ここは１３７億年の歴史をつなげる私寺脇博士の研究室。
今日は先輩研究者の池上さんが遊びに来た。
何やら楽しいことが始まりそうだ。
大家の宮崎さんも何か持ってきたぞ
さて今日はそれぞれが研究したいテーマを持ってきてくれているようですが。
はい私はこれです。
おっ。
なんと言っても恐竜でしょう。
化石よ化石。
ね！石が好きですからね大家さんはね。
はい！私はこれです。
大事ですかなんか。
お〜。
お〜！よいしょ。
蒸気機関車ですか？そうです。
人類の歴史を変えた産業革命を調べてイギリスに行きたいですね。
また遊びに行くの？取材ですよ。
そう？うん。
で寺脇博士は？あっ。
私はですねまあちょっと趣味が入ってしまうんですがこれ。
ビートルズ。
博士ビートルズ好きだったの？そうなんですね。
高校の時にですねこれアルバムがね全部揃えるために頑張ってバイトしてねお金を貯めて揃えました。
そして好きな曲を抜粋してカセットテープに入れ…。
はいはい…熱い思いはわかりました。
ファンだってのはわかりましたけど。
『ＰＬＥＡＳＥＰＬＥＡＳＥＭＥ』ね。
いや『ＡＨＡＲＤＤＡＹ’ＳＮＩＧＨＴ』も捨てがたいですよ。
今日その話で終わっちゃいそうじゃないですか。
だけどこうやってこう見てみると私恐竜でしょ？でビートルズで…何？蒸気機関車。
全然関係ないものが３つ出揃っちゃって。
いやいや…これとてもおもしろい組み合わせじゃないですか。
恐竜でしょ？蒸気機関車でしょ？そしてビートルズ。
３つの歴史をつなげようじゃありませんか。
えぇつながりますか？いや歴史ですから必ずつなが…るはずですよ。
ね？うん。
まあ無理やりでもつないでしまいましょうということなんです。
じゃあまず恐竜からいきましょうか。
おぉ！相内君例のものを。
あっはい。
いつの間に例のものを…。
はい。
おっ来たぞ来たぞ。
ずいぶん大きい。
ね〜。
お〜！世界地図のようだけどこれひとつにつながってるわ。
なるほど。
これは池上先輩特製の超大陸地図ですね？はいそうですね。
かつて地球はパンゲアと呼ばれる巨大なひとつの大陸だったんですね。
まあもともと地球上の陸地が巨大なひとつの大陸だった時代。
超大陸パンゲアは広大で資源も豊富。
だから恐竜は巨大化して繁栄していったんですよね。
そっか。
恐竜が王者になれたのはこのパンゲア。
巨大大陸のおかげだったのね。
その後パンゲアは分裂移動を繰り返します。
そしておよそ９４００万年前の白亜紀に現在の大陸と同じような配置になりました。
えっと日本は…じゃあこの辺りかしら。
ねそうですね。
えぇ。
だけどもともとこれひとつにつながってたっていうことは日本にも恐竜がいたかもしれないってことかしら？お〜さすが大家さん。
実は日本でも恐竜の化石がいろいろと発掘されているんです。
おぉ！じゃあ大家さんに宿題を出しましょう。
１億６，０００万年以上にわたって地球の王者だった恐竜と私たち人類の意外な共通点。
何でしょうか？あれ？日本の恐竜王国。
行けばその答えがわかるかもしれませんね。
日本の恐竜王国ね〜。
うん楽しそう。
あら相内さん。
一緒に遊びに行く？あっそうですね。
取材に行きましょうか。
うんああまあね。
半分ね半分遊び。
地球を支配した恐竜。
産業革命をあと押しした蒸気機関車。
そしてビートルズ。
この３つをつなげる旅が始まります。
池上さんからの宿題を受け最新の恐竜研究を見にやってきたのは…。
あっあちらですね。
お〜！あの…。
なんかキラキラ卵みたい。
卵みたいですよね。
田園風景の中に突然現れる銀色の建物。
多くの恐竜ファンが訪れるすると…。
あっロイド…ロイドさん！お〜！やあ優香大家さん！宇宙が始まってから今日までの歴史をあらわした…。
どういうことかしら。
そうそうよそうよ。
恐竜と人類の共通点は見つかるのでしょうか？あぁ！いらっしゃいました。
どうも。
よろしくお願いします。
日本の恐竜研究の第一人者…。
まず見せてもらったのはティラノサウルスの模型。
これまるで生きてるみたいですね。
そうですね。
実際のティラノサウルスの４分の３の大きさなんですよ。
えっこれで４分の３？はい。
やっぱり大きいわこうやって見ると。
ですね〜。
あのアゴは捕まったら絶対逃れられないね。
はい。
最強の肉食恐竜ティラノサウルス。
ゴツゴツとして荒々しい姿は恐竜の代名詞と言うべき存在です。
（咆哮）しかし近年そのイメージを覆す説が浮上したといいます。
おっ。
アジアで見つかった最新の研究成果とは？これがうわっ。
うわ〜！これはあの…。
え〜！恐竜ですか？これが。
かわいい。
確かにちっちゃなペットだ。
恐竜に毛が生えている。
証拠は…。
頭の上とか背中に黒いとこありますね。
はい。
これが実は羽毛の跡なんです。
へ〜。
ほんとにそうですね。
なんとあのティラノサウルスにも羽毛が生えていたというのです。
毛が生えたティラノサウルス。
何かに似ていると思いませんか？そう鳥です。
ティラノサウルスは冷酷で非情と思われてきた恐竜の王者ティラノサウルス。
（咆哮）しかし子供の頃はフワフワの毛をまとい…。
成長すると…。
鳥のように卵を温めていたのかも。
今後研究が進むにつれてティラノサウルスのイメージはどんどん変わるかもしれません。
更に驚きの最新研究が。
恐竜はおよそ６，５５０万年前絶滅したと思われていました。
しかし恐竜はいまや化石の世界にとどまらず生き物として研究され始めています。
例えば化石の羽毛部分は電子顕微鏡で観察されその色まで復元可能になりました。
全身を覆う黒い毛に白い毛が混じり頭は鮮やかなオレンジ色だったことがわかったのです。
でもアジアがある意味で恐竜研究の今いちばんホットな場所になってるっていうことですよね。
日本でもですね各地で見つかっているんですけども…。
これがですねフクイサウルスっていう名前を付けた草食の恐竜でですね…こちら…本物です。
実際に発掘された化石をもとに足りない部分を補って作った骨格模型が…こちら。
日本で恐竜がかっ歩してたなんてちょっと…夢がありますけど。
もう間違いなくここに…。
事実なんですよね。
大きな骨が出てますんでね。
続いては腕には羽のようなものもあります。
更に。
これはフクイラプトルという肉食の恐竜なんですよ。
やっぱり歯が…アゴが違いますね。
まさにステーキナイフのような…。
アジアの日本から見つかってるんですけども極東の島日本で発掘された恐竜とユーラシア大陸の西にあるスペインで発掘された恐竜がなんと親戚だったというのです。
恐竜が生きた時代大陸がひと続きだったからこそ恐竜はその圧倒的なパワーとスピードを生かし…。
実際に福井でですね恐竜の化石を掘ってる場所へ行ってですね…。
いいんですか？いいですよ。
私たちも恐竜見つけられるんですか？このあとあっこれは！？おっなになに？恐竜王国福井県で化石の発掘体験に挑戦です。
お〜。
わぁ〜きれいなところ。
山あいにむき出しになった地層。
ここが発掘現場です。
この地層先ほど博物館で見た恐竜の化石もここで発掘されたんです。
あそこでですね発掘隊が掘った石をここへ持ってきまして…。
そうなんですか。
それを皆さんで発掘体験をしてもらおうと。
実際の発掘現場の石なので化石が出てくる確率は高いということなんですが…。
いよいよ地層がこうなってるんですね。
はい。
それをですねたがねで地層のほうに当てて。
お〜。
入ってるかどうかを見ます。
なるほど。
ありません。
というふうにやってください。
思い思いに石をたたき始めます。
そうですね。
そう簡単にはいきません。
おっなになに？私助手がわぁいいなぁ。
ちょっと光ってるというか…。
炭のようになってますね。
筋になってるところがあるんですけど…。
更なる発見に期待が高まりますが…。
あ〜そうなの？残念ながらこちらは見つけることができたのでしょうか？こんなんですよね。
で指も２本だったけど。
恐ろしい。
メイビー。
そうかも…。
これで宿題の答えになりましたかね。
な…なったんですかね。
強大な力で地球を支配した恐竜もおよそ６，５５０万年前終わりを迎えましたね。
巨大隕石が衝突したのよね。
直径１０キロの小惑星が現在のユカタン半島沖に時速７万キロを超える速さでぶつかったのです。
そのエネルギーは核爆弾の数百万倍…。
恐竜をはじめとする多くの生き物が絶滅したといわれています。
恐竜が絶滅しほ乳類の時代が始まります。
そして二足歩行をする人類が登場したのはわずか４４０万年前。
恐竜がねのしのし歩いてた繁栄してた時代に比べると人類の歴史なんてまだほんのたったちょっとなのよね。
そうですね。
ではその恐竜と２番目のテーマ産業革命をつなげていきましょうか。
わかりました。
はい。
産業革命は１８世紀後半のイギリスで起こりました。
蒸気機関などの発明で工場の生産性が飛躍的にアップしたんですよね。
その産業革命と恐竜。
つなげるヒントは超大陸パンゲアです。
そうか。
人間は知恵を使って第２のパンゲアを作り出したってことですね。
この船や鉄道など交通網の発展で人物情報が世界中を行き交うようになったということですね。
はいそのとおり。
この交通網を発展させたのが産業革命で生まれた蒸気機関。
人類は技術力によって地球で最も強い力を得たんですね。
パンゲア…。
世界をひとつにしてそれで恐竜を繁栄させた。
で産業革命もやっぱり世界をひとつにつなげて人類を繁栄させたと。
なるほどね。
見事に…。
見事につながりましたね！よかったよかった。
よかったですね…ってちょっと待ってくださいよ。
よかったじゃないですよ。
私のこれを忘れてませんか？ザ・ビートルズを。
もういいんじゃない？もう十分。
よくないですよ。
いや大丈夫。
もうつながってるじゃないですか。
ビートルズも産業革命もイギリスで生まれたでしょ。
いやいや国が一緒だからってそれはちょっと無理やりじゃありませんか？いやいやいやこれはおおいに関係ありますよ。
そうなんですよ。
じゃあここで宿題です。
産業革命とビートルズの意外なつながりとは何でしょうか。
産業革命がイギリスで起こらなければビートルズは現れなかったかもしれないんですよ。
え〜。
産業革命とビートルズをつなげる旅ですね。
これはぜひ私が行ってきます。
覚悟のＢビートルズのＢ。
産業革命のＳ。
ＳとＢＳとＢ。
このあと世界を変えた寺脇博士が助手とともにロンドンへとやってきました。
相内君来たねロンドンへ。
あれは何？ビッグ・ベンです。
そしてこれは何？テムズ川です。
いやもう…イッツロンドンですね。
ディスイズロンドン。
はいそうですね。
まさにです。
相内君は何度かね取材で来ているから当然いいなぁ…。
いいなぁ行ってるいいなぁ…。
アビイって私が前通ってた美容院とか。
あれ？何言っとんだキミは。
キミはねほんとビートルズのこと知らなすぎるんだよ…。
行ったことないです。
（歓声）２０世紀を代表するミュージシャンザ・ビートルズ。
〜１９６５年エリザベス女王はビートルズに勲章を授与。
外貨獲得に大きく貢献したというのが理由。
ビートルズ歴史の現場へ向かいます。
あっあそこ人がたくさん集まってますよ。
写真撮ってる。
そうでしょう。
そうでしょうとも。
この何の変哲もない横断歩道。
普通の横断歩道です。
こちらドン！アビイ・ロード。
このアルバムのジャケット写真これはここで撮影されたものなんですね。
ビートルズの代名詞ともいえるこの有名なレコードジャケット。
撮影されたのがこの横断歩道です。
アルバム名の『アビイ・ロード』は通りの名前から付けられました。
世界中から多くのファンが集まります。
この横断歩道は建物以外で指定される初のケースでした。
ほんとに普通の横断歩道ですけどね。
なんでもない横断歩道だけどね。
彼らが歩いたことで…。
世界一有名になってしまったと。
寺脇博士ももちろん…。
このアビイ・ロードの横断歩道のすぐ近くにこのアビイ・ロード・スタジオがあってねここでビートルズは録音してたんですね。
へぇ。
ファンなら行っておきたい場所がもう一つ。
いやぁワクワクするなぁ。
このね茶色い壁のビル。
これはビートルズが設立したアップル・レコードっていう会社の本社ビルだったんだけどもこのビルの屋上で屋上ライブが行われたということなんですね。
もうこのへんは騒然となった。
『ゲット・バック』とかねかっこよかったね。
１９６９年１月ビルの屋上に突然ビートルズが現れました。
予告なしのライブ。
ファンはビルの屋上や窓から身を乗り出し演奏を聴きました。
ビートルズが屋上ライブを行ったこの通り実は日本と意外なつながりがあります。
通りの名前はサヴィル・ロウという通りなんだね。
サヴィル・ロウ。
サヴィル・ロウサヴィル・ロウサヴィル・ロウ…背広。
あっ背広？そうさあ後ろを見てごらん。
ねっ背広を作ってる店がいっぱいあるんだここは。
日本語の背広という言葉はこの通りが語源なのです。
ここは１８世紀から有名テーラーが立ち並ぶ紳士服の街です。
ねっアビイ・ロードのビートルズが歩いていたあの時の背広なんかもこのへんで仕立てたわけだね。
サヴィル・ロウを沸かせた屋上ライブ。
この頃ビートルズはメンバー間でトラブルが絶えませんでした。
そして翌年解散します。
最後のアルバムは『ＬＥＴＩＴＢＥ』でした。
デビューアルバム『ＰＬＥＡＳＥＰＬＥＡＳＥＭＥ』はこのビルの中庭から撮ったそのビルなんですね。
「Ｃｏｍｅｏｎｃｏｍｅｏｎ…」寺脇博士のビートルズ愛はわかりましたがそろそろあの町に行ってみてはどうですか？ビートルズの故郷であり世界で初めて蒸気機関車が走った町リバプールです。
この町に産業革命とビートルズをつなげるヒントがあるはずです。
来ましたよ。
ここがビートルズのふるさとリバプール。
まぁ現地の人に聞くとねリバプールっていうらしいんだけど日本人の耳にはリバプールっていうのが耳なじみがいいのかな。
そうですね。
とにかくねジョンもポールもジョージもリンゴもこの空気を吸ってたと思うとね博士感激。
あぁ…。
ではそんなリバプールの場所を博士ちゃんと確認しておきましょう。
おっお願いしますよ。
はいこちらです。
この辺りにあります。
ロンドンとはだいぶ結構離れているんですけれどもこのリバプールはイギリス北西部というのは実は間違いでイングランドの北西部にあります。
９月にスコットランドで独立をめぐる住民投票がありましたよね。
僅差で独立はねなかったですけどもね。
イギリスはイングランドスコットランドウェールズ北アイルランドの４つから成る連合王国です。
リバプールはビートルズだけでなく人類の歴史を大きく変えたじゃ相内君。
はい。
産業革命を今一度復習しようじゃないかね。
はい。
こういった方々ですね。
どうかなおさえてるかなこのへんは。
１８世紀から１９世紀にかけてイギリスでは多くの発明家が活躍します。
生産技術の革新で物を効率的に作れるようになりました。
更に産業革命の原動力となったのは蒸気機関の発明です。
大量にはやく人や物を運べるようになりました。
特にこの人。
ジョージジョージ。
ん？え？ここだよ…おぉここにいた。
えっあっ…。
ずっとここにあったんですか？ここにいるんだよこの人は。
このジョージ・スティーブンソンさんの大発明を見に行こうじゃないか。
はい…はい。
こっちだよ。
行きますハハハ…。
蒸気機関車を実用化し鉄道を作った人物です。
当時多くの発明家が蒸気機関車の開発に取り組んでいまして誰の蒸気機関車が優れているのか公開で競い合いました。
そこでスティーブンソンが作ったロケット号が見事勝利。
１８３０年リバプールマンチェスター間に世界で初めて旅客鉄道が開通した際ロケット号は４５キロの道のりを時速４０キロで駆け抜けました。
イギリスでは今でも蒸気機関車が活躍しています。
私たちも体験しました。
そうですね。
すごい。
蒸気機関車ですよ。
本物ですよこれね。
本物だうわぁ。
煙突から白い煙が。
すごい蒸気です。
フワ〜っと空に向かってこの蒸気が立ち上がってますよ。
あここに石炭がいっぱい積まれてますね。
でももっとモクモクと黒い蒸気かと思ったら意外と真っ白なきれいな煙がたちのぼってます。
あいいんですか？さあ中入れますよ…おっ。
ここ石炭がここで燃やされてます。
暑い。
石炭を燃やす火室を間近で見せてもらいました。
石炭を。
くべている石炭をくべている。
ちょっと隣失礼。
暑い暑い。
暑いね。
うわっ。
蒸気機関車はどういう仕組みで走るのでしょうか。
蒸気機関は蒸気の圧力でピストンを動かし動力に変えるシステムです。
燃料は石炭。
２時間走るのにおよそ１トンを使います。
へぇ〜。
その配分は彼が感覚で考えてやってるの？そうです。
これを１人でやれるまでにどのくらいかかるの？５年訓練したあと。
感覚が身につくんですね。
汗びっしょりになってね。
はい。
イギリスでは今も機関士は憧れの職業です。
寺脇博士も挑戦。
ああれそんな軽々と。
お〜。
フ〜フッフ〜。
いきますよそれ。
（汽笛）ハハッ…うわぁ結構音。
いや〜貴重な体験をさせていただきました。
ところでこの駅見覚えありませんか？映画「ハリー・ポッター」のロケ地として使われたんです。
出発が近づいてきました。
あっここだ。
スリー３号車。
スリー。
うわぁ緊張しますちょっと。
あっ。
車内は満席です。
発車しましたよ。
走ってますね本物の蒸気機関車が。
すごいやっぱり普通の電車に乗るのと全然違いますね。
ガタンゴトンしないね何か。
ええええ。
こうこういう動きよ。
あ〜この音ですよ。
（汽笛）あ〜いい音。
あ〜いい音。
（汽笛）人々の暮らしを変えた蒸気機関車。
イギリス人は蒸気機関車が大好きです。
窓の外に羊の群れが見えてきました。
産業革命当時この路線の機関車は羊の毛を工場に運び出来た製品を港へと運びました。
私たちの向かいに座っているこの方蒸気機関車の専門家です。
蒸気機関車が出来たことで人々の暮らしっていうのはどんなふうに変わったんですか？蒸気機関で輸送は大きく変わりました。
その前は動力が…。
動力が馬ということなので馬がレールの上を走っているという図が。
これは当時の様子を描いたもの。
もともと馬が鉄道を走っていたんですね。
もうひとつ世界が広くなったみんなの世界が広くなったってことだね。
大発明じゃないですかスティーブンソンさんね。
はい。
僕が発明したんだよ。
スティーブンソンが実用化した蒸気機関車はリバプールとマンチェスターを結びました。
更にスティーブンソンは線路の設計も担当。
それだけではありません。
トンネルや橋など鉄道網全体を世界で初めて整備しました。
池上さんからの宿題のヒントを得ようとこんな質問をぶつけてみました。
あの今回我々は産業革命とこのビートルズの共通点を探す旅をしているんですがマークさんはこの２つどんな共通点があると思いますか？う〜んそうか。
もうちょっとだな。
うん。
はい。
おもしろい見方ですがこれで満足はしません。
このあとも旅を続けて池上さんが驚くようなつながりを見つけます。
あとここか？あっ。
ここなのか？やってるんですかね？あやってますよ。
このあと産業革命とビートルズをつなげる旅。
２つの歴史が始まった港町リバプール。
これからどこに行くのか聞きたいか？はい聞きたいです。
リバプールといえばこれですね。
「ＳｔｒａｗｂｅｒｒｙＦｉｅｌｄｓＦｏｒｅｖｅｒ」ジョン・レノンが作った名曲ここか？ここなのか？でしょうね。
こんなに落書きがいっぱいあって。
住宅街にある色鮮やかな赤い門がストロベリーフィールドの入り口です。
ストロベリーフィールドよ永遠にと歌われたそれがここなんですね。
いっぱい落書きがあるぞこれ。
ここは戦争で親を亡くした子供の孤児院だった場所。
世界中からファンが集まるビートルズの聖地です。
リバプールにはビートルズの専門家が大勢います。
『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』を聴いたのはまぁ中学生くらいだったかな博士がね。
博士のお姉ちゃんがねビートルズ好きでね。
これを聴いてたときどんな少年時代を過ごしていたっていう…。
僕の？はい。
個人的な思い出…。
中学の時はなんだろうね漫画家になろうとしてたときでね。
じゃ『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』を聴きながら漫画描いていたんですか？描いてましたね。
リバプールにはストロベリーフィールドと並ぶビートルズの聖地があります。
それがこの床屋さん。
ペニー・レインのバーバーショップです。
ポール・マッカートニーが書いた故郷リバプールの曲『ペニー・レイン』。
舞台は床屋さんのあるこの交差点です。
ここは幼い頃に見た何気ない風景をつづっています。
今もやってるんですかね？あっやってますよ。
営業してますね。
ほんとだ。
結構次から次へとお客さんが。
お客さんがね繁盛してますよね。
順番を待ってらっしゃるお客さんにお話を聞きましょうかね。
ここはもちろん『ペニー・レイン』に出てきた店っていうのはご存じですよね？ええ知ってますよとても有名になりました。
でもこのお客さんは月に一度４０年以上通っているといいます。
この町でポールはジョンたちと出会いビートルズが生まれました。
地元のことを歌にして。
意外とビートルズっていうのは地元密着型なミュージシャンということが言えますね。
サザンで言うと『稲村ジェーン』みたいなねそういうことですね。
ビートルズについてはよくわかりましたがまだまだ産業革命とのつながりが見えません。
ビートルズの４人が生まれる１００年ほど前産業革命の中心的な役割を担ったリバプールはイギリスのみならず世界の中心でした。
ロンドンではなく当時はこの玄関口としてリバプールが栄えていたんです。
当時の活気を感じられる場所を訪ねます。
なんかこうちょっと湾のようになってますね。
囲まれているね。
はい。
行き交う品物を保管するため世界で初めて港に倉庫が造られました。
頑丈だこれねぇ。
これはどのくらい前のレンガなんでしょうかね。
２００年近く前ですよね。
リバプールは明治５年１８７２年に岩倉使節団がヨーロッパで最初に上陸した地でもあります。
岩倉具視伊藤博文たちは当時世界で最も進んでいたイギリスの産業を視察し日本に導入しようとしたのです。
横浜をはじめ世界の港町が赤レンガなのはリバプールを真似たからです。
当時の雰囲気っていうのはどんな雰囲気だったんでしょうね。
もうこんな感じですこんな感じ。
こんな感じでしたよ。
こんな感じ。
ソーリーソーリーソーリーこんな感じですね。
そのとおりです。
世界中の船がこの港を目指し集まりました。
１９世紀太陽の沈まない国と呼ばれるほど栄華を極めたイギリス。
世界各地に領土を持ち最強の帝国として君臨しました。
大帝国を支えたのがここリバプールです。
当時大きな利益をあげたのはリバプールに水揚げされた原料の綿花は蒸気機関車で隣町へと運ばれました。
そうマンチェスターです。
今は名門のサッカーチームがあることで知られています。
産業革命当時の様子を探ります。
ナイストゥーミートユーよろしくお願いします。
ナイストゥーミートユートゥー。
ハロー。
あっやわらかいですよこれ。
ベリーソフトイエス。
ここマンチェスターは世界初の大規模工場が造られるなど綿工業の中心地。
ああなんかちょっと雰囲気ありますね。
映画のセットのようなね。
はい。
これはほとんどあれですかね昔と変わってないのかな。
そうです。
産業革命前マンチェスターは静かな田舎町でした。
それが瞬く間に産業都市に生まれ変わったのです。
工場では次々に布が作られ蒸気機関車でリバプールへ。
世界中へと出荷されました。
綿工業のおかげでイギリスは世界の工場と呼ばれるほどに繁栄したのです。
のぞき穴ですよ。
いいですか？見ますよ。
老朽化で中に入ることはできませんがここから当時の様子がわかるといいます。
何が見えます？ボロボロの？確かに汚れた壁が見えます。
外から見るときれいですが工員たちはそれを聞いて見るとねつらいだけの壁に見えてきます。
この汚れがその労働者の体も汚していたんだと思えば非常に悲しい汚れに見えてきますよね。
機械の発明により力がない人でも作業ができるようになりました。
つまり工場に駆り出されたのは女性や子どもたち。
工場の敷地には世界で初めて社宅も作られました。
えっ！ドアで区切られた１つの家に１０家族が押し込められたそうです。
苛酷な環境に耐えかねた労働者たちはついに行動を起こします。
労働条件の改善を求めて集会を開いたり抗議活動を行ったりするようになりました。
こうしてしだいに労働者の権利が認められるようになります。
産業革命は労働者という階級を生み出しました。
世界有数の観戦は他にも労働者の登場で広まったのが…。
おっきたきた。
サンキュー。
ほらすごいでしょ。
すごい大きいですね。
これはねイギリスでは有名な食べ物フィッシュ＆チップスというね。
ずいぶん大きいですね。
これも産業革命と非常につながりがあるんです。
いただきます。
うわ〜大口で。
いったいどんなつながりが？これは工場で働いていた労働者たちもねよく食べていたものなんだけどなぜかっていうと３つそろった食べ物。
寺脇博士私からもひとこと言わせてください。
蒸気機関車もフィッシュ＆チップスを広めるのにひと役買いました。
蒸気機関車によって魚が内陸部にも輸送できるようになりイギリスの国民食になったんです。
ところでマンチェスターの労働者住宅。
今はどうなっているのでしょうか？今も誰か住んでいたりするんですか？はい。
町の中心に近くて便利なんですよ。
でも２００年前はここに１０家族近くがギュウギュウに。
詰め込まれて住んでいたところが今では人気の。
高級住宅街。
現在暮らしている人に部屋を見せてもらいました。
失礼します。
結構中広々してますね。
１階は細長いリビングダイニング。
１０家族だって当時暮らしてたわけですから。
吹き抜けがね。
明るくて。
あっベッドルームだ。
ひと家族なら十分な広さですが。
当時このお部屋に１０家族くらいが住んでたっていうのは？国民性の違いというかね日本だと昔そういうつらい目に遭った人たちのとこに住みたいっていうのはなかなか思わないと思うんだけれどもやはりこちらの方は先祖が頑張ったからこそ今があるっていう尊敬の念を持ってここに住むのがステータスになっているという。
国民性がね垣間見えました。
そうですね。
産業革命とビートルズ。
それぞれはよくわかりました。
２つはどうつながるのでしょうか？寺脇博士がとっておきの場所があるといいます。
こっちだこっちだよ。
ここ？早く。
いったいここは？どうしたんですか？ここはね相内君。
２００８年にビートルズをテーマにして生まれたホテルなんです。
正面ではビートルズが。
ああほんとだ。
いたるところにビートルズが。
お迎えしてくれてるし上に楽譜が吊り下がっていたりね。
珍しい。
壁にも絵があったり写真があったり。
訪れたのはいちめんビートルズだらけのホテル。
らせん階段にもビートルズ。
客室もご覧のとおり。
なかでもお宝が…。
これ『イエスタデイ』の手書きの楽譜です。
直筆ですか？直筆の。
ポールが書いたね。
うわ〜貴重ですね！このへんの雑さ加減が本物っぽいでしょ？そうですね。
ぽいっていうか本物なんですけどね。
ちょっと博士そんなはしゃいでないで。
どうしたんですか？いったいこのホテル…。
はしゃいでるだけじゃないんだよ博士は。
そうなんですか？いいですか？このホテルはハード・デイズ・ナイトホテルといってつまり産業革命とビートルズがつながるんですここで。
えっ？なぜかといいますと。
どういうことですか？『ＡＨＡＲＤＤＡＹ’ＳＮＩＧＨＴ』という曲はリバプールの労働階級の労働者たちの苦悩をつづった歌だといわれているんです。
そうだったんですか。
うん。
「Ｉｔ’ｓｂｅｅｎａｈａｒｄｄａｙ’ｓｎｉｇｈｔ」ビートルズの代表曲のひとつ『ＡＨＡＲＤＤＡＹ’ＳＮＩＧＨＴ』。
これは労働者たちの思いをつづった曲だといわれています。
なぜビートルズが労働者の思いを歌にしたのでしょうか？その答えを探しに行きます。
あっもしかして。
あっ。
落書きのところですかね？そうです。
ビートルズのドラマーリンゴ・スター。
彼が生まれた家は産業革命当時から労働者が暮らす通りにありました。
紡績工場の労働者住宅によく似ています。
ここでねリンゴが生まれて。
他のメンバーも実は…。
じゃあ相内君。
はい。
ちょっとこのＬＰを持ってくれたまえ『ＬＥＴＩＴＢＥ』をね。
これは貴重な…。
相内君はこの４人のメンバーのお父さんの仕事っていうのは知ってるかな？知らないです。
知らないよね。
えぇ。
ジョンのお父さんの仕事は…。
こちら。
船乗り。
船乗り。
ポールのお父さんはこれ。
綿花のセールスマン。
そしてリンゴのお父さんは…。
ケーキ職人。
ジョージのお父さんは…バスの運転手。
その前は船乗りだった。
ということでどうかな？この４人のお父さん見てみるといずれもこの産業革命で生まれた労働者階級の家にこの４人は生まれたんだよということがわかるでしょ？そういう共通点があったんですね。
そうなんですよ。
ここにも１つつながりが見えましたね。
ビートルズの４人は皆労働者階級の家に生まれました。
何かで成功したいと。
４人の生い立ちをたどると産業革命とのつながりが見つかりました。
労働者の思いがビートルズに宿っていたのかもしれませんね。
しかしこのあと…。
ヒントはリバプールの町なかにありました。
何か気づかないかな？相内君。
え？見つけたのは建物の壁に彫られたレリーフです。
これはねへぇ〜！産業革命を支えた奴隷貿易とは？リバプールには世界でも珍しい奴隷をテーマにした博物館があります。
わぁ厳しいな…。
もう苦しいですね。
ちょっと…。
１８世紀頃イギリスはアフリカ人を奴隷としてアメリカに送り莫大な利益を得ていました。
上のほうにいるのが商人で奴隷たちは暗い部屋に閉じ込められてる。
すごい密度ですねギュウギュウですよ。
アメリカまでは数か月の船旅。
食事もほとんど与えられず多くが餓死しました。
当時リバプールの船が１年に５万人もの奴隷を運んだと言われます。
奴隷にされた人々は砂糖や綿花が白い積み荷と呼ばれたのに対して黒い積み荷と呼ばれました。
この奴隷貿易産業革命と深いつながりがあります。
三角貿易というものがあった。
なぜ三角かというとまずイギリスがアフリカに対して武器を渡す。
そうするとその武器を使って部族たちが争いをするんだね。
それで勝ったほうの部族が見返りとしてイギリス側に負けたほうの部族を奴隷として引き渡すんだ。
その奴隷を今度は南米のほうに送り込む。
するとその奴隷と引き換えに今度は砂糖や綿花をイギリスが持ち帰る。
この三角形によってイギリスはどんどんどんどん富を得ていったということになるんだね。
まさにこの三角貿易が産業革命の礎になったと…。
そういうことです。
あ〜そうなんですね。
現在欧米には多くの黒人が暮らしていますがそのなかには奴隷貿易で運ばれた人々の子孫がたくさんいます。
海を渡った奴隷たちはアメリカ大陸で黒人社会を築いたのです。
そして奴隷貿易はビートルズともつながっていました。
産業革命とビートルズをつなげる旅。
最後に私たちが向かったのは…。
ありましたありました。
え？これはですねデビュー前のビートルズが出演していたというライブハウスなんですよ伝説の。
海から歩いて１０分ほどの場所にあるライブハウスです。
わぁ〜！へぇ〜！だからこうなってるんですね。
意外とこぢんまりしてます。
ちょっと近くまで行ってみよう。
はい。
今でも多くのアーティストがビートルズゆかりの曲を演奏しています。
博士もいつの間にか…。
労働者階級の家に生まれたビートルズはこのステージから世界へと羽ばたきました。
すごい熱気でしたね。
もう汗が引かないよ。
もうはしゃいじゃって。
ライブハウスのマネージャーからこんな話が聞けました。
リバプールからさまざまなアーティストが生まれる理由っていうのは何ですかね？なるほど〜。
やっぱり港町だからそうした人や物だったり文化だったりそういったものがよく流通していたんですかね。
そうですね。
すると博士が重大なことに気づきました。
産業革命とビートルズが非常につながりがあるというのがわかったと思うんだけどもそこに皮肉なことがあってねビートルズが憧れを持ったのはアメリカからやってきたブルースとかロックなんだけどもそのブルースやロックを作ったのはもともと１７世紀にアメリカに送り込まれた黒人奴隷の子孫が作ってるわけですから。
ここにまた皮肉なね何とも言えないつながりがある。
そうですね。
ビートルズが影響を受けたのはチャック・ベリーやリトル・リチャードなど黒人歌手。
実際彼らの曲をカバーまでしているんです。
１７世紀から１８世紀にかけて多くの黒人がアフリカからアメリカへと送られました。
そこで黒人が生み出した音楽が２０世紀に再び海を渡りリバプールへ。
ビートルズに影響を与えたのです。
ようやく池上さんの宿題が解けました。
さぁ相内君今回産業革命とビートルズをつなげる旅に来たわけだけれども改めてしてみると歴史というものはさまざまなつながりがあって点ばかりではない線でつながってくる。
でビートルズを知った僕らもそれに影響を受けてるってことを考えると全世界がいろんな線でつながっている。
やはりつながりというものはどこにでもあるということがね…。
わかりましたか取材を通して。
うん。
よし次なる研究へ向かってレッツゴーだ。
わかりました。
行こう。
歴史の旅は続きます。
次回はどんな物語が待っているのでしょうか？2014/11/16(日) 16:00〜17:15
テレビ大阪１
池上彰＆寺脇康文の世界驚きヒストリー〜１３７億年の物語 特別版〜[字]
池上彰の監修で、宇宙が始まってから現在までの歴史をドラマ仕立てで解説。寺脇博士と相内助手はイギリスに飛び、宮崎美子は恐竜の化石が発見された福井へ！
詳細情報
番組内容
寺脇博士、大家の宮崎美子、相内助手がそれぞれ取材したいテーマを持ち寄りました。そのテーマは「恐竜」「蒸気機関車」「ビートルズ」と、てんでバラバラ。先輩研究者の池上彰は、この３つの共通点に気づいている様子。そこで３つのテーマを結び付けようと３人に宿題を出しました。寺脇博士と相内助手はイギリスに飛び、宮崎美子は数多くの恐竜の化石が発見されている福井へ。どんな物語が繰り広げられるのでしょうか？
出演者
【先輩研究者役・監修】
池上彰
【博士役】
寺脇康文
【研究室の大家役】
宮崎美子
【寺脇博士の相棒・助手役】
相内優香（テレビ東京アナウンサー）
【著者】
クリストファー・ロイド
ホームページ
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音声 : 2/0モード（ステレオ）
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