(テーマ音楽)北海道の中部石狩平野にある宮島沼。
秋。
この沼は数十種類の渡り鳥で埋め尽くされます。
最も多いのがマガンです。
その数5万羽。
東アジアに生息するマガンのおよそ3分の1がこの沼に集まってきます。
そして沼で羽を休め次の目的地へと旅立ってゆくのです。
秋。
ひとときのにぎわいを見せる宮島沼を見つめます。
9月末。
北の大地は実りの季節を迎えていました。
水田が広がる石狩平野。
北海道最大の稲作地帯です。
宮島沼はこうした水田のただ中にあります。
周囲2.7km。
平均の水深は僅か90cmほど。
かつて一面の湿原だったこの地域に残された沼の一つです。
この季節沼はたくさんの渡り鳥でにぎわいます。
数を増やしていくのはロシア極東からやって来た鳥たち。
越冬地へ向けて旅の途中この宮島沼に立ち寄るのです。
(鳴き声)ものすごい数の鳥の群れが現れました。
空を覆い尽くすほどの大群。
羽を広げるとおよそ1.5m。
国の天然記念物に指定されています。
多い時には5万羽を数えるマガン。
ふるさとはロシア東部の北極圏周辺です。
多くの渡り鳥がいくつもの中継地を経るのと違いマガンはカムチャツカ半島からこの沼まで1,000kmをノンストップでやって来ると考えられています。
(鳴き声)マガンの飛び方には秘密があります。
この「雁行」と呼ばれるV字型の編隊です。
この形をとる事によって前の鳥の真後ろにできる乱気流を避け余計な力を使わずに済むのです。
長い距離を飛ぶために生まれた省エネ飛行です。
(鳴き声)沼の上に来ると突然ひらひらと舞い降りるような飛び方に変わりました。
(鳴き声)「落雁」と呼ばれます。
ガンの仲間が急降下する時よく見られる飛び方です。
体を大きく左右にひねったりあおむけになったりしています。
わざとバランスを崩す事で高速飛行にブレーキをかけ急降下できるのです。
こうして水面近くまで高度を下げ旋回しながらゆっくり着水していきます。
長い旅の疲れを癒やすため宮島沼にしばらくとどまるマガン。
それにしてもなぜこれほど多くのマガンがこの沼に集まるのでしょうか?その理由の一つは見通しが利く事にあります。
かつて湿原だったこの辺りは周囲に高い木がなく遠くまで見渡す事ができます。
突然マガンが飛び立ちました。
どうしたのでしょう?
(鳴き声)マガンを狙ってやって来ました。
しかし見通しのいい沼の上空ではすぐに気付かれてしまいます。
諦めて帰っていきました。
危険が去りマガンたちは再び沼に戻ってきました。
夜。
マガンはこの沼で眠りにつきます。
マガンを狙う動物がいる地上より沼の方が安全です。
ここは安心して羽を休められる特別な場所なのです。
(マガンの鳴き声)日の出前。
マガンの声が薄暗い沼に響き渡ります。
(鳴き声)飛び立ちが奥から手前へと波のように伝わっていきます。
マガンは足で水面を蹴るように飛び出しています。
大きな体で飛び立つためには助走が必要。
足の水かきは水面をまるで地面のようにとらえる事ができます。
数万羽のマガンが一斉に飛び立つ。
まさに圧巻です。
沼から飛び立ったマガンが向かったのは沼の近くの田んぼでした。
稲刈り直後の地面に顔を突っ込んでいます。
お目当ては残された落ち穂でした。
デンプンなどの栄養分が豊富に含まれた落ち穂は大切なごちそうです。
マガンはいつも家族で行動します。
親子を見つけました。
手前は生まれてまだ2か月の子供。
親と一緒に4,000kmもの長旅をしてきました。
ここでたっぷり栄養を補給し本州の越冬地まで旅を続けるのです。
宮島沼の近くを流れる石狩川。
かつてこの川の氾濫によってこの辺りには大きな湿原が広がり数多くの湖や沼が点在していました。
しかし開拓が進むにつれ埋め立てられ次第にその姿を消していきました。
残されたのは農業用のため池として利用するいくつかの沼や湖だけでした。
宮島沼が世界有数のマガンの飛来地となったのはこうした歴史によって田んぼと沼が隣り合う絶妙の環境が生まれたからです。
日没前。
昼の間田んぼで過ごしたマガンが宮島沼に帰ってきます。
(鳴き声)次の目的地への旅立ちはもう間もなくです。
秋も深まり朝の気温も急激に下がるようになりました。
宮島沼の鳥たちは大きく様変わりしていました。
あれほどたくさんいたマガンは1,000羽ほどに減りました。
コハクチョウの親子がやって来ました。
マガンより少し遅れてこの沼を中継地として使います。
ハジロカイツブリも冬を前に急ぎ旅の途中です。
次々に南へと旅立つマガンたち。
季節は駆け足で冬に向かいます。
北海道宮島沼。
ひととき渡り鳥の楽園となった沼は間もなく深い雪に包まれます。
またね黒川さん。
2014/11/23(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北海道 宮島沼 秋」[字]
北海道、石狩平野の宮島沼。秋にはマガン5万羽が集まる。圧巻は朝の飛び立ちと夕暮れのねぐら入り。ハイスピードカメラで細かな羽の動きや、群れで躍動する姿に迫る。
詳細情報
番組内容
北海道・石狩平野の宮島沼。秋には数多くの野鳥が見られる。マガンは5万羽を超え、東アジアに住むものの3割ほどといわれている。沼で休み、田んぼで落ちモミを食べ、渡りの鋭気を養う。圧巻は、朝の飛び立ちと夕暮れのねぐら入り。5万羽ものマガンが一斉に乱舞するのだ。ハイスピードカメラで世界的にも極めて珍しい一斉飛び立ちを撮影。細かな羽の動きや、水しぶき、群れをなして躍動するマガンの姿をスペクタクル映像で紹介。
出演者
【語り】村上里和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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