(四条留美子)あら!「クラブカルテ」のママじゃありません?
(大門未知子)ママじゃないけど。
(留美子)こんなとこでお会い出来ると思わなかった。
お店潰して夜逃げされたって聞いてたから心配してたのよ。
夜逃げもしてないけど。
本当に銀座でお勤めになってませんでした?なってません。
待って。
これは一匹狼の女医の話である
大学病院の医局は弱体化し命のやり取りをする医療もついに弱肉強食の時代に突入した
その危機的な医療現場の穴埋めに現れたのがフリーランスすなわち一匹狼のドクターである
(アナウンス)「ただ今より蛭間外科統括部長による第二外科総回診を行います」
(亀山久)どうして俺たちより前に近藤がいるんだよ。
(鶴田匠)例の論文を蛭間統括部長がよほど気に入ったんでしょう。
生体腎・小腸交換移植か。
近藤君今夜どうしてる?予定はありませんが…。
うちの家内がね手料理をごちそうしたいと言ってるんだけども。
ありがとうございます。
ぜひ!
(蛭間)まあごちそうと言ってもね手料理という名のケータリングだけどね。
ハハハ!
例えばこの女
群れを嫌い権威を嫌い束縛を嫌い専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器だ
おはよう大門君。
(海老名)挨拶ぐらいしろ!相変わらず怖い。
(海老名)何が?顔が。
それが挨拶か!おきゃくさま…です。
外科医大門未知子
またの名をドクターX
大門君客って私にか?蛭ちゃん。
(鮎川司)蛭ちゃん?
(留美子)やっとお会い出来たわ!ご無沙汰しています蛭間先生。
(一同)おお…!さあさあどうぞ中へ入って。
お客さんです。
さあかけて。
あれ…?あなた何年?愛人になって。
(照井珠緒)わたくしは秘書です。
蛭ちゃんまだ水玉のパンツはいてるの?最近はヴィトンの水玉をご愛用ですが…何か?ママ…ママ…。
水玉とかヴィトンとかいいじゃん。
今日はチェックだし僕は。
ハハッ…。
さあどうぞ。
統括部長ご昇進おめでとうございます。
ようやくお祝いが言えたわ。
ハハハハ…。
嫌みだねえママ。
いやもう何度もね顔を見に行こうとしたんだよお店に。
でもほら統括部長というポストはなんていうのかな?こう…やたら時間とられて忙しいというかなんというか…。
懐かしいわ5年前の選挙が。
ねえ。
うん…。
だってママのおかげでさ統括部長になれたようなもんだからね。
本当にありがとう。
感謝してます。
だったら私のお願い聞いてくれる?大門先生。
さっきの女性誰ですか?知らない。
(亀山)お前医者か?
(鶴田)医者でいたいか?
(鮎川)ええ。
じゃあなんであの女知らないんだよ?あのママを知らない医者はもぐりだ。
話にならんわ。
そんなに大物なんですか?四条留美子。
銀座の「クラブ中園」のママだ。
政財界は言うに及ばず芸能界スポーツ界にも太いパイプを持つ銀座の女帝だよ。
もちろん医学界にもな。
あのママが集めた金で蛭間教授は5年前の統括部長選でかなりの票を集めたって話だ。
まあ言ってみれば蛭間教授を統括部長に押し上げた陰の立役者だ。
それにママは「秘密の中園」と言われるほど大物たちの黒い噂を握っているらしい。
(鮎川)秘密の中園?昔蛭間教授のコレだったっていう噂もある。
(鮎川)という事は次の主任教授選でもあのママが暗躍するって事ですか?
(亀山)恐らくな。
息のかかった身内を主任教授に据えれば蛭間体制は盤石になる。
またどす黒い札束が飛び交うんですかね?何言ってるんだよ。
それが選挙だろ。
無駄口はそれぐらいにしたらどうだ。
すいません…。
鶴田君オペがあるんじゃないのか?すいません。
んー!オペ代わります。
退屈だから。
はあ?どうせもっとしたいでしょ?札束の話。
結構だ。
なんだ…。
海老名教授。
先ほどの総回診では講師の分際で蛭間統括部長の隣に並んでしまい失礼しました。
いいんだよ気にしなくて近藤君。
統括部長がお呼びです。
統括部長が?膵臓の体尾部に腫瘍があります。
ステージ