軍師官兵衛(44)「落ちゆく巨星」 2014.11.02

(官兵衛)この黒田官兵衛名を如水円清と号しとう存じまする。
官兵衛は名を如水と改めた。
隠居を許され秀吉の甥関白秀次の相談相手となる。
頼みにしておるぞ。
はっ。
しかし…。
しばしお待ち下さいませ!
(三成)殿下の命だ。
どけ!しばし…しばしお待ちを!
(秀次)わしが謀反じゃと?たわけた事を申すな!
(三成)関白殿下は近頃よく鹿狩りに行かれるそうで…。
それがどうした?鍛錬のためじゃ!
(三成)狩りと称して同心の者と山中で落ち合い謀反のたくらみをされている由訴え出た者がおりまする。
ばかな事を申すな!わしに逆心などない!秀吉は拾の行く手を塞ぐ者を全て取り除こうとしていた。

(テーマ音楽)
(近習)黒田如水様が参られました。
(秀次)如水!おう如水来てくれたか!
(如水)これは何をなさるおつもりでございますか?
(秀次)万一のための用心じゃ。
三成が何を仕掛けてくるやもしれんのでな。
おやめ下さい。
これでは自ら逆心ありと言っているようなもの。
助けに来てくれたのではないのか?叔父上は…わしの申し立てをお聞き下さるとな…。
いや聞くまい。
お主も分かっておろう!ほかに道はございませぬ!太閤殿下と秀次公は叔父甥の御仲。
ここで争っては天下は乱世に後戻り。
天下のために伏見へ行かれませ。
それが天下を治める関白殿下のお役目にございます。
天下のため…。
関白の役目と申すか…。
相分かった。
太閤殿下のもとに参る。
(拾の笑い声)まあ拾様。
(秀吉)秀次の官位官職は全て召し上げる。
高野山にて蟄居するように申しつけよ。
(三成)はっ。
それ以上のとがめは不要であろう。
(秀吉)茶々何じゃ?その顔は。
不服か?
(淀)殿下がお決めになる事…。
ただ…拾の先行きをお考え下さい。
(拾の笑い声)
(せきこみ)
(淀)大事ございませぬか?
(せきこみ)秀吉が秀次に切腹の命を下したのはそれから7日の後であった。
秀次様用意万端整いましてござる。
今行く。
はっ。
無念じゃ…。
(善助)秀次公ご一族ことごとくご成敗されました。
僅か6歳であった嫡男仙千代様をはじめ拾君の許嫁であった姫君ご側室お子たちまでもが容赦なく…。
その数39名…。
三条河原が血に染まった由にございます。
(九郎右衛門)石田殿や淀のお方様が手を回されたとの噂もありまする。
(善助)だとしてもじゃそのような讒言に耳を貸すとは…。
(太兵衛)もはや正気を失ったとしか思えぬ。
もうよい…。
わしが止められなかったのじゃ。
(淀)秀次様の事…。
お気の毒でございました。
(おね)誠にそうお思いか?
(淀)殿下?いかがなさいました?小便を…小便を漏らしてしもうた。
お疲れのせいでございます。
お床を替えましょう。
茶々茶々…。
分かっております。
誰にも申しませぬ。
はあ…。
秀次に近しい者たちが処罰される中如水も秀吉に呼び出された。
(戸が開く音)
(戸が開く音)殿下…。
ああ…。
秀次は…気の毒な事をした。
じゃが拾に災いをなす者は全て切り捨てる。
(せきこみ)殿下!構わん。
はっ。
(秀吉)官兵衛…。
わしは…不安でたまらんのじゃ。
拾の行く末を思うと…。
己を抑えられんのじゃ…。
ハッハハハハハ。
わしは…老いた。
官兵衛…。
いま一度このわしに仕える気はないか?三成は「官兵衛は秀次側ゆえ罰せよ」と申すがわしはこのわしにいま一度仕えてくれるのなら官兵衛を許す。
頼りにしておった者たちは皆死んでしもうた。
わしはお主にわしのそばにいてほしいんじゃ。
頼む…。
頼む官兵衛…。
もったいなきお言葉。
お役に立てればこの上なき幸せにございまする。
ハハハハハハハハハ。
そう言うと思っておったぞ。
三成決まったぞ。
はっ。
(秀吉)お主には長政とは別に禄を与える。
「黒田如水円清播磨国揖東郡のうち1,970石を与える」。
播磨…。
ありがたき幸せ。
(秀吉)よかった…。
よかった…。
ハハハハハハハハハ…。
官兵衛わしはうれしい。
ハハハハハハ。

(光)お帰りなさいませ。
(光)殿…?大事ない。
(長盛)如水殿が2,000石足らずでまた仕える事になったらしいなあ。
…ああ。
(長盛)太閤殿下をも恐れぬ男といわれていたが今では牙を抜かれおとなしいものじゃ。
お主と張り合っていたのも今では遠い昔じゃのう。
(正則)あ〜よしよしよしよし…。
(家臣)殿。
何じゃ?母里太兵衛殿が参られました。
太兵衛が…?はっ。
通せ。
はっ。
(正則)「承知した」と長政に伝えてくれ。
(太兵衛)はっ。
ではこれにて。
(正則)近頃如水殿の悪い評判を耳にする。
(太兵衛)悪い評判?僅かな禄で再び殿下に仕える事になったであろう?三成ごときの風下に立たれもはやあの軍師官兵衛とは別人じゃとなあ。
(家臣)殿…。
(正則)近頃は以前のように殿下をお諫めする事もなくなった。
大殿には大殿のお考えがござろう。
(正則)どんな考えだ?知り申さぬ。
それがしは主を信ずるのみ。
大殿の悪口は取り消して頂こう。
まあそう怒るな太兵衛。
聞き流せ。
ほれ。
ハハハハハハハハ…。
相変わらず強いのう!ご当家ではこれしきで強うござるか?常在戦場。
酒で乱れるは恥でござろう!酒を持て〜!はっ!
(家臣)殿おやめ下され!勝負じゃ〜!
(太兵衛)それがしが勝てばわびのしるしを頂戴致そう。
(正則)おう!何なりと持っていけ!ではあの槍を。
(正則)目が高いのう。
あれは天下無双の槍日本号じゃ。
殿!太閤殿下から頂いた槍にございますぞ。
黙れ!わしが負けると思うか?たわけが!いざ!おう!ハハハハハハハ。
さすがは太兵衛ですね。
(九郎右衛門)吉太夫よく見ておけ。
あんな芸当ができるのはお主の父以外おらぬ。
はい。
おりゃ〜!
(熊之助)太兵衛わしに貸してくれぬか?いずれ若が初陣なされたらお貸し致します。
それまで鍛練をお積みなされ。
「その槍は家宝ゆえ返してほしい」と福島殿が言っておったぞ。
フン。
大殿への悪口雑言の報い。
返す訳にはまいりませぬ。
ハハハハ。
父上。
何じゃ?私も父上の悪口を耳に致しました。
熊之助…。
(熊之助)私は悔しゅうございます。
何故ご隠居なされたのにもかかわらず太閤殿下に再びお仕えしたのですか?「何故」か…。
はい。
もはや…太閤殿下のなさる事を誰もお止めする事はできぬ。
できるとすれば…天だけじゃ。
(熊之助)天…?殿下の天命が迫っておる。
わしは…殿下が変わりゆくのをお止めする事ができなかった…。
せめておそばにいて最後までお見届け致す。
それが殿下を天下人へと押し上げたわしの務め…。
そのころ朝鮮出兵の和睦交渉は大詰めを迎えていた。
講和条件を記した明の国書がついにもたらされたのである。
(西笑承兌)「ここに特に汝を封じて日本国王となす」。
「封じて」じゃと?
(承兌)そう記してございます。
(秀吉)明に封じられずともこの秀吉こそ日の本の天下人じゃ。
わしが示した和睦の申し条はどうなっておる?
(承兌)何一つ触れてはおりませぬ。
おのれ無礼な!この太閤を愚弄しおって!断じて許さん!かくなる上は兵を出す!
(長政)恐れながら確かに明は無礼でございます。
されど異国での戦の難しさはご承知のはず。
(秀吉)黙れ!
(行長)何とぞお考え直しを!
(秀吉)黙れ行長!お主は明と何の交渉をしておったんじゃ!
(せきこみ)殿下!
(せきこみ)
(秀吉)何としても…何としても朝鮮を手に入れるんじゃ!この秀吉世の笑い者になるではないか!直ちに兵を出せ!兵を出すんじゃ〜!
(一同)はっ!こたびははるかに厳しい戦いとなろう。
殿下の面目を立てるためのものゆえ士気は低い。
あるいはわしとて…。
(糸)ご無事を祈っております。
生きて帰ると…。
必ず!
(秀吉)おう官兵衛!来たか。
来い。
こっちへ来い。
ほれ。
朝鮮の事は聞いたな?はっ。
止めんのか?お止めすれば聞き入れて下さりましょうか?ハハハハ。
聞かぬ。
恐らく…。
これがわしの最後の戦となるであろう。
後の世の語りぐさになるような見事な戦にしてみせる。
明を滅ぼしこの秀吉こそが日の本一国はもとより明や朝鮮の王となるのじゃ。
ハハハハハハハハハハハハ…。
(せきこみ)殿下お願いがございまする。
何じゃ?それがしに朝鮮行きをお命じ下さい。
何じゃと?それがし今もなお殿下の軍師にございまする。
官兵衛!よくぞ申した!お主の策さえあれば必ず勝てる。
お主に全て任せる。
軍師官兵衛!ハハハハ。
茶々…茶々に伝えねば。
茶々…茶々茶々茶々…。
(善助)大殿…。
傷はできるだけ小さくするしかあるまい。
負けぬ戦をする。
慶長元年朝鮮への再出兵を目前に秀吉は拾の名を改めた。
ん!
(秀吉)立派じゃぞ秀頼。
これで豊臣家も安泰じゃ。
お主が天下人じゃ。
皆の者秀頼を頼むぞ。
(一同)はっ!
(家康)ほらこれは使えるぞ。
ハハハ。
あっちじゃ。
はっ。
(家康)お主ら。
わしはあと何年生きると思う?
(直政)殿は今年…。
(康政)花も実もある55になられる。
(忠勝)さよう。
その年にしては肌艶もよくまだまだくたばりそうにはありませぬな。
(一同の笑い声)太閤は60じゃ。
(家康)あの男もはや長くはもたんぞ。
(家康)わしの見立てではもってあと2年。
(直政)そこまでお見通しでござるか?
(家康)分かる。
ただそれを分かっているのはわしだけではあるまい。
フフッ。
長生きはするものじゃ。
フフッ。
年が明けた慶長2年。
黒田家は朝鮮への出立の日を迎えた。
(長政)よいかこたびの戦はなるべく守りを固めむやみに打って出てはいかん。
難しき戦いとなる事を覚悟せよ。
(一同)はっ。
わしも後から朝鮮へ渡る。
それまで頼むぞ。
お任せ下さい。
皆くれぐれも気を付けるのですよ。
(一同)はっ。
(熊之助)父上兄上。
(長政)どうした?お願いがございます。
私も16。
戦に行きとうございます。
熊之助何を言いだすのです!父上も兄上も元服して初陣を飾ったのは今の私と同じ頃のはず。
何とぞお願い致します!ならぬ!何故?お前まで行けば黒田の男子が皆朝鮮に渡る事になる。
万が一に備えお前はここに残るのだ。
元服はこの戦が済んでからだ。
それまでじっと待っていろとおっしゃるのですか?
(長政)焦るな熊之助。
お前は朝鮮を知らぬ。
そちのような者が初陣を飾るべき戦場ではない。
(長政)では一同!出立だ。
(一同)はっ。
ご武運を。
(太兵衛)吉太夫。
(吉太夫)はい。
若を助け留守を頼んだぞ。
はい。
父上もお達者で。
黒田勢を含む14万の大軍が再び海を渡っていった。
(秀秋)父上。
お加減はいかがですかな?
(隆景)いよいよ潮時じゃな。
何を申される。
(隆景)死ぬ前にお主に会うておきたかった。
(隆景)中納言殿…いや秀秋。
今後は何事も如水殿を頼るのだ。
(秀秋)はい。
如水殿諸事ご指南を頼むぞ。
及ばずながら老骨に鞭打って。
(隆景)秀秋ちと外してくれるか。
2人で話がしたい。
はい。
殿下は長くはない。
間もなくこの国にもう一度嵐が吹き荒れる。
だがそのころわしもこの世にはおるまい。
お主とは長いつきあいじゃ。
わしはこれまでお主ほど知恵の回る男を見た事がない。
しかし少々知恵が回り過ぎるところがある。
よい知恵が浮かんだ時こそよくよく吟味するよう心掛けよ。
ありがたきお言葉…。
肝に銘じまする。
高松城水攻め…中国大返し…。
あの時はとことんお主にしてやられた。
黒田官兵衛…誠手ごわい相手じゃった。
そのお言葉そっくりとお返し申し上げる。
毛利との戦誠に難儀致した。
されど…あのころは…。
あのころは…楽しゅうございましたな。
毛利を支えてきた名将小早川隆景はそれから間もなくその生涯を閉じた。
熊之助?熊之助…。
は〜。
(お福)お方様いかがなされました?熊之助を見かけませんでしたか?いいえ。
吉太夫も。
どこを捜しても見当たらないのです。
(お福)そんな…。
(お道)お方様!お方様こんなものが…。
熊之助?回想
(熊之助)私は兄上の強さと父上の賢さを併せ持った武将になりたいと思っています。
(吉太夫)私も父のような豪傑になりとう存じます。
2人ともきっとなれますよ。
もう少しの辛抱です。
(熊之助)わしはどうしても朝鮮へ行きたい。
(吉太夫)それがしも行きとうございます。
無断で行く事になるぞ。
ついてくるか?はい。
(長政)父上お待ちしておりました。
形勢はどうじゃ?
(長政)仰せに従い堅固に城を築き守りを固めております。
それでよい。
(善助)お味方このように布陣しております。
(雷鳴)全てをのみ込む乱世の嵐がまたも迫ってきていた。
(秀吉)このわしが死んだらこの世はどうなるであろうのう。
「つゆとをちつゆときへにしわがみかななにわの事もゆめの又ゆめ」。
(淀)あの男はえたいが知れぬ。
天下は再び乱れる。
かつて戦国随一の知将として知られた小早川隆景が治めていました。
瀬戸内海を制するために隆景が築いた三原城は海に浮かんでいるような姿から浮城と呼ばれました
生涯毛利家を支えた隆景。
如水とは初め敵対関係にありましたがやがて互いを認め合うようになります。
聡明で即座に決断する如水に対して思慮を尽くすよう助言した事もあったといいます。
慶長2年隆景は三原城で息を引き取りました。
如水は「これで日本に賢人はいなくなった」と嘆いたと伝わっています
偉大な盟友を失った如水に波乱の時が近づいていました
2014/11/02(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
軍師官兵衛(44)「落ちゆく巨星」[解][字][デ]

天下を実子・拾に継がせるため、淀(二階堂ふみ)と三成(田中圭)は秀吉(竹中直人)をそそのかし、邪魔者を排除する。秀吉の死期が近いとさとった如水(岡田准一)は…。

詳細情報
番組内容
秀吉(竹中直人)に男子・拾(後の秀頼)が生まれ、生母・淀(二階堂ふみ)と三成(田中圭)は拾を豊臣家の跡継ぎにすべく暗躍。邪魔者と化した関白・秀次(中尾明慶)は切腹に追い込まれる。秀吉の死期が近いことを悟った如水(岡田准一)は、再度の朝鮮出兵を宣言した秀吉の側に仕え、その暴走を押さえこむ道を選ぶ。如水、長政(松坂桃李)より朝鮮出陣を止められた次男・熊之助(今井悠貴)は思わぬ行動に出て、悲劇を招く。
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,寺尾聰,黒木瞳,竹中直人,松坂桃李,鶴見辰吾,二階堂ふみ,濱田岳,速水もこみち,高橋一生,塚本高史,田中圭,高畑充希,東幹久,忍成修吾,石野真子,阿知波悟美,石黒英雄ほか
原作・脚本
【作】前川洋一

ジャンル :
ドラマ – 時代劇
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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