。案内役:草刈正雄

詳細情報
番組内容
女性ならではのファッションアイテム、ブラウス。年じゅう着まわせる服として愛される一方、美しく着こなすのはシンプルだからこそ難しい。女性らしい「シルエット」のブラウスは、どうやって選ぶのか? 日常に彩りを添える、ブラウスの「生地に描かれた風景」とは? そしてブラウスに魔法をかける魅惑のアイテム・「ボタン」の魅力とは? ブラウスの美に酔いながら、着こなしのツボも学べるオシャレ女性のための30分間。
出演者
【司会】草刈正雄,【語り】礒野佑子

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

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サンプリングレート : 48kHz

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