THE世界遺産【世界一の巨木とクマの王国〜アメリカ】 2014.10.19

アメリカ西海岸から内陸へ300キロ
高さ1000メートルを超える絶壁が現れました
ヨセミテ渓谷です
大きなマットを背負った不思議な一団が
谷底を歩いていました
行き先は巨大な岩
道具を使わず素手で登るそうです
マットは安全対策
謎めいたマークは
「ジグザグに登れ」という意味
僅かな岩のへこみに手足をかけ体を持ち上げます
これが…
ここヨセミテで生まれたスポーツです
多くのクライマーがこの岩に挑みますが
登頂できる者は数えるほど
征服しました
ヨセミテには大きな岩がごろごろ
今日の世界遺産は…
最もアメリカらしい風景が残されています
崖から豪快に流れ落ちる滝
深い谷は…
そこに世界一の巨木が立ち並んでいました
大人も子供も一点にくぎづけ
双眼鏡を片手に何かを見上げています
はるか上空に
人の姿がありました
絶壁をクライマーは
4〜5日かけてよじ登ります
崖にぶら下がったまま
食事も睡眠も行うのです
この岩は硬い花崗岩
世界最大の一枚岩で
こう呼ばれています
地中で固まったマグマが隆起して
むき出しになったのです
1つ目の驚きは…
4000メートル級の山々が連なる…
その西側がヨセミテ国立公園です
U字型の深い谷が12キロも続きます
崖の上から雪解け水が流れ落ちていました
絶壁ばかりの大渓谷
落差の大きな滝が無数にあります
なぜこんな地形が生まれたのでしょうか?
岩肌を見るとゴツゴツしたところが一切なく
滑らかです
実はヨセミテの谷は大昔
氷河に覆われていました
氷河が流れることで岩山を削り
磨き上げたのです
氷河はまるで紙やすりのようなものです全長600キロほどある巨大な紙やすりが何万年もの間動き続け硬い岩にやすりをかけるように削っていったのです
氷河が磨いた岩肌の上に
岩がごろり
氷河に乗って
はるか遠い場所から運ばれた岩です
こう呼ばれています
見比べると
この一帯の岩盤とは異なる岩だと分かります
氷河が動いていた証拠です
ヨセミテに大量に降り積もった雪が
厚さ1000メートルもの氷河になりました
氷河は岩山を削っていきました
そして1万年前氷河期が終わり
氷が消えると大渓谷が現れたのです
ヨセミテをつくり出した氷河は
標高3980メートルのデイナ山に
僅かに残されています
最後の氷河を見に行きます
足場はかなり悪い
氷河が岩山を砕いたがれきで埋め尽くされています
標高3000メートル
岩だらけの山に生きる動物がいました
寒冷地を好む彼らは氷河期が終わると
寒いヨセミテの高地に逃げ込みました
空気は薄くなり足取りも重くなるばかり
その先に…
氷河です
巨大な渓谷を削り出した氷河は
今ではたった350メートルほど
山の斜面に残されていました
氷河の下で湖が青く輝きます
氷河が削った岩の
細かい粒子が湖に溶け
太陽の光を青く反射させるのです
湖のほとりを歩きもっと近くへ
これが氷河の最後の姿です
このまま地球の温暖化が進めば
あと数十年の間に消えてしまうと言われます
目の前で氷河は解けていました
かつて谷を覆った氷河は
ドーム型の岩山も半分にそぎ落としました
氷河がつくった地形が
今もそのまま残るヨセミテ国立公園は…
ヨセミテ渓谷にはいくつもキャンプ場があり
大自然をゆったり楽しめます
世界中からクライマーが集まるこのキャンプ場で
1960年代注目のスポーツが生まれました
それが…
木と木の間に張った
揺れるテープの上を歩きます
最初はクライマー達が
使い古しのロープで始めたお遊びでした
やがてバランス感覚を鍛えるトレーニングとして定着
それ自体がスポーツになりました
上級者になると
こんな技もできるんです
今スラックラインの競技人口は150万人
世界大会も開かれるほどです
アメリカで最も人気が高いヨセミテ国立公園
年間の観光客は400万人を超えます
トレッキングルートがいくつも用意され
手つかずの大自然の中を歩くことができます
その一つが…
滝の水しぶきが霧のように降りかかるルートです
絶景に息をのみます
川沿いの草原でよく見られるのが…
ヨセミテには哺乳類だけで
80種が生息しています
19世紀の終わりヨセミテはアメリカで初めて
景観保護区になりました
たくさんの人達にこの自然を見て
楽しんでもらうためでした
渓谷の住人がクマ
北米で最も小柄なクマですが
体長は2メートルにもなります
その数500頭
ここはクマの王国なのです
レンジャーが猛ダッシュ!
一体何が?
2つ目の驚きは…
観光客が見つめる森
木の上でゴソゴソと動いていたのは
クマ
木登りが得意な…
一心不乱にリンゴを食べています
ふと動きを止めました
じっと見つめる先には…
集まるシカ達
クマが落とすリンゴを待ちます
でも…
大きな音にビックリ
このクマよく見ると耳に番号が
首には頑丈そうな首輪が付いています
ヨセミテでは2014年から
人とクマの間の事故を防ぐため
新たな試みを始めました
これがGPS付きの首輪です1時間ごとにクマがどこにいるかデータが送られてくるのでクマの居場所をほぼリアルタイムで確認できます現在キャンプ場に出てきた6頭のクマに首輪を付け追跡しています
そのとき緊急の無線連絡が入りました
キャンプ場にクマが出没
万が一に備えてゴムの弾を入れた銃を手に
現場へ向かいます
スタッフの主な仕事は500頭のクマを監視し
クマと人間のトラブルを防ぐこと
いわばクマ特捜隊です
左に動いてるぞ
現れたのはGPSを付けたクマ
キャンプ場の周辺をうろうろし続けています
クマが発信する電波を追いかけます
ここは1日に何千人という人達が通りますだから安全を見届けなければならないんですよ
キャンプ場や遊歩道の近くにクマが出没したとき
クマを遠くへ導くのも彼らの仕事です
一定の距離を保ちながら見張り続けます
クマが道に入った瞬間
彼らは大声を出し追い立てます
(大声で追い立てる)
(大声で追い立てる)
クマがキャンプ場に近づくのは
食べ物があることを知っているからです
ヨセミテでは食べ物は全て
鍵のかかるロッカーにしまうことが
義務づけられています
ゴミ箱もクマが開けられないように
ロックします
人間の食べ物に近づけない
それがクマを守ることにつながるのです
これまでの努力で
キャンプ場に近づくクマが減ってきました
森にすみ木の実や昆虫などを好んで食べる
アメリカグマ
豊かな森には十分な食べ物があります
ここは500頭が暮らすクマの王国です
シエラ・ネヴァダ山脈から流れる水が
ヨセミテにおいしい名物をもたらしました
観光拠点の町にあるお店をのぞくと…
ありました
ヨセミテ名物の地ビールです
2年前にオープンしたばかりですが
このビールで大繁盛
店の奥の大きなタンクで自家醸造しています
つまりできたての生が飲めるというわけ
ビールの原料は
大麦もホップも全て地元産
しかもオーガニック
そして一番のこだわりが
よい水
シエラ・ネヴァダ山脈から新鮮な湧き水を引いていますきれいな水でビール造りに最適ですよ
トレッキングのあとの楽しみ
1杯のグラスに
ヨセミテの自然が詰まっています
ヨセミテの空を曇らす黒い煙
カメラの目の前で山火事が発生しました
ところがこの山火事が
世界一の巨木を守っています
なぜでしょう?
ヨセミテ一帯には
世界一の巨木がそびえたっています
小型の無線ヘリで上空へ
幹回りは30メートル
高さは80メートル
世界一体積の大きな木です
3つ目の驚きは…
ジャイアント・セコイアの森
まるで巨木の摩天楼です
この森にはおよそ500本の大きなセコイアが生えていますがこれは中くらいのサイズです樹齢は恐らく1200年くらいですかね
世界一の巨木が
なぜ千年以上も立っていられるのでしょうか?
レンジャーが秘密を教えてくれました
90年ほど前の道路建設で地面を切り開いたときに現れた根っこですさっきの木から伸びているんですよセコイアの根は地下深くには伸びず横へ横へと広がるんです
実際の根の長さを測ってみました
巻き尺はどんどん伸びていきます
74フィート
およそ23メートルです
巨木は根を横に長く伸ばし
ほかの木の根と絡めています
森全体で支え合い立っているのです
これはジャイアント・セコイアの種
実はヨセミテで度々起こる山火事がなければ
小さな種が芽吹くことはできません
山火事で木が間引かれることで
太陽の光が地面に届き
種が芽吹きます
燃えた灰も肥料になるのです
焼け落ちた木のすぐ近くで
若い木が育っていました
グリズリー・ジャイアントは
ヨセミテで一番大きな木です
樹齢1800年の森の長老
山火事をいくつも乗り越えてきました
根元は焼け焦げて真っ黒ですが
立ち続けています
分厚い樹皮が木を守ってきたのです
立ち並ぶ世界一の巨木
ヨセミテの美しい大渓谷は
人々を魅了してきました
アメリカの原風景が
ここにあります
2014/10/19(日) 18:00〜18:30
MBS毎日放送
THE世界遺産[字]【世界一の巨木とクマの王国〜アメリカ】

高さ1000mの絶壁が聳える「ヨセミテ国立公園」はクライマーの聖地。世界一の巨木セコイアの森でクマと遭遇!観光客と野生動物が共存するために取り組む人々に密着!

詳細情報
お知らせ
【遺産情報】
<遺産名>ヨセミテ国立公園 <国名>アメリカ <登録年>1984年 <登録基準>(

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