日本の話芸 講談「徂徠豆腐」 2014.11.01

大事でしたね。
お話ありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。

(テーマ音楽)
(拍手)ようこそのお運びでございます。
一席の講談をお届け致します。
もっとも講談てえとね大抵の方堅いとか難しいとか言われますがそんな事はないんですよ。
結構滑稽なお話もございますがまあそれでも一応勉強はしております。
しなければなりませんでね。
江戸時代の大学者荻生惣右衛門徂徠先生。
江戸へ出てまいりまして芝三縁山増上寺の近く裏長屋に住まっておりましたがこの方が大変な勉強家。
毎日本に埋もれて勉強をしておりますが…。
勉強ばかりしていたんではこれ暮らしが成り立ちませんでね。
家の中金に換わりそうなものは残らず売り払って残っているのが本ばかり。
といってこの本てえのはねいくらこれは貴重な本ですこれは高い本ですといったって腹の足しにはなりませんでね。
気の毒な事に徂徠先生おとついから食べる物が何にもなくなった。
人間何がつらいといってね食べる物がないほどつらいものはございませんでね。
元禄の15年11月の初め寒〜い冬の日の朝。
「豆腐〜豆腐〜」。
こういう声も聞かなくなりましたね。
まあ私なんかでもね子どもの時分…。
私は東京生まれの東京育ちですがねさすがに豆腐はねラッパになってましたね。
特に夕方自転車の後ろに箱載っけてきましてねそれでラッパ吹いてくるってえのが多かったんですが売り声というのはね納豆は掛け声でした。
これが朝ね遠くの方から「納豆納豆〜納豆〜」なんて聞こえるとお袋が「ほら早く起きて納豆買っておいで」なんていい目覚ましなんですよ。
それから起きてね「はいはい」なんてえんで表へ出るとちょうど歩いてきたのと通りかかるってえんでね。
タイミングいいんですよあれは。
そうすると箱を背負ってましてね「はい」って蓋開けるとこれが台に代わって「からしは?」「つけて下さい」なんて言うと当時経木っていうやつでね三角に折ったのにフッて開いてキュッてなんてつけてくれて「はい」って。
ちょうどよかったんですがね。
最近物売るなんてえとねトラックにスピーカー積んで来てますからね。
何か買おうかなと思って表へ出るとはるかかなたに行ってますんでね買い損ねたなんて事がありますが。
まあこういう風情がなくなりました。
「豆腐〜」。
さあこれを聞くと徂徠先生もうたまりません。
「豆腐屋さん…豆腐屋さん…」。
3日も何にも食べてないからね腹に力が入らない。
「豆腐屋さん…」。
「へいおはようございます!」。
「大きな声を出すな…大きな声を…腹に響く」。
「へえおはようございます」。
「これに豆腐を1丁」。
「へい奴に致しますか?それともさいの目?奴でへい!」。
トントントン。
「へいお待ち!」ってんでこれを受け取りますと徂徠先生小さな皿に残っていた醤油をタラタラッとかけるってえとそのまんま…。
(豆腐を食べる音のまね)「あ〜!」。
「へえ〜見事な食いっぷりでございますね。
え〜。
旦那大層豆腐がお好きと見えますがそれにしても旦那この寒空だ〜。
湯豆腐か味噌汁にでもして食べたらよござんしょ」。
「豆腐屋さんの前だがな世の中で何がうまいといって豆腐ほどうまいものはない。
殊に奴が一番うまい。
第一値が安い。
食べるのに皮をむく手間もなければ骨もない」。
「冗談言っちゃいけませんよ旦那。
豆腐に骨があったら大変だ。
でもねそうやってうめえうめえって食って頂けるってえと私らもね手間ひまかけてこしらえた甲斐があろうってもんでござんす」。
「時に豆腐屋さん。
お前さんの住まいは?」。
「え〜芝三縁山増上寺の門前でね親代々の豆腐屋で上総屋七兵衛と申します」。
「うん覚えておこう」。
「ヘヘッどうぞご贔屓にお願い致します。
それじゃお代が4文になりますが」。
「豆腐屋さんあいにくと細かいのがないからまとめて」。
「ええよろしゅうございます。
それじゃあご都合のよろしい時に。
へい!ありがとうござんした」。
さあ上総屋が行くってえと徂徠先生その日あとは水ばっかりだ。
ガブガブガブガブ。
豆腐1丁。
2日目。
「豆腐〜」。
もうたまりません。
「豆腐屋さん…豆腐屋さん…」。
「へいお…おはようございます。
へえ奴?へいかしこまりました。
へいお待ち!」。
さあ徂徠先生昨日まであった醤油もなければ塩もない。
今日はそのまんま。
(豆腐を食べる音のまね)「あ〜見事な食いっぷりでござんすね〜。
死んだ親父に見せてやりとうござんしたね〜」。
「豆腐屋さんの前だがな世の中で何がうまいといって豆腐ほどうまいものはない。
奴が一番。
第一値が安い。
食べるのに皮をむく手間もなければ…」。
「骨もないってんでしょ?ヘヘヘッ昨日伺いましてございます。
昨日が4文で今朝が4文。
都合8文になりますが」。
「豆腐屋さんあいにくと細かいのがないからまとめて」。
「ヘヘッえ〜よろしゅうございます。
じゃあご都合のよろしい時に。
へいありがとうございました」ってんでさあこの日もあとは水ばっかりだ。
3日目…4日目…5日目になりました。
「へいありがとう存じます。
え〜旦那今日はあの5日目でございますんで45の2020文になりますんで」。
「豆腐屋さんあいにくと大きいのがないからまとめて」。
「あのね先生。
そう毎日ね細かいのがないってえとご不自由だろうと思いましたんでね今朝はねたっぷりお釣り持ってきましたんでねどうぞひとつ大きいのでお願いを致します」。
「豆腐屋さん細かいのがないくらいだから大きいのがあると思うか?」。
「えっ?えっ…あの…それじゃ一体お代はどうなる?」。
「さあ?分からんなあ」。
「えっ?そんな…。
あの豆腐の代ってえのは一体いつごろ頂ける?」。
「う〜ん…わしが世に出たらば払える」。
「あ〜あ旦那がね世にお出になったら。
で一体いつお出になるの?」。
「明日にも見いだされるやもしれずあるいは半年先か1年先か。
運がなければ5年か10年」。
「おい冗談言っちゃいけませんよ旦那。
たかだかね20文のお豆腐の代を5年も10年も待たされたんじゃ…。
でも旦那お武家様とも見えませんけど一体何をなすってらっしゃるんで?」と七兵衛さん家の中のぞき込んだら何にもない。
本ばっかりだ。
「あら〜?あっ…するってえと旦那何でござんすか?あの…学者先生で?えっそれじゃ何でござんすね火の玉ばっかり食ってらっしゃるんでしょ?」。
「わしは火の玉なんぞは食わんぞ」。
「でも言うじゃござんせんか学者先生ってえと火の玉食う火の玉食うって」。
「うん?そりゃな『子曰わく』とこう言うんでな火の玉ではない。
わしが食っているのはお前さんの豆腐だけ」。
「えっ?あっしの豆腐だけ…だって1丁でござんすよ。
ええっ?一日豆腐…豆腐1丁?へえ〜人間もつもんでござんすね〜。
それにしてもねえ旦那えっ1丁じゃさぞ腹減るでしょ?どうせ勘定ためるんだったらもっと腹いっぺえ食ってからためたらよござんしょ?」。
「わしも食いたい。
食いたいがな勘定を払えなくなったらば豆腐屋さんに申し訳がないと思って我慢をしていた。
誠に豆腐屋さん申し訳がない」。
「偉い!先生気に入っちゃった!えっ!あのねとかくねお武家様だとかご浪人様ってえのはね高飛車でいけねえんでござんす。
それでいざ勘定って段になるとねやれ豆腐がマズいのなんのと難癖つけて銭払おうとしねえんでござんすよ。
ねえ。
そらねあっしは親の代からの豆腐屋だ。
字もろくに読めねえもんで豆腐作るのしか能がねえの。
そんなあっしにね豆腐屋さん申し訳ねえって頭下げてくれるその気持ちがうれしいじゃござんせんか。
ええ!そういう先生のためだったら1丁や2丁の豆腐何でもない。
豆腐だけじゃいけねえね。
それじゃ先生任しとくれ。
明日何かねうめえものこしらえてきますから待ってておくない!」。
さあ七兵衛さん家へ帰った。
翌朝だ。
豆腐を作ったあの搾りかす。
おからっていうやつね。
あれにいろいろと味を付けまして丼に山盛りいっぱい。
「おはようござんす!え〜先生今朝ねこんなもんこしらえてきたんで召し上がっておくんない」。
「久しく対面をした事のないごはん」。
「あの先生これねおまんまじゃないの。
おから。
おからにちょいと味付けてきたんだ。
こんなのでよかったら毎日持ってくるから先生召し上がっておくんな…」。
「時に豆腐屋さん。
このおからの代はいかほどかな?」。
「嫌だよ先生〜。
あっしはなにもこのねおからの代先生からもらおうなんてつもりはねえ。
これはタダでござんすから」。
「人間何が惨めといってな人から食べ物を恵んでもらうほど惨めなものはない。
それではわしの気が済まぬ」。
「ヘヘヘッあ…弱ったねどうもえ〜。
あっ!それじゃ先生こう致しましょ。
これはね先生が世にお出なすったら払って下さい。
ねえ。
先生の出世払い。
それならよござんしょ?」。
「それなればかたじけない。
頂戴を致す」。
「あ〜!豆腐屋さんお前さんの豆腐もうまいがこのおからもうまい」ってんでね。
さあこれから上総屋七兵衛さん毎朝このおからにいろいろと味付けをしては徂徠先生のもとへ運んでおりましたが…。
元禄の15年11月の末だ。
この七兵衛さん仕事終わって家に戻ってきたが「あ〜どうにもいけねえな。
おいおっかあ。
風邪でもひいちまったみてえだ。
ちょいと床をとってくんねえかい」。
そのまま床についたその晩からえらい高熱だ。
どっと病の床。
7日の間うなされ続ける。
それでも8日目になりますとどうやら熱も下がってやっとの事で床の上に起き上がる事ができた。
「あ…すまねえなおっかあ。
すっかりお前に世話焼かしちまってな勘弁して…」。
「嫌な事言うんでないよお前さん。
私はお前さんの女房だよ。
女房が亭主の世話焼くのは何でもない。
当たり前じゃないかね。
そりゃね亭主の世話を焼くのは何でもないよ。
だけどやきもちはやきたかないけどさお前さん何か私に隠してる事ありゃしないかい?」。
「何だい?俺は別にお前に隠してる事なんぞは何にもねえよ」。
「お前さん…どっかにお前さん女でも囲ってるんじゃないかい?」。
「よせよお前。
俺がどこに女なんか囲う事がある?」。
「だってさ随分うなされてたよ。
女の名前呼んで。
おからおからって」。
「はあ?冗談言うなお前。
どこにおからなんて変な名前の女がいるんだ?おから…おから…あっ!おっかあ大変だ。
いや実はなこれこれこういう訳でさ…まあいいや。
おから運んでた先生がいるんだ」。
「あらそりゃあんた大変だよ」。
「えれえ事になった」と上総屋七兵衛さん取るものもとりあえずあるもの持ってこの徂徠先生の長屋へ…。
(戸をたたく音のまね)「おはようございます!」。
(戸をたたく音のまね)「おはようございます!先生!」。
(戸をたたく音のまね)「おからの先生おからの先生!」。
(戸をたたく音のまね)「おから…おから…おからね。
いないのかな〜?餌運んでこねえから干からびちゃったかな〜?あっお隣のおかみさんあのお隣の先生は?」。
「あらまあ豆腐屋さんかい。
うんお隣の先生ね2〜3日前からフラフラッと見えなくなっちゃったの」。
「フラフラッと?ふ〜ん…。
じゃあ干からびて風にでも飛ばされちゃったかな?ああ…えれえ事しちゃったな先生申し訳がねえ。
えれえ事した」。
七兵衛さんもえらく心配をしておりましたが行方が分からないっていうのはこれはしょうがないですわな。
さあ困ったなと言いながらも家に戻ってきたが…。
悪い時に悪い事ってえのは重なるもんで。
その晩だ。
隣の家から「火事だ〜!火事だ火事だ!」。
あおりを受けまして上総屋さんも火に焼かれた。
夫婦がもう箸一本持たず裸同然で焼け出さちゃった。
2人とも体が無事だったってえのが何よりでしてね。
翌朝焼け跡に立った2人が…。
「ちょいとお前さんどうしたらいいんだろうね?この先」。
「なあ泥棒ってヤツはよ金めのもんだけ持っていくんだが火事ってえのは何から何まで無くなっちまうんだよな〜。
でもなおっかあえっ無くなっちまったもの今更とやかく言ったって始まんねえじゃねえかいうん。
なあ人間生まれた時はみんな裸なんだい。
俺だってその店だってさ親父からもらったもんだい。
なあ!人の生きる道はさまさかこんな事がまさかあんな事がってまさかって「さか」いくらでもあるんだい。
でもさなあお前と2人こうやって無事だったんだい。
まあ手に手を取ってさえっ!また店一からやり直そうじゃねえか。
それがいいよな?えっ!」。
2人で慰め合っていたがまあ日頃の徳というのはありがたいもんでね。
「七兵衛夫婦が焼け出された。
ああそうかい。
それじゃめどがつくまでいいよ。
うちに来ておいでよ」。
「うちにおいでよ」と友達が声をかけてくれますからまあ友達の家に世話になった。
2〜3日致しますってえと「ごめんくださいまし。
え〜こちらに芝三縁山増上寺の門前で豆腐屋をしておりました上総屋七兵衛さんという方がご厄介になっていると伺って来たんでございますがおいででございましょうか?」。
見るとこれが腹掛けに印半纏。
まあ見るからに大工の棟梁といった風情でね。
「はいあの…私が上総屋でございますが」。
「あっ総屋さんで。
どうもこの度はとんだ災難でございましたね。
実はあっしはね大工でございますがね実はさるお方から頼まれましてねさぞご不自由なすっているだろうからこれを使って頂くようにってんでここに10両お預かりをしてまいりました。
そのさるお方が申しますにはね焼け跡に店を1軒建てろとこういう事でございましてそのさるお方…」。
「もしあなたちょいと待って。
あのねさるお方さるお方って言ってますが一体どういうさるお方…」。
「ヘヘヘッ別にねさるお方といってもひっかくような猿じゃござんせんで」。
「いやいやそうじゃないの。
あたしゃこれまでにね10両なんて大金を人に貸した覚えもなければ返してくれる覚えもございません。
またそんな大金を頂けるような方も存じ上げません。
あのどなたかの間違いじゃございませんか?あたくしは上総屋七兵衛。
六兵衛か八兵衛の間違えで」。
「確かに上総屋七兵衛さんと伺っております。
でそのさるお方が申しますにはね焼け跡の方に豆腐屋の店を1軒建てるようにとこう言われました。
まあめどがつくには年が明けて2月ごろかと思いますんでその折にはまたご案内に参りますのでそれじゃあよろしくひとつ」。
「あっもしあなたあなた…いや…何だい?あの人は。
ペラペラペラペラさるお方さるお方ってよくしゃべったね。
講釈師よりよくしゃべったよ。
えっ!おっかあお前あの人知らねえか?」。
「嫌だよ。
私知らないよ。
お前さん知って…」。
「いや俺が知らねえからお前が知らねえかと…」。
「お前さんが知らない人私が知ってる訳ないじゃないかね。
ちょいとお前さん気を付けておくれよ。
しっかりおしよ。
うっかりしてるんじゃないよ。
ありゃきっと泥棒だよ」。
「何を?お前の方こそしっかりしろい!うっかりしてんのはお前じゃねえかい。
泥棒ってえのは金を持っていくんだよ。
あの人は10両って大金置いてったんだ」。
「だってさ近頃はいろんな今悪いヤツがいるじゃないか。
オレオレ詐欺だとか何とかってさ。
あれはきっと今はやりの置き泥」。
「何だよ?置き泥ってえのは?」。
「だってさこのお金使っちまうだろ?無くなった頃見計らってやって来て『あ〜あれは間違いでございました。
返してくれ』。
『だってうちにありゃしないよ』ってんでそれで家から何からみんな持っていこうって」。
「おいおいおいおいしっかりしろお前。
何から何まで持っていこうったって今の俺たちはうちも何もねえんだよお前。
それにしてもどういう人なんだろうね?嫌だね怖いね。
あ〜あ嫌だ嫌だ」とやっているうちに背に腹は代えられませんでねこの金に手が付いた。
1分使い2分使いとこの10両の金がきれ〜いに無くなった。
これがちょうど翌年元禄16年2月の末。
講釈ってえのは実にうま〜くタイミングが合うようになってますけどね。
この2月の末に訪ねてまいりましたのが例の棟梁。
「え〜ごめんくださいまし。
え〜上総屋七兵衛…」。
「ちょいとお前さん来たよあの10両の親方10両の親方…」。
「親方すいません。
お預かりのあの10両みんな使っちまったんでどうか申し訳…」。
「あいやあれはさるお方からね使って頂くように頼まれて置いていったんでこれは構いません。
実はそのさるお方からね頼まれました豆腐屋の店でございますがねあらかためどがつきましてね形になったところへ今日そのさるお方がね見にまいりましたのでここまで来ましたらばちょいとご挨拶にってんでねご案内をしたんでございます。
え〜どうぞ旦那こちらでござんす。
お入りなすって」。
「はいごめんなさいよ」。
入ってまいりましたのを見ますると五つ紋の黒羽二重の紋付き仙台平の袴。
立派な大小。
「上総屋さんお久しぶりでござったな」。
「ヘヘッヘヘヘッ…いや親方がねさるお方さるお方とおっしゃるもんでございます…。
どこのどなたか存じませんがどうもお見それ致しましてございます」。
七兵衛さん分からないのも無理はない。
以前と変わる「馬子にも衣装」髪形。
「お見忘れでござるか?豆腐屋さん細かいのがないからまとめて」。
「へっ…おからの先生!アハハハハッ。
おっかあおっかあほら!俺が話してたおからの先生おからの先生。
まあえらくご立派になって」。
「今日私があるのは皆上総屋さん豆腐屋さんのおかげでござってな。
いや実はあれから間もなしに縁があって柳沢美濃守様のお見いだしにあずかり将軍家ご学問所に出仕800石の食禄を頂く身分と相成りましてなすぐにもご挨拶をと思ったところに折悪しく起こりましたあの赤穂浪士の討ち入り事件。
まあその後処理を仰せつかりまして何やかやと手間取って今日に至ります。
あの折お届けをした10両それにまた今日持参をした10両都合20両があの折頂戴をした豆腐の代としてお受け下され」。
「え〜!?いやいやあの時の豆腐の代なんてえのはねたかだか20文でそれを20両…」。
「いえあの豆腐があったればこそ今日の荻生徂徠の身分になれたのでござってな。
それからまた頂いたおからの礼として安普請ではござるが豆腐屋を1軒建てさせて頂きました」。
「えっ!?あの…豆腐の代で20両おからの礼として店を1軒。
おいおっかあ聞いたか?えっ…豆腐の代として20両お…おからの礼として店建ててくれる」。
「まあこんなにありがたい事はありゃしない。
それにしてもあなたはバカなお方」。
「何を?俺が運んだ豆腐とおからの礼として20両と店建ててくれたって何が俺がバカなんだ?」。
「だからさその時におからの上にがんもどきの一枚も載っけておいてごらんな。
今頃鉄筋コンクリート3階建てだよ」。
欲張った人がございますけれどもね。
「情けは人の為ならず」。
後にこの荻生徂徠の口利きによりまして上総屋七兵衛さん増上寺お出入りとなります。
増上寺御用。
墨痕淋漓と徂徠の筆によりまする看板を掲げましたところから徂徠豆腐徂徠豆腐といわれて江戸の人々の評判となります。
また宝普斎宝井其角が「梅が香や隣は荻生惣右衛門」という歌を残しております。
情けはするにこした事はございません。
おなじみ「徂徠豆腐」という一席これをもってご無礼をつかまつりまする。
(拍手)2014/11/01(土) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
日本の話芸 講談「徂徠豆腐」[解][字][再]

講談「徂徠豆腐」▽一龍斎貞心

詳細情報
番組内容
講談「徂徠豆腐」▽一龍斎貞心
出演者
【出演】一龍斎貞心

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:30054(0x7566)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: