近代の戦争
その原因の一つは限りある資源の奪い合い
しかし今奪い合うことのない
夢のエネルギーが生まれようとしている
それは石炭よりも高温で長く燃え
鉄をも溶かすスーパー燃料
さらに石炭は出来上がるまでに3000万年
しかしこの燃料はたったの1時間でできる
しかもその原料は
世界のどの国にもたくさん存在するあるもの
(井田)ええとこやでこれで作ったらええのんできるで
開発したのは…
この男の夢とは
このスーパー燃料で…IhaveadreamWehaveadream!
井田はここでエネルギーの世界地図を塗り替えようと
スーパー燃料の研究を行っている
一体どれほどの能力があるのか
わずか2cm親指ほどの燃料に火をつけてみる
小さいながらも温度は1000度以上
実に20分間も燃え続けた
これは石炭の1.5倍の長さだという
さらに燃え方を比べてみると…
石炭からは黒い煙が
一方井田の燃料からは黒い煙が出ない
さらに発生する二酸化炭素の量は
石炭の3分の1に抑えられる
でも一体何からできているんでしょう?
ヒントはにおい
うん〜?こりゃまた何のにおいでしょうか?
そう原料はお茶を飲んだ後のかす
そして鉛筆
また木の枝やもみ殻など…
果物や野菜くずからでも作り出せる燃料
その名は…
日本は今石炭で支えられてるエネルギー需要を持ってますんでそれを代替できるとかそれを超えるような燃料に持っていかないといけないなと思いますね
石炭の代わりとなるバイオコークス
世界にはそのもととなる植物のゴミが眠っている
最大の米生産国中国にはもみ殻
フィリピンにはココナッツ
インドにはバナナの皮がある
カカオやコーヒーからは莫大な実のかすが取れる
ここにも大量の植物のゴミがある
それは…
この実からオイルをしぼり取り
食用油や化粧品などの材料として各国へと輸出している
そのしぼりかすなどのゴミは…
こちらがプランテーションからいただいてきたこんなひげっぽい原料なんですけどこれを今バイオコークスにしようという
このゴミの山は井田にとって…
これをバイオコークスに生まれ変わらせようというのだ
あらゆる植物から作ることができるバイオコークス
その作り方は石炭ができる自然の力に似ているという
そもそも石炭はどうやってできるのか?
数億年前の地球
倒れた植物に土砂が次々と覆いかぶさった
地中に埋まった植物は土砂の圧力で押し固められ
さらに地熱によって焦がされていった
そして3000万年以上の時を経て
石のように硬くなり石炭へと生まれ変わった
この3000万年という自然の力を
井田は短時間で再現させるという
一体どんな最先端の技術を使うのか?
これが反応容器なんですけれども
取り出したのは普通の鉄のパイプに
ふたのようなもの
これで自然の力を再現させるという
まずは粉末にしたお茶のかすを鉄パイプに入れ
上から圧力をかける
これは地中に埋まった植物が
土砂の圧力で押しつぶされていくのを再現
そして圧力をかけたまま
電気炉で天ぷらを揚げるくらいの温度180度で15分ほど加熱
(アラーム)
その後扇風機で一気に冷却
非常にシンプルな過程なんですが
(スタッフ)これで終わりなんですか?完璧に反応してるんじゃないですかねホントにお茶のいい香りしますよねお茶飲んだときのような
(スタッフ)こんな簡単にできるものなんですか?
この技術を研究者の前で披露したときもそうだった
あまりにも単純な方法のため…
手品のタネを見破ろうかのごとく井田の手元ばかりを見つめる始末
シンプルすぎるがゆえ専門家であるほど信じてもらえなかった
石炭のようなバイオコークスを作り出した井田
なぜそんなことができたのだろうか?
植物の基本成分は主にこの3つ
熱と圧力が加えられると
3つをつないでいた接着成分が溶け出し
全体がやわらかくなる
その後圧力をかけたまま常温まで冷やすと
再び接着成分が固まり石のようになる
井田はこうした反応を人工的に起こせる圧力・温度を探し出し
バイオコークスを完成させた
しかしそれは雲をつかむような研究でもあった
植物を石炭のように変化させる…
組み合わせは無限
時に水蒸気と材料が噴き出すこともあった
正しい組み合わせを求め実験を重ねた
そしてついに見つけた
でもそれがゴールとは今でも思ってませんね
井田は今壮大な夢を抱いている
その国に合ったバイオでその国に合ったバイオコークスを作る
世界中にある植物由来のゴミをすべてバイオコークスにして
戦争のない世界をつくりたい
そんな井田の夢に理解者も増えてきた
夢をかなえるには多くの仲間が必要だ
全国を飛び回り多忙を極める井田
9月のスケジュールはご覧のとおり
この辺でマレーシア行きまして帰ってすぐ川俣町に行ってすぐ学会の打ち合わせ
(スタッフ)うちに帰ってるんですか?
そんな井田が落ち着きを取り戻せるのがお茶
(スタッフ)研究室にこういうのが置いてある人って珍しいんじゃないですか?やはりこういう工学的なドライな仕事をしてるのでこれの出来で今日の精神状態を見るんですけどはい
(スタッフ)出来は?なかなかよかったです充実してるんでしょうね
井田が所属する近畿大学
実は僕たちの身近なところにその研究成果があるんです
一番メジャーなのが…
世界で初めて完全養殖に成功し
今では東京大阪に専門店までできているんです
そしてマグロ以外にも近大ブランドはあります
こちらは…
繊維質を少なくしプリンのような食感を実現
愛紅という名前で高級果物店にも並んでいます
ちょっとお高いのですが人気だそうです
さらに薬学部ではサラダなどで最近見かける…
さらに…
バイオコークスは次なる近大ブランドになるかもしれません
2008年ここ北海道に
新たな実験施設が建てられた
ここで井田は製品化を目指し
大型バイオコークスの試作を開始
ところが…
条件が合わなくて爆発したときはこんな感じここがボーンと破裂するバイオコークス作る条件は非常に厳しい条件なんですけどもそこからどうもちょっと離れると作れなくなるんですね
大学の実験室でできていたことができない
その原因を突き止めなければ製品化は難しい
作り方はいつもと同じ何が悪いのか?
ここの黒く見えてるとこがバイオコークス化してるところでしてもうちょっと内側まで反応しないといけない
原因は植物に含まれる水分量
これまでの圧力・熱・冷却に加えて
材料の水分量もまた重要なポイントだ
井田は最適な水分量を見つけ出す実験を繰り返した
そんなとき心強い協力者がいた
バイオコークスの可能性に魅せられたという
北海道発の技術と基盤で…
経済産業局は研究に必要な植物由来のゴミを
北海道中からかき集めてくれた
さらに札幌のお茶メーカーは
賞味期限切れなどのお茶の葉を提供してくれた
こうした支えのもと井田は研究を加速させた
小学生だった子どもと妻を神戸に残し
1000km離れた北の大地で孤独に闘った
真っ暗なんですよ北海道でもこの方向なんですけどこの方向一点だけポーッと明るいところがあるんですよすすきのだけが明るくいいなみんな楽しいんやろうなと楽しい夜を過ごしてるんやろなと思ったときにまた寂しさが込み上げてきます
真冬の北海道に単身赴任
地道に研究を重ね井田は
様々な植物ゴミの適切な水分量を調べ続けた
そして北海道に渡って半年
これがホントに…これはうれしかったですね本当にできるんやってことが見えましたから
この日実際の…
従来鉄を溶かすために使われる石炭コークス
この工場ではそれを2割程度
井田の開発したバイオコークスにかえたいと考えていた
そう一番の課題は温度
これまでどおり1500度を保てるかが実用化への鍵だ
鉄が熱で溶かされ流れ始めた
その温度は…
やっぱり1600℃出てましたね非常にうれしいですね
ゴミから生まれたバイオコークスが
石炭にかわる日もそう遠くないかもしれない
この日井田は久しぶりに家族のもとへ
北海道に単身赴任していた頃小学生だった子どもたちは
中学生と高校生に
乾杯
研究と実験に追われてきた井田
そんな井田を最も支えたのはやはり家族
周りにすごく気を使う人なので家にいるときはなるべく…仕事場に何回かついて行ったりしたりとかもあるんですけど…
(スタッフ)先生そんなこと言われてますけど?うれしいですね涙出てきそうになる
井田には大切にしているある哲学がある
僕はそういう性格かもしれません
今を楽しんでも今に満足しない
井田は次の一手を打ち始めていた
(娘)《父さん覚えてる?》
(父)《なぁ覚えてるか?》《小さい頃あたし泣き虫で…》《お前いつもコロコロ笑ってて…》《父さんをしょっちゅう困らせた…》《毎日元気もらってた…》《生意気で憎たらしい子だった…》《オシャマで可愛らしい子だった…》《全然口利かない時期もあったね…》《お前のおしゃべりで家中明るくなった…》《でも父さんはいつも見守ってくれてた…》《なのに俺は仕事にかまけてた…》《あの頃のこと謝りたいよ…》《寂しい思いをさせてすまなかった…》《もっと素直に伝えられてたら…》《もっと素直に伝えられてたら…》これから親孝行するから。
もう一生分親孝行してくれた。
ライフステージに寄り添って
長く安心して使ってもらえるようにドコモは家族を応援し続けます
井田は今マレーシアのパームヤシのゴミから
バイオコークスを作り日本へ輸出しようとしている
およそ10分の1にまでゴミを圧縮できるバイオコークスは
運搬がしやすく輸送コストも低い
価格を下げることは十分にできる
バイオコークスで戦争のない世界をつくりたい
夢を追い続ける井田に家族から
今バイオコークス研究所というのを作っていただいていろんな人に恵まれてやってるのはとても幸せだと思います
(スタッフ)研究好きなんですかね?大好きなんですお父さんいつも家族のために働いてくれて頑張ってくれてありがとうお父さんいつも私たちのことを思ってくれててうれしいなって思いますでも歩くときとかでもすぐセカセカ歩いて行っちゃってけんかもするときもあるよねそういう時間も大切にしてほしい家族と一緒に歩いているときとか一緒にゆっくり歩いてみんなで話しながら歩こう家族でゆっくりする時間を大切にしましょうお父さんビックリしましたこれは泣けてきますねハハハ…頑張らなあきませんねこれからゆっくり歩くようにします
ここに井田の技術が導入されようとしている
積み上げられた黒い袋
この中には除染活動で出た大量の木や草などの
ゴミが入れられている
井田の技術を使えばゴミを10分の1に圧縮でき
保管場所を少なくできる
さらに固められているため…
運搬の安全性も高まる
井田はバイオコークスで新たな未来を切り開く
次回は…
これを受けたらトマトの収穫量が1.5倍
キャベツは2倍に
田畑の肥沃度を独自の技術で分析
作物に最適な土を作り収穫量を大幅にアップさせる
農業を科学する健康診断
ナレーターは彼にバトンタッチ
ワンダーX今日はキュートな動物達がいっぱい登場するよ!2014/11/16(日) 18:30〜19:00
MBS毎日放送
夢の扉+[字]【向井理▽原料は茶殻!鉄をも溶かす新燃料】
お茶カスが、わずか1時間で“夢の燃料”に変わる!?ゴミから作る新エネルギー資源で世界を救え! ナレーター/向井理
詳細情報
お知らせ
『どんな国にもあるゴミから燃料を作れれば、奪い合い、そして戦争がなくなるはず—』お茶のカス、木クズ、もみ殻、バナナの皮、コーヒーの実・・。
世界中どこの国にもある植物由来のゴミから、石炭に代わりうる固形燃料を作り出すという夢の技術が生まれた!開発したのは、近畿大学の井田民男教授。
植物は、地中で約3000万年もの月日を経て石炭に変わる。
番組内容
井田は、この地中の熱や圧力といった“自然の力”を解明し、廃棄処分されていたゴミをわずか1時間でエネルギー資源に生まれ変わらせてしまう。
植物性資源から作られるこの「バイオコークス」は、石炭に比べて、二酸化炭素や酸性雨の原因となる有害物質の発生を抑えられる、リサイクル燃料だ。
今年9月、マレーシアで椰子の実のカスからバイオコークスを作るという、世界での実用化を視野に入れた挑戦が始まった—。
出演者
【ドリーム・メーカー】近畿大学 理工学部教授/バイオコークス研究所副所長 井田民男(52歳)
【ナレーター】向井理
音楽
小田和正「やさしい雨」
制作
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