ふるさと再生 日本の昔ばなし 2014.11.02

昔むかし山奥に小さな村がありました。
ある日のこと…。
助けてくれ〜!殺される〜!人殺し〜!わぁ〜!何かの見間違いでねえのか?なんとも人騒がせなことだべ。
ところが同じことが二度続きました。
人殺し〜!助けて!誰か!誰か!鬼でも出たんだべか。
顔は見なかっただが。
なんとも奇妙な話じゃのう。
へぇ〜そんなことがあったのかい。
ここいらに山賊がいるなんて話は聞いたことがねえ。
幽霊でも見たのかねぇ。
幽霊ならおいらも見てえもんだ。
はいよ!お茶代。
ありがとうごぜえやす。
これから山を越えなさるならお気をつけなされ。
な〜に今から向かえば夕方には隣村に着いてるから大丈夫さ。
おかしいな。
もうとっくに着いてるはずなんだけど…。
道を間違えたかなぁ。
まずいなぁここがどの辺りかもわからん。
よわったぞ。
すっかり暗くなってしまった。
うわっ!おどかしやがって!怖くないぞ!
(遠吠え)家だ!助かった。
いつつつ…いてえ!《ハッ待てよ。
あの家に山賊がいたらどうしよう》よかった。
人のよさそうなおじいさんとおばあさんだ。
こんばんは!
(ノック)どなたじゃ?うっ!エヘヘ。
あっいや道に迷ってしまって…。
土間の隅でもよいので一夜の宿を…。
それはそれは…。
こんな所でよろしければどうぞ。
ようおいでなされた。
うわ〜っ!ゆっくりしていきなされ。
あ…はいありがとうございます。
こうして薬売りは老夫婦の家に泊めてもらうことになった。
あ〜うまかった〜。
泊めていただいたうえにご馳走にまでなって。
見事な食べっぷりじゃのう。
ほんに食わせがいがありますね。
(笑い声)薬売りは床に入ると疲れのせいかすぐ寝入ってしまいました。
フッフッフ…。
わぁ〜!とんで火に入る夏の虫とはこのことだ。
どうか命ばかりは〜。
往生際の悪いやつめ。
手うちにしましょう。
いや半ごろしだギャ〜!悪い夢でも見たんじゃろ。
ばあさんやどうするね?そうですね。
手うちがいいんじゃないですか?いや手うちより半ごろしがいいだろう。
《手うち…半ごろし…》ギャ〜!うっ…。
聞かれてないでしょうね。
この間みたいに急に逃げ出してしまったら大変ですからね。
な〜に明日の朝のお楽しみさ。
冗談じゃないぞ。
《すきを見て逃げるんだ》おじいさんもそちらの小麦粉をこちらへ。
今だ!
(2人)うわぁ。
(2人)待ちなさい。
後ろを振り向いちゃダメだ。
やつは必ず追ってくる。
(笑い声)こんなところで捕まってたまるか!わ〜!うわ〜!
(笑い声)うわ〜!どこをどう走っているのかただもうやみくもに突っ走るだけでした。
とその時…。
あぁ家だ。
開けて。
助けて!あんたか。
ギャー!山を駆け回った薬売りはもとの家に戻ってきてしまったのです。
うわ〜。
どどうかお助けください。
おいらには国にかわいい嫁と娘がおるんじゃ。
手うちも半ごろしも勘弁してください。
この人は何を勘違いしているんでしょう?ほら目を開けてよく見なされ。
これが手うちでこっちが半ごろしじゃ。
え〜これが手うちと半ごろし?この辺りではそばは手で打って作るんじゃ。
それで手うちというんじゃ。
そして炊いたもち米をすり潰してあんこかきなこをまぶして食べるかい餅のことを半ごろしというんじゃ。
なぜなら杵でよくつく餅に比べたら半分ほどすり潰すだけじゃからの。
そうだったのか。
おらてっきり殺されると思って。
だからこの間の旅の人も逃げ出したんですかね。
わしとばあさんが朝飯の支度をしていたら急にいなくなってしまった。
おいらも同じ勘違いをしてしまった。
(笑い声)さあ食べましょう。
手うちと半ごろしを。
いただきま〜す。
うんうま〜い。
ありがとう!村の者にも言っとくよ。
手うちと半ごろしがどれだけうまいものかね。
昔むかし旅をしながら修行をしている若いお坊さんがいました。
ある日宿をとろうとさびれた村に足を踏み入れると山の上に荒れ寺を見つけ一晩やっかいになろうと思いました。
すると行く手に老人が立ちはだかり…。
あの荒れ寺に宿をとるおつもりか?はい。
およしなされ。
あなた様は?わしはあの寺を見守っておるじじいじゃ。
老人はそのわけを話し始めました。
以前の村は渓谷にわき出る温泉がありたいそう賑わっておった。
寺も立派で信心深い人たちが大切にしていた。
ところがある日怪しい黒雲が寺を包み込みやがて本堂へと入り込んでしまったんじゃ。
翌朝寺へ行ってみると住職のものと思われる骨を見つけたのでそれを供養したのじゃ。
それからというもの温泉は止まり果樹園も野菜畑も雑草すら枯れ果ててしまったんじゃ。
あれは魔物じゃ。
わしは本山に魔物退治を願い出たんじゃ。
それで何人もの老僧が寺へ向かったのじゃが皆同じさまで食われてしもうた。
なるほどそうでしたか。
魔物がいるかぎりこの村はさびれるばかり。
だが住職も都の偉いお坊さんも食われてしもうた。
わしらいったいどうしたらええんじゃ。
それを聞いてますますあの寺に泊まってみたくなりました。
おやめなされ。
失礼じゃがそなたのような若い僧に退治できる相手とは思えん…。
修行の身に何も起こらねば何をもって修行となすのでしょう。
難をもって修行と考えます。
わかった。
強き心じゃ…もう止めはせぬ。
お気をつけてな。
覚悟の身は修行にありますゆえ…。
若いお坊さんは荒れ寺に入ると静かに経を唱えて待つことにしました。
やがて夜半も過ぎた頃…。
そこな若い僧我と問答をなすべし…。
問答とな…。
答えられずんばとって食うてやるがいかがか。
受くるはたやすきことなれば答えしときはなんとする。
我が問答いまだ破られしことなし。
覚悟いたせ。
破りしとき村よりこの世より去るべし!なんと。
この世より去るべし約束なさん!なんと!約束なさん!よかろう約束なさん。
さらばそもさん。
せっぱ!大足二足両足八足。
泡にて動せず悲惨なり!二眼天眼通にして日月のごとし。
汝のもとに世間なしそのもとに現世なし!色紅とはこれいかに。
熱に入れば紅と変われしもの。
汝カニなり!我が正体見破りしか!死ね〜!約束たがえしはなんとする!喝!朝になり心配していた老人と村人が寺の様子を見に行きました。
経を唱える若いお坊さんの周りには甲羅のカケラと血の跡が点々としておりお坊さんとともにたどっていくことにしました。
若い修行僧にはわかっていたのです。
カニが助けを求めていたことを。
ギエ〜ッ。
身捨ての問答よもや解くとは思いもよらなんだわ。
身捨てとは始まりの時より己を失っていたにすぎず。
たわけ。
わしの力思い知れ〜!たとい魔性のものとはいえ約束たがえるは天に背くもの成敗!ギエ〜ッ!カ…カニ!魔物の正体はカニであったか。
けんどなんでカニなんじゃ?カニにかかわらず魔性の力を得ることは傲慢を宿すこととなる。
傲慢とは生を受けしものの欲であり強要であり光なき闇の道でもある。
情が強きなりしとき魔性が己自身に生まれるのかもしれぬ。
命は尊きもの。
生まれ変われし時あるのならよき命の生まれしことを望みましょう。
それからの村は再び温泉がわき木々の実も田畑も豊かになりかつての賑わいが戻っていました。
寺も村人の協力により立派に復興されていました。
あの若いお坊さんは再び修行の旅に出たのちこの地へ戻り寺の住職になったということです。
昔丹波の隣の山里に正直じいさんと欲張りじいさんがおった。
2人のほっぺたには大きなコブがぶら下がっていた。
正直じいさんは働き者で年中山の畑を耕して豆やら芋やら育てていた。
秋になってたくさんの実をつけるころになると欲張りじいさんがやってきてさっさととり入れてしまう。
ありゃりゃりゃまたかい。
わしが育てた豆じゃがや!何言うかこの山でとれたものは誰の者でもねえがや。
わしが食うて何が悪い?おめえは何も働かねえで欲ばっかりかいて…。
ちゃ〜んとおめえの分は残してあるわい。
あ〜ぁ…。
毎年毎年こんな具合だから諦めるより他にない。
そんなある日正直じいさんは旅から帰った村の人に丹波の国にコブを取ってくれる医者がいると教えられた。
ばあさまやおにぎり握ってくれ。
おら明日朝丹波へ行ってコブ取ってくる。
ばあさまは喜んでおにぎりをこしらえじいさまに持たせた。
行ってくるぞ。
正直じいさんは山越え谷越えどんどん行ってもずんずん行ってもなかなか丹波には行きつかない。
夜になって困っていると向こうに古びたほこらがぽつんとたっている。
よかった。
今夜はあそこで宿をとらせていただこう。
正直じいさんはほこらに入っておにぎりを食べいつしか疲れて寝入ってしまった。
すると…。
何事じゃ?「や〜れそれそれお〜んぼんぼ」「飲んでうたえやお〜ぼんぼ」「こらさちょいさよ〜ぼんぼん」「月夜に酒飲んでよ〜ぼんぼん」これじじい!そこで何してる!わ…わしは旅の途中でここで寝ておっての。
あんまりおもしろそうな声がしたさけつい見とれてしもうて。
ほうかおもしれかったか。
ほならこっち来ておめえも踊れ。
「そ〜れそれそれお〜ぼんぼ」「踊れや踊れお〜ぼんぼん」「お〜ぼんぼんお〜ぼんぼん」「ハァそれや何がのっぺんぼ〜」「こなどこめえぎにきかせるな」「そりゃそりゃそりゃのっぺんぼう」「コブがピロリンペンペロリ」「おらのお宝このコブは」「大福もちののっぺんぼ〜」「ちょいと来てみりゃ丹波の山で」「めえぎにたまげてのっぺんぼ〜」「ほっぺのコブがピュルピュル回ってのっぺんぼ〜」ガハハおもしろくてたまらん。
ガハハ。
なんともおもしれえじいさまじゃ。
また明日も来て踊ってくれ。
えっ明日はおらはちょっと。
嫌かじじい!ひえっはい!来る来ます!ほうこのじじいウソついて来ないつもりか。
じゃあこの大事そうなほっぺたのコブ置いてけ。
ギャー!あっ!おっ?約束のこのコブ預かっておく。
来なきゃなんねえぞ。
へぇ必ず明日も来るから。
のっぺんぼう!正直じいさんは飛ぶようにしてその夜のうちに家に帰り着いた。
ばあさんや取れたぞ取れたぞ!こうこうこういうわけでな鬼どもにコブ取ってもろた。
よかったのうじいさまや。
おいじいさま!コブをどこに置いてきた!鬼どもに取ってもろうたんじゃ。
わしに黙っておめえだけ一人で行くとはなにごとじゃ!わしも行ってくるわい!欲ばりじいさん山越え谷越え夜あのほこらに行き着いた。
き来た…。
「や〜れそれそれお〜ぼんぼ」「飲んでうたえやお〜ぼんぼ」おっかねえ鬼ばっかりじゃ。
ひえ〜!おいじじい。
ゆんべのじいさまと違うな。
いやおわ…。
何を言っとるかわからん。
おめえもこっち来て踊れ。
「そ〜れそれそれお〜ぼんぼ」「は〜な〜にが何がのっきりのっきり」「あっほいほい」「なんじゃわからんのっぺんぼ〜」「ほれほれのっぺんぼ〜」「何がのっきりのっきりのっぺんぼ〜」「なんじゃわからんのっぺんぼ〜のっぺんぼ〜」「このコブ持ってけのっぺんぼ〜」やめやめ!ちっともおもしろくねえ!このじじい人真似しに来たな!違う人真似じゃねえ!じゃあゆんべのじいさまのコブ土産にくれてやろう。
え〜っ!ほれ。
うわ〜いらねえよ!やめてくれ!二度と来るな!くるなコブはもういらねえ!ギャー!あっ!両方のほっぺたにブラブラコブを下げて欲ばりじいさんは泣き泣き家へ帰ったそうな。
2014/11/02(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]

「そばと餅」
「蟹問答」
「こぶとり爺さん」
の3本です。お楽しみに!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ

http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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