(中田恵)結婚?いいよ。
だって束縛されるしさ。
(恵)遊べないじゃん。
あはは…。
(恵)まだまだ遊んでた方がいいしね。
ははは…。
(相原誠)鑑識課の米沢さんをお願いします。
(米沢守)相原さん。
(相原)米沢さん!どうもご無沙汰です。
今日はどうして?もちろん米沢さんに会いに来たんです。
ええ?あっもしかして本部に異動の内示が出たとか?いいえ。
相変わらず千束署にいます。
(相原)今その通り魔事件の捜査本部にいます。
ニュースで見ました。
3件も起きてるとか…。
死者は出てないんでまだ所轄だけの捜査本部なんですけど。
被害者は犯人見てないんですか?ええ。
2人とも背後から殴られてます。
2人…3人では?3人目は今意識不明です。
…でその3人目の爪から採取された繊維片なんですけど。
(米沢)はあ…。
ちょっと待ってくださいよ!所轄の鑑識がちゃんと調べたんですよね?いやそれでなんにもわからなかったからこうして米沢さんに…。
私もやる事は同じですから。
いや米沢さんならきっと何か手がかりを掴めるはずです!無茶言わないでください。
私も仕事抱えてるんですからね。
(相原)違う。
僕が知っている米沢さんは違った。
あっ。
(杉下右京)おはようございます。
おはようございますどうも。
これゆうべ頼まれていた…。
あっもう出来たんですか。
さすがは杉下警部。
私が抱えている放火事件です。
燃え残った資料がほとんど英文だったもんで杉下警部に翻訳をお願いしました。
そうそう。
火事といえばもうお聞きになりましたか?青楽師匠の『火事息子』。
もちろん。
CDも手に入れましたよ。
そうですか。
なんですか?カジムスコって。
落語ですよ。
落語?ああ!誰ですか?杉下警部って。
私の敬愛する刑事です。
この方ですか!あの…前に米沢さんが言ってた敬愛する刑事!ちょっと…本人の前でそんな…。
わあ…!お取り込み中のようなのででは僕はこれで。
すいませんねえ。
警部殿にこんな事お願いして。
いえいえ頼まれればなんでもするのが特命係ですから。
頼まれればなんでもする?はい?
(中園照生)すでにマスコミが騒ぎ始めています。
(内村完爾)もし4件目が起きて人が死んだらどうなる?捜査一課主導の捜査本部という事になりますね。
そうなったら今までは何をしてたんだとたたかれるのが我々だ。
所轄には任せておけん。
捜査一課の刑事を動かせ。
はっ!
(芹沢慶二)もうやっと事件番が終わったばっかだってのに…。
(伊丹憲一)上等じゃねえか。
俺はそういう卑劣な野郎は許せねえ。
そりゃ先輩はいいっすよ。
ノンプライベートだから。
あいた…。
誰がノンプライベートじゃ。
俺はな…。
(三浦信輔)だから急な仕事なんだって!いや時間を見つけて一度帰るから。
着替え用意…。
おいトシ子!トシ子?な?ああやって家庭を壊す人もいるんだ。
それに比べたらお前…。
まだ壊れてねえぞ!まだっていうところがなんとも香ばしいっすね。
やかましいお前!行くぞおい!あーちくしょう!
(神戸尊)へえ。
捜査状況をしっかり記録してるんですね。
はい。
毎朝9時の捜査会議で前日の報告があるんで。
この犯人どうやらこの地域に詳しい人物のようですねえ。
捜査本部もそう考え地域に詳しいタクシーや運送会社新聞配達所なんかを重点的に聞き込んでいます。
ネット捜査の方はどうなっていますか?へっ?あっこの手の事件が起きると掲示板の管理者やパトロール会社から通報があります。
そういった書き込みをサイバー犯罪対策課が集めたログがあるはずなんですけど。
では我々はそちらの方を…。
そのログを見せて頂けますか?えっ?相原さん。
君やはり捜査本部の人間ではありませんね?えっ!ああだからか。
はい?捜査会議は毎朝9時なんでしょ?あ…。
それに捜査本部の人間ならば刑事は2人以上で動くはずですよ?昨日捜査本部を外されました。
あれ?じゃあこれは?勝手に持ち出しました。
嘘…。
だって3件目の事件は向島署の管轄だから合同捜査本部が立つまで現場に入るなって言われたんですよ!いや普通の指示のように聞こえますけど。
もうすでに3人の女性が被害に遭ってます。
そんな悠長な命令納得出来るわけないじゃないですか!それで外されたってよっぽど抗議したんだ。
であるならば君は今きっと謹慎中のはずです。
でも謹慎といっても今回はたった3日です。
「今回は」って…。
謹慎中に捜査をすればさらなる処分を科せられると思いますよ。
その覚悟はあるんですか?僕以前米沢さんと警察の天下り先の横領事件をあぶり出した事があるんです。
(相原)当然僕はその不祥事の詳しいところを知ってるんで署内では腫れ物に触るような扱いになってて…。
だから大丈夫です。
なんで笑顔なの?こちら杉下です。
失礼します。
サイバー犯罪対策課に頼み込みました。
どうぞ。
どうもありがとう。
しかし相変わらずですなあなたは。
捜査を外されていたなんて。
すみませんねえお忙しいところ。
いやいや相原さんを押しつけたのは私ですから。
気になる書き込みがあったら調べさせます。
書き込んだパソコンってすぐ割り出せるんですか?ええ。
このログの範囲の令状請求は済んでるそうです。
(水野沙織)はい。
どうもこんにちは。
(伊丹)通り魔事件についてお話を伺いたいんですが。
それなら昨日も警察の人が来ましたけど。
すいませんどうも。
何度も。
私これからこの子と買い物なんですけど。
でしたら歩きながらで結構ですんで。
(相原)サイバー犯罪対策課が集める書き込みって目撃証言だけじゃないんですね。
極端に通り魔を賛美したり極端にバッシングしたりする書き込みも洗い出されてますね。
これ少し気になりますね。
「その通り魔見たかも」「女を殴ったの黒服の男だった」「街灯の下からこっち見上げてたやばかったかも」昨日の書き込みですね。
「通り魔見たかも」ですか。
いやこんな書き込み山ほどありますよ。
米沢さん。
はい。
この書き込みのアドレスログから割り出せますか?あ…ちょっと失礼。
(芹沢)どうもご協力ありがとうございました。
(代田美由紀)いえ…。
(三浦)よし次はだな…。
ここだ。
(斉藤麻紀)また警察の人?
(美由紀)何やってんのあんた。
出歩いて。
8か月までは歩けって言われてるの!あの…向かいの家の人なんですけど…。
(米沢)出ました。
書き込みがあったパソコンのある住所です。
ああ…。
3件目が起きた近くですね。
(佐々木真理子)主人は今役所に行ってて…。
あ…仕事が区役所で。
では息子さんにお話をお聞きしたいんですが。
え…。
(チャイム)はい!
(相原)失礼します。
(相原)千束署の者です。
(真理子)どうぞ。
千束署?
(相原)失礼します。
(芹沢)あっ!どうも。
(三浦)どうも。
千束署って捜査本部の人じゃないですか?あ!あの天下り先の殺人事件の時の…!
(芹沢・三浦)あっ!近所で色々伺っていたらそんな話を耳にしまして…。
もう随分長いようですね。
9年です。
(芹沢)9年…。
どうして引きこもりになったんですか?わかりません。
高校に入ってすぐ朝起きられなくなって週に一度学校を休むようになって週に一度しか学校に行けなくなって…。
いじめとかですか?いじめを受けるほど高校に行っていません。
1年生の1学期から休学してそのまま退学しました。
普段息子さんは2階で何をしているのでしょう?寝ています。
夜中に起きてテレビを見たりゲームをしたりネットをしたり…まあそんな感じで。
つまり息子さんの部屋にはパソコンがある。
ええ。
息子さんの部屋だけでしょうか?パソコンがあるのは。
あとは主人の部屋に…。
息子さん夕飯になったら下りてきます?以前は部屋の前に置いて…。
でもそれが本人のためにならないってカウンセラーに言われて。
では今は息子さんに食事を運んでいない。
はい。
そしたら夜中にコンビニに行くようになって。
どんなにほっとした事か…。
ほっとした?やっと外に出てくれるようになってって…。
どうも。
どうも。
どうも。
どうも。
どうも。
そろそろ教えて頂けませんかね?どうしてあの書き込みが気になったのか。
え?あっちょっと…!杉下さん!
(相原)どうしたんですか?あっここ3件目の現場ですね。
「街灯の下からこっちを見上げていた」そう書き込んでありましたよね。
まるで上から見たように。
このような構図の書き込みは他にはありませんでしたからねえ。
当然気になりました。
じゃあやっぱり佐々木真人君が目撃者?その可能性は限りなく高いと思いますよ。
さすが杉下さん!あっ相原さん!
(相原)真人君!真人君!お願いします。
真人はそっとしておいてやってください。
(相原)真人君。
千束署の相原です。
(真理子)やめてください。
(相原)君は通り魔を見たんだろう?僕に話してくれないか?僕を中に…。
(佐々木真人)知らない!出てけ。
(相原)君は黙ってるのが怖くなった。
だからネットに書き込んだ。
(相原)それなら君のその勇気を…。
うるさい!出てけ!やめてくださいお願いします。
勝手に部屋の前に人立たすなよクソ親が!何やってんだ!
(相原)真人君!君はせっかく目撃証言を書き込んだんだろう!
(相原)なら堂々と警察に証言してくれ!真人君開けて…開けてって!相原さん。
なんですか?ちょっと…。
なんなんですか?あなたたちは。
出てってください!申し訳ありません。
(泣き声)目撃証言を聞こうとしただけです!ええ。
一番しちゃいけない聞き方でね。
彼も母親も敵に回してしまいましたねえ。
これで彼から話を聞くのが難しくなった。
彼は人と話したがってます。
そうは見えませんでしたけど?だからこそ事件の事をネットに書き込んで…。
注目されたかっただけかもしれない。
勝手な分析しないでくれ!それはあんたでしょ!あんな状態の彼放っとけって言うんですか?1つ確認したいんですけど今日僕たちはここに引きこもりのカウンセリングに来たんですか?違いますよね?事件の捜査に来たんですよね?そんな事はわかってますよ。
だったら我々警察官がすべき事…。
警察官である前に人間です!はあ?人として放っておけない事があります。
(三浦)これ9年前の写真なんですけどちょっとよく見てください。
(増山浩二)ああ…。
帽子被って髪の毛長くて無精ひげの…。
ああ彼なら深夜に来る人ですね。
えっそれ何時頃ですか?雑貨の搬入時間辺りだから1時か2時頃。
犯行時間ですね。
今週の金曜日この人来てましたか?さあ…でもまあほぼ毎日来てます。
(相原)あっ!ご協力ありがとうございました。
どうも。
ありがとうございます。
どうも。
(相原)ちょっと!待ってくださいよ!やっぱり佐々木真人を疑ってるんですか?なんの話でしょう?とぼけないでくださいよ!彼の写真なんて持ち歩いて。
ええ?母親の話では彼は深夜にコンビニに行ってた。
コンビニぐらい誰だって行きます。
それも通り魔事件が起きた時間帯に。
で3件目の現場に近いそこで話を聞いたわけです。
その結果疑わざるを得なくなった。
彼には通り魔なんて出来ません。
根拠は?母親の話を聞いたはずです。
彼がコンビニに出かけたたったそれだけの事がどれほど救いだったか…。
息子の事を愛してるんです。
人は誰かに愛されてる時進んで凶悪犯罪に手を染めたりはしません。
(芹沢)今のが根拠?僕は昔少年係にいました。
そこで何人もの少年を見てると自然とそういう事がわかるようになるんです。
息子には愛された実感がなかったかもしれない。
なんでそんな事が言えるんです?佐々木真人は家庭内で暴力沙汰を起こし近所に通報された事があった。
えっ?引きこもりの男が親を殺した例もある。
現実を受け入れるのも我々の仕事です。
行こう。
あなたの根拠より説得力ありますね。
今夜はこの辺りを警戒しましょう。
通り魔の時間まで。
それは捜査本部がやっているでしょう。
犯人は夜中に出歩く以上朝は寝ているはずです。
(沙織)やだ起きちゃったじゃない。
(相原)あのその時間不審な人物を見たとかないですか?そんな時間に出歩けません。
この子の世話があるのに。
ではその時間は家に。
ええでもうちからはこのとおりなんにも見えないわよ。
ご主人はお仕事ですか?…でいつも午前様。
という事はご主人の帰宅は深夜0時過ぎ。
そう。
この子私に押しつけて私がゴミ出しに行ってる間とそんな時間に帰ってからこの子の面倒見るだけ。
お忙しいところありがとうございました。
(麻紀)すいません。
あなた奥行っちゃダメよ。
はーい。
(美由紀)気をつけて!はいはい。
ねえ…ねえ!向かいの佐々木さんが怪しいの?
(神戸・相原)え?だって昨日入ってったじゃないあなたたちも。
あの深夜1時頃出歩く佐々木さんを見かけた事は…。
さっきも言ったけどその時間は寝てるの。
そういえばうちの人が見たって。
深夜コンビニで。
えっ佐々木さんの息子さんを?違う違う。
お父さんの方!立ち読みしてたって。
それはいつの事でしょう?うーんわからないけど何度か見たって。
父親って確か役所勤めですよね?そう!なのにそんな夜中に何度も…。
やっぱ変よね。
佐々木さんならいつもどおり定時で帰りましたよ。
(相原)そうですか。
ありがとうございました。
毎日5時には退社してるみたいですね。
なのに深夜のコンビニで立ち読み…。
(ノック)父親は帰ってきましたか?まだですよ!やっぱり佐々木真人を張ってたんですね。
やめてください!彼は傷ついてるんですよ!この9年ずっと。
(伊丹)この熱血先生どっかにやってくださいよ!その上警察に傷つけられるなんて事があっていいはずがない!シーッ!声が大きいよ!なんだよおい!ちょちょちょ…。
どうしてもって言うなら僕も一緒にここにいます。
どうしてもなんて頼んでねえよ!警部殿!我々は万一これがうちの主導になった時のための先行捜査を命じられているんです。
そんな事だろうと思っていました。
所轄の捜査本部の刑事とは組めません。
僕は捜査本部の刑事じゃありません。
(三浦)え?
(芹沢・伊丹)はあ?もういいじゃないですか杉下さん行きましょう。
いえ君も一緒にここに残ってください。
(神戸・芹沢)えっ?彼はここに残ると言い張るでしょう。
はい言い張ります。
その場合彼だけここに残していくのとうちの神戸君もここに残していくのとどちらがよろしいですか?なんの2択ですか?でもでも先輩。
この不安定な人だけ残されるよりは…。
ちょっと杉下さん。
僕にも意思というものが…。
どうやら結論は出たようですね。
いつだよ!神戸君お願いしますよ。
ちょっと杉下さん…。
警部補殿!行くならこの人も連れてってくださいよ。
頼みますよ!なんだよもう…。
(入店音)佐々木さん…ですね?
(佐々木辰人)あ…。
探しましたよ。
(辰人)近所に通報された事もあります。
まあ仕方がないですよね。
夜中にあんな大きな音を立てたら。
息子さんから暴力があるとか。
(真人)全部お前らのせいだよ!ふざけんな!
(辰人)真人!
(真人の叫び声)
(辰人の声)私も妻も真人を大切に育て…勉強だってとやかく言った事はなかった。
だからなぜこんなに責められるのか全くわからないんです。
家に帰りたくありませんか?仕事をしてる間は惨めな息子の姿を見なくていい。
まあ妻にはすまないがそれが今唯一の救いなんです。
今夜は出かけないつもりか。
…って狭いよ!もう。
あっ出てきましたこっち来たこっち来た…。
(三浦)あー知らん振り知らん振り。
通り魔の犯行時刻だ。
そろそろ行くぞー。
通り魔だって決めつけないでください!容疑があるって言ってるだけですよ。
だったら堂々と聴取取ればいいでしょ!あっ!どうもありがとうございました。
クソ…どこ行きやがった?真人まさか本当に通り魔じゃないんでしょうね?いえ…我々はあくまで彼に目撃者としてお話を聞こうと…。
真人が刑務所にでも入れられる事になったら…。
もしそうだったら終わるのかな。
9年続いたこの地獄も。
お父さんは彼を刑務所に入れたいんですか?相原さん。
息子さんの事愛してないんですか?いい加減にしてくださいよ。
うちには16歳で時が止まった25歳の息子がいるんです。
向かいの家の麻紀ちゃんと同い年です。
(辰人)向こうは結婚してもうすぐ子供も…。
そんな事考えると胸がかきむしられて頭の中が真っ白になって…。
(辰人)先が見えないんです。
見えてるのは親の方が先に死ぬって事だけ。
そうなったらあいつは…。
(三浦)こんばんは。
佐々木真人さんですね?
(伊丹)こんばんは。
(芹沢)こんばんは。
どうしたのかな?ああ今日は行くコンビニ変えたんだ。
起きるのはいつもこの時間らしいねえ。
つまりこれからしばらく起きてるって事だ。
聞きたい事がある。
警視庁まで来てもらえるかな?
(相原)断っていいよ。
聴取は任意だしそもそもこんな時間に言う事じゃない。
大体捜査本部があるのは千束署です。
いい加減にしろよ。
もし誰かの助けが必要だったら…。
(三浦)おい…おい!ねえなんかあったら電話して。
ダメだ行こう。
よし。
どうも。
どうも。
やはり今夜は起こさないようですねえ。
え?思ったとおり警察を気にしているようです。
まさか犯人わかってるんですか?いいえ。
でも気になる人はいます。
気になる人?しかしまだ証拠がありません。
(月本幸子)いらっしゃいませ。
あれ?あれ?あのど…どなたですか?あっ月本幸子です。
月本幸子…。
ああああ…。
先月からこちらのお店継がせて頂いてます。
あっそうですか。
あの知ってる店だと思って待ち合わせ場所にしちゃいました。
どうぞ。
はい失礼します。
何に致しましょうか?じゃあ…お酒をひと口だけ。
ひと口…。
お酒控えてらっしゃるんですか?はい。
あの…消えた女房が見つかるまではと。
だけどあのこの店だけはいいと自分に甘くしてるんです。
どうしてこのお店だけ?ここは杉下警部も来る店です。
お酒を飲んで酔い潰れちゃいけないと自制心が働きますから。
尊敬なさってるんですね。
杉下さんを。
でも実は…誘われると他でもつい飲んじゃうんですよね。
自分に甘くて…。
だけどあの酔い潰れない程度にですけどね。
酔い潰れちゃったら悪いんですか?あなた人誘っといてそれはないでしょうちょっと…。
やっぱり間違ってる。
あんな考え方。
それは電話で呼び出された時に散々聞きましたよ。
刑務所に入れば救われるなんてそんな事あると思います?
(米沢)すいませんね悪酔いしてて…。
あの父親もう息子に愛情ないんですかね?そんな事考えたらなんかもう悲しくなって…。
(泣き声)ちょちょ…ちょっとちょっと起きてください。
ちょっと起きて。
ほらほらほら。
ああほら…。
これ聞いてみてください。
相原さんの胸のつかえが少しは下りるかもしれません。
(芹沢)ああおはようございます。
おはようございます。
あれ?起きてください起きてください。
先輩三浦さん!3人目の被害者意識戻りましたよー!はい行きますよ行きますよー!
(恵)何かでここを殴られて…。
(恵の声)倒れる時とっさに相手の服を掴んだんですけど…。
顔は見てません。
そうですか…。
服を掴んだ…。
(芹沢)ええ犯人の服でしょうね。
佐々木真人引っ張ってみるか。
(携帯電話)神戸君。
はい。
ああ…。
杉下です。
3人目の被害者意識が戻りました。
えっ。
じゃあ早速行きましょう。
その前にそちらの捜査一課にいてください。
佐々木真人が引っ張られたんですよ。
あの刑事たちに。
僕も1時間ほどでそちらへ向かいます。
1時間とは随分時間がかかりますねえ。
すいません。
課長の説教いつもそれぐらいかかるんで…。
なるほど。
謹慎中の捜査がばれてしまいましたか。
服の確認はこの辺でいいだろう。
あと聞きたいのは2月4日の午前1時から2時君がどこにいたかって事だ。
家にいました。
でも…その時間いつもコンビニに行くんじゃないのか?家にいたって証明出来る人は?どうも。
いかがですか?久しぶりに昼間外出したご気分は。
あっこれをさあ書き込んだのは君だよね?ちゃんと目撃した事答えられた?…聞かれなかった。
一課はまだこれに気づいてないみたいですね。
ちょっと失礼。
(携帯電話の振動音)あ…。
おや遅かったですねえ。
(相原)「すいません」今回は警務の聴取受けてたんでこんな時間に…。
今どちらですか?結構ですよ。
あなたが来ると…。
これから彼を家まで送りがてら夕食をとります。
え?彼の家の近くでどこか適当なお店を知りませんか?ああそれじゃああの…。
向島の交差点にあるファミレスにいてください。
すぐ行きます。
相原さんが来たら彼から話聞けなくなりますよ。
それは困りますねえ。
さあ送りましょう。
行きましょう。
(ため息)食事中ぐらいさ帽子とろうよ。
食べ終わる前に聞いときたいんだけどさ君が見た…。
それよりなんで引きこもるようになったの?「それより」って…。
僕だけだった。
希望の高校入れなかったの。
え?それだけの理由?
(真人)わかんない…。
でもそれ以外思い当たる事ないし…。
なんで引きこもるようになったか自分でもわからないの?わかんない。
昔すぎて忘れたかも。
(相原)なんだよそれ…!あのさあ君はどんなに両親が君の事…。
まあまあまあまあまあ…。
きっとさ原因も出口もわからない中で君自身も苦しんでたんだよね。
もうこの話は…。
そんなのただ甘えてるだけじゃないですか。
ちょっと相原さん。
邪魔しないでください。
どっちが…。
君は甘えてる。
少なくともそう言われても…。
(真人)そんな事わかってるよ!!甘えてるなんてわかってる。
でもどうしようもない…。
うんわかった。
悪かった。
とりあえず座ろう。
もういいよ!どうせ俺は変人なんだから。
ああ…。
ちょっと待て!あっおい!あなたのせいで肝心の証言が聞けなかった…。
邪魔すんなっつうの!神戸君。
はい。
君は会計の方をお願いします。
え?領収書は「警視庁刑事部臨時付特命係組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課内都合」でお願いします。
長い…!
(相原)真人君!離せよ…!お前に関係ないだろ!9年だぞ9年!引きこもった原因を忘れた?ふざけんな!君は考える事から逃げてただけだ。
9年も!ずっと!うるさい…!忘れたという類いのものではないのでしょう。
原因はきっとアンテナの感度なのですから。
アンテナの感度?親や教師がたとえあなたのためを思って放った言葉でもそこに少しでも親や教師自身のための気持ちが入っているとあなたは高感度でそれを受信してしまう。
つまりあなたが人と話をする事自体あなたが傷ついてしまう事とイコールになってしまう。
人は100パーセント誰かのためにだけ話をする事は出来ません。
必ず主観というものが入りますからねえ。
たとえそれが親でも。
そしてあなた自身もそうなんですよ。
ですから相手の言葉に主観が入っていてもそれはあなたを裏切った事にはならないんですよ。
意味わかんないよ…。
もう構うなよ。
あなたは気づいてるはずです。
さすがに9年も経てばあなたは気づいてるはずです。
家族の力だけではすでに自分は助からない事に。
だからあなたは今夜我々とあそこで食事をしたんですよ。
うるさい。
もうこれ以上俺に構うなよ。
いいですか?たとえあなたが逃げても彼はあなたを追い続けますよ。
それはわかりますよね?そして彼があなたを犯人扱いしていない事もわかりますよね?『火事息子』っていう落語だ。
『火事息子』…。
親に迷惑をかけ続け全身に入れ墨を入れ当時やくざな生業とされた火消しになった大店の息子の話です。
知らないよ…。
だから両親から勘当され見放された。
誰もがそう思っていました。
もちろん息子自身もそう思っていました。
しかしある時大店が火災に遭い火消しに息子が駆けつけたその時衝撃の事実がわかります。
両親はずっと息子に会いたかったんだ。
そのために自分たちの大切な店に付け火までして…。
君は愛されてる。
母親にも父親にも。
たとえ引きこもりだってたとえ万一犯罪者になったって。
目撃証言を聞くのを忘れないように。
神戸君。
はい。
僕ではなく相原さんを選んだ理由が少しわかりましたよ。
そうですか。
少しわかりましたか。
しかしいいカウンセラーになれますね杉下さんは。
失礼します。
遅かったじゃないですか。
目撃証言は?はい。
これ見てください。
彼結構絵が上手いんですよ。
なので見たまんまを描いてもらいました。
失礼。
いや確かに上手いけどこれじゃあ犯人の顔は…。
(相原)ああそれは見てないって…。
やはりそうでしたか。
何が?今すぐ在宅確認したい人がいます。
はい?僕とした事が…。
(携帯電話の振動音)杉下です。
どうですか?確認したらいませんでした。
はい。
いつものようにファミレスに向かったそうです。
やめなさい!
(相原)やめろ!大丈夫ですか?沙織さん。
あなたは目撃された事に気づいてましたねえ。
深夜外で通り魔を目撃した事があるかどうかあなたに尋ねた時…。
でもうちからはこのとおりなんにも見えないわよ。
なぜあんな言い方をしたのか違和感がありました。
彼に窓から目撃された。
その印象があったからだよね。
さらにあなたの発言には気になるところがありました。
という事はご主人の帰宅は深夜0時過ぎ。
そう。
この子私に押しつけて私がゴミ出しに行ってる間とそんな時間に帰ってからこの子の面倒見るだけ。
つまりあなたはご主人がお帰りになった深夜0時過ぎに全く出かけられないわけではなかった。
だとしたらなぜそれを隠そうとしたのか。
その時目にとまったのがあなたが今着てらっしゃるその服です。
彼はあなたを2階の窓から目撃しました。
これ彼が描いた絵。
この服を着た人を上から見れば頭や体が大きく見えさらに身長もわからないために男にも見えるでしょう。
だから黒い服を着た男って書き込んだんだね。
夜暗い場所で見れば黒く見えます。
警察も通り魔をするのは男って先入観があるから緊急配備による職質もきっと男に絞られたでしょうね。
この期に及んで否定なさるとは思いませんがもしするのであれば…。
3番目の被害者の爪から採取したこちらあなたの今着てらっしゃるその服と照合させてください。
ああいいね。
春頃がいいよねやっぱ。
あっはは。
いいよ。
だって束縛されるじゃん。
まだ遊んでたいしね。
(沙織の声)見られたと思いました。
(伊丹)だから口封じに殺そうと思ったのか?
(沙織の声)殺すつもりなんてありません。
ちょっと脅そうってそう思って…。
それ以前になぜ通り魔なんてする?ずっと夫を殺したかった。
子供が産まれた時私が会った事もない人たちを勝手に連れてきて赤ちゃん見せびらかして…。
(水野裕史の声)そういえば連れて行きましたね。
だって子供出来たの嬉しかったし自慢したかったし。
赤ちゃんを連れて帰った日…。
ふーんやっぱり行くんだ。
秋川渓谷。
前から約束してたんだからしょうがないだろ。
夕方には戻るって。
(沙織の声)出産から帰ったばかりなのに友達と遊ぶ約束入れてて…。
冷凍庫を開けたら凍ったペットボトルが足の上に…。
痛くて泣いたのにあの人その凍ったペットボトル持って友達とバーベキューに…。
(裕史)ただいま。
(沙織の声)病院で診てもらったら骨にヒビが…。
そんなひどかったの?
(沙織の声)それからです。
あの人に殺意が…。
(裕史の声)ああありましたねそんな事。
でもそのあとは会社休んで子供の面倒も見たしそれに今だって夜中は僕が子供の面倒見てるんです。
その間奥様はファミレスに行っているそうですね。
ええ。
息抜きだって。
でも僕はそれに対して文句一つ言ってないし…。
うちの子夜泣きがすごくて大変なんです。
夜泣きがすごくて大変なのに隣で酒の臭いさせて寝てられるとすごい腹が立って…。
そういう子育ての愚痴だって僕は嫌がらずに聞きます。
おふくろからアドバイス聞いてそれを伝えたりして…。
子育ての大変さを訴えても僕の母親は働きながらやったみたいな事言われるとすごい頭にくる。
そうなったらもう何もかもが腹が立って…。
妻を労わる言葉にも夫の主観は入るのですねえ。
彼女子供を産んだばかりの時期でアンテナの感度が高かったんですかね。
だからって妻を裏切ったわけじゃないのに…。
でも暴力も浮気もなかったんだろ?だから離婚出来なかったの。
したら私が悪者になる。
あの人を殺しても保険金だけじゃ子供と2人生きてく自信ないし…。
そんな事ばかり考えて毎日が地獄で…。
(沙織の声)そんな時ファミレスの帰りに…。
(沙織の声)こんな時間なのに結婚してるのに私より自由に見えて…。
(沙織の声)そういう女を見る度に…。
(米沢)えっ?なんで人が貸したCDをまた人に貸すんですか!すいませんあの…成り行き上。
成り行き…?今度今度絶対返しますんで!じゃあまた。
失礼します。
ちょっと!なんなんだあの人はもう…。
そう。
まだ続いてるんだ引きこもり。
そう簡単に解決される問題ではないのでしょうねえ。
でもあの父親はまっすぐ帰ってくるようになったって。
相原さんまだあの家族と連絡取り合ってるみたいだけどもう首を突っ込まない方が…。
(携帯電話)
(携帯電話)噂をすればです。
はい相原です。
はい。
ほんとですか?それはよかった。
はいどこですか?わかりました。
すぐ行きます!はい。
あの…行くってどこに?彼が床屋に行くそうです。
は?すごくないですか?こんな昼間から出かけるんですよ。
まさかその床屋に行くんですか?ええ行きます。
3日間の謹慎解けたんでしょ?そんな事やってて大丈夫なんですか?ああそれならまた3日延びたんで。
え?だから大丈夫です。
いやなんで笑顔なんだよ。
杉下さん合同捜査本当にありがとうございました。
合同捜査って…。
神戸さんも。
相原さん今度は事件の起きていない時にそして君が謹慎中ではない時にゆっくり特命係にお茶でも飲みに来てください。
はい!じゃ。
ぜひ!頑張って。
神戸さんも。
じゃ失礼します。
じゃあ。
失礼します。
(2人)こんにちはー。
ねえねえあなた通り魔捕まえるのに協力したんだって?えっ?そうなの?そうなのよ。
すごいじゃない!引きこもりを脱する日くるんですかね?くると思いますよ。
それもそう遠くない将来に。
根拠はあるんですか?ありますよ。
だって彼愛されてますから。
今週も新婚さんいらっしゃい!は鳥取県米子市からお送りします2014/10/19(日) 12:00〜12:55
ABCテレビ1
相棒 season10[再][解][字]
「アンテナ」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)と神戸尊(及川光博)の名コンビが難事件に挑む!豪華ゲストも見もの!
◇出演者
水谷豊、及川光博 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語
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