(夜明日出夫)
タクシーの運転手は客を拾う時客の身なり特に履き物に注意する
どちらまで?真っ直ぐ。
駅過ぎましたけど。
お客さん。
えっ?真っ直ぐ。
ずっと。
はい。
お客さん行き先はっきりおっしゃっていただ…。
黙って運転すりゃいいんだよ。
(男)動くな!防犯灯つけようったってそうはいかないんだよ。
止まれ。
ゆっくりとだ。
金を出せ。
有り金全部だ。
うっ!ああー!痛えー!!ボールペン1本で強盗を…。
さすが元刑事ですよね。
刑事!?こちらは元警視庁捜査一課強行班七係夜明警部補だ。
そんな…。
ああ被害届適当に書いといて。
じゃあ。
いやぁそれは困ります。
付き合ってたら仕事になんないんだよ。
調書は詳細に作成しませんと…。
派出所までご同行願います。
ついてないなぁ…。
ついてないのは俺だよ!イッテーッ!!今度はいい客つかまないとなぁ。
お願いしますよ。
危ないでしょう!
(小原勇三)そんな事はいいから早く!どちらへ?前の車を追うんだよ!身なりだよなぁ。
ブツブツ言ってないで早く追え!見失うなよ!今日はもうダメだ…。
(広田係長)ちょっと夜明さん!何ですか?この売り上げ。
事件に遭ったんだからしょうがないじゃない。
だからどうしてそういうお客ばっかり乗せるかなぁ。
いいですか。
お客さんを選ぶのも運転手さんの技量でしょうが…。
じゃあ何?乗車拒否していい訳?見た目で客判断して客けとばしていい訳?いえいえそういう事言ってる訳じゃないんですよ。
でもほらあなた最近売り上げ落ちてるんだなぁ。
いやあここんとこロングの客にトンと縁がないからなぁ。
「熱海!」とか「軽井沢!」なんて客いないかなぁ。
何夢みたいな事言ってるんですか!いいですか仕事というのは毎日毎日小さな積み重ね。
1キロでも2キロでもねお客さんに乗っていただく。
そしてそのお客さんにね喜んでいただく…。
あゆみ!来てたの?
(あゆみ)おかえりなさい。
今朝食の仕度してあげるね。
これ何?あっそうか!旅行行くんだっけ?うん。
今日お昼の新幹線で。
ちょっと待って。
よし…。
はいこれ。
旅費の足しにして。
いいの?いいよ。
大学の入学祝いだってまだあげてないんだ。
俺にできるのはこれぐらいのもんだ。
ありがとう!ホントはさぁお父さんもお前と一緒に旅行行きたいんだけど休み取れなくて…悪いな。
いいわよ。
友達と行くから。
それにもう家族旅行って歳じゃないしね。
あっそう…。
でどこ行くの?温泉。
あのね痩せる温泉があるらしいの。
そこのお湯ね美容にいいんだって。
温泉かぁ…。
おいしいもの食べて温泉に入る。
日頃のストレス解消しようっていう訳。
何…?お前ストレスなんかあんの?あるわよ!お母さんと2人っきりで暮らしてるとイライラする事ばっかりだもん。
(電話)ほらねお母さんだ!はい夜明です。
うん。
あゆみ来てるよ。
いいって。
怒鳴るなよ。
友達と2人で旅に行こうっていうんだから…。
あゆみだって大学生だよ。
立派な大人だよ。
子供信じてやるのが親の務めってもんじゃないの?お前もそろそろ子離れしなきゃ。
うるさいなぁ。
別れた後までけんか吹っかけるな。
切るよ!もうだからお父さん好きなのよ!運転手さんいい男ねぇ。
うふふ…独身?ええまあ。
ホント。
うふふ…。
日出夫ちゃん!うふふ…。
あっそこで止めて。
ああはい。
ええ660円いただきます。
えっ340円じゃないの?ああすいません。
うち初乗り660円なんです。
あらやだ!だったら最初からそう言ってよ。
私340円だと思ったから…。
だったら乗るんじゃなかったわよ…。
まけてよ日出夫ちゃん。
いやまけたらなくなっちゃいますよ。
結構固いのね。
はい。
はい…。
開けてちょうだい。
ああはい。
ああああ何て事…。
ええっと100円200円…。
・
(ノック)ああはい。
どうぞ。
(筒井美也子)いいですか?はいどうぞ。
すいませんあの…新潟までお願いしたいんですけど。
新潟!?あの…無理でしょうか?ああいえ。
新潟ですと帰りの高速料金もいただく事になりますけど。
構いません。
ああどうぞ。
どうぞどうぞ。
ええ新潟どちらまで?越後湯沢までお願いします。
はい。
ブツブツ言ってないで早く追え!ラジオでもつけましょうか?ええ。
(アナウンサー)「演歌の日本」「続いての曲は美空ひばり『ひばりの佐渡情話』」「佐渡の…」
(アナウンサー)「東北から近畿地方ににかけて…」あの…今のチャンネルを。
はい。
「…荒磯の岩かげに」「咲くは鹿の子の百合の花」「花を摘み摘みなじょして泣いた」「島の娘はなじょして泣いた」「恋はつらいと…」演歌お好きなんですか?いえそういう訳じゃ…。
あの曲は特別で。
佐渡は私の故郷なんです。
じゃあ今度は里帰り?いいえ仕事です。
私はホテルの経営コンサルタントをしてまして。
経営コンサルタント?ええ。
今回新潟へ行くのは今まで担当したホテルの経営状況をチェックするためなんです。
そうなんですか。
夜明日出夫さん?変わったお名前ですね。
よく言われます。
姓が夜明名前が日出夫。
めでたいんですよ。
失礼ですけど奥様のお名前は?ああ女房は平凡な名前です。
それに今は夜明じゃありません。
女房とは離婚しました。
すいません変な事訊いちゃって…。
いえいえ。
まぁ仕事柄女房を構ってやれなかった自分が悪いんです。
仕事柄?ええ。
以前タクシーの運転手じゃなかったんです。
何をなさってたんです?刑事でした。
警視庁に勤務してました。
どうして刑事をお辞めになったんです?ある容疑者を逮捕するために捜査の都合で知り合った女性の事を妙に思われて週刊誌に書かれてそれで。
いらっしゃいませ。
お待ち申し上げておりました。
ご繁盛のようで何よりです。
お陰さまで。
これも筒井様のお陰でございます。
お部屋のほうご用意が整ってございますのでご案内させていただきます。
さあどうぞ。
あの申し訳ありませんがもう1部屋用意していただけませんか?
(女将)かしこまりました。
すいません。
いえ…私泊まる訳には。
このまま夜明さんにご一緒していただきたいんです。
これから4日間私はこのホテルを拠点にクライアント先を回ります。
東京への戻りもタクシーを使いたいと思ってますのでできれば同じ運転手さんのほうが気が楽というか…。
あの…4日間貸し切りという訳には…。
4日間貸し切り?いやぁ…貸し切りになりますと割高になりますしそれにあの宿泊費も…。
結構です。
申し遅れましたけど私筒井美也子と言います。
よろしくお願いします。
貸し切り!?夜明さん何夢みたいな事言ってるんですか。
今時ねそんなお客がいる訳ないでしょ!いるからこうして報告してるんでしょう。
じゃあ何!?断れっての?
(広田)「ホントなんですか〜?」疑り深いな…。
ああもういいいい!わかった。
断る。
うん。
いやいやちょっと待ってください。
本当ならお引き受けください。
いやでもね夜明さんどこでそんなお客さん拾ったんですか?まぁそれはドライバーの技量ってもんでしょう。
ああ〜!あんなきれいな人と越後路2人旅か。
まいったなぁ…。
風呂だ風呂。
温泉!よっ!どうしました?どうしました?しっ…死んでる…!
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
(東山刑事)ホトケの身元は?このマンションの113号に住む安西敬一36歳。
職業は商社マンだ。
毒殺ですね。
たぶん青酸カリと思われます。
硬直の具合から見て死後5〜6時間といったところでしょう。
すると昨日20日午後8時から10時の間。
(国代刑事)先輩…。
うん?女ですね。
パンツシャツ靴下。
(あゆみ)えっそうなの?三郎さん。
(三郎)そうだよ。
美容に効くんだよ。
(あゆみ)いいね〜!お客さんお金!私はこれから支配人と打ち合わせがありますので出発はお昼ちょうどでお願いします。
はい。
ええ…行き先ですがここです。
はい。
本当に勝手言ってすいません。
いいえ。
お礼を言うのは私のほうです。
我々の業界に往復ビンタってのがありまして長距離の時行きも帰りもお客さんがつくのを往復ビンタっていうんです。
往復ビンタ?ええ。
ビックリしちゃうっていうか。
けど私の今度の仕事往復ビンタどころじゃないです。
貸し切りのうえに温泉付きですから。
ふふふ…ここの温泉美容にいいんですって。
美容に?はい。
嘘っ!?知ってる人?ううん知らない。
どうかしました?いえちょっと…。
許せない!最低!ちょっと…ちょっと待てよ。
どうして俺があゆみに往復ビンタされなきゃいけないの!私のあとつけて来たのね!?違うたまたま!それも女の人と一緒に来るなんて信じらんない!あの女の人誰なの?じゃあ何?俺も訊きたいよ。
誰?あのもやしみたいなの。
誰なの?誰なの?友達に決まってるじゃない。
お客さんに決まってんでしょ。
よく言うわよ。
仲良く朝食なんか食べちゃってさ。
昨日このホテルに泊まったんでしょ?いいでしょ。
じゃあお前何?友達と旅行に行くって何男と2人で。
3人よ!3人?私と由香里と三郎君。
最初は由香里と2人で来るつもりだったんだけど三郎君が新潟は俺の田舎だから案内してやるってついて来たの!もう…。
お父さんが誰と恋しようと勝手だけどさ私はもう大人なんですからね。
監視するような事しないで。
さっさと帰ってよ!いやいやそんな事言ったってさ仕事なんだから!もうお父さんとは口も利きたくない!あゆみ!あゆ…。
偉そうに何が大人だよ。
失敗したな旅行なんか行かせるんじゃなかったよ。
ああ失敗した!!
(アナウンサー)「次のニュースです」「本日未明渋谷区代々木のマンション駐車場で男性の死体が発見されました」「亡くなっていたのは同マンションに住む会社員安西敬一さん36歳で缶ビールに混入された青酸カリによる中毒死でした」昨夜何者かに飲まされ殺害された模様です」「渋谷西署では顔見知りによる犯行との見方を強め交友関係を中心に捜査を開始しました」あのマンションで殺しか…。
(あゆみ)温泉いいわ。
(由香里)よかったね。
あゆみどうしたの?ううん何でもない。
今日は湯沢高原に行こうぜ。
ロープウエーに乗ってさ。
そうね。
いいとこなんだよ。
早く早く。
ホントに?世界最大級のロープウエーだからね。
そういう事は当てにならないんだよ。
昔から。
何をおっしゃるうさぎさん。
ここは僕の田舎ですよ。
とにかくきれいなんだから。
(三郎)ほらほら見てよこの景色。
この景色を2人に見せたかったんだよ。
いいでしょ〜?うん!きれいだね〜。
やっぱ緑はいいね!ねぇあゆみこのへんで写真撮らない?うん!じゃあはい。
三郎撮って。
はい。
はいいきまーす。
ハイチーズ!はいじゃあ次僕と。
三郎はいいの!あなたはカメラ写すために来てるんだから。
それはねえだろ!?でなきゃ一緒に旅行なんてしないわよ。
ほら私の荷物持って。
でねあゆみ駒子の湯っていう共同浴場があるんだけどあとで行ってみようか。
うん。
すいません。
先輩!東山!先輩がなぜここにいらっしゃるんですか?しかも筒井美也子と一緒に。
あっいやそんなはずはない。
客だよ。
俺が東京から乗っけて来た。
まただ…。
ああ…。
筒井美也子さんですよね?はい。
私警視庁捜査一課の東山と言います。
ちょっとお話が。
安西さんが亡くなった!?ご存知ありませんでしたか。
ええ。
自宅マンションの駐車場でね青酸カリの入ったビールを飲んで死亡してました。
失礼なんですけど安西さんとはどういった…?かなり親しい間柄だったと聞いているんですが。
付き合っていたのは確かです。
でも別れました。
別れた…。
じゃあ安西さんと最後にお会いになったのいつ頃ですかね?3日前の18日です。
その時に別れ話を?私のほうから切り出しました。
結局いい加減な人だったんです。
安西さんは私の他にも何人もの女性と付き合っていてそれに元々私は結婚に執着はありませんし…。
あのこれはあくまで形式的な質問です。
昨夜午後8時から10時の間どちらにいらっしゃいました?8時でしたらまだ夜明さんのタクシーに乗ってたと思います。
ちょうどその頃ホテルに着いた。
で一緒に食事をして9時頃部屋に入ったと思います。
でその後は?ずっと部屋にいました。
そうですか…。
もうよろしいですか?あっあと1つ。
こちらの女性どなたですか?千晶です。
千晶?河島千晶。
私の高校時代の親友です。
あの住所なんてわかりますか?以前は新潟に住んでいたんですが最近東京へ出て来て…。
その写真は3人でお酒を飲んだ時に写したものです。
あっこれ渋谷区代々木…。
これ安西さんの住所のすぐそばですね。
もうよろしいですか?それじゃ失礼します。
筒井美也子…。
アリバイは完璧か。
なぜいつもこうなってしまうんだ。
なぜ!?殺しの状況ってのはどうなんだ?あっいえ…捜査の事はちょっと…。
自分は現役の刑事ですけど夜明さんは現在単なる民間人ですからお話できません。
青酸カリの入ったビールで殺されてたって言ってたね。
缶ビール?いやまあ…。
それじゃ服装は?ああいや背広姿ですけど。
という事は帰宅してすぐ殺された訳だ!?あっいえですからお話できません。
夜明さんは現在単なる民間人なんですから!冷たい事言うなよ。
(携帯電話)あっすいません。
失礼します。
(携帯電話)はいもしもし。
あっはい。
筒井美也子にはアリバイがあります。
はい。
今それを証明できる人物が自分の隣にいまして…。
神谷か?えっ。
いえいつものタクシーの運転手さんです。
(神谷警部)タクシーの運転手…!?「神谷。
久しぶり」夜明さん…。
筒井美也子は俺が東京から運んだ。
俺の証言信じないなんて言うんじゃないよ。
(ため息)警部。
安西の事で新たな情報がつかめました。
すいませんが東山と替わってもらえますか?会社の同僚の証言で安西に婚約者がいる事がわかったんです。
相手の名前は河島千晶。
安西が千晶と結婚する。
ホント?あれ!?その声は夜明さん?国代。
お前誰と話してんだ!?どうして相手を確かめないで話すんだ!バカッ!!国代君ご苦労さん。
あっちょっと先輩…。
もしもし国代君。
君ね何民間人にペラペラペラペラしゃべってんの。
てんこ盛りのバカ!バカバカってあっちこっちから言わないでくださいよ。
バカ!もしもし。
あっそれから写真の女性河島千晶。
美也子の親友です。
美也子の親友?はい。
わかりました。
じゃあ夜明先輩の意見を参考にして…。
はい。
じゃあ失礼します。
俺に捜査の協力を仰げ。
神谷そう言ったろ?はい写真。
はい。
いえ美也子のアリバイ何かからくりがあるんじゃないかって。
ですけど。
夜明さんのタクシーは絶対に使うなって。
美也子を疑う訳だ。
当然じゃないですか!安西は美也子の親友である千晶に寝返ったんですよ。
美也子が安西に殺意を抱いてもおかしくない。
美也子の線はまだまだ捨てられませんね。
わーいいい湯だ!ううっ。
東山いつまで入ってんの!話があんの。
まだ体洗ってないんっすよ。
洗っても洗わなくても一緒だよ。
そんなもん…。
安西には他にも女がいたんだろ?ということは動機があるのは美也子だけじゃないって事だな。
いえ他の女達も全員アリバイの裏は取れてます。
まあ何より安西はその女達とは3か月も前に手を切ってるんですよ。
まあですから女性関係にルーズだった安西もそろそろ身を固めようと決心した。
美也子にしてみれば当然自分と結婚してくれるものだと思ってたでしょう。
ところが安西は千晶を選んだ。
事件当夜の安西の足取りは?まだ詳しい事はわかってないんですが会社を出たのが午後6時。
解剖の結果体内からかなりのアルコールが検出されています。
まあきっとどっかで飲んでたんでしょう。
そして8時から10時の間に帰宅した。
犯人は安西が帰って来るのを待ち伏せてた訳か?まだそのへんの事もちょっとわかってないんですが安西は駐車場へ呼び出され犯人から勧められたビールを飲んで…。
いずれにしろ美也子さんはシロだ。
だってそうだろ!?夜9時まで俺と一緒にいた人が夜の10時に東京で人を殺せる訳がない。
まあそれはそうなんですけど…。
このアリバイ完璧だよ。
崩しようがない。
神谷にそう言っとけ。
でこれからどうする?神谷がもうちょっと美也子を張っとけと…。
かっ…。
相変わらずくだらない指示出してんの。
東山。
はい。
東山ちょっと頼みがあんだ。
はい?あゆみが俺に口利いてくんないんだ。
誤解してんだよ。
あっあゆみちゃんとケンカでもされたんですか?うんまあ…。
あはは…!いえいえそれは全然構わないんですけどただ自分これから東京に帰ってあゆみちゃんに会う訳にもいきませんし…。
あゆみこのホテルにいるの。
えっ?信じられない。
東山さんまで新潟に来るなんて。
そうだね。
同窓会でもないのにみんな集まっちゃってね。
いや俺は事件を追って刑事で来たんだよ。
美容のためじゃないからね。
で話って何ですか?だから夜明さんがあゆみごめんね。
お父さんが言い過ぎちゃったよ。
…だって。
あっそれからあの女の人。
あゆみ誤解だよ。
お父さんはそんなんじゃない。
…だって。
自分で言やぁいいのにな。
東山さんお願いきいてくれますか?はい?あのね…。
何で俺がこんなんしてんの?刑事だよ俺は…。
先輩。
あゆみちゃんがお父さん私のほうこそごめんね。
三郎君の事は誤解よ。
もうお父さんったら心配性ね。
…はい。
あゆみそう言った?はい。
サンキュー。
はい。
でも先輩勘弁してくださいよ。
刑事が浴衣姿であっち行ったりこっち行ったり。
飛脚じゃないんですから!今度から2人で直接会って仲直りしてください。
わかった。
ゆっくり風呂入って。
ゆっくり洗って!わからん。
(あゆみ)なあ〜んか妙だよねお父さんとこうやって越後湯沢歩いてるなんて…。
あゆみと旅行するのいつ以来だっけ?よく言うわよ。
行った事ありません。
そんな事ない。
行ったじゃない。
お父さんとお母さんとあゆみと3人で京都へ。
へえ?あゆみが鳩好きでさ。
平安神宮の境内走り回ってた。
あれ確かね3つだ。
全然覚えてない。
あっそうかあれ1回きりか…。
お父さん刑事で忙しかったから。
刑事の時だけじゃないよ。
あゆみの大学の入学式も出席できなかった。
いいわよ別に…。
ダーメな父親!そんな事ないって!あっでも結婚式には出てよね。
お母さんと一緒に。
まあもっともいつになるかわかんないけど…!ねえずっと入ってたんできれいになったと思わない?東山さん何か事件の事で来たって言ってたけどお父さんに関係…。
関係ない!もう刑事ごっこやめた。
せっかくさこういうところであゆみに会えたんだ。
優雅に散歩楽しまないと…。
お父さん…。
お父さんあれ!ちょっと…。
あゆみ110番!東山呼んで。
はい。
(パトカーのサイレン)発見したのはあなたですか?はい。
その時現場から立ち去る不審な男を目撃したっていうのは本当ですか?はい。
ええ…身長は1メートル80ぐらい。
中肉。
ええ…上着はベージュ。
歳が30前後。
あっ自分警視庁捜査一課の東山と言います。
別件捜査でこちらのほうに来てたんですがそちらの遺体河島千晶。
東京で起きた事件と関連があります。
殺されたのは半日以上前。
深夜の時間帯だと推測されます。
昨夜東京で安西さんが殺されその数時間後に今度は越後湯沢で河島千晶さんが殺された。
あなたとごく近しい人間が立て続けに殺されたんです。
(刑事)あなたに話を聞かない訳にはいかないでしょう。
私が2人を殺したとおっしゃるんですか?いやそうは言ってません。
ただ少なくとも河島千晶さんの件に関してあなたにはアリバイがない。
深夜でしたらこの部屋で寝てました。
まぁ当然でしょうね。
とりあえず署まで来ていただけませんか?詳しくお話をお聞きしたいもので。
バカじゃないの?美也子さんのアリバイは俺が証明するって言ってんだろ。
ただ事情を聞くだけですから。
どこ行ってたの?う〜ん…。
はい。
サンキュ。
ねぇあの人殺されてたの?うん…今警察で調べてる。
あゆみショックだろうけど事件の事は忘れて部屋に帰ってもう寝なさい。
うん…じゃあ。
おやすみなさい。
おやすみ。
明日は朝9時出発でお願いします。
わかりました。
私の帰りを待っててくださったんですか?いやそういう訳じゃ…。
夜明さんも私が犯人だとお思いですか?まさか。
今度の2つの犯行安西さん殺しと千晶さん殺しは同一犯の犯行です。
あなたにそんな事は不可能だ。
その事は私が一番よく知ってます。
おやすみなさい。
それで解剖の結果は出たのか?死因は窒息死。
ロープによる絞殺。
死亡推定時刻は昨日21日午前1時から3時の間です。
千晶がそっちで殺された以上呼び出したのは美也子だ。
でなきゃ千晶は越後湯沢へ行く訳はない。
いえそれもそうとは言い切れないんですよ。
(神谷)「どうして?」千晶の実家は新潟市内にあるんですけども千晶の父親は県下でも有名な河島建設の社長でまぁかなりの資産家といいますか…。
ここ越後湯沢にも別荘を持っています。
両親の話では千晶が新潟へ帰って来る時その別荘へよく寄ってたって言うんですよ。
じゃあ千晶は別荘に?とにかく自分はこれから河島建設へ行って千晶の周辺を洗ってみます。
東山!くれぐれも美也子から目を離すな。
安西と千晶が殺されたんだ。
誰が何と言おうと…。
「いやそれはわかってますが…」わかってますが何だ!?ですけど美也子には完璧なアリバイが。
お前はすぐそうだ。
すぐに夜明さんに洗脳される。
俺の言う事と夜明の言う事とどっちを信用するんだ!東山!ったく…。
無理だよなぁ…。
何が無理なんだ?いやつまり犯人の行動をたどると犯人はまず夜8時から10時の間に渋谷区代々木の安西のマンションを訪れた。
例えば10時だったとします。
(国代)駐車場で安西を殺害しその足で越後湯沢へ向かった。
車で行ったとしても越後湯沢までは高速で2時間だ。
3時間もあれば着く。
そうすると21日の午前1時に到着。
越後湯沢の別荘に来ていた千晶を呼び出し林道で殺害した。
ピッタリじゃないか。
そうやって2人を殺したんだ。
ですから美也子には無理なんですよ。
何たって美也子は20日の夜9時まで夜明さんと一緒に越後湯沢のホテルにいたんですから。
それがそもそもおかしいんだよ。
仕事で新潟へ行くのにタクシーで行くだなんて。
夜明さんはアリバイ作りに利用されてるのに気づいてないんだ!そうかなぁ〜。
お前俺と夜明とどっちの味方なんだ?そりゃ〜…。
いやいや…。
自分はただ物理的に考えて…。
…ったくもうどいつもこいつも!ああ〜!犯人は美也子に決まっとる!社長秘書である平井さんは社長のお宅にもよく行かれて千晶さんとも大変親しかったとか…。
あの…こういう事をお訊きするの本当に何なんですけど千晶さんを恨んでいた人物心当たりないですか?
(平井)さぁ…そう言われましてもね。
いや千晶さん3か月前に東京にマンションを買ってそちらに住みつくようになった。
そこで…安西敬一という男性については?半月ほど前社長に聞きました。
東京の商社マンでお嬢さんの婚約者だとか。
正直驚きました。
ですよね。
わずか3か月の交際でいきなり婚約ですからね。
ええ…。
あの何か?どうせわかる事ですから言っときますけど私は千晶さんはてっきり吉岡君と結婚するものと思ってました。
吉岡!?うちの設計部にいる社員なんです。
えっ?じゃあ千晶さんはそれまではその吉岡さんと?高校時代からの付き合いだと聞いています。
吉岡君は仕事のできるそれは優秀な男で。
こんにちは。
吉岡さんは?あちらの方です。
(美也子)従業員を縮小されたほうがいいですね。
人件費が売り上げの45パーセントでは経営を圧迫するだけです。
それはわかってるんですが人を動かそうにも受け皿がありませんしね。
切ればいいんです。
それから相変わらず従業員の接客マナーがなっていません。
これでは売り上げが落ちて当然です。
お客様の後ろにお客様がいらっしゃるんです。
サービスがよければ1人のお客様が別のお客様を連れてまた来てくださる。
その精神を徹底的に叩き込んでください。
千晶に男が?はい。
河島建設に勤める吉岡という男です。
夜明先輩が現場で目撃した男性に背格好はよく似てます。
まぁただ千晶が殺されたのはそれより半日以上も前ですからそれだけで犯人と決めつける訳にはいきません。
20日の夜のそいつのアリバイは?夕方の6時に会社を出ています。
ですからその足で東京へ行けば安西を殺す事も可能です。
動機もある。
はい。
ただ動機の面から言うと正直言って自分はまだ美也子が引っ掛かってます。
親友に恋人を奪われたって事?2人の人間を殺すというのは半端な恨みじゃありません。
いやっ…もちろん美也子にはアリバイがありますよ。
夜明先輩の証言は100パーセント信じてますよ。
東山…俺人間は2種類の人間に分かれると思うんだよね。
追いつめられた時仕事を選ぶ人間と愛情を選ぶ人間。
この2日間美也子さんの仕事ぶり見てきてさあの人は仕事に生きがいを感じる女性だよ。
裏切られて嫉妬に狂い殺人を犯すとは思えない。
しかし意外とそういった女性に限って冷酷な犯罪に走るというケースも。
美也子さん故郷の歌を聴いて涙ぐんでた。
仕事には厳しいが心のやさしい女性なんだ。
俺そう信じたい。
この事件男が絡んでる。
吉岡だけじゃない。
もう1人気になる男がいるんだ。
美也子をつけてた…?歳は50代。
白っぽいコート着てた。
自分はこれから所轄へ寄ってみます。
また何か新しい情報があるかもしれませんから。
うん。
夜明さんは?俺?今からあゆみとディナー!ほら。
うわ…デレ〜ッとして…。
子離れ…。
何か言った?いっいえ…。
じゃあ。
ではもうしばらくこの方針で進めてみましょう。
はいかしこまりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
(美也子)きゃーっ!夜明さん…!大丈夫ですから。
うっ…うう…!吉岡君…。
殺すつもりはありませんでした。
でも傷の1つでも付けてやらなければ気がすまなかった。
どうしてお前が筒井美也子を恨まなければならなかったんだ?美也子が千晶に安西を紹介したんです。
あいつが余計な事しなければ私は千晶と…。
逆恨みって訳か。
逆恨みは美也子のほうだ!私は高校の頃美也子と付き合ってました。
美也子は千晶に寝返った私の事を今でも恨んでるんです。
(吉岡)だから千晶に安西を紹介して…。
千晶の殺害現場にどうしていたんだ?安西が殺されて私はすぐ千晶に連絡をとりました。
でも何度電話しても千晶は留守で…。
社長の家に電話すると近々帰ってくるはずだと言うんです。
それでひょっとして別荘にいるんじゃないかと。
千晶…千晶ー!
(吉岡)警察に知らせれば私が疑われると思いました。
千晶までもが殺されて私は美也子を疑わずにはいられませんでした。
調べてみると美也子は越後湯沢に来てるという…。
それで美也子を襲ったのか?美也子は私と千晶を引き裂き過去の復讐のために千晶を殺したんです!そんな理屈通んないよ。
じゃあ何?美也子さん高校の頃の恨みを根に持ってて今頃千晶さん殺したっていうの?おかしいよそんなの。
いや自分もそれはないと思うんですが…。
犯人は吉岡で決まりだよ。
逆恨みで美也子さんを襲ったりするような奴だよ?安西さんや千晶さんにはもっと深い恨みを抱いてたに決まってるよ。
はい。
捜査本部もそう睨んで吉岡の取り調べを続けています。
しかしなぁ…美也子が昔吉岡と付き合ってたのは意外だったなぁ…。
じゃあ自分署へ戻ります。
(ドアの開閉の音)あっあゆみちゃんいろいろ大変だったね。
じゃあ。
私明日帰るね。
あっそう。
何だか騒々しい旅行だったけどお父さんに会った事お母さんには内緒にしとくね。
いいよ別に。
じゃあね。
お父さん。
うん?最初お父さんの事誤解して言い過ぎたけどあの時1つだけ本心言ったのよ。
お父さんが誰と恋をしようと勝手だって。
別に。
お父さんいつまでも独りでいる事ないよ。
独りじゃ寂しいもん。
ただねあの女の人が何か事件に関わってるんだったらお父さんあんまりやさしくしないほうがいいと思う。
もともとそれが原因でありもしない噂立てられて刑事辞める事になったんじゃない。
私が言いたいのはそれだけ。
じゃあね。
うん。
気をつけろ。
(あゆみ)うん。
〔しかしなぁ…美也子が昔吉岡と付き合ってたのは意外だったなぁ…〕美也子さんは高校時代に千晶さんに吉岡を奪われそして今度は安西まで奪われた。
(電話)はいもしもし。
「先輩ですか?」「起きてくださーい。
寝てる場合じゃないですよ」「大変でーす!」な〜に朝っぱらから…。
何か進展あったの?あったってもんじゃないですね。
「吉岡が自供したのか?」いえ。
そうじゃなくて今本庁から連絡が入りまして新しい容疑者が浮かんだっていうんです。
容疑者?「はい」小原勇三56歳。
詳しい事はまだちょっとわからないんですがその小原取り調べに対して安西と千晶を殺したのは自分だと言ってるらしいんです。
何だって!?とにかく自分今から東京へ戻ります。
また詳しい事がわかり次第ご連絡します。
ああ東山!その小原って男の顔写真ファクスでホテルに送るように神谷に言ってくれ。
「いやそれはどうだか…」いや前言っただろ!美也子をつけてた男がいたって。
いいからそういうふうに言え!
(ノック)すいません。
すいません。
あの夕方6時に迎えに来ていただけますか?わかりました。
はいお願いします。
どちらへ?前の車を追うんだよ!お前が安西敬一と河島千晶を殺害した。
間違いないんだな?はい。
青酸カリはどこで入手した?安西をどうやって呼び出したんですか?
(刑事)見ろ。
殺した位置は?時間は!?妙ですよ。
とにかく詳しい事になると何もしゃべろうとしないんです。
東山は?まだ取り調べ続けてます。
(電話)はい捜査一課。
はいちょっとお待ちください。
夜明さんです。
詳しい供述をしない?
(神谷)「とにかく今の段階では何ともお答えできません」それにです。
私はまだ美也子の線を諦めた訳じゃない。
仮に小原が犯人だったとして美也子が雇った可能性もある。
(神谷)「だったら美也子にアリバイがあるのは当然ですから」何とんちんかんな事言ってんだよ。
東山から聞きましたが美也子は吉岡という男に襲われたそうじゃないですか。
美也子には過去にまだ何か秘密があるんじゃないですか?安西と千晶を殺さなければならない隠された動機が。
私にはどうもそんな気がするんですがね。
しつこい奴だねぇ。
そんな事より美也子さんと小原の接点何だい?で何のために安西さんと千晶さんを…。
(電話の不通音)もしもし?
(神谷)〔美也子には過去にまだ何か秘密があるんじゃないですか?〕〔安西と千晶を殺さなければならない隠された動機が〕河島建設ですか?お取り込み中すいません。
河島千晶さんの出身高校ご存知の方いらっしゃいますか?そーれー。
そーれー。
へい!おう。
ああ高岩先生?
(高岩)河島千晶さんの事件で何かお訊きになりたい事があるとか?ええ。
先生千晶さんの担任だったそうですけども当時の彼女覚えてますか?ええもちろんです。
何といっても河島建設のお嬢さんですから。
あの筒井美也子さん…?筒井美也子…ああ!河島千晶さんと仲のよかった。
あの2人が親友だったっていうの本当ですか?ええ仲はよかったですよ。
もっとも性格は正反対でしたけど。
あの2人が同じクラスの吉岡君をめぐってもめてたなんて事は?さあそこまでは…。
ご存知ない?仮にそんな事があったとしても美也子さんは千晶さんと争うような事はしないんじゃないかしら。
とにかく自己主張をしない子でしたから。
筒井美也子さんは小さい時にお父さんを亡くしてお母さん一人で育てられたんです。
片親だという事やお母さんが水商売をなさってるという事をかなり引け目に感じていたようです。
彼女生まれ佐渡ですよね?ええお父さんが亡くなって島を離れたと言っていましたから。
新潟に越してきて母子2人いろいろとつらい事もあったんじゃないかしら。
そういえば学校ではあんなにおとなしかった美也子さんが激しく怒ってるの見た事があります。
あれは進路相談で美也子さんの家を訪ねた時でした。
母さんはバカよ!あんな男好きになって…。
結局利用されただけじゃない!お金むしられて捨てられて…!
(筒井清子)美也子…。
私卒業したらこの家出るわ。
母さんの顔なんて…二度と見たくない!美也子さんはお母さんの事をかなり恨んでいるようでした。
お父さんが亡くならずにずっと佐渡で暮らしていれば嫌な思いをしないで済んだんでしょうに…。
佐渡は私の故郷なんです。
いよいよ明日で終わりですね。
ええ。
新潟市内のクライアントへ寄ってお昼には終わると思います。
あとは東京へ。
夜明さんにはホントにお世話になって…。
いえ。
お礼言うのこちらのほうです。
お酒でも飲みません?今日あなたの出身校へ行ってきました。
高岩先生に会ってあなたの事いろいろ聞いてきました。
あなた随分おとなしい生徒だったんですね。
新潟へはよくいらっしゃるんですか?仕事以外で来た事はほとんどありません。
5年前母が亡くなった時に帰ってきたのが最後です。
お墓はどちらに?佐渡です。
まあ仕事とはいえこうして新潟まで来ると懐かしいでしょ?いいえ。
私はこの土地に思い出なんかありません。
夜明さん私の事疑ってらっしゃるんですか?いえいえ…。
あなたにはアリバイがある。
それに東京で犯人が逮捕されました。
勝手な事してすいませんでした。
元刑事として調べたんじゃなくて私は…あなたの事知りたかったんです。
あっ。
東山また来たの?あっいえ。
明日小原を千晶の殺害現場に立ち会わせる事になりました。
小原をこっちに…じゃあ奴で決まりか?供述は相変わらず曖昧なんですが動機に関しては口を割りました。
そもそも小原が浮かんだ経緯は?指紋です。
安西のマンションのドアノブに小原の指紋が付着していました。
あいにく遺留確度が弱く照合に少し時間がかかったんですが…。
小原は30年ほど前殺人を犯しています。
出所後も傷害恐喝…。
罪を重ねて現在は興信所を経営しています。
その事務所をガサ入れしたところ…。
(刑事)この写真は?ラブホテルの前に張り込んで撮りました。
密会の現場押さえてゆする気だったのか?そうです。
安西さんを調べてみたら他にも女と付き合っていてこりゃあカモになるなと思いました。
ばらされたくなかったら金を出せ。
そう言ってゆすったんです。
ところが安西さんは居直るどころか警察に突き出してやると言って逆に私を脅してきました。
警察に垂れ込まれては困る。
それで…。
(刑事)河島千晶はどうして殺したんだ?安西さんともめている時にその女が現れたんです。
女にまで知られてしまって…。
ゆすったのばらされるのが嫌で2人を殺したっていうの!?小原自身はそう言ってます。
んな事あるかなぁ…。
しかし実際に密会現場の写真も撮ってますし指紋の件。
そして何よりやってもいない殺しを自供する必要もない訳ですし。
小原が犯人である可能性もあると思うんですが…。
それで奴をこっちに引っ張ってきた。
おかえり美也子。
あっこの人はね児玉さん。
お母さんがとってもお世話になってる人なの。
ちゃんとご挨拶なさい。
(児玉)俺の会社は今がふんばりどころなんだ。
いくらでもいいから金を回してくれよ。
頼むよ!うん?俺と一緒じゃ迷惑をかけるだけだな。
今が潮時かもしれねぇ。
(清子)あんた…。
必ず返してよ?きっと返してよ!美也子の進学のお金なんだから。
(生徒)ねえ知ってる?千晶吉岡君を別荘に連れてったんだって。
2人っきりで泊まったんだって。
えっ?ホントに?千晶吉岡君に処女あげたなんて平気で言うんだもん。
美也子はその事知ってるの?知らないんじゃない。
でも千晶もよくやるよね。
別荘使って吉岡君の事盗っちゃうだなんてさ。
おはようございます。
おはようございます。
それでどこで殺したんだ?場所は…。
よく覚えてません。
覚えてない訳ないでしょうが。
どうだ?何を訊いても覚えてませんの一点張りで。
何なんですかね?じゃあ。
何ですか?犯行を自供したのはあの男です。
小原勇三。
すいません。
ちょっと人に訊いてきます。
あのすみません。
ちょっとすみません。
ええ新潟グランドホテルってもうちょい向こうですよね?いや逆です。
逆?はい。
けど地図だと…。
運転手さんこれこう見なきゃ。
ねっ。
こっちですよ。
こ…。
逆かぁ。
・いらっしゃいませ。
《逆だったらどうなる?》《安西さんは東京で千晶さんは越後湯沢で殺された》《これがもしもそうでなく逆だったとしたら…》車?何ですか?いきなり。
大至急調べてくれ。
それと小原の素性も徹底的に洗ってくれ。
気になる。
犯人じゃないのにどうして罪を被ろうとしてるのか。
ちょっと訊いていいですか?はい。
どうして佐渡をお出になったんですか?私が3歳の時に父が死んで…。
母は民宿をやってたんですけどうまくいかなくなったみたいで。
私を連れて島を出たんです。
私の故郷はぼんやりと覚えてる佐渡の美しい風景だけです。
カンゾウの花青い海。
佐渡行きましょうか?
(船の汽笛)お母さん清子さんておっしゃるんですか?ええ。
お父さんの名前ありませんね。
母は父と同じ墓に入りたくなかったんでしょう。
じゃあお父さんの遺骨は?さあ…。
母がどこかにまいたんじゃないでしょうか。
それだけ父を嫌っていたという事です。
行きましょうか。
(雷鳴)お母さん民宿やってたそうですがどうして急にうまくいかなくなったんですか?さあ…。
それは口実かもしれませんね。
父という足かせが取れてにぎやかな場所に行きたかったのかもしれません。
母はそういう人間ですから。
足かせ…。
(雷鳴)賽の河原…。
親より先にあの世に旅立った子供が三途の河原で石を積むんだそうです。
この世に残った親達が子供が成仏するようこうして祭ってあるんです。
詳しいんですね。
5年前母の納骨に来た時地元の人が教えてくれたんです。
子を思う親の気持ちか。
結局私は自分の故郷の事を何も知らない。
ちょっとすいません。
あっ神谷?例の事わかったか?小原。
小原確か30年前殺人事件引き起こしたんだよな。
もしかしてひょっとしたら…。
どうかなさいました?今度の事件で2人の男性が容疑者として浮かびました。
1人は今朝ご覧になった小原。
もう1人は吉岡です。
しかしどちらも決め手がない。
となると犯人は誰なのか…。
正直言うと最初妙だなとは思ったんです。
あなた車をお持ちだ。
運転もなさる。
それなのにどうしてタクシーをご利用なさるのかと。
私が運転する事をどうして…。
事件の2日前実は私あなたの車を追っかけてるんです。
あの小原という男の指示を受けて。
あなたに容疑がかかった時私も一瞬あなたを疑いました。
でもあなたは人殺しができるような人じゃない。
それにアリバイ完璧だ。
そう思ったんです。
でも…。
あなたにアリバイはありません。
からくりがよめたんです。
逆を考えてみたんです。
安西さんは東京で殺され千晶さんは越後湯沢で殺された。
これが逆だったらどうなるか。
安西さんは越後湯沢で殺され千晶さんが東京で殺されたとしたら…。
20日の夜あなた私と9時に別れた。
あなたは部屋に入りその後すぐにホテルを出る。
あなたは安西さんを越後湯沢へ呼び出していた。
(安西)話って何?来なかったら自殺するだなんて君がそんな事を言う女だとは思わなかったよ。
(安西)千晶も別荘に呼んでるんだって?今さら俺と千晶を呼んで何が言いたいんだよ。
ねえ飲まない?はい。
あなたと千晶の結婚を祝福したいの。
ありがとう。
うっ…うっ!ああ…。
そしてあなたは東京へ向かう。
翌21日午前1時頃には東京へ着いたでしょう。
そして千晶さんを呼び出した。
安西さんがケガをしたって本当なの!?さっきね病院から連絡があったの。
早く乗って。
(千晶)どうしたの?
(美也子)エンジンの調子がねおかしいみたいなのよね。
ちょっと千晶も手伝ってくれない?
(千晶)ちょっとそんな事してる場合じゃないでしょ!病院はまだ先なの?ねえちょっとタクシー来ないかしら。
ホントに美也子はグズなんだから!昔っからそう!今は違うわ。
千晶さんを殺し今度は逆に遺体を越後湯沢へ運ぶ。
(雷鳴)車を止めてください。
私が殺ったという証拠があるんですか?ありません。
すべて私の推測です。
ですがあなたのアリバイが消えた以上警察は動きます。
この犯行は車なしでは実行できません。
ところがあなたの車は使われた形跡がない。
となるとレンタカーが使われた事になる。
今警視庁と新潟県警が全力を挙げて営業所を当たってます。
あなたが車を借りてたとしたら証拠はその車の中から出てくるでしょう。
(雷鳴)うっ!もしも…。
もしも安西さんと千晶さんを殺したのがあなただとしたら証拠が出る前に自首してください!私あなたの中の良心信じたい。
新潟を離れたあの日から私は前だけを見て歩いてきました。
私に帰る場所なんてないんだってそう自分に言い聞かせて私は必死に…。
そんな私にとって安西さんは安らぎでした。
本気で好きになったんです。
安西さんは私にプロポーズしてくれました。
私はやっと幸せになれる…そう思いました。
そんな時に千晶さんが現れた。
旅行に来ていた千晶とバッタリ会ったんです。
美也子じゃないの?あっ千晶!懐かしい!美也子一体どうしてたのよ〜。
ずっと美也子の事気にしてたのよ。
おばさんから東京にいるらしいとは聞いてたけど連絡先もわからないんだもの。
高校時代のね友達なの。
よかったら一緒に食事でもどうですか?
(美也子)それからというもの千晶は週末になると決まって東京に遊びに来ました。
千晶の目的が私ではなく安西さんだと知ったのはしばらく後の事です。
そして千晶さんは東京でマンション暮らしを始めた。
それでも私は安西さんを信じました。
安西さんが裏切る訳がないって。
そんなあなたの元に写真が送られてきませんでしたか?どうしてその事を?安西さんと千晶さんのデートの写真。
そうですね?
(カメラのシャッター音)危ないでしょう!そんな事はいいから早く!どちらへ?前の車を追うんだよ!
(安西)いつ切り出そうかと思ってたんだ。
君には申し訳ない事をしたと思ってる。
このスーツブランド物ね。
いつ買ったの?この時計も千晶に買ってもらったの?俺を軽蔑したければすればいい。
俺はこういう人間なんだ。
結婚しても幸せにはなれないよ。
俺と一緒じゃ迷惑をかけるだけだ。
俺と一緒じゃ迷惑をかけるだけだな。
昔は別荘。
今度は物を買い与えたって訳?何よそれ。
ああ…吉岡君の事を言ってるの?古い話持ち出さないでよ。
美也子とはきっと男の趣味が同じなのね。
昔私は千晶がうらやましかったわ。
きれいでお金持ちで。
でもその内あなたの心が読めたの。
千晶は私といる事で優越感に浸りたかっただけなのよ。
そうよ。
いけない?でも1つだけ言っとくわ。
うらやましいと思ってたのは私のほうなの。
親に縛られ続けてきた私に比べて美也子には自由がある。
勝手な事言わないで!だから私はあなたのものは奪ってやる。
私は私を裏切ったあの2人が許せなかったんです…。
私にはあなたがそれだけの事で殺人を犯すとは思えない。
もう二度とこの島へ来る事はないでしょう。
結局私には故郷なんてないんです。
小原です。
あなたに写真を送りあなたを尾行し今度はあなたの罪まで被ろうとした。
その人は一体…。
お母さんあなたに父親は死んだって言ったかもしれない。
しかし墓にお父さんの名はなかった。
30年前小原は新潟市内の飲み屋でケンカになり殺人事件を起こした。
だからあなたのお母さんこの島離れるしかなかったんです。
身を引くように離婚した小原は服役後あなたの事を忘れたはずだった。
しかし忘れる事ができなかった。
あなたを捜しだし遠くから見守ってた。
安西の事を調べひどい男と知って別れたほうがいいと写真を送った。
だが急に不安になった。
あなたが変な事をしはしないかと。
まあそれが18日の尾行になった訳です。
2日後不安が的中した。
安西さんと千晶さんが殺された。
そこで小原は…。
夜明さん。
私に父親はいません。
私は故郷が嫌いです。
親が嫌いです。
すべての過去が嫌いです。
私は母親のようになりたくなかった。
男に捨てられたまま生きていく事なんかできない。
だから安西と千晶を殺したんです。
あなたを1人で育ててくれたお母さんの苦労もうわかるはずだ。
あなた本当はお母さんを好きなんだ。
好きで好きでたまらないから…。
違います…!あなたの身代わりになる事で過去の罪滅ぼしをしようとしてる小原のお父さんの気持ちもあなたわかるはずだ。
(すすり泣き)
(すすり泣き)どんなに嫌おうと忘れる事ができない。
それが故郷です。
「波に追われる鴎さえ」「恋をすりゃこそ二羽で飛ぶ」「沖をながめてなじょして泣いた」「島の娘はなじょして泣いた」「逢えぬお人というて泣いた」また旅行行きたいな〜。
えっ?何か病み付きになっちゃってさ。
温泉とグルメいいよね〜。
何年寄りみたいなこと言って。
だから。
小遣い?あゆみもう立派な大人なんだから〜。
じゃあバイトして行こう!誰と?へへっ!へっじゃないよ。
誰と?私はもう大人ですから。
ふふっ。
俺に故郷があるとしたらやっぱりあゆみかな。
2014/11/17(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
タクシードライバーの推理日誌[再][字]
東京−新潟350キロを死体が走った!?愛と死の殺人迷路に誘う女…
詳細情報
◇出演者
渡瀬恒彦、田中美奈子、平田満、風見しんご ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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