NHKスペシャル「医療ビッグデータ 患者を救う大革命」 2014.11.02

全く新しい手法で患者の入院期間を大幅に短縮した病院があります。
血圧食事の量更にはトイレの回数に至るまで17万項目ものデータを解析し治療法を検討。
例えばがんの手術の場合最適のタイミングでリハビリを行うなどして入院期間をおよそ半分に減らしました。
今膨大な情報の固まりビッグデータが医療を変えようとしています。
40年以上もぜんそくに悩んでいた女性。
ビッグデータを利用した臨床試験に参加したところ発作の回数が半減しました。
更に世界中からデータを収集し命を救おうとする試みも始まっています。
病気の発症を予知する事が可能になりました。
医療の在り方を根本から変えるビッグデータ。
患者を救う医療革命が始まろうとしています。
ふ〜んトイレに行く回数なんかがビッグデータになるんですか?ちょっと意外かもしれませんけど実はそうなっていくんですね。
そうしたさまざまなデータを大量に集めてそれを解析します。
そうする事で医療の新たな可能性というのが見えてくるんです。
分からない。
そこで今日お伝えする3項目こちらご覧頂きます。
まずは「病気を『予知』命を守れ」。
そして「最先端!ビッグデータ病院」。
更には「町ぐるみで『ぜんそく』激減」です。
病気を予知ってどうやって予知するんですか?気になるところだと思うんですけどそれはこれを見て頂ければ分かると思います。
ビッグデータを使って新たな取り組みを始めた病院があります。
舞台は新生児集中治療室。
生命の危機にひんした赤ちゃんが入院しています。
小さな体を次に襲う症状をビッグデータを使って予知し命を救おうというのです。
この病院で長女を出産したターナーさん夫婦です。
数か月前まで命の危機にひんしていた一人でした。
産まれたのは予定日より3か月以上前。
体重は1キロほどしかなく自力で呼吸もできない状態でした。
医師からは感染症によって命を落とすリスクが高いと告げられました。
産まれてすぐスカイラーちゃんには保育器の中で徹底した管理が行われました。
しかし外から細菌やウイルスが僅かでも侵入すれば感染症を引き起こす危険がありました。
初期には症状は現れません。
細菌が増殖し気付いた時には手遅れになっている事が多いのです。
症状が現れる前に予知できれば命を救えますが今の医療では難しいといいます。
スカイラーちゃんのように早く産まれた赤ちゃんの場合その3割近くが死に至ります。
感染症の発症を予知する事ができないか。
コンピューター科学が専門のキャサリン・マクグレゴーさんです。
去年この病院でビッグデータを使った取り組みを始めました。
赤ちゃんには心拍や呼吸などのセンサーが取り付けられています。
赤ちゃんの健康状態を示すデータが24時間絶える事なく生み出され続けています。
しかし通常確認されるのは医師や看護師が見回る時のみ。
それ以外の時間帯は記録される事なく消えていきます。
マクグレゴーさんは巨大なサーバーを用意。
集中治療室にいる赤ちゃんの命の活動を捉えた全てのデータを24時間記録する事にしました。
更に海外の病院に協力を求め集中治療室の赤ちゃんのデータを世界中から収集。
アメリカカナダそして中国。
集まったデータは1,000人分に及びました。
マクグレゴーさんはこの膨大なデータの中から感染症が始まる兆しを見つけようとしました。
まず全データの中から感染症を起こした赤ちゃんのデータを取り出します。
そして感染症が判明した時点より前の時間帯のデータに注目。
その上で感染症を起こさなかった赤ちゃんと比較し異なる部分を抜き出します。
共通するパターンがあればそれが感染症の前兆になると考えました。
するとある兆しが見つかりました。
(泣き声)血液中の酸素量を示すデータ。
酸素濃度がほかと比べると長い時間低下している場所があります。
更に心拍のデータを見ると心臓の働きの低下が同時に起こっている事が分かります。
このパターンが感染症の前兆を示すシグナルでした。
こうしたパターンが感染症が判明する24時間前から断続的に繰り返されていたのです。
詳しい原因は分かっていません。
しかしビッグデータは人の目では読み取る事のできなかった僅かな異変を捉えていたのです。
体重1キロほどで産まれたスカイラーちゃん。
その容体は一進一退を繰り返していました。
抗生物質を投与すべきかそれとも体への負担を考えて投薬を控えるべきか。
医師の意見は分かれました。
そこで担当医はビッグデータの解析を基に酸素量と心拍のデータを徹底的に観察しました。
すると…あの前兆となるパターンが繰り返されている事が分かったのです。
医師は感染が進みつつあると判断。
直ちに抗生物質を投与。
スカイラーちゃんは危機的な状況を脱しました。
とても興奮しました。
赤ちゃんを将来襲う病をデータを基に事前に予知できるのです。
今後は従来より早く治療を始め病を発生する前に食い止める事が可能になるでしょう。
ビッグデータで感染症を予知し命を守る新たな取り組み。
来年には本格的な導入を目指す臨床試験が始まります。
その準備を進めるマクグレゴーさん。
実は医療の専門家ではありません。
ある意外な経歴があるのですがそれはスタジオで!えっ?それはスタジオで?はい。
…という訳なんですよ。
意外な経歴っていう事はお医者さんじゃないっていう事ですか?そうなんです。
医療従事者ではありません。
じゃあ…確かに意外性はありますけど。
小野さん実は金融の世界の人で。
金融?はい。
株価を予測する専門家なんです。
株価?はい。
実は金融の世界ではツイッターなど世の中にあふれている情報を基に状況を分析してそして将来どうなるかというのを予測するのは当たり前なんですね。
でその経験や考え方を今度は医療の世界に持ち込んでそうすればデータから病気を予測予知できるのではないかと考えた訳なんです。
でもお医者さんたちも日々日夜感染症を防ぐにはどうすればよいのかって事を現場で研究なさってる訳ですよね。
そこへ全然ジャンルの違う人がやって来る事っていうのはどういうふうに受け止められるものなんですか?さすがに最初は戸惑いもあると思いますけれども私たちもいろんな知識を得たいと思ってますからビッグデータといわれる大量のデータを処理できるようになって初めて可能になった事ですから今まで私たちが持ち合わせなかった領域の研究方法になります。
じゃあ分かる事というのはさっきは赤ちゃんの感染症を未然に防ぐというか予知するという話でしたよね。
可能性として大人もあるんですか?マクグレゴーさん更なる研究を進めているんですよ。
例えばがんであればですね体内でそのがんが大きくなろうとする時に呼吸数であったり何か心拍であったり何かのデータに僅かな変化が現れる事がもし分かれば今よりも早く治療を始められる。
そうすれば当然回復も早くなる。
ほかにビッグデータってどういう事ができそうなんですか?今できてるんですか?今のコンピューターというのは数字だけを見るんではなくて人間が書いた文章をある程度まで理解してどのような事が書かれていたのかあるいはそれが大量に集まってくる事によって今どんな事が話題になってるのかという事も分かるようになります。
実際にアメリカでは膨大な量の過去に出された論文を読みこなした上でじゃあどのような新しい薬の候補があるのか。
あるいはどのような治療法が今後考えられるのかという事を調べた上でですねアドバイスをしてくれるようなプログラムの開発というのも進んでいます。
ついでに論文も書いてくれるといいですよね。
(石川)まあ…。
でも手間もお金もものすごいかかりそうですよね。
確かにそういうふうな考えもあるかもしれないんですけど実際はそうでもないんですよ。
データを記録したりあと解析したりするコストというのは安くなってきてるんですね。
更にデータをとる方法というのも日々進歩しているんです。
実は今日その一つの例をお見せするんですがちょっとこちらご覧下さい。
実はこれ私の心拍のほぼリアルタイムの実数値を今示しているんです。
ここでドックンドックンドックン。
そうなんです。
これ本当に今のデータ?はい。
ほぼリアルタイムで数値として出るんですね。
これどうやってとっているのかと言うと実は今私が身につけているものに秘密があるんですね。
ちょっとお見せしようと思います。
えっ脱いじゃうんですか?脱いじゃうんです。
ボタンを開けますと…。
実は今私が着ているこのTシャツに秘密があるんです。
これヘルスケア用品として開発されたもので私の心拍をこのTシャツのセンサーが読み取りましてそして実はこちら。
このセンサーを使って転送。
それを今ここに映し出しているんです。
試しにうさぎ跳び…。
うさぎ跳び…オーダーしますか?分かりました行きますよ。
じゃあ長瀬先生の方へ…。
これ少し時間かかりますのでもう一周ぐらいしときましょうか。
すごい!今173ですけど上がったり…190近くまで行きました。
184…あ〜すごい!あっ200まで行った!医療に関するビッグデータには心電図のほかにも血圧や血糖値などさまざまなデータがあります。
更に精密検査のCTやMRIなどの画像も貴重なデータです。
しかしそれだけではありません。
こんなものも医療ビッグデータになりうるのです。
日本最大の検索サイトを運営するYahoo!JAPANです。
この会社のサイトを使って行われる検索は一日およそ2億件。
特定のキーワードについて検索が行われた地域の偏りを調べたところ驚くべき事が分かりました。
これはおととし12月に全ての検索の中である言葉が占めた割合を都道府県ごとに示した地図です。
12月16日群馬県で異常な高まりが。
一体どんな検索ワードを解析したのかと言うと…。
そうインフルエンザです。
実はこの検索の上昇群馬県で起きたインフルエンザの流行を予知していたのです。
後に分かった実際の患者数です。
検索の上昇の時点で患者数は1病院当たり7人程度でした。
それが2週間後には2倍以上に急増。
県が注意報を発表したのは26日でした。
つまり10日も前に流行の兆しを捉えていたのです。
全国で調べたところ全ての都道府県で検索の上昇がインフルエンザ流行の兆しを捉えていた事が分かりました。
ちゃんと発表していく事が価値あるよねというふうに割と切り替えるってのはそれ見てすぐ思いましたね。
つまりどういう事ですか?インフルエンザに今かかり始めの患者さんかもしれない方が例えば自分がちょっと具合が悪いんだけれどもインフルエンザってはやってるの?それを調べてみようと思ったきっかけ。
あるいはもしかするとですよお子さんがいらっしゃって小学校で何となくインフルエンザの患者さんが出てきたよってつぶやいたデータがあるかもしれません。
もしかしたらこれから先数日の間に病院にインフルエンザの患者さんが殺到してくるかもしれない。
その兆候にはなる訳です。
だとしたらばそれに向けて医療機関って何かできる事があるんじゃないでしょうかね。
備えておく事ができる?
(石川)そうですね。
こういうデータを解釈する時に大事なポイントがありましてやっぱりですね医学的にはですねやはり信用するデータとは言えないんですね。
ただ活用はできますし利用もできますし参考にもできます。
はあなるほど。
うのみにはしないけれどヒントにはするみたいな事ですか?
(長瀬)そうです。
それがビッグデータさんとのおつきあいのコツだと思います。
先生医療ビッグデータっていう時それはそもそもどういう意味なんですか?何が決定的に違うんですか?ビッグデータを用いるという事は。
まず前提としてはですね私たち医療従事者というのは仮説を立ててそして目的方法論を決めてそして観察をしながらデータを得てそれを解析して知見を得る。
そういう研究の手法をとるんですけれどもこういう最初にデータをたくさん集めておいて後から何か分かる事がないだろうかって調べる。
こういう研究パターンというのは確かに一般的でなかったという点もございます。
一つクリアーになりました。
やっと分かりました。
それでは続いての項目です。
これ「最先端!ビッグデータ病院」ですか?ビッグデータを分析して日本トップクラスの医療を実現した病院があります。
その最先端の取り組みです。
がんや脳梗塞などの治療にビッグデータを活用している…高度な医療と効率性の高さでこの規模の病院の中で国から全国一の評価を受けています。
おはようございます。
この日前立腺がんの手術を受ける事になった…初めて経験するがんの摘出手術。
西畑さんはいつ自宅に戻れるのか不安に思っていました。
内視鏡を使ってがんを摘出する手術。
4時間に及んだ西畑さんの手術は無事成功しました。
前立腺のがんの手術を受けた患者は2週間以上入院するのが普通です。
ところが…西畑さんは退院する事ができました。
ありがとうございましたどうも。
この西畑さんの早期退院こそビッグデータによってもたらされた成果の一つです。
それはどうやって実現されたのか。
(ノック)失礼します。
西畑さんの入院初日。
パソコンが病室に持ち込まれました。
この病院では本人の了解のもと患者の医療情報を毎日徹底的に記録しています。
体温や心拍数からトイレの回数まで記録する項目は西畑さん一人で300近くに上ります。
こうしたデータは病院内の巨大なサーバールームで管理されています。
年間16万件を超える患者のビッグデータ。
この膨大なデータの中に入院期間を短縮させる鍵が秘められていたのです。
前立腺がんの場合手術のあとまず安静期間を取ります。
医師が体温や食事の量などから回復具合を判断しリハビリの開始を指示。
日常生活に支障がないと認めれば退院する事ができます。
この病院の場合退院までの期間は平均およそ2週間でした。
ところがごくまれに1週間程度で退院する人もいました。
なぜ早く退院できる人がいるのか?過去6年分のデータを集め早く退院した人に共通する要素を洗い出しました。
医師たちは手術時間の短さや出血量の少なさが決め手になるのではと考えていました。
しかしその常識を一旦捨て去り薬の量睡眠時間などおよそ100の要素と入院期間との関係を分析しました。
その結果早期退院と関係が強い要素が浮かび上がりました。
上位3つを見ると食事再開の早さ。
点滴の期間の短さ。
最も関係が強かったのは痛みという要素でした。
痛みの度合いは本人にしか分かりません。
患者が痛いと言えばリハビリの開始が遅れ入院が長引いていました。
ビッグデータの解析結果を受け病院では痛みの度合いを0から10までの段階で評価する事にしました。
そして痛みの評価が3以下になれば原則退院に向けたリハビリを始めるという目安を設けました。
更に評価が4以上の場合でも患者の体調を見ながら薬で痛みを取り積極的にリハビリを始める事にしました。
リハビリを早く始めると体力の回復が早まり早期の退院につながる事が分かってきました。
うんおいしい。
この病院ではほかの病気の入院期間についても分析しています。
例えば…既に対策も始めています。
おはようございます。
前立腺がんで入院した西畑さん。
手術翌日からリハビリを開始。
僅か8日で退院する事ができました。
ありがとうございます。
また外来で…。
本当感謝です。
ありがとうございました。
う〜ん同じちゃんと治って退院できるんだったら当然入院期間が短い方がいいですね。
それにしても日本の病院でも日本の国内の病院でももうビッグデータってちゃんと現場で活用されてるんですね。
そうですね。
そのビッグデータの活用ですけれども実はちょっとここで小野さんに突然なんですが質問があるんですね。
はい。
何聞くんですか?けがや病気を治しに行くのが病院でしょ?そこに転びに行く人はいませんよね?そうなんですけど実は今病院でその転ぶという事が大きな問題になっているんです。
ちょっとこちらご覧下さい。
これはとある病院の高齢患者の病室です。
夜患者さんが看護師が目を離している隙にベッドから落ちてしまっていたんです。
去年全国の病院で起きた転倒や転落事故は620件。
中には死亡してしまったケースもあるほどなんです。
そこで済生会熊本病院ではこの転倒や転落を減らすためにシステムを導入しました。
ベッドから離れたりこのように手すりに触るとセンサーが反応。
事故の予兆をつかむんです。
このナースコールみたいなので知らせるんですね。
即座にナースステーションに送られます。
看護師は全力疾走病室に向かいます。
この病院ではこうして転倒や転落を未然に防いでいるんです。
ところが困った事が起きました。
センサーが反応した回数。
合計してみるとなんと年間で60万回にも及んだんです。
60万回!大変ですね。
そうなんです。
転倒の防止はできたものの看護師さんたちは人手が足りない状態に追い込まれてしまったのです。
その状況をビッグデータを使って可視化してみます。
この黄色い点はセンサーに対応する看護師さん一人一人の動きを表しています。
そしてその回数というのを赤い棒グラフで表した図です。
こうしたデータを1年分解析して今度は時間ごとに一体何回対応したのか集計してみました。
その結果分かった事があります。
この夜8時からの2時間。
ここが一番多かったんです。
いわば魔の時間帯。
この時間帯をどうカバーするかが看護師さんたちの一番の課題になっているんです。
データを重ねます。
これ看護師さんの勤務シフトなんですけれども正午から夕方の5時までは10人から12人で対応しています。
ここの入院患者さんはおよそ40人いるんですが魔の時間帯は4人でその40人を対応している。
なるほど。
でももともと人手が少ないから人手が足りないから起きている事態ですもんね。
それでどうやって見回りの人を連れてくるかですね。
じゃあ一体どうするのかという事ですよね。
その解決策にも実はビッグデータが活用できたんです。
まず今のグラフを頂点結んで分かりやすいようにしました。
これ脳卒中センターのデータなんですけどこちら。
実は消化器科のデータなんですが。
これ緑色のところが…。
消化器科。
この2時間に関してこの病院で言いますとピークは少なくとも脳卒中センターよりも半分になってますよね。
ですからこの時間帯に例えば消化器科から人を借りるなどして見回りに回ってもらう。
そういう事も解決策がデータから見えるんじゃないかと話していました。
でも先生この「うちの科ではこの時間帯夜の8時から10時は本当忙しくて人手が足りない」っていうのはこんなにビッグデータ取らなくても現場実感としてもう分かってる事なんじゃないんですか?その客観的にずっと取れてるデータというものを集計してこのような形で見せる事によってただ単純に脳卒中の病棟の看護師さんが「私たち忙しいの」ではなくてどれぐらい忙しいのかそれがボリュームとして分かる。
かつじゃあほかの病棟の平均と比較してどれぐらい大変なのか。
そういう事が分かってくればいろんな事でですね院内できっかけとした変化が発生するんじゃないですかね。
人間チームが合わさった知恵というものを生み出す可能性っていうのはやっぱりデータは見せてくれるんではないかなというふうに思います。
(3人)そうですね。
ここまでは患者個人の治療そして病院ぐるみの取り組みの話だったんですが今度は町全体です。
アメリカ・ケンタッキー州最大の都市ルイビル。
今ある病の増加が大きな問題になっています。
ぜんそくです。
患者の割合は市民の10人に1人。
全米でも特に高い割合です。
ぜんそくはアレルギー物質などを吸い込む事で発作が起きる病気です。
発作が起きると空気の通り道気道が狭くなり呼吸困難に陥ります。
薬の吸入などの対応が遅れれば死に至る事もあります。
発作を防ぐには原因となる物質を避ける必要があります。
しかし原因物質は人によってさまざま。
原因が分からないケースも多く対策が進んでいません。
6歳の時にぜんそくを発症。
40年以上も悩まされてきました。
花粉など原因になりうる物質を避けるよう心掛けてきましたがそれでも毎週のように激しい発作に襲われてきました。
ところが最近その状況が大きく変わりました。
去年ある臨床試験に参加したところ発作が以前の半分ほどに減ったのです。
ミリアムさんにとっての救世主がこちら。
発作の際に緊急で使う吸入器です。
画期的な新薬が登場と思いきや大事なのはこの青色の部分。
一体どんな仕掛けが?その秘密を知る人物市役所にいました。
ビッグデータを利用してぜんそくに悩む人を減らす臨床試験を進めています。
もともとはNASAアメリカ航空宇宙局に勤めていたテッドさん。
宇宙飛行士の体調に関わるデータを解析し健康管理を行っていました。
先ほど吸入器につけられていたものはスミスさんが導入しました。
実はセンサーでした。
その仕組みです。
(せきこみ)発作が起きると呼吸を回復するため吸入器を使います。
するとセンサーがそれを感知。
スマートフォンに信号を送ります。
スマートフォンからは発作が起きた時間や場所更には天候の情報などがデータセンターに向けて送られます。
このデータの解析からミリアムさんの発作の思わぬ原因が特定されました。
ミリアムさんはさまざまな場所で発作を起こしていました。
しかしデータを詳しく調べるとある場所の周辺で特に発作が集中している事が分かりました。
その場所は散歩コースの途中。
改めて周囲を確認すると道路を隔てた向こうには乗馬クラブがありました。
馬の毛が発作の原因になっていたと初めて分かったのです。
臨床試験に参加したのはおよそ300人。
患者の同意のもと集められた発作のデータは年間で5,400件以上に上りました。
発作が起きた場所を特定し丹念に解析するとこれまで分からなかったさまざまなぜんそくの原因が明らかになりました。
例えば鳥小屋のある農園。
オオブタクサの群落。
更には古い建材を使った建物など。
臨床試験に参加した患者それぞれの原因を特定しそれを避ける事で発作の回数は激減。
4か月で平均およそ半分にまで減りました。
しかし発作の原因が全て判明した訳ではありません。
市は患者の発作がなくならない隠れた原因を探ろうとしました。
先ほどの発作の位置を示した地図。
赤い場所は特に発作が多く起きたホットスポットです。
なぜこの場所に集中しているのでしょうか。
そこに多くの患者が住んでいる可能性があります。
試験に参加した患者が住んでいる場所を緑の丸で重ねます。
人数が多いほど大きい丸で示しています。
必ずしも患者が住んでいる場所で発作の回数が多い訳ではない事が分かりました。
次に注目したのは天候や風向きと発作の関係でした。
詳しくデータを調べると発作には南西の風が関係している可能性が浮かび上がりました。
原因物質の排出源として浮かび上がった町の南西部。
市では今この地域を中心に大気汚染物質の濃度を調べるセンサーの設置を進めています。
更に詳細なデータを集める事でぜんそくの根本的な原因に迫ろうとしています。
石川先生深くうなずいておられますね。
ええ。
こうしてデータを見る事によって患者さんのぜんそくの発作を抑えられる。
それは患者さんにとってとても大きな事ですよね。
病院の中だけでは分からない病院の外ですねこういったのが分かるというのはとても診断には役に立ちますし生活のデータというのは意義深いなと本当に感じます。
そうですね。
町ぐるみでそこに取り組んでくれるっていうのは町にとっては何かいい事あるんですかね?例えばの話ですけれどもぜんそくの患者さんが例えば吸入しなければいけない回数が減る。
お薬の量が減る。
発作を起こして救急車で運ばれる患者さんの数が減る。
救急車の出動回数が減る。
実はこれってすごく大きな社会的な変化につながるんではないでしょうか。
分かりました。
そうです。
そういう事ですね。
なるほど。
でも300人という参加者の方々ってデータとしてはビッグなんですか?確かに人数はビッグではないかもしれません。
でも300人の方々を例えば数か月間ずっとフォローアップをする。
かつその間に吸入の器械が押された回数が何回あるのか。
これってやっぱりすごく長い時間のデータですよね。
でも人によっては知られたくない事もあるかもしれませんよね。
そしてもしかしたら悪意に使われてしまうおそれだってありえますよね?特に病院の中のデータというのは…医療情報というのはとてもとても患者さんにとっては重要なデータになります。
きちっとご説明をしてご理解を頂いた上でデータの提供というか研究に参加して頂くという事を必ず行っています。
ただ例えばスマホで集められているような「今日何歩歩きました」と同時に「どこで何歩歩きました」というデータに関してはあくまでも利用者の方とそれからあとデータを提供した方との間でただ取り決めが今は同意書があるだけです。
そうした意味で言うと本来こうしたビッグデータとなりうるような個人の健康の情報さまざまな例えば活動の情報というものはどのように社会としては取り扱うのかというベーシックな基本的なルールが恐らく今後は作っていく事が必要なんだろうというふうに思います。
これから先そうするとビッグデータ医療ビッグデータの登場によってどんなふうに医療の世界って変わっていきそうなんですか?実は私たちの国というのは世界に類を見ない高齢化をこれから迎えてくるというふうにいわれています。
その中では当然老人の方が増えて医療の必要度ないしは必要とされる量というのはどんどん増えてくると思います。
でも働く人の数は変わりません。
だとしたらば医療の効率性を高めて今いる方々によりよく働いて頂くためにはどうしたらいいのかこうしたところにやらなければいけない事を見つけていくのがビッグデータを通じた分析の大きな目標であり課題だというふうに思います。
ビッグデータは今医療に更なる可能性を開こうとしています。
今年8月がんの治療につながる大発見がありました。
私たちの体の中でがんを抑える役割をする重要な遺伝子P53。
その働きをコントロールするたんぱく質が新たに見つかりました。
それを発見したのはビッグデータを読み込む…3,000もの論文を瞬時に読み込んだワトソン。
これまでP53とは全く関係がないと思われていたたんぱく質の有効性を突き止めたのです。
ビッグデータを積極的に活用してきた済生会熊本病院です。
先月から大学と連携し脳梗塞の患者のうち寝たきりにならなかった人のデータ解析を始めました。
入院中何に気を付けるべきか医師看護師などが協力し今後1年をかけて検証します。
新たな潮流医療ビッグデータ。
私たちの医療の未来が大きく変わろうとしています。
2014/11/02(日) 21:00〜21:50
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「医療ビッグデータ 患者を救う大革命」[字]

わたしたちの命を守る医療。いまその現場でビッグデータ革命が始まっている。病気を未然に「予知」したり、入院期間を半減させるなど、めざましい成果があがっているのだ。

詳細情報
番組内容
わたしたちの命を守る医療。いまその現場でビッグデータ革命が始まっている。病気が発症する前に未然に「予知」するシステムや、膨大な量の文献を記憶し”最適治療”を瞬時に提示する人工知能など、医療の「質」が大きく変わろうとしているのである。さらに、医療とは全く関係のない組織や機関が、ビッグデータを使って、大きな成果をあげつつある。わかりやすいスタジオでの解説を交えながら、医療革命の最前線を伝えていく。
出演者
【ゲスト】国立がん研究センター室長…石川光一,岐阜大学付属病院講師…長瀬清,【司会】小野文惠,瀬田宙大

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番

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