川沿いつつましく咲く秋の花に蝶が舞う。
流れる水の冷たさが季節の深まりを伝える。
京都・大原の山並みは秋の落ち着き。
里で暮らすのは人間だけではない。
珍客が訪れる事もある。
ベニシアさんが暮らす築100年の古民家。
庭はすっかり秋の趣。
この時期古民家の朝は寒い。
夏の間に準備したまきでストーブに火を入れる。
ベニシアさんの暮らしにまきストーブの火は欠かせないという。
(ベニシア)火はねえ何か暖まるっていうか心温まるっていう感じやね。
冬でもし火がなかったら何か寂しい感じする。
あったら何か…一人でも何か寂しくないよね火があれば。
一人で早く起きた朝は炎のぬくもりが心強い。
「秋は庭を仕込む季節」とベニシアさん。
来年の春に備えて球根を植える。
名前は分からないけどお気に入りの野草。
増え過ぎてしまったので根から掘り起こす。
あ〜!う〜ん!すごい!アハハハ。
そこへ栄養満点の腐葉土を入れる。
ほんで普通の土と堆肥。
ベニシアさんお手製の堆肥を混ぜればよい土が出来る。
何か土作りが結構好きだよね私。
多分小さい時からこういう遊び…何て言うのか泥遊び好きだったから。
まずスイセン植えます。
3月に花を咲かせるスイセン。
大体これが2倍ぐらいの深さの方がいいから。
春の花壇で花が咲く様子を思い浮かべながら配置を考える。
背の高いスイセンは中央に。
普通の花はもう暖かくなってから咲くけどこういうものは土の中に生きてるからあの…冬の間に大きくなってほんで一番咲くのね。
球根面白いよね。
クロッカスの背丈は10cmほど。
背が低いので手前に1列に植えた。
春に紫の花を咲かせるセリンセ・マヨールの苗も植えて色とりどりの花壇が出来るはず。
春のための秋の庭仕事。
フレッシュなタイムとマッシュルームで朝食にピッタリのトーストを作る。
結構簡単にできるから朝御飯かおやつでもいいから。
まずはにんにくをみじん切り。
マッシュルームは…スライスしたらいいし。
小さい頃よく庭で探したマッシュルームは大好物。
タイムは軽く刻む。
マッシュルームを炒めるけどその前にちょっとにんにくを入れます。
オリーブオイルでにんにくをいためマッシュルームを入れる。
味付けは塩とこしょうを一つまみ。
フレッシュなタイムはたっぷりと。
なければドライでも大丈夫。
これをここに置いて次はトースト。
今日使うのは友人が手作りした天然酵母のパン。
「トーストは金網で焼くとなぜだかおいしい」とベニシアさん。
でも焦げ付かないように注意が必要。
うんいい色になりましたね。
フライパンに残ったソースもしっかりかける。
これがまたおいしい。
う〜ん匂いがすごいきれいに…。
仕上げにタイムを飾って完成。
イギリスやフランスで過ごした幼少の頃庭で採れたタイムとマッシュルームで作ったベニシアさんの思い出の味。
ベニシアさんこの日は近所に住む友人に頼み事をしていた。
(橋本)あっこんにちは。
あっこんにちは。
どうも。
ありがとう何か。
大原で工務店を営む橋本さん親子。
あのこっちですけど。
はい。
何かちょっと困った事あるんですけどあのここのね最近ふすまがきついのね。
ふすまが閉まりにくいのを直してもらいたいと思っていた。
あのねこの上の鴨居がちょっとやっぱり真ん中で垂れてるんですよ。
こういう弓なりにね。
ほんでこれぐらいの垂れぐらいだったらちょっとふすま削らしてもらって…。
それできるんですか?それで調整できますし。
ああ〜助かる。
何かもうお客さん来た時…ほとんど朝から閉めへんから。
はい分かりました。
そしたら簡単にできると思うんで今やらさせてもらいますわ。
はいありがとう。
早速道具を取り出した橋本さん。
ふだんから古民家のリフォームを手がける事が多いという。
慣れた手つきで作業を始める。
え〜っとこっちが上か…。
ものの5分であっという間に開け閉めが楽になった。
すごい。
スライディングドア。
(橋本)ろうそくのろうってありますか?ああありますよ。
普通のろうそくでもいいの?普通のろうそくの方がええな。
これ日本ろうそく。
ベニシアさんに和ろうそくを借りて溝に擦り込む。
滑りをよくする昔ながらの知恵。
何かマジックみたい。
ありがとう。
ああ簡単にできる。
うれしい。
ああよかった。
ありがとう。
OK。
すごい。
ベニシアさんとってもうれしそう。
何でもホント直せるんやね。
そうですね。
ここ数年ベニシアさんを悩ませていた客間のふすま。
橋本さんの手で見事によみがえった。
実はもう一つお願いしたい事がある。
屋根の補修だ。
ああはいはい…。
これですね。
はいはい。
瓦の…ちょっと雨漏ってますね。
雨降ったら結構この辺びしょびしょ。
長年の雨漏りで屋根を支える木が腐ってしまった。
ベニシアさんたちではどうしようもできない状態。
早めに直された方がいいと思いますんで。
じゃあお願いします。
はい分かりました。
築100年以上の家。
時にはプロの手を借りる事も必要だ。
大原に作業場を構える橋本さん親子。
木を使った昔ながらの家造りの方法を大切にしている。
木にさまざまな切り込みを入れてパズルのように組み合わせる木組みによる工法だ。
これでもう抜けない。
これが昔からのその…木組みなんですね。
で通常今はボードで引っ張ったりとか金物で留めたりとかするんだけども金物だとある程度締めつけるんだけども1年ぐらいするとどうしても木が痩せてきたりするんでやっぱりどうしても緩んでくるんですよ。
木だったら湿気とかいろんな面でも木同士が自然のその中で緩みがないような形でぐっと入っていってるから。
そういう面では木の相性が合うというかそういう形が一番いいとは思いますね。
日本人は古くから木と密接な関係を持って暮らしてきた。
丈夫で長もちする上見た目も美しい木組みの技。
手間がかかるという理由で一時は減ったがその価値は見直されてきている。
最近こういうやり方っていうのはほぼ少なくなってるんでねやっぱりいろんな事をこういう事を覚えていった方がいいんじゃないかという事で最近結構こういうやり方を望んでおる方がたくさん出てきてるんでやっぱり息子らにもちょっとこういう事教えてきてたんでちょうどよかったなというふうに思いますね。
大原生まれ大原育ちの橋本さん。
子どもの頃から野山を駆け回って遊ぶうち自然と物作りが好きになった。
幼い頃は四季に応じてですね川へ行けば川に潜ってヤスを作ったりとか冬場になれば竹を四つ割りにしてそりを作ったりスキーを作ったり結構まめにそういう事が…器用さがねそういう遊びの中から出てきたというのが現状でしたね。
何でも自分で作るのが得意だった橋本さん。
16歳で大工の世界に飛び込み木組みの技術だけでなくマンションに使われる現代工法などさまざまな技術を学んだ。
伝統の技術と新しいやり方をうまく組み合わせより多くの人に木の香る家に住んでもらいたい。
そう思って仕事に取り組んできた。
橋本さん親子は今大原の古民家を改築中。
古民家はそれぞれ状態が違う。
100年前に先輩たちが作った柱やはりの具合を見極めながらできるだけ昔のものを生かす。
完成した部屋の床。
ヒノキの美しい板で張り替えられた。
はりは昔からの物を残した。
柿渋と弁柄を混ぜて塗ると防腐防虫効果がある。
見た目の色も美しく長くもつ。
初めは設計士を目指したという長男の和典さん。
父の仕事を見るうち実際に自分の手で物をつくる事に憧れを抱き大工を継いだ。
そんな和典さんは今積み木や自動車のおもちゃを作り小さな子どものいるお客さんにプレゼントしている。
木は生き物。
一つ一つ違う。
手作りのおもちゃを触って木のぬくもりを感じてほしい。
そう思ったのは和典さん自身に幼い頃の思い出があるから。
(和典)僕が幼稚園ぐらいの時とかかな僕の父が作ってくれたんですよ。
ちいちゃい木の切れ端でちょっとしたタイヤをつけたり何か虫の形にしてくれたりとかね。
そういう思い出がずっと僕の中にあったんでね昔僕の父がやってくれた事を気付けば同じ事を自分がやってるという事だけなんですけどやっぱりその時僕の思い出はうれしかったしね。
プラスチックのおもちゃとは違って温かい感じがすごい思い出にもあるんでねそれで自分も作ってみようかなというふうに思いました。
父が教えてくれた木の魅力。
自分が次の世代に伝えていく。
その願いは大原の古民家で暮らす子どもたちの手にしっかりと届いている。
ベニシアさんの家で屋根の補修工事が始まった。
まずは瓦を外して木の状態を見る。
腐食のひどい部分を取り除き新しい木で差し替える事にした。
屋根の板は手で簡単に取れるほど弱っている。
柿渋と弁柄で塗り防水効果もある板を切り取った屋根の部分に打ちつけていく。
これでもうしっかりしたでしょう。
もう崩れ落ちる心配はない。
あとは水切りの部分に鉄板を敷き瓦を戻せば完成だ。
昔ながらの瓦は傷んだ所を削って再利用。
きれいに並べ替えた。
悪くなった所は直せばよい。
木は生き物だから手をかけて大事にしてあげれば長くもつ。
それが木のよいところ。
これでベニシアさんの家ももっと長生きしてくれる。
仕事のあとはお茶の時間だ。
ハーブティーじゃないよ日本茶。
(2人)ありがとうございます。
いやありがとう。
いえいえいえすんません。
今何かホントうれしい。
フフフ。
(和典)頂きます。
まああの…ベニシアさんのこういう建物を見るとやっぱりこういうのがホントはいいと思いますわ。
古い家の大黒柱ありますよね?大黒柱とか例えば小屋組の丸太が組んであるとことかああいうのを見るとやっぱりはっとしますね感動するというか。
やっぱり例えばそこで家族が住んで長い期間ね家族をずっと守ってきた古い材料であったり大黒柱であったりねすごい力強い家族の物語とかね…。
ああそれを感じる。
(和典)そういうの見たら長い間ねここでいろんな思いがあって生活があってというの…物語があるような気がすごいしますね。
僕らもやっぱりねできるだけこういうふうなのは残したいなと思ってるんでね。
極力やっぱり古い家をリフォームするようにね。
潰して建て直すんじゃなくてできるだけね。
「古民家と一緒に大原の人たちの古い物を大切にする心を残していきたい」橋本さんは言う。
キッチンにある木の棚を掃除するベニシアさん。
ここの家の一番昔…最初日本に来た時の一番古い家具ですね。
クリスマスまで少しずつきれいにします。
元はタンスだったが引き出しを抜いてドライハーブを保管する棚にした。
大事に磨けば味わいが増す。
木を慈しんで暮らす。
古民家の日々は美しい。
2014/11/02(日) 18:00〜18:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「木と生きる」[字]
秋深まる京都・大原。ベニシアさん、来年にむけ庭に水仙やクロッカスの球根を植える。屋根の修理を友人の大工さんに依頼。長年使い続けてきたキッチン棚の手入れをする。
詳細情報
番組内容
山里がほんのり色づき始め、秋が深まる京都の大原。来年に向けて庭の準備に掛かるベニシアさんは、水仙やクロッカスの球根を植える。屋根の連結部分の難しい修理を、友人の橋本勝三さん親子に依頼。木の素材を生かした伝統の技法にこだわる橋本さんの考えに、ベニシアさんも共感。昔の木のたんすをリサイクルして、長年使い続けているキッチン棚の手入れをする。木のぬくもりに包まれながら、ベニシアさんの暮らしは続いていく。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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