心を込めた丹念な筆遣い。
日本画家松尾敏男さんは米寿を迎えた今も絵と向き合っています。
牡丹は写生に出かける度思いがけない表情にハッとさせられると言います。
胡粉を塗り重ねながらも濁りのない澄んだ画面に仕上げています。
日本画の美しさを追求し続けた深い色調です。
現代日本を代表する画家松尾敏男さん。
60年を超える画業の高みを紹介します。
大正15年長崎で生まれ上京。
17歳の時に花鳥画で名高い堅山南風に弟子入りし画家を志します。
戦争中に多感な青年時代を送った松尾さん。
生と死について絶えず考えそこからやってくる不安が初期の絵のテーマとなりました。
生きている鳥と骨になった鳥がざらりとした質感で表されています。
松尾さんは伝統的な日本画とは異質とも思える絵に挑戦します。
師の南風から描かない方がよいと忠告されたミイラ。
しかし再び生き返る生への願いを込めてミイラを描き高い評価を得ました。
また日本画の画材を駆使し油絵のような重厚感を生み出そうと試みました。
私が考えていたのはまず日本画を否定してみようどこまで否定するか否定してそれでなおかつ残るべき何かがあったとすればそれが本当の日本画なんじゃないのかなという思いで新しい日本画の創造につながっていくというような事を考えてやってたというそういう思いでこの絵を描いたような記憶が今でも強く残っておりますね。
こうして松尾さんが日本画に見いだしたのは日本画の美しい色彩と自らの思いを込める事の重要性でした。
緑青を使った暖かみある色合いで描いたインドの雑踏。
異国の地で人間の根源を見つめました。
貧困の中でたくましく生きる人々にこの上ない豊かさを感じます。
タイトル「貧しき人」は心の貧しさに気付いた自らを指しています。
大画面にヨーロッパの町並みを表した風景画には西洋映画に酔いしれた少年時代の懐古を重ねています。
朝明けを迎えるスペインの古都トレドです。
一貫して日本画の本質を探り絵に表そうとしてきました。
それこそ手が動かなくなっても心の中で描けるじゃないかというそのくらいの気持ちでこれからも絵は描き続けていきたいと思っている。
戦後アメリカで抽象表現主義を先導した画家の一人ウィレム・デ・クーニング。
オランダに生まれアメリカへ移住。
1953年デフォルメした女性像で画壇に衝撃を与えます。
1960年代になると激しい筆遣いに加えて女性の肉体を強調する明るい絵の具で彩るようになります。
新しい時代にふさわしい陽気で開放的なポーズの女性たち。
具象と抽象のはざまを行く絵画様式は後世に大きな影響をもたらしました。
独特の心象風景の世界で知られる洋画家難波田龍起。
30代悠久の景色に憧れて描いた古代ギリシャの幻想的な風景です。
40代は戦後復興期。
難波田は建築現場の建物の美しさに惹かれより抽象的な表現に向かいます。
ユーモラスな線の動きに難波田の心の動きが重なるようです。
白一色で丹念に表した飛しょうする鶴。
白い紙に白い顔料で描かれ「白絵屏風」と呼ばれました。
白で表された美術品からそこに込められた人々の願いを読み解きます。
扇形の絵に描かれているのは女性たちが白い着物に身を包んだ出産の場面です。
後方には鶴や松を配した白い屏風。
出産の場に白い屏風が登場するのは平安時代に始まったと言われます。
屏風は出産のつどあつらえられました。
江戸時代後期の希少な一品です。
紙に胡粉や白くきらめく鉱物雲母を使って表された吉祥文様。
白は清らかさの象徴です。
命に関わる出産無事を願う祈りが込められています。
子供の健やかな成長を願いさまざまな白いものが作られました。
子供の姿をした人形「天児」は生まれてきた子に寄り付く災いを除くためのもの。
「犬筥」は犬の性質が正直なところから厄をよけると考えられ作られました。
張り子の技法で紙で形を作り銀の箔を押した上に胡粉で描いています。
女の子がお歯黒をつけ始める儀式…それに使う筆などを納めた箱にも白が使われています。
これは鳥の羽根で出来た筆。
白の造形は命の営みに絶えず関わってきました。
江戸時代京都で活躍した絵師円山応挙の門人25名の作品が会します。
渡辺南岳は応挙に忠実に倣い写生を重んじました。
水の揺らめきまでも映るうろこ。
南岳は江戸へ渡り円山派の画風を広めました。
門人の中でも際立つ技量を誇った長沢芦雪。
迷いのない流れるような線。
芦雪は応挙の技術を学びながら独自の世界を築き名作を残しています。
大分県の北東部国東半島で芸術祭が開かれています。
国東半島は神と仏が共存する文化発祥の地と言われこの不動山でも人々が修行をしたと伝わります。
アントニー・ゴームリーの鉄の彫刻像は風雨にさらされて錆び表情を変えていきます。
「成仏」という地名の岩場には赤や青のLEDライトを用いた宮島達男の作品。
光る部分は1から順に9まで変わりそのあと暗闇に。
光と闇の連続には輪廻転生の祈りが込められています。
海岸沿いにある元縫製工場にも作品が。
テクノロジーを駆使した映像作品で知られるチームラボのインスタレーション。
モチーフは地元に生息する花々。
咲いては散る花の一生が鑑賞者の動きに反応しながら映し出されます。
今年度の文化勲章受章者と文化功労者が発表になりました。
美術分野の方々をご紹介します。
文化勲章を受章するのは洋画家野見山暁治さん。
東京美術学校で油絵を学びフランスに12年間滞在します。
作風は具象的な傾向の絵から次第に抽象絵画へと移っていきました。
93歳の今も筆を執り続けています。
文化功労者には洋画家絹谷幸二さん。
ベネチアへ渡りヨーロッパの古典技法フレスコ画を研究。
近年は奈良・東大寺の菩薩像をモチーフに和と洋を融合した意欲作を生み出しています。
2014/11/02(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“現代日本画の巨匠 松尾敏男”展 ほか[字]
「現代日本画の巨匠 松尾敏男展」(平塚市美術館 10月11日〜11月30日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「現代日本画の巨匠 松尾敏男展」(平塚市美術館 10月11日〜11月30日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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