平成26年度文化庁芸術祭参加作品  ザ・ドキュメント 芸の魂 2014.11.23

・東〜西〜ただいまの切相勤めまする大夫竹本住大夫。
(拍手)・三味線野澤錦糸にて相勤めます。
東〜西〜東〜西〜。

(三味線)
(桂南光)こんにちは。
おじゃまいたします。
あの〜桂南光ですが。
(竹本住大夫)おいでやす。
どうもご無沙汰しまして。
あばら家へようこそ。
いえいえもう東京ではもうね公演中に…。
東京の楽屋は狭いわ家は狭いわ。
いえいえそんなことないですけど。
よろしいですか?ちょっとおじゃまします。
あのどうですか?引退公演が終わってもう半年近くたちまして。
でも今も忙しくされてて。
引退して暇が出来てこらボケんのちゃうかいな思たらボケるどころか毎日落ち着かん日ばっかりで。
週3日病院行きまっしゃろ。
あとは取材や何やかんやいうて。
でお稽古も。
弟子の稽古はせんなりません。
重たい口でやってまんねや。
あはははは。
・「これに」と言ふて立つ弥助・娘も後に引添ふて・一間へこそは・お疲れさまでございました。
お疲れさまでございました。

(文字久大夫)・えぇ〜・何を!?・・さし〜てぇ〜・「てぇ〜」じゃ!・まだわからんのかばかめが!・
(文字久大夫)てぇぇてぇぇ。
・息を出すんじゃばか!声をあげるんとちゃうんじゃ。
・どない言うたらわかるんじゃばかめが!・何十年太夫しとんねん!おんなじことばっかり言われて。
ちょっと自分で工夫せぇよ考えよ。
ええっ?そんなもん上手ぶってるんちゃうで。
口に力入れて喉に力入れて首振り回してるさかいや。
どんな勉強してんねんお前。

(三味線)・都を後におはようございます。
おはようございます。
先日はごちそうさまでございました。
おはようございます。
・はいおはようさん。
ごちそうさまでございました。
はい。
部屋の中でわしの稽古でも文字久の稽古でも部屋の中で聞かしてるやろ。
聞いて覚え頭で判断し体で覚えていかな。
体からにじみ出るようならな。
それまではやっぱり。
体からにじみ出るようなろう思たらやっぱり10年15年はかかるな。
うん。
ボケ〜っとしてたらあかんわ。
わし見てみ。
わし66年やってるねんこれ。
そやろ?66年やってまだ迷うてるやないか。
これでええいうことないもん。
(文字久大夫)おはようございます。
長らく勝手させていただきましてありがとうございました。
お稽古ありがとうございました。
どやねん素直にやれたか?ええっ?基本どおりやれたか。
(文字久大夫)やろうとはしたんですけど。
「したんです」やなくてそれをやるようにせないかん。
もうお前らの年なったらそんなもんやれなうそや。
上手ちゃうで。
上手にやれ言うとんのちゃうで。
ふだんわしが言うてることを頭に入れてたらやれる。
やれんことはない。
やれなんだらお前が悪い。
・両方打ったる舘の騒動・提灯ひらめく大騒ぎ・早野勘平…そこいったらいかん。
何で「早野勘平」で息下げるんじゃ。
・提灯ひらめく大騒ぎ・早野勘平「早野勘平」って息下げたらいかんって何べん言わすんじゃ!
(三味線)
(小住大夫)・ひとまず夫婦が身を隠しあほ!「身を隠し」いうことあるか!・ひとまず夫婦が身を隠しこれが声やったら…。
・あ〜ずまじ〜に〜これが声や。
・あぁずまじ〜これが音や。
浄瑠璃らしい声に聞こえる。
今そんな太夫ないわ。
テーンあーって…。
テーンおーって音を真ん中にして息を上から出すか下から出すかそれを地を息を浮くとか張るとかいうテーンあーっとあーっとこう浮いてるわ。
浮かなんだらテーンあ〜ずまじ。
これは音と一緒。
テーンあぁ〜あぁ〜。
あぁ〜あぁ〜ってこれが音や。
・鷺坂伴内家来引連れ駆出でヤアヤア勘平!気張ってたらあかん気張ってたら。
こんなもん気張ってたらあかん。
・家来引連れ駆出でヤアヤアかぁんぺい!「ヤアヤア勘平」言うたら高う言われへん。
気張んのちゃうねん気張んのちゃうねん。
でもやっぱり我々が感謝してね感謝してやっぱり勉強せないかん。
今教えてることでももっと基本覚えたらこんな浄瑠璃何でもないこっちゃ。
うん。
まあ1年2年無理といえば無理やけどそら商売やからな。
それをあえて飛び込んできてんから。
こっちから引っ張りに行ったん違うねやから。
なっこれ九州の飯塚の方から来てんねんけど親口説き落として。
僕がもう年いってるさかい弟子持つの嫌やといつも断ってんねやけど学校の先生から頼まれてやな1年間内弟子さしてんけどね。
年いってな弟子持ったら弟子もかわいそうなん。
僕らかてもうこれ先5年も10年もやられへんもん。
なっ。
そうなったとき弟子がかわいそうなん。
だから今のうちにしっかり覚えとかないかんって言うねん。
ねっ。
気楽すぎる。
お弟子さんかてあんだけボロカスに言われてもまたこう来はるじゃないですか。
やめんといますわ。
ほう。
僕はあの〜新しく出された本のね最後に後輩とか弟子をいいように書いてないけどいろんな職業がある中でこれを選んでねっ。
その〜もうかるわけでもないのにようこの世界に来てくれたなって書いたはんのを読んでもうね涙しましたよ。
そこにその…優しさをもうちょっと出したらどうですか?出したいけど出せん。
出せんですか。
何も本人が憎うて怒ってんの違いまんねん。
こんだけわしが言うてんのにわからんか。
僕は決して上手にやれとはいっぺんも言うたことあれへん。
基本に忠実に素直にやれ。
義太夫の常識っていうもんをもっと体で覚えないかん。
昔ねお父様に何かあの〜。
どつかれた。
ええ。
何か「寺子屋」やったあとバ〜ンってたたかれたって。
私はもう意気揚々とこないなって帰ってきた。
はい。
ねえもう自分ではようやったつもりやった。
ほんなら部屋の入り口におやじが立ってて何にも言わんとピャ〜ッどつかれて。
「上手ぶってやるな!」ただひと言。
これはこたえた。
はあ〜。
やっぱりあの〜怒られてこなあきまへんな。
舞台で恥かきね下りてきて汗いっぱいかいてんのに先輩の部屋ず〜っと回って「ありがとうございました」。
各部屋で怒られてね。
それでしまいにどないやったらええのんか迷うんですけどその迷うのが勉強だんな。
ああ〜なるほどね。
ああ〜迷うのが勉強。
そうですよね。
これや!ってそんな簡単につかめるもん違いますもんね。
違う。
お師匠はんに憧れて入ってきてますんでそのそばにまあその〜置いていただけるだけで幸せっていうのは常にずっと思ってますから。
そやから別にばかあほって怒られても別にもちろん反省はしてますけどもあまりつらいとかとは思わないですねやっぱ。
師匠が好きで入ってますんで。

(三味線)正直言うたら日本から道頓堀はもう滅びてますよ。
あなた方は道頓堀をご存じない。
私は道頓堀で生まれた。
ほんなら「青い灯赤い灯道頓堀の」ねっ。
芝居は観放題映画は観放題おいしいもんは食べ放題。
あんなにガサガサガサガサしたたこ焼き何やらの町ではないの。
船場のごりょんさんや奥さん船場がなくなったからね。
大阪の町やそんなこと言われへん。
もう全部大阪はなくなったんや。
だから船場・島之内がなくなった。
これまた歴史論として長いんだが。
船場・島之内がなくなったということはヒンターランドね芸能の。
いわゆる歌舞伎や文楽の大きなバックグラウンドがなくなったいうことや。
ご主人ごりょんさんこいさんいとはんそんな人たちがみんな役者にわあわあわあわあ言うてええべべ着て着飾って舟乗って道頓堀着いて芝居を観てからこそ芝居はやんねん。
「古靫はんよろしいな」「越路さんあら名人でっせ」言うてるから文楽面白いねん。
「折々には一遍の御回向願ひ上げ参らせ候。
アアこれこれ可哀や可哀や可哀や可哀や可哀や。
突き詰めた娘気で蕾の花を散らさすも皆この長右衛門がなした業ぢやわいの」。
「なまいだなまいだなまいだ」。

(三味線)お金がないからって言うてねもう10円しかないしどうしようかなと思うときにね私の父親が近くまでね夜ちょっと一杯飲みご機嫌なってねパチンコに来たんですって。
それでパチンコで皆持ってたお金使ったから私のとこへちょっと近くだったから来てね「ちょっと50円ほど貸して」って言うたんですよ。
そのときに10円しかなかったんですよ。
ほんで私が「10円しかない」って言うて泣いたんです。
そしたら「何でお母ちゃんとこ言うてけぇへんねん」って父親が言うて。
ほんならあくる日朝ね母親がねお金持ってきてくれたんです。
そらもう貧乏したわ。
先代の燕三はんなんかと「貧乏に負けたらあきまへんで。
貧乏に勝たな」いうてそれを合言葉にしてきたけどね。
お師匠さんの若いころは上の人からとってもみんな厳しく厳しくきつくお稽古してもらいはったわけでしょ。
はい。
そやけど「やめ」とは言われなんだね。
本をバンとぶつけられたりねそんなことは…。
なかったですか。
喜左衛門師匠からも…。
怖かった。
もうここへ稽古に行く前の日ご飯も喉へ通れへん。
そやけどまあ行かなしゃあないさかい朝思い切って「おはようございます」いうて。
いっぺん稽古のとき師匠のことにらみつけたったグ〜ッと。
えっ師匠が喜左衛門師匠をにらみつけたわけですか。
僕が。
ほんでにらみつけて思いっ切り息をバ〜ッと出したら「それでええねん!」。
ほう〜。
「もっぺんやってみぃ」今度やられへんねん。
せやけどね稽古済んでからねいろんな先輩の話から芝居の話日常生活のこと言うてくれはってね帰りしなはねああ来てよかったなと。
それの繰り返し。
行きしなは嫌やけど帰りしなは来てよかったな。
父がねあの〜まだ…。
昭和40年に亡くなったんですけどその前にね「あいつは太夫になるで」って私に言うたんですよ。
嫁はんの親がね。
私の父親がね。
先代の藤蔵。
「あれは太夫になるで」っていうて私に言いました。
・下向すりや折れた桜・定業と諦めて腹切刀渡す親・思ひ切つておりや泣かぬ・そなたも泣きやんな・ヤアくうっ…。
ううぅっ…。
文楽は家元がないからこの演目はこの人この演目はこの人あっちこち稽古に行ってた。
文楽もあれですよね。
他のお師匠さんとこへ稽古行っても全くあの〜いわゆる無料で教えてくれはるんですよね?我々噺家もそうですわ。
そうでっしゃろ?そのかわり家の用事とか舞台の用事がある。
そこでやっぱり師弟の情愛っちゅうもんが僕出来てくると思いまんねん。
そうでしょうね。
伝統芸術というものはそんなとこから生まれてくるのと違いまっか。
おたくらでもそうや。
そうですよね。
でお師匠さんも自分のお弟子さんだけやなしによそのお弟子さんもちゃんと叱って指導しはりますよね。
皆怒りまっせ私。
でもあんまりきついとこは今来まへんな。
ああさよか。
これより七代目竹本住大夫襲名ご披露ご挨拶を申し述べ奉りまする。
ひとえに乞い願い上げ奉りまする。
私ら文楽で43年いうたらまだ序の口なんですよ。
私が人間国宝なるちゅうたらもう冥土におられる師匠先輩方がね笑てはるやろと思いまんねんけどな。
つらいことの方が多かったですけどね。
しかし私はやめようと思わなかったです。
やめたら笑われると思いましたんでね。
私は両親の反対を押し切って太夫になったもんですから。
やめたら笑われる。
どうしてもこれかじりついていかないけないと思って。
その辛抱強さが今日こないなったんじゃないかと思いますけどね。
ちょっとそれそこの…。
いちばん下の。
(光子さん)ここ?そっちよ。
(光子さん)こっち?うん。
いちばん上の取ってんか。
あっこれな。
うん。
あっこれな。
「五人伐」ね。
こんなん嫁はんに書いてもうて。
(光子さん)ない本を書いたんですよ。
(スタッフ)ああ〜。
これちょっと字が細い。
死んだ津大夫さん。
(光子さん)ものすごい達筆。
「あんたとこはもう夫婦協力して舞台やってなはんな」。
これ嫌みや。
嫁はんに書いてもうた本を舞台でこう頂いてやってんねんもんな。
嫌みやあんた。
ふふふふふ。
こっちは字が下手やさかい。
手紙でも何でも皆この人や。
せやからね私に書かしてね勝手な手紙やったら自分書くんですよ。
ふふふふふふふ。
うちの嫁はんに言わしたら「あんたはモテてんのんちゃう。
弄ばれてんねん」。
大体芸妓はんとのつきあいが多いんですよ。
当時料亭行くし料亭のお客さん文楽に。
花柳界と交流が深かったわね。
初めはばか話してても最後は芸の話になって。
それでパッと間違いが出来る。
浮気しようかせんとかそんなんと違う。
そんなこと言うたことない。
言わず語らず芸が取り持つ縁。
お願いいたします。
お頼みします。
ご苦労はんで。
僕らはね例えば「胴乱の幸助」とか「猫の忠信」やとか「軒づけ」でもいっぱい浄瑠璃出てきますやん。
昔やったら大勢の人が一般の人がみんな知ってたからあの落語聞いたときにそれのパロディーやとかそれでわかって楽しんでもらえるのに今…。
わかれへん。
わかれへんのですよ。
だから僕は落語はあれやけど文楽がもっと栄えてそれこそ昔の大衆のもんであった方が落語もやりやすいんですわ。
言うたって浄瑠璃ちゅうたら昔の大衆芸能です。
そうですよね。
今でこそ世界遺産や文化財やて難しぃしてしもてね。
言うたって大衆芸能でんがな。
お客さんを疲れさしたらいかんね。
やっぱり芝居観て帰り一杯飲みに行って「今日の誰それはよかった。
誰それは悪かった」。
そういう芝居談義のできるような雰囲気でお客さんを帰らせないかん。
今「はあ疲れた。
早よ帰って裸になろ」。
これではいけまへんわな。
そうですよね。
何で文楽とか文化っていうそういう領域だけね税金の使い方についていろいろ突っ込まれずに無条件にお金もらえるんですか。
それが特権だって言ってるんです。
ご承知のように大阪市の方で補助金の見直しということでいろいろとまあ報道されておりまして。
皆さん方大変いろいろとご心配をおかけしていることと思います。
これは全く仮定の話でございますけれども市とか府の補助金がですね仮にゼロとかあるいは大幅に削減されますと協会として非常に運営が難しくなってくる。
運営できなくなるというそういう事態も考えられるところでございます。
私も大阪で生まれ育ち文楽も大阪で生まれ育ったんで大阪の情緒のええとこそういう人情味のある町をしてそれでいくらかでも町が潤うようになればいいと思てるんです。
そこを市長にわかってほしいと思うんですわ。
以上です。
ご声援ありがとうございます。
国立文楽劇場でございます。
お子たちとご家族とで国立文楽劇場へお運びくださいますようご案内申し上げます。
ご声援ありがとうございます。
国立文楽劇場でございます。
お暑うございます。
国立文楽劇場でございます。
そうですねだいぶん疲れがたまってはったと思いますし芸のこと以外のところでの心労といいますかね肉体的にもそうですけれどもストレスがたまってはりましたですし。
ただまあどうしてもねお師匠はんが出ていかないと収まらないというところがありますからね。
それはまあお師匠はん自身もほんとに老躯にむち打ってじゃないですけどね我慢してはったところは大いにあったと思いますね。
母者人。
母者人石薬師の医者殿に合はして貰うた…。
石薬師の。
母者人石薬師の医者殿に合はして貰うた膈の薬。
時ならぬ。
折から。
時ならぬ。
今日はよろしくお願いします。
住大夫師匠から伝言でございまして本日は大変残念でございますということで是非お伝えくださいということでございます。
(橋下)くれぐれもよろしくお伝えください。
お体大切にされることを願っております。
文楽は大切だ。
文楽は守らなきゃいけない。
まあこれは誰でも言えることなんですよ。
保護か振興なのか。
振興ということをやるんであれば演出不足プロデュース不足もうそれに尽きると思いますね。
やっぱり演出ですよ公演っていうのは。

(三味線)むくんでまんなぁ。
むくんでますはい少〜し。
ここらのちょっと内出血のようなこれは?こう薬…。
あっそうですか。
ちょっと指先もちょっと気持ち冷たいですしね。
さっきまで稽古なさってたんですか?はい。
そんなんもあるかもわかんないです。
足垂らしてるだけでも結構。
この時間って大体夕方以降むくみがいちばん強いので。
しっかり上げま〜す。
はい。
12345。
ゆっくり下ろしましょう。
うん低めでも結構ですよ。
12345。
ゆっくり下ろしま〜す。
よく上がってます。
12345。
12345678910。
合格です。
反対まいりましょう。
ぱたかぱたかぱたかぱたからぱたからぱたからたからたからたから。
らさらしらすらせらそ。
りさりしりすりせりそ。
りさりしりすり…りせりそ。
らさらしらすらせらそ。
り…らさらしらすらせらそ。
言いにくいで。
何でもないことをな。
そらもう泣いたわ。
67年やってたらね体にしみこんでんねんな。
ふだん人と話してるときは何やもうやぼったい舌の回らん話し様やけど。
舞台出たら割にあの…。
どもらんとなすっと言えんねん。
・竹本住大夫。
(拍手)・三味線野澤錦糸鶴澤清公にて相勤めます。
東〜西〜東〜西〜。

(三味線)「親仁様親仁様平三郎で…」。
ここで皆泣きはんねん。
「幼い時別れた平三郎段々の不孝の罪ご赦されて下さりませご赦されて下さりませ」。
「アアアアアア…兄か平三かいアアアア顔が見たい」。
こんなとこな毎日おんなじようにやられへん。
「親仁様アア親仁様アアお念仏をおつしやりませお念仏お念仏」。
突然電話かかってきてあぁ来た!と思いましたよ。
いよいよ来たなって。
そりゃもう大体見当ついてましたからね。
突然呼ばれましてねはい。
14日ぐらいでしたか?いやもっと過ぎ。
15日過ぎや。
15日過ぎに電話かかってきて。
1月2月頑張ってみようと思て。
1月は「堀川」。
「堀川」もこれはもう不本意な舞台で私としてはもう申し訳なく思てるんですが。
まあ2月も東京はおんなじ演目で少しは慣れるかなと思てましたけどそれも思うようにいかずそれで思い切って2月公演の最中に引退を申し出たんでございます。
今までやれてたことがやれないというほど残念なことないです。
・ありがとうございました。
本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
自分で決めはったというのはこれまた潔いと思うんですけど。
その何かあの…「沼津」あれを観てみんなよかった言うてんのにお師匠はんだけが「いやええことない」言うてやめるって決めはったいうのはそれはどういうことなんですか?具体的には。
結局もう腹に力がなくなってそれから十兵衛ちゅう男はもう腕の立つ商人でスカッとしてないかん。
そのスカッとしてないかんのがスカッとやれまへんねん。
ああそうですか。
平作でも腹切ってから吐く息ばっかりでやりまんねんけど。
吐く息で今度引く息が思うように引かれへん。
思うように息が引けなんだら息は出ぇへん。
お米が元遊女。
はい。
元遊女らしいとこも出さないかん。
それは俗に音曲の音っていいますけど。
そういう音で浄瑠璃が語れんようになったんでこらあかんな。
何とか…。
これがでけへんのです。
・ボタンが。
121212。
ラスト5m。
着付けのこっちか左ここのちょっと。
何で破けるんでしょうねいつも。
ふふふっ。
う〜ん…。
白熱してるから?お稽古に。
ほないってきま〜す。
はいじゃ閉めときます。
いってらっしゃ〜い。
はいいってらっしゃ〜い。
お稽古の前はもうとにかくもう戦闘状態じゃないですけどやっぱりすごく気持ちが高ぶっている状態で。
もう朝起きたときから何となく気が張り詰めている感じっていうんですかね。
結構ピンとしてしまいますねこちらの方も。
はい。
ですけれど意外とお稽古終わって戻ってきて意外とスイッチの切り替えは早いのかもしれないですけれど。
うん。
割と普通のこう…気持ちのあれに戻って戻ってきますね。
うん。
(文字久大夫)すみません遅くなりまして。
先日はありがとうございました。
皆さん先日はありがとうございました。
ありがとうございます。
もっと苦労せないかんわ。

(三味線)
(文字久大夫)・善し悪しの・身は世に連れて与之助の・戻り馬の八蔵と・変はる渡世も・変はる渡世も・変はる渡世もお前はなあほはな…。
・変はる渡世もって言うてんねんわかってるか?お前は・変はる渡世もわしは・変はる渡世も渡世もここや。
太い息や太い息じゃ!
(文字久大夫)・戻り馬の八蔵と・変はる渡世も口強き言えてへんやないけ!言えてへんのにやるのか!横着もん!・今の哀れな話を聞いては・イヤもう・イヤ〜もう・もうもうもうもう・もうもうもうもう〜音や音や音や。
・もうもうもうもう字言うんちゃうねん。
それも音で言うねん。
音で言うねん音曲や。
・イヤもう〜・もうもうもうもうたまらぬと・い〜た〜明日もっぺんやろか。
(文字久大夫)お願いいたします。
「お願いします」て心安ぅ言うな!ちっと覚えんかい!教えてるもんの身になってみ。
心安ぅ稽古稽古って何にも覚えんと。
怒られるばっかり能で何一つ覚えてへんやないかい。
おお…。
病人のわしがこんだけ大きな声出してやってんねや。
ちっと俺の身にもなってくれよ。
太夫がそこそこしっかり浄瑠璃を語ったら三味線は弾ける。
弾きよい。
太夫が違うこと言うてふらついてたら三味線弾かれへん。
うん。
そらみんな三味線にもたれにいくねん。
三味線の音のとおりやるさかいあかんっちゅうねん。
三味線ほっとけってほっとけって言うてもようほっとけへんけどな。
かえって太夫がバ〜ッとやった方が三味線は弾きよいねん。
三味線にもたれかかってたら三味線弾かれへんでそら。
あっこんにちは。
おはようございます。
おはよう。
いろいろおおきに。
すみません遅くなりまして。
もう君と組んで何年なる?さあ。
10…13年。
13年ちょっととかって誰やいつやら言うてましたね。
みんなねぇ若いと思ってたらみんな年いきましたからね。
なあこれほんまに楽しみやな。
人気のない狂言やけどな。

(三味線)・アア結構な掛乞衆・これも八蔵が孝行にしてくれる故・病み煩ひの力となる・オほんに我が子のことより・きらめくばかりに研ぎ澄まし・「仕済ましたり」と鞘に納め・尻ひつからげ立ち上がる・納戸の障子さつと開け・「八蔵コリヤ何するぞ」・と声かけられてびつくりし・「ヤ母者人まだ寝ずか」ああ…。
1人でやりたいなぁ。
そうですね。
1人でやりたい。
お稽古でここまでいけんねやったらね。
1人でやりたい。
いやほんまに。
やっぱり枕からやらんとね感じ出ませんね。
うん出ぇへん。
まあでもこれやれて幸せですよほんまに。
もういっぺんほんまやりたいなと思ってましたもん。
これやとか「五人伐」やとかね。
そういう作品があるだけ幸せですよね。
何やってもあかん人っているでしょ。
ねえ。
こっちもそれに近づきつつある。
何をおっしゃいますやら。
謙遜でも何でもない。
いや続けてたらね。
そう言われんのん嫌ですからね。
まあ確かにこれ「掛乞」やりたかったですね。
なあ。
うん僕もやってみたかったですね。
おはよう。
・おはようございます。
カランカラン!パン!パン!・出しゃばって鉄棒喰らふなと言い・と言い捨てて・と言い捨てて・急ぎ・急ぎこれもみんな「い〜っ」と引っ張んのんちゃうねん。
その間に・言い捨てて・急ぎ・前後左右におっ取り巻く・おっ取り巻く・おっ取り巻くここやここや。
もうちょっと上。
そう。
おはよう。
・今日Tシャツ着てきたんです。
ああ〜これ写しといて。
・いや一緒に写真撮ってもらおうかなと思って。
おいでよ。
早よ早よ。
・ちょっと待ってくださいね。
・はいいきます。
じゃチーズ。
カシャッ!カシャッ!
(シャッター音)・あっこれは撮れてるな。
今のは撮れてます。
あっ撮れてます。
ありがとう。
ありがとうございます。
こない笑てることはめったにないねんで。
ああ〜ううっ…。
・出でて・ゆく
(拍手)
(拍手)
(拍手)
(三味線)・仕終せたが仇となつて・讒者の舌に御身の浮名ああ〜ううっ…。
あい。
泣くない。
ああ〜ううっ…。
あい。
泣きやんない。
ああ〜ううっ…。
あい。
泣くない。
ああ〜ううっ…。
あい。
泣くない。
あいあいあいあい。
あいあいあいあい。
あい。
なぁ。
泣きやんな。
・恵みと・大当たり!日本一!・知られける
(拍手)ありがとう。
おおきに。
おおきにありがとう。
(拍手)できたらまあ文楽は一応引退されたってなってますけどその文楽と別にちょっとだけやりたくなったときだけやるとかってどうですか?もうね浄瑠璃とは縁切った。
切りました?はい。
もうプロが引退を表明して浄瑠璃語るいうことはもっての外。
はあ〜。
対談とかそんなもんには出ますけどもう浄瑠璃はこれはもう絶対語りまへん。
語りません。
う〜ん。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
・引き立て・ゆも上や!・つこうて花嫁ええか!ゆもつこうてわからへんねんで。
・ゆもつこう…息をちょっと高う言うねん。
・ゆもつこうて花嫁ああ〜っもういやらしいわ。
浄瑠璃にならんなほんまに今の太夫は。
・仗がと違うねん。
お前そうしか聞こえんか?わしの浄瑠璃聞いてて。
どんな耳してんねん。
どんな頭してんねん。
・仗〜がこれ常識。
義太夫の常識。
今の太夫はその常識がわからんねん。
しかしお前だけは常識わかってほしいねん。
せやからここでやかましい言うねん。

(三味線)・いうてみようやとこのごろ寝ててもなもう過去の先輩の夢をよう見るしね1人になったらいろんな浄瑠璃が頭に浮かんできてね。
ということはやっぱり寂しさがあんねんな。
ああ。
根が好きやから。
ん〜なあほんまに68年何や早かったなぁ。

(三味線)2014/11/23(日) 01:35〜02:45
関西テレビ1
平成26年度文化庁芸術祭参加作品  ザ・ドキュメント 芸の魂[字]

人形浄瑠璃文楽を舞台に「芸の神髄」の継承、「芸の魂」に迫る

詳細情報
番組内容
 文楽座・最長老の太夫、竹本住大夫さん。戦後の文楽を牽引し、大阪市の補助金カット問題でも先頭に立ち対応した。89歳になるまでの68年間を文楽一筋で生きてきた。住大夫さんは6月の引退後も、「芸の神髄」を後進に伝え、「文楽」を後世に残すため多忙な日々を送っている。文楽へのひたむきな情熱は今も変わらない。
番組内容2
 おととし2012年の夏、住大夫さんは補助金削減問題の渦中に脳梗塞に倒れ、休業を余儀なくされた。太夫としての生命線・言葉に障害が残った。半年間のリハビリで復帰しファンを喜ばせたものの、ことし2月に突然の引退を発表し5月に68年の現役を終えた。今も変わらぬ文楽への情熱、後を託す後輩たちへの思い、番組は「芸の神髄」の継承に迫る。
出演者
人間国宝・七世竹本住大夫
スタッフ
【ディレクター】
柴谷真理子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント

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