「演芸図鑑」の柳家権太楼でございます。
よろしくお願い致します。
このごろコンビニへ行きますとねレジがあって「並んで下さい」って言われてねレジのとこスッと割り込んじゃいけないんだそうですね。
フォーク並びというんだそうでございましてね1つに並んでてそれからレジのとこへポンポンポンって3つぐらいに分かれていくという。
「フォーク並びお願いします」なんて事言われますよ。
私はね江戸っ子ですからフォークなんてよりはね箸並びだとかねそういうふうにしてもらいたいと思います。
「箸並びでお願いします」って言ったらね割り箸の感覚は2列ですけどね2列だけどもう一つ割っちゃえばそれ4列になりますからね。
何言ってんだ。
さあいきましょう!本日の演芸でございますけどもまずは柳家紫文さんでございまして三味線漫談といいますがね独特の雰囲気を持った人でございますんで是非ともお楽しみ頂きたいと思っております。
そして落語の方でございますけど三遊亭萬橘さんでございましてこの方はちょっと雰囲気見ると分かるんですけどね若手ですよ。
面白いんだこの人が。
是非とも楽しんで下さいませ。
よろしくお願いします。
(出囃子)
(出囃子)
(拍手)
(拍手)何か珍しいものを見るようなね演芸界の絶滅危惧種でございましてね。
特に男はもうほとんどいないというね優しい目で心で見て下さい。
よろしくお願い致します。
火付盗賊改方の長谷川平蔵がいつものように両国橋のたもとを歩いておりますと一日の商いが終わったであろう一人の糸屋が足早に平蔵の脇を通り抜ける。
向かいから水商売らしき一人の女。
この2人が橋の上で擦れ違うというその時…。
糸屋の体が前のめりに崩れ落〜ちる。
「もし糸屋さんけがなくて?」。
「ええおかげさまで。
そういえばお宅の店にいたまゆちゃんの姿が見えないんだけど彼女やめちゃったのかしら?」。
「ええそうなんですよ。
まゆ
(繭)は解雇
(蚕)になりやした」。
(笑い)今日は大丈夫そうでございます。
(笑い)その火付盗賊改方の長谷川平蔵がいつものように両国橋のたもとを歩いておりますと一日の商いが終わったであろう一人の大仏が足早に平蔵の脇を通り抜ける。
向かいから水商売らしき一人の女。
この2人が橋の上で擦れ違うというその時…。
大仏の体が前のめりに崩れ落〜ちる。
「もし大仏さんけがなくて?」。
「ええおかげさまで。
大丈夫といえば大丈夫なんですがなぜか下の方に空が見えるんですよ。
お〜逆さま
(お釈様)になっている」。
(観客)あ〜。
そんなに感心するネタでは…。
今日はいい感じでございます。
もうねこの長谷川平蔵だけでずっと食べてるんでございます。
15年やってるんでございますね。
でもね毎回それだと出してもらえなくなっちゃうから今日はすごいですよ。
めったにやらない長谷川平蔵以外のネタを今日は特別にいってみたいと思います。
(拍手)南町ぶよ…。
南町奉行大岡越前守ご出座〜。
(笑い)めったにやらないものは駄目ですな。
(笑い)「その方の申し立てによるとその女の悲鳴が聞こえなかったは周りにいたヤギが一斉に鳴きだしたゆえとの事。
それに相違ないな?」。
「あっそのとおりでございます」。
「うむ。
ならばその方ヤギという獣をよく知らぬようじゃな。
ヤギという獣はな決して一斉には鳴かぬもの。
めえめえ
(銘々)鳴くのである」。
(笑い)
(拍手)「これにて一件落着!」。
その時長谷川平蔵は…。
(笑い)両国橋から相生町竪川沿いに二つ目橋を渡りいちもくさんに目指す弥勒寺の山門を駆け抜け奥の厠へと駆け込んだ。
厠で思わずほっとする平蔵であったが辺りを見回すと紙があるにはあるが少ない。
恐る恐る手を伸ばして確かめてみますと足りない1枚しかない。
ここは寺ゆえ仏はあるが…。
では皆さんご一緒に。
紙
(神)はない。
くだっている時にくだらない事を言ってる場合ではない。
「誰かおらぬか紙はないか〜?」と叫んでおりますとそこへ坊主が「なんまいだ
(何枚だ)なんまいだなんまいだ」。
(拍手)おしまいだ〜。
(拍手)
(出囃子)
(出囃子)
(拍手)
(拍手)え〜どうもありがとうございます。
本日はお集まり下さいましてまたテレビをご覧頂きまして誠にありがとうございます。
私が三遊亭萬橘と申します落語家でございます。
この時間楽しんで頂きたいなと思うんでございますけれどもでも本当にね真打ちになって名前が変わって一番心配なのはお客様が私の名前を覚えてくれるのかと。
これが一番心配なんでございます芸人というのは。
でも最近都内ではですねだんだん根づいてるなという感じを受ける時もあるんですね。
この間とある落語会の主催者の方が…。
「前の名前何だったっけ?」。
もうこれ完全に根づいたって事ですね。
前の名前忘れてる訳ですから。
根づいたんだ完全に。
「前の名前何だったっけ?」。
「ちょっとやめて下さいよ。
前はきつつきですよ」。
「あっそうだっけ。
今何だっけ?」。
よせお前。
(笑い)ただ僕の事を知らないだけだったという時があるんですけれども難しいもんでございますけれども噺家というのはですね簡単な仕事に見えるんだそうでございますよはたから見ると。
「座ってしゃべるだけだからいいね」って事をよく言われるんですけれどもなかなかこう見えても難しい仕事なんでございますこれは。
何しろですね今ここを出てきてここまでしゃべるまでの間に私はこれだけかんでる訳ですからね。
スムーズにしゃべれないっていう事は難しい仕事なんでございますがはたから見ると簡単に見えるという仕事はほかにもたくさんあるようでございますけれども…。
「だから言ってるじゃありませんか駄目なんですよ!」。
「何が駄目なんだ?おめえんとこは鰻屋だろ?のれん出てんじゃねえかよ。
店やってんだろ!何で鰻食わせねえんだよ?」。
「言ってるじゃありませんか。
手前どもの鰻割きの職人が今表へ出ておりますからと」。
「別に構わねえよ」。
「いいんですか?」。
「いいよ。
職人食いに来た訳じゃねえんだ俺は。
鰻を食いに来たんだから。
鰻はいるんだろ?」。
「鰻も留守でした」。
「うそつけバカヤロー!鰻が羽織を着てどっか出かける訳ねえだろ。
いるの分かってんだ。
やれよ早く!」。
「やいやい言われても困るんです。
職人が帰ってくるまでちょっと待ってて下さいって言ってんですよ」。
「どこで?」。
「この椅子に座って待ってて頂きたいんですよ」。
「ここに?いつ職人帰ってくるんだい?」。
「2〜3日すれば帰ってきます」。
「よせよバカ!何で2〜3日ここで年取らなきゃいけねえんだ。
いいからやれよ早く!鰻屋なんだから」。
「やいやいやいやい言いますけどもねあなたしつこいから言いますけども鰻というのはね焼くのは誰でもできるんです。
生きて動いてるやつを捕まえて割くというのはこれは並の仕事じゃございませんでな」。
「お前何屋なんだ?お前は。
鰻屋だろお前は。
情けねえ事言うなお前。
何が難しいんだ?水の中から外出すだけじゃねえかよ!」。
「水から外へ出すのが難しいんですよ」。
「うそつけ。
豆腐屋簡単そうにやってんだろ」。
「豆腐は簡単なんです。
動かないんだから。
鰻はニュルニュルするんだから。
これ難しいんですよ」。
「やいやい言わねえで早くやりゃいいじゃねえか。
やってみろよ!」。
「あなたさっきから聞いてたら自分ができない事を人にやらせるっていうのはこれはいけない事ですよ」。
「おやおや責めてきやがったなコノヤロー。
俺が鰻を捕まえられねえって誰が決めたんだ?捕まえられるよ俺は」。
「本当ですか?じゃあ捕まえて下さいよ。
私焼きますから」。
「よし分かった捕まえるよ。
そのかわり俺が捕まえた鰻はただで食うぞ」。
「結構ですよ。
どうぞどうぞ。
こっち。
足元気を付けて一旦出て頂いてこっちから入って頂いて。
はいはい。
この舟の中にいるのが手前どもの鰻でございます」。
「何だい随分たくさんいるんじゃねえかよこれ。
ウジャウジャいる…何だよこんなにいると思わなかった。
じゃあお前ちょっと捕まえてみろよ。
なぜ捕まえられねえのかって事を俺が教えてやるから。
見ててな。
やってごらん」。
「私がやるんですか?あ〜そうですか分かりました。
どれでもいいですか?」。
「ちょっとちょっとちょっと。
鰻は俺が選ぶから。
そうだな〜どの鰻がいいか…おっ!それいいじゃんそれ。
目の前からスッと来る。
ニュルニュル来てる。
それやってくれそれ。
その太すぎず細すぎずってそれだそれ」。
「えっどれですか?どれ?いや〜!これは駄目です。
これは駄目ですよ。
一番生きがいいんですから!」。
(笑い)「生きがいいから食ってうまいんじゃないの?それ。
生きがいいのがいいんだろ?」。
「捕まりっこないんですよ。
開店当初からうちにいるんですから」。
(笑い)「見て下さいこれ。
胸に七つの傷があるでしょ。
手前どもではケンシロウって名前が付いてるんです」。
「強そうな名前付けたなまた。
ケンシロウ?これは?この太いやつ。
スッとお前の方行った。
それ」。
「えっどれですか?太い…バカ!」。
「何だよ?急に」。
「ラオウは駄目ですよ」。
(笑い)「また名前付いてんの?それ。
強そうな名前付けんね随分と。
そっちの小さいの細かいのだったら大丈夫だろ」。
「どれですか?どれ…いやヤワラちゃんもな…」。
「名前付け過ぎだろ」。
(笑い)「お前飼ってる訳じゃないんだからさ。
お前ができそうなやつやってみろ俺が見ててやるから」。
「どれでもいいんですね。
じゃあこれでいいですか?」。
「それ珍しいな。
白い鰻か?」。
「これ白いんじゃないんです。
ゆんべから腹出して浮いてるんです」。
(笑い)「死んでんだよそれバカヤロー!生きてるやつやれよ!こんだけいんだからさ!」。
「分かりましたよ。
うるさいな。
やいやい言わないで下さいよ。
私だって考えてるんですから。
これでいいですか?これで」。
「それやれそれ。
やってみろ」。
「じゃあやりますから。
いいですか?これですよ。
えいっ!お〜逃げた」。
「当たり前じゃねえか。
報告すんないちいち。
やってみろもう一遍」。
「分かりましたよ。
すぐ怒るんですねあなた。
おしおしお〜し!駄目だ」。
「だらしない!だらしないなお前は。
しつこく行けしつこく!何べんも行くんだよ。
一遍だけで逃がすから駄目なんだ。
何べんもしつこく行って…。
女と同じだよ。
しつこく行ってやっと捕まえられるんじゃねえか」。
「あっ女と同じですか?早く言って下さいよだったら。
女と言えば私なんですから。
分かりました。
見てて下さい。
いいですか?しつこく行きますからね。
しつこく…よしこっちこっち行ったな!こっち!逃げるなコノヤロー!待て〜コンチクショー!コノヤロー!ほ〜らコンチクショー!待て〜コノヤロー!ううう…!また振られた!」。
「だらしねえバカ!お前イライラする見ていて。
向こう行ってちょっと。
俺が教えてやる鰻の捕まえ方。
何がいけないか教えてやる。
いいか。
お前握りに行く。
これが駄目これがな。
むやみに握りに行く駄目なんだよ。
3本の指でいいの。
これで十分。
キュッキュッキュッと引っ掛けるんだ。
こうパクパク動いてんだろ。
ここ!ここが急所。
この急所の所をキュッと。
キュッと行くだけだよ。
見てろ。
俺は鰻捕まえさせたら右に出る者いねえんだ。
鰻捕まえのハチって呼ばれてんだ俺は」。
(笑い)「あんまり語呂よくないですね」。
「うるせえなバカヤロー。
見てろよ」。
「何か変な格好するんですね」。
「鰻捕まえ花柳流っていうんだよ」。
「流派があるんですか?」。
「あるんだよ。
見てろよ。
いいか。
えいっ!や〜!と〜!あなごかな?」。
「いや鰻です。
「うち全部鰻なんですよ。
あなごは入ってないです」。
「逃げたね今」。
「逃げましたね。
ニュルッと行きましたね」。
「喜んでんなコノヤロー。
いいんだよ。
一遍逃がしたとこに隙が出来るんだよ。
『助かったわ。
逃げられるわ』と思ってんだろ。
そういうところをな…」。
(鼻歌)「鼻歌なんか歌いながらよ。
つらいね…。
こっちだコノヤロー!待て〜コンチクショー!これでどうだ?コノヤロー!逃げるなチクショー!こら〜!あ〜あ〜あ〜…。
お先に勉強させて頂きました」。
「下手くそですねあなた!あなたうまくないじゃないですか鰻捕まえんの」。
「これヌルヌルするのなんとかならない?」。
「あのね私初めからそう言ってんですよ。
ヌルヌルするから捕まえられないって言ってんですよ」。
「じゃあ何かねえかな?いい手は」。
「あっ!糠かけてみたらどうですか?ここに」。
(笑い)「お前はいい事思いつくな。
漬物出してんだろお前の所。
糠持ってこい持ってこい。
袋ごといけいけ。
どっさりバッとかけちゃえみんな。
そうそう。
うわ〜!うわ〜のたうってるよ鰻が。
動く糠漬けって初めて見た俺。
やってごらんやってごらん」。
「やりますやります。
どれでもいいですか?どれでもいいですね。
これ行きますからねこれ。
こいつを捕まえて…よしよしよし!よ〜しよし!やった!捕まった!どうだ!ヌルヌルさえなければお前らなんざこんなもんだ!どうだコノヤロー!ええこれで!やった!うら〜!ハハハハ!うら〜!う〜!」。
「お前何か乗り移ったのか?大丈夫か?」。
「大丈夫大丈夫大丈夫です。
う〜落ち着きますからね鰻が。
落ち着きました落ち着きました。
落ち着きました。
やった!落ち着いた。
落ち着いたと思ったらこれ逃亡を企てるという実にけしからん鰻でねあのね踏み台持ってきてもらえますか?そっちにある踏み台。
踏み台。
あっちょっともう無理だ。
はしご!はしご持ってきて下さいはしご!」。
「お前上向けてるからいけないんだ上向けてるから。
下向けろ下!」。
「下ですね下。
下向けるとこれ前行くんですこれが。
おっと!よいしょよいしょ。
よ〜しよしよし。
よしよしよし!ちょっとしょうゆ樽どかして下さい。
しょうゆ樽どかして下さい。
椅子どかして下さい!戸を開けて下さい!留守番お願いします!」。
「出ていっちゃったよおい。
大丈夫か?あいつ」。
「どうも!あ〜いらっしゃいましありがとうございます」。
「何だお前ここのかみさんか?お前のとこの亭主鰻持って表出ていっちゃったぜ」。
「あらまたですか?」。
「何?またですかって。
度々やってんの?」。
「ええ。
3日ばかり前に鰻と出ていって今朝帰ってきたばかりなんです」。
(笑い)「泊まりがけだなそりゃ。
大丈夫なのか?あそこにいる」。
「ちょっとそれどかして下さい!何だか分かんない。
あのねそのゴミ袋どかして下さいゴミ袋!落とし穴どかして下さいちょっと!車どかして!ポストどかして下さい!」。
「すごいねおい。
人のうち入っていっちゃったぞあいつ。
あ〜出てきた。
おい鰻屋!お前一体どこ行くんだ!?」。
「いや私には分かりませんから前に回って鰻に聞いて下さい」。
どうもありがとうございます。
(拍手)全共闘世代ですからね私たちは。
そうですよ。
何を変えたかってねよく若いやつに聞かれますけど日本の歩道を変えたって言ってるんですよ。
歩道って昔これぐらいの敷石だったじゃないですか。
くぎ一本あればね起きた訳です。
それをぶつけてたたき割れば投石がすぐ出来る。
そしたらある日ず〜っと全部アスファルトになってましたもんね。
あそこを変えたのは…。
全共闘です。
皆さんやったからだという事ですね。
全共闘ね。
10代ですからね。
そうです。
本部みてえなもんじゃございませんか。
しかもね駐在はお茶の水にありました。
あそこを根拠にして拠点にしていろんなとこ出撃していくって感じ。
だけど私はやっぱりこの運動はちょっとどこか何か違うところがあるなという気はあったです。
それで同時に小説書いてました。
私はどっちでもなかったもんですから落語しかやりたくなくて。
私は小説書きたかったもんですからね要するに活動家が来る訳ですよ。
「一緒にやろう」って言う訳です。
「同志なんだ」って言う訳ですね。
「君は文学をどう思ってるんだ?」って聞いたら「労働者の雄々しき闘いを描けばいいんだ」って言う訳です。
そんなもの書けるか労働者じゃないのに。
私も同じですよ。
私も言われたんですよ。
それで俺は落語やるんだって。
俺は落語やってんだと。
落語やりてえんだって。
結局何を彼らは自分のとこで納得したかったらね要するに落語は権力に対する対抗するんだっていうのがある。
武士だとかねそういうものをやっつけちゃう落語がそういう世界がありますから。
そうだろうと。
でも実は本当はそうでもないんだと。
権力におもねるのが落語なんだよって。
ハハハハ!そんな事はないでしょ。
まあまああの時代でしたね。
本当にそういうふうなところから先生はまた僕も同じ時代を経てプロの道へと行く訳ですよね。
そうです。
中上健次さんという…。
大体同期です。
同期です。
ですからまず中上が芥川賞取った事ですね。
そうすると急にライバルになる?いやいやずっとライバルです。
どういう…?つまり活字になったというのが大体同時期の作家が3人いて立松和平っていうのがいて中上健次私がいたんですよ。
それで中上健次は書くべきものを持ってたんですね。
文学として書くべきもの。
つまり自分の出自だとか何だとかいろいろ複雑な問題があってその書くべきものテーマっていうんですかね文学的テーマを持ってるんで自己表現の小説が書けたんです。
私は自己表現しようと思っても「君の心の中に暗い穴があるだろ。
それをちゃんと見つめろ」って編集者に言われるんですがねどこにあんのかなって感じですね。
でもその3人はねよくゴールデン街で飲んでましてね。
お互いに議論始めるとお互いに自分の文学論は絶対曲げない訳ですよ。
最後は殴り合いするしかない訳ですね。
外でボコボコ殴り合い。
3人でだんごになって殴り合いしてるとヤクザが来てね。
「こら〜!」とか言われて。
「正座しろ!」とか言われて言われて正座して「人に迷惑かけんじゃない」って頭パンパンパンってたたかれて「すいません」とかって。
そんな時代だったんです。
面白かったです。
あのころのゴールデン街っていうのはそういう人たちがたくさんいましたね。
それでねけんかするのは当たり前だった。
その時に中上が芥川賞取った。
僕は中上の作品と文体とか何とかを比べてみると劣ってるとは思えなかったです。
ただどうしても彼は書く必然性がある。
中上にあって私にないもの。
私にあって中上にないもの。
それを見ようとしたんですよ。
その時に初めて出てきたのが物語です。
物語を書きゃいいんだ。
そうするとねお互いに小説って山に登ってるんですが登り口が違うっつってね。
小説って山に登ってるでしょ。
立松も違うとこから土臭いとこから登るという感じで。
僕らもそうですよ。
僕ら落語家さんも登山です。
そうですよね。
一つの頂上頂へ行くためにいろんなルートを使う。
じゃあ頂へ行ったかと言うと実は頂へ行ってないんですよね。
頂はないんですよ。
ないんですよ。
つまり頂というのに到達するとまだ頂が見えるんですよ。
それの繰り返し…。
そうです。
それが一番正しいんじゃないですかね。
僕はね師匠ね初めてエンターテインメントの小説を書いてそれが本になったんですよ。
そこそこ話題になったんですよ。
その時に立松と会った時にね一緒に酒を飲んでたら俺ら本当に際どいとこすり抜けてきたな。
どうなったか分かんなかったよという話をしながら「北方よお前が今着てる服はよスポッと入ってるじゃねえか」って言う訳です。
「スポッと着心地よさそうに入ってるじゃねえか」。
「昔どうだったんだよ?」って言ったら「絶対に入らないシャツにたこ踊りしながら無理やり着ようとしてたように見えたよ」って言ってましたね。
文学はこうあるべきだというのを持っててそれがちっちゃなシャツだったんですね。
それを無理やり着ようとしてたという事なんでしょう。
それがね先生の時代に今お年になってくると大家になるの嫌じゃないですか。
嫌です。
師匠ね。
うん嫌になっちゃう。
私はね最近自分でも大家だって言ってるんです。
どういうふうに大家だって言ってるかって言うと前にねある偉い先生がいらっしゃったんですよ。
ある選考会の控え室に。
ほかに誰もいらっしゃらなかった。
お茶持ってったんです。
そしたら「君もねそこそこ大家なんだからそんな事しなくていいんだよ」って言われたんです。
それ以来そこそこ大家。
そこそこ大家だって。
若い人に何か言いたい事ってございますか?しょっちゅう言ってますよ。
どんな事を?小言ですか?小言ですね。
向こうは小言としか聞こえないでしょう。
小説っていうのは使う言葉がある。
ここに赤い色がある。
これが「美しい赤」と書くか「きれいな赤」と書くか「いい赤」と書くか。
これ「美しい」が一番客観的ですよね。
「きれい」は主観が少し入ってる。
「いい」は完全に主観ですよね。
「『いい赤』だって書いて普遍性を持たせるのが小説の文体である」とか何とかね酒飲みながら言う訳ですよ。
向こうはね黙って聞いてますけどね何言ってんだこのおやじと思ってんでしょうね。
いずれは分かってくるんです。
僕はでもやっぱり「いい」っていう言葉をね主観的な言葉を普遍性を持って使えるようになった時に自分の文体は出来るというふうに彼らに言ってるつもりなんですが。
ただ我々の世界はですね二十歳の女の子がね話題作書きますよね。
聞きますね。
いますよね。
すると平台っていうのがあるんです。
そのど真ん中にドンと来る訳です売れますから。
端っこの方にいるベテランが1人ポロッと落ちるんです。
もう経歴も何にも関係ないです。
厳しい世界ですよね。
厳しいといえば厳しいですけど。
だから若いやつに僕は言う事言いますけどね本当に出てきた時は頭をガッと足で押さえつけてギュギュギュってほら潰れろ潰れろつってね。
それでも足持ち上げて出てくるやつは実力あるんですよ。
これで潰れちゃうやつは駄目でしょう。
そうです。
潰れるやつは潰れりゃいいんです。
そうですよね。
しょうがないそれは。
その世界なんだからね。
そういう意味では先生もこれからももっともっと健康を…。
健康なんですところが。
非常に健康なんです。
健康。
何かやってらっしゃるんですか?そういう意味では。
犬の散歩ですな。
ただねものすごい早足でウオーキングしてる人が私を追い抜いた事は一度もないです。
それは速いですね。
速いです。
犬が割と運動能力がある犬で私に合わせてダ〜ッと追っかけるようにしてついてくるんですよ。
音楽聴きながら大体ロックンロール聴きながらね。
かっこいいね〜。
かっこいいですね。
そうですかね?かっこいいですよ。
このごろ…656667とかその時代になると何となくそれ辺の事もちょっとおっくうになる。
僕やっぱりロックを聴いたりねそういう事は絶対しなきゃいけないと思ってますね。
あと映画見たりとか。
演歌よりはロックの方がいいですかね?それは何とも言えないです。
演歌がいい場合もあります。
僕はあらゆるもの聴きますから。
あらゆるもの聴きますからジャンルを拒絶する事はないです。
演歌聴く事もありますよ。
でもロックンロール聴く事もあります。
好奇心がず〜っと若い時からあるんですよ。
違うんですよ。
師匠ね若い女の子とつきあおうと思ったらロック聴いてなきゃ駄目ですよ。
そうですか。
矢沢永吉。
いやいやいやもっともっと!もっと若いやつらのバンド。
若いやつのバンドがあるんですよ。
それはねそれで若いやつに若い男の子か何かから取材する訳ですよ。
バ〜ッて聴いておく訳ですよ散歩をしてる訳ですからね。
若い女の子二十歳ぐらいの女の子に「××のコンサートがさ…」とか何とか言うと「一緒に連れてって連れてって!」。
なればいいじゃないですか。
ほとんどそのために聴いてると言っても過言ではないと思います。
いいですね肌の色艶もいいというそういう意味では若いご婦人からのエキスももらわないとね駄目ですからね。
私はまだ書きたいものがあるんですよ。
それを書いていくって事ですね。
書いていく間書きたいもののあるいくつかあってそれを書くまで死にたくないって思ってます。
それはできるだけ死なないでやっていこうとは思ってますけど。
また先生ひとつ一緒に今度はこういう粗茶じゃございませんで。
ちょっと粋にこじゃれてやりたいですね。
いいですね。
女の子なんかそばへ。
銀座の方あるんですよ。
じゃあ私はそちらを太鼓持ちでやりましょうか。
今日はありがとうございました。
ありがとうございます。
2014/11/02(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
柳家権太楼の演芸図鑑「柳家紫文、三遊亭萬橘、北方謙三」[字]
落語家・柳家権太楼が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、柳家紫文の三味線漫談、三遊亭萬橘の落語「鰻(うなぎ)屋」。対談のゲストは北方謙三
詳細情報
番組内容
落語家・柳家権太楼が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、柳家紫文の三味線漫談、三遊亭萬橘の落語「鰻(うなぎ)屋」。対談のゲストは北方謙三
出演者
【出演】柳家紫文,三遊亭萬橘,北方謙三,【ナビゲーター】柳家権太楼
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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