北海道知床半島。
そこはまさに自然の宝庫。
秋知床にある生き物たちが帰ってきます。
そうサケ。
ここ知床の海は秋サケの水揚げ量が日本一なんです!どうぞお待ちどおさまです。
豊かな海で育まれたその味は舌の上でとろけるまさに絶品!頭の先から尻尾までおいしい料理に変身する秋の味覚の王様です!今回の北海道スペシャルは知床の…下がってもいいからからめておけって!ほら!今では珍しくなった共同生活を続けながらの過酷なサケ漁。
そこは大自然の真っただ中。
なんとヒグマも同居してるんですって!更に…。
最先端の潜水技術を駆使したハイテク漁師さんたちにも出会います!見てビックリ!食べてビックリ!今夜は知床の秋の恵みサケの魅力を存分にお楽しみ頂きます!知床半島の北側に広がる斜里町。
斜里町は11年連続で秋サケの水揚げ日本一を誇る町。
今回の番組の舞台です。
去年の水揚げ量は斜里町だけで2万5千トンにも及びました。
それは魚の数に直すと740万匹。
北海道民の数よりも多いサケがこの町だけで取れているんですね。
それでは知床のサケ漁に隠された驚きの事実。
番組は「SHIRETOKO」この9つの文字に沿ってお送りします。
トップバッターは…世界自然遺産知床。
実はこの豊かな生態系を保つためにサケが欠かせない存在だという事ご存じでしょうか。
秋川に遡上するサケやマスは陸で暮らすヒグマたちの絶好の食べ物になります。
その後サケを食べたヒグマの糞や産卵を終えたサケの死骸は山の草木を育む養分に…。
そして最終的には山の草木が生み出す栄養が川を伝って再び海へと戻り更なる恵みをもたらします。
サケやマスがつなぐ陸と海の栄養の循環。
これこそが知床の豊かな生態系の秘密なのです。
それにしてもどうして知床ではこんなにたくさんの秋サケが取れるのでしょうか。
北海道の川で生まれたサケはベーリング海やアラスカ付近を回遊しおよそ4年後産卵のために帰ってきます。
そうしたサケが真っ先にぶつかるのがオホーツク海に面した知床半島。
現在斜里町内には24の船団がありそれぞれ決められた場所で漁を続けています。
その場所は半世紀以上前から代々受け継がれているんだそうです。
秋サケ漁の期間は毎年9月から11月と決められていて魚を取り尽くす事はありません。
最盛期には斜里町全体でおよそ300人の漁師さんたちが働き秋の恵み「知床のサケ」を私たちの食卓に届けてくれるのです。
続いては「SHIRETOKO」の「K」。
昔ながらの伝統的なサケ漁のスタイルをご紹介します!漁師歴60年の大ベテラン。
知床では誰もが知る船団のリーダーです。
早速大瀬さんが共同生活の場へと案内してくれました。
とその時目の前には通行止めのゲート。
実は大瀬さんたちが共同生活している場所は一般の人が立ち入りを禁止されている国立公園の中にあるのです。
国立公園の中を車で進む事1時間。
ついに共同生活の場所が見えてきました。
漁師さんたちの作業小屋「番屋」です。
この番屋が建てられたのは50年ほど前。
大瀬さんたちはここが国立公園に指定される前から操業を続けているため今でもこの場所でサケを取る事ができるんです。
かつて知床では全ての船団が番屋を設けて漁をしていました。
しかし漁船が高速化して便利になったため今では共同生活をしているのはここを含む2か所だけです。
それではちょっと中を見せてもらいましょう。
飲み水以外は全て湧き水。
電気は発電機で起こしています。
この日の昼食はカレーでした。
漁師さんたちはふだんあまり魚を食べません。
この番屋では20代から70代まで15人が共同生活を送っています。
毎日のおいしい食事を作るのは同じくここで暮らす2人の女性。
50年前から変わらないやり方です。
2階は漁師さんたちの寝室だというのですが…。
大広間で仕切りはありません。
布団一枚分が個人のスペースなんだそうです。
ここではインターネットや携帯電話はつながりません。
大瀬さんたちはサケの他にもホッケやマスなど季節ごとの魚を取っているため番屋での共同生活は半年に及びます。
ちなみに給料は月給制。
休みは日曜日だけなんだそうです。
実は番屋には知床ならではの共同生活の仲間もいます。
そうヒグマです。
国立公園の中にある大瀬さんの番屋ならではの光景ですよね。
子連れのヒグマが近づいてきました。
大瀬さんも近づいていきます。
その距離僅か10m。
かつて知床ではヒグマを駆除して番屋を守った歴史もありました。
しかし大瀬さんは付かず離れず絶妙な距離を保ってヒグマと共生しているのです。
お次は「SHIRETOKO」の「T」。
国内で水揚げされるサケの94%は「定置網」で取っているんです。
それではご覧頂きましょう。
これが「定置網」の現物。
実に巨大な網ですよね。
この網を海の中に仕掛けるわけですがその大きさは10階建てのビルぐらいの大きさになるんだそうです。
網の重さは10t。
だからこそ15人の漁師さんが力を合わせなければサケは取れないんですね。
これが定置網でサケが取れるメカニズムです。
定置網は産卵のために北の海から帰ってきたサケの通り道に仕掛けられます。
まずは岸から沖へとまっすぐに伸びる網を張りそこに箱形の網を3つ仕掛けます。
サケが網にぶつかると次第に箱形の部分へと誘導されていきます。
箱形の網の奥には「じょうご」と呼ばれる入り口があり一旦入るとなかなか出られない仕組みになっているのです。
実はこの定置網漁師さんによって少しずつ形が違うといいます。
これは現在大瀬さんが使っている定置網の設計図。
今から40年前大瀬さんが自ら網の形を工夫して作りました。
今年の知床斜里での秋サケ漁解禁の日です。
漁師さんたちは定置網を仕掛けるところから始めなければなりません。
網を仕掛ける場所は番屋の沖合700m。
2艘の船で巨大な網を海に沈めていきます。
サケの漁獲高は複雑な形の定置網を海の中できれいに仕掛けられるかどうかにかかっています。
2艘の船はスピードを微妙に合わせながら長さ200mの網を正確に沈めていかなければなりません。
万が一網に手や足が取られると海に落ちてしまう危険もあるのです。
大瀬さんは全てのメンバーの動きに目を光らせていました。
嵐のような作業が終わったのは4時間半後。
さあサケが掛かっているかどうか網を上げるのは2日後の朝です。
その網を引き上げようとした時でした。
駄目駄目駄目。
(取材者)潮の状態が変わったんですか?潮の流れが速いと網が左右に大きく動くため安全に引き上げる事は不可能です。
漁は中止を余儀なくされました。
今年の漁はスタート直後からこの調子。
でもこの時大瀬さんがなぜ共同生活でのサケ漁にこだわるのか見えてきました。
大瀬さん。
かれこれ1時間も海を見続けています。
浮き玉の動きから潮の流れを読み取っているんです。
ついに大瀬さんが網を上げる作業の再開を決断しました。
漁場のすぐそばで共同生活を続けるのはこうした一瞬のチャンスを逃さないためだったんですね。
網を上げる作業は毎回時間との勝負。
潮の流れが変われば再び中止になるかもしれません。
巨大な定置網はまずはクレーンで引き上げられます。
そして15人が力を合わせたこの作業。
開始から15分でサケが姿を現しました。
この日取れた数は2,000匹。
初日としては上々の水揚げとなりました。
ここで北海道のサケ漁の歴史を振り返ってみましょう。
こちらはNHKに残っている最も古いサケ漁の映像。
昭和初期の石狩川河口付近です。
ここで使われているのは地引き網。
北海道では江戸時代からこのようなサケの地引き網漁が行われてきました。
そんなサケ漁のスタイルは「北洋漁業」の台頭で大きく様変わりします。
北海道の漁師さんは50隻以上の大船団を組んで外洋に出ては流し網を使ってサケを大量に捕獲したのです。
北洋でのサケ・マスの漁獲高はピーク時で30万t。
こうしたサケ漁は日本の漁業の発展更には戦後の復興に大きく貢献しました。
しかし1970年代。
北洋漁業は一気に衰退。
アメリカやソ連が自国の経済水域を200海里に拡大し北洋でのサケ・マス漁は事実上不可能となったのです。
そんな窮地を救ったのがサケの人工ふ化放流事業でした。
1970年頃北海道の千歳川中央ふ化場で効率的な放流事業の方法が確立。
これにより日本のサケ漁は放流したサケが再び川に帰ってきたところを定置網で捕獲するスタイルが主力となっていったのです。
現在北海道内でふ化放流事業が行われている河川は143本。
その河口付近を中心に北海道では合わせて924の定置網が仕掛けられサケの捕獲が続けられているのです。
続いてはこちら。
実は定置網はエコ自然にやさしい漁業だって知っていましたか?知床のサケ漁師…潜水服に身を包んだその姿。
一体何を始めるんでしょう。
向かったのは水深26m。
仕掛けた定置網の底の部分です。
古坂さんは網を仕掛けた直後はもちろん海がしけた時など水中に潜り網の形を細かく整えているんだそうです。
それにしても定置網がエコだという事とどう関係があるんでしょうか?その疑問に答えてもらうのは…。
定置網の研究を続けて40年。
そうですか。
漁師さんたちは漁獲高を確保するために網の形を整えなければならなかったんですね。
漁師の古坂さんが特にこだわっているのがこのじょうごの形。
箱形の網の最も奥。
先細りになっている事でサケが入り込むとなかなか出られない定置網独特の構造部分です。
古坂さん潮の流れで緩んだロープを引っ張りじょうごの形を整えました。
その直後。
サケが網の奥へと進んでいきます。
次の瞬間。
見事サケが入ってくれました。
サケはその後も網から出る事なく泳いでいます。
定置網をきれいに整える事って本当に大事なんですね。
そんな古坂さんが水中の作業に取り入れているのがハイテク機材です。
こちらは水中での作業を記録し分析するための小型カメラ。
これをつけてお互いにしゃべる。
骨の振動から声を伝えるトランシーバー。
水中でも会話が可能です。
なぜハイテク機材にこだわるのか。
その理由がこちら。
よ〜くご覧下さい。
あっ網に引っ掛かりました。
水中での作業は揺れ動く定置網のそばで行われます。
万が一網に絡まるとパニックを起こし命を落とす危険もあるのです。
古坂さん自身も10年前命の危険にさらされました。
その時思い浮かんだのが2人の娘の顔。
古坂さんは何とか命を落とさずに済んだといいます。
(取材者)どうしてですか?いや〜秋サケってふだん何気なく食べていましたけれど漁師さんたちにはなみなみならぬ苦労があったんですね。
実は古坂さんのハイテク機材は新人の育成にも生かされています。
事務所に戻るといつもこのように全員で小型カメラの映像を見ながら反省会を開きます。
サケ漁師は高収入が得られるため若い人材が急増。
全体の2割が経験の浅い20代の漁師さんという状態になっています。
それ駄目。
縛る時にずんずんずんずんって行けばいいんだ上に。
分かりづらいかもしれないけど上に上がっていって。
この日古坂さんは去年漁師になったばかりの新人2人を海に連れていきました。
その一人…水中での作業は今回が5回目です。
この日は20分間の作業を2回行う予定でした。
1回目は緩んだロープを締め直す作業。
こちらは無事に終了。
しかし古坂さんは研介さんの2回目の潜水を許可しませんでした。
実は研介さんは前日病気で倒れた祖父の事を気にかけていました。
その僅かな心の動揺を古坂さんは表情から見抜いたのです。
知床のサケ漁師は一歩間違えれば命を落とす危険と隣り合わせ。
その事を次の世代へつなぐ事が日本一のサケ漁を支える事になるんですね。
それではお待ちかね!ここからはおいしいサケのお話。
絶品サケ料理を紹介してくれるのはウトロ漁港のすぐそばで民宿を営む梅澤さんご夫婦。
伝統のアイヌ料理の登場です。
港に揚がったばかりのサケを手際よくさばくご主人。
なんと一匹のサケを頭の先から尻尾まで全て料理に使います。
妻の悦子さんが包丁でたたいているのは血抜きをしたサケのエラです。
そしてこちらは塩ゆでにしたサケの腸。
丁寧に下処理をすると極上のごちそうになるんだそうです。
絶品料理が完成しました。
エラと白子をたたいた…濃厚な白子の中にコリコリッとしたエラの食感が楽しめます。
あっさりした味わいと歯応えが絶妙の一品。
オハウは頭から尻尾までサケのうまみが凝縮した汁ものです。
捨てる所がなくしかも全てがおいしい。
サケは北海道が誇る秋の味覚の王様なのです。
今年のサケ漁解禁から2週間。
番屋のサケ漁師大瀬さんたちが全員そろって地元の神社を訪れ恒例の豊漁祈願に臨んでいました。
実はサケ漁が最盛期を迎えるのは10月に入ってから。
大瀬さんたちはある特別なサケにねらいを定めていました。
何でもそのサケは全身大トロ状態の一級品だとか。
ウトロの漁港で取材を続けていると…。
いちもくさんに運ばれてきたのは今話題の高級ブランドサケです。
一体普通のサケとどこが違うんでしょうか?青い魚体は若さの証し。
卵や白子に栄養が取られていないため身の部分には脂がたっぷり。
重さが4キロ以上の雄だけがウトロ漁港ではブランドサケ「特銀」の認定を受ける事ができるのです。
実は今こうしたブランドサケが大きな注目を集めています。
札幌の中央卸売市場を訪ねてみると一般的なシロザケに交じってこちら通常の3倍ほどの値段で取り引きされるブランドサケ。
宗谷の「宗生」や羅臼の「羅皇」などブランドサケは道内で12を数えます。
しかし大瀬さんがねらっているのはこうしたブランドサケの更に上。
秋サケの頂点に君臨する幻のサケです。
その名は…鮭児が取れる確率はなんと1万匹に1匹。
1匹が10万円で取り引きされる事もあります。
高級品だけに証明書まで発行。
鮭児はブランドサケの中でもとりわけ若いサケで全身に脂が行き渡っています。
そのおいしさちょっとだけお伝えしましょう。
どうぞお待ちどおさまです。
ご覧下さい!この照り具合。
体脂肪率は通常のサケの倍以上。
まさに全身大トロ。
しょうゆにつけるとこの脂。
舌の上で上品にとろけていくんです。
ちなみにこちらのお店ではこの一切れで2,000円だとか。
鮭児はロシアに帰るはずのサケが日本に迷い込んできたと考えられています。
まだ卵を産む準備ができていないため全身に脂がのっているのです。
10月に入ると冬が近づき知床の海はしけが多くなります。
この激しい荒波に乗ってここにやって来るのが幻のサケ鮭児。
大瀬さんによればこうしたしけの直後に鮭児が網に掛かる可能性が高いといいます。
大しけの翌週。
漁に出る日が来ました。
魚の入りは上々です。
この日取れたサケは6,000匹。
今年一番の水揚げです。
しかし鮭児が取れる確率は1万匹に1匹。
果たして幻のサケは入っているのでしょうか?
(取材者)これなんですか?今日は一本。
少し小ぶりですが紛れもない鮭児です。
触った感触はとても軟らかく上品な脂ののり具合がすぐに伝わってきました。
ところが大瀬さんはその鮭児を出荷しませんでした。
なんとその場で料理するように指示。
お〜い!これどうやって食べるの?焼いて食うの。
実は大瀬さんは毎年必ず一度は全員で鮭児を食べる事にしているのです。
半年間番屋で共に暮らしてくれた仲間たちへの最高の御祝儀です。
大瀬さんたちの共同生活もあと僅か。
11月下旬には番屋を閉めて全員が家族のもとへ帰ります。
北海道知床の海。
仲間と命を預け合い大自然と向き合う人々が日本一のサケ漁を支えています。
2014/11/26(水) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
ろーかる直送便 北海道スペシャル「知床 秋の恵み〜密着!日本一のサケ漁〜」[字]
“秋の味覚・サケ”丸わかりの43分!日本一の水揚げを誇る「知床の漁師さん」に密着!サケって、どうやって捕るの?サケのおいしい食べ方は?魅力満載のスペシャル番組。
詳細情報
番組内容
大自然の宝庫「知床」。実は、日本で最も秋サケが水揚げされる場所でもある。今回は、斜里町ウトロの2人の漁師さんに密着。番屋での共同生活を送りながらの“伝統の漁法”や、最新の潜水技術を使った“ハイテク漁法”を紹介。また、最高級のサケ「鮭児」を追うドキュメントに加え、秋サケのおいしい食べ方も…。さらには、戦前の北海道で撮影された貴重な「サケ漁」のフィルムを交えながら、北海道におけるサケ漁の歴史にも迫る。
出演者
【語り】岩尾亮
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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