膝をつきまるで捕らわれているかのように後ろで手を組んだ女性像。
その不安定な姿勢でまっすぐ天を見上げています。
絶望と希望。
人間の内なる魂を表現した…日本の近代彫刻の幕開けを告げる傑作です。
明治の終わりから昭和の初め若き芸術家たちが集ったサロンの展覧会です。
明治の終わり東京・新宿に1軒のパン屋が店を構えました。
その名前は中村屋。
創業者の相馬愛蔵と黒光夫妻は芸術に深い造詣があり多くの芸術家や文人たちが出入りするようになります。
切磋琢磨する中で多くの若い才能が花開き後に中村屋サロンと呼ばれる事となりました。
中心的な存在だったのが愛蔵と同郷の荻原守衛です。
荻原は留学先のパリでロダンに衝撃を受け彫刻を志します。
大胆な造形で人間の内面を捉えようとする作品は当時の日本の彫刻に影響を与えました。
帰国後荻原を慕って多くの芸術仲間が中村屋を訪れるようになります。
戸張孤雁の「虚無」。
繊細な肉体表現で人間の孤独に迫りました。
戸張はアメリカで挿絵を学んでいた時荻原と出会います。
荻原が亡くなったあと粘土をもらい受け彫刻家へと転身しました。
詩人として知られる高村光太郎。
菩薩の手にヒントを得たという代表作です。
高村もロダンに心酔し荻原と共に彫刻の未来を夢見ました。
サロンには画家たちも集い新しい表現を模索しました。
洋画家柳敬助は人間性を描き出す肖像画を多く制作しました。
少女のあどけなさと気丈さが同居しています。
中村彝が相馬家の長女俊子を描いた作品です。
身を乗り出しこちらを見つめるまなざしは画家とモデルの親密な距離感を伝えています。
結核を患い病弱の身であった彝は俊子の輝かんばかりの健康美に惹かれルノワールやレンブラントに学んだ実験的な作品を残しました。
当時ではやはり美術団体というものがありましたのでその制約に縛られていたという事がかなりあります。
でも中村屋サロンの芸術家たちというのはそういった制約から解き放された場所で制作活動を行いましたので自分の感情であったりお互いの交流であったりそういう形の中から作品を生み出す事ができたわけです。
セザンヌが描いた故郷フランスプロヴァンスの風景です。
柔らかな緑と赤い大地。
永井荷風はフランスを訪れ「芸術のためにこの自然が出来上がっているとしか思えない」とつづりました。
日本人が憧れを抱くフランス。
絵画を通してその魅力を見つめる展覧会です。
太陽が沈みゆく幻想的な光景。
ノルマンディー地方の海岸は印象派の画家たちが愛した光の聖地です。
若きモネは画家として成功する夢を抱きながら見る度に表情を変える断崖を描き続けました。
ルノワールは幸福感に満ちた女性たちを多く描きました。
伝統的な構図の肖像画を印象派の鮮やかな色使いで仕上げています。
豪華に着飾り王妃のように堂々とした女性の表情は気品に満ちあふれています。
パリを愛した女流画家マリー・ローランサンは淡く甘い色彩で夢の世界のパリジェンヌを描きました。
詩的で憂いをたたえたような女性像に多くの日本人が魅了されました。
江戸の面影を洗練されたタッチで描いた画家小村雪岱の展覧会です。
雪岱の名前を世に広めたのは新聞小説の挿絵。
色気のある繊細な墨の線が評判となります。
余白を生かした構図で小説の世界を格調高く表現しました。
個性の強い登場人物を雪岱は限りなくシンプルに描きました。
表情にかすかな情感を感じさせる事。
それが雪岱の美学です。
美術館に収まるまで作品はどんな人の手をたどってきたのか。
絵の履歴に注目します。
この作品を所蔵していたのは古賀春江の友人川端康成。
むしばまれた魂がのぞいているようだと語っていました。
金色の雲と生い茂るススキ。
秋の武蔵野を描いたこの屏風は江戸時代持ち主と共に長い旅をしたとされています。
愛知から佐賀そして静岡。
行くさきざきで遠い武蔵野の地を想像させたのでしょうか。
戦後の日本を描いた画家堀内康司の生涯をたどります。
堀内は幼くして両親を亡くし孤児として父の故郷信州で育ちました。
苦境の中で絵に没頭し独自の画風を追い求めます。
20代で上京。
孤独に生きる都会の人々を見つめました。
神話に登場する神スサノヲをテーマに太古から現代までの作品を集めました。
江戸時代狩野時信が描いたのはスサノヲがヤマタノオロチを退治する場面。
力強いスサノヲの姿です。
彫刻家佐々木誠が作品にしたのは亡き母イザナミを慕って涙するスサノヲ。
ひげが胸に届くまでいつまでも泣き続けたと伝えられています。
1,300年前に編纂された「古事記」の魅力を五感で感じる展覧会です。
「古事記」の神話はさまざまな画家の手で描き継がれてきました。
天照大御神が天の岩屋に閉じこもった場面。
神々が暗闇の中で火をたきにぎやかに踊って外に誘い出そうとします。
その直後の場面を描いたのは3代目歌川豊国。
天照大御神が現れ世界は再び光を取り戻しました。
「古事記」の世界をゲームを通して体感できる作品も。
リズムに合わせステップを踏むと…。
天の岩屋が開きゲームはクリア。
2014/11/16(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン▽中村屋サロン−ここで生まれた、ここから生まれた−展 [字]
「中村屋サロン—ここで生まれた、ここから生まれた—」(中村屋サロン美術館 10月29日〜2月15日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「中村屋サロン—ここで生まれた、ここから生まれた—」(中村屋サロン美術館 10月29日〜2月15日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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