高倉健さん追悼特別番組映画『南極物語』 2014.11.21

昭和基地
国際地球観測年に参加した日本が初めて建設した基地であった
ここで11名の越冬隊員とともに雌犬1頭を含む19頭の樺太犬が翌年の本観測を成功させるため越冬生活を送ることになった
それは南極の厳しい自然との闘いでもあった
(犬のほえる声)
(越智)おーいメシだぞー!
(潮田)はいリキ!はいタロ!はいジロ!ほらほら!
(犬のうなり声)こら!アンコ!タロ!タロ!もう!いつまで甘えてんだ!?お前たち兄弟じゃないか!お前たち南極育ちだろ?
(小沢)10月の初めには出発したいんだよ
(小沢)遅くなると解氷状態が危険でとても内陸旅行はできんだろう
(隊員)しかしあのエンジンの調子じゃとても長期旅行は無理でしょう
(小沢)1号車は修理の見込みは立たんし弱ったなあ…2次隊はいい雪上車を持ってくるようですよ改良すべき点をいろいろとこっちから知らせましたからね
(小沢)しかし行きたいなあボツンヌーテンせっかく南極へ来たんだからね
(隊員)その気持ちは分かりますけどね予備観測という隊の使命から考えればもう十分に役目は果たしましたよ潮田君!はい!犬ぞりはどのくらいの荷物を運べる?ええ…重量運搬を目的にした場合は大体引き犬の体重の約半分だといいますから強い犬だけ15頭選抜したとして1頭大体36キロが平均そうすっと…
(越智)270です
(小沢)はあ…
(越智)ジロ34.5!
(越智)潮田さん次どれ行きます?タロ!
(隊員)はい!
(越智)撮って!写真撮ってタロと一緒に!
(隊員)はいタロ!
(隊員)よしよし
(小沢)こーら
(越智)せーのっヨッ!
南極大陸長期旅行は犬ぞり隊で行われることになり10月16日基地を出発することになった
選抜された最強の15頭の犬ぞり隊であった
その目的は南極大陸内にそびえるボツンヌーテンを踏破しその正確な位置標高を天測し地質を調査することであった
地質調査兼犬ぞり係として潮田暁
気象観測兼犬ぞり係として越智健二郎
登山経験豊かな医師の尾崎勇造
この3名が隊員に選ばれた

(隊員たちの歌声)トーウトーウ!トーウトーウ!
(越智)トーウ!トウトウ!行け!頑張れリキ!
(越智)トウトウトウ!トウトウ!トウトウ!そーりゃっ!
(越智)行くぞ!頑張れ!このパネル越えると楽だからな!引っ張って!
(尾崎)ウワッ!
(越智)大丈夫ですか!?
(越智)ジャック!よし!
(越智)ジロ!よし!行けオラ!
(越智)ジロ!クマ!おーし!ブラーイ!ブラーイ!ドクター大丈夫ですか!?越智君!靴下取り替えないと凍傷になるぞ!
(越智)はいブラーイブライ!もうそろそろパッダ島のはずなんですがねえ
(尾崎)うん…あれ?…何だあれ
(尾崎)クジラだ!クジラの死体を氷が押し上げたんだなあ
(犬のほえる声)
(風の音)
(氷のぶつかる音)
(越智)あれ何の音か分かるか?ジャックあれはな風の音ちゃうで氷と氷がなぶつかり合うて出る音なんや
(氷のぶつかる音)そんなお前ビビってこんなもんでビビッてたらこれから先の旅続けられへんぞ!わしがなお前らを本気で殴るのは強うなってほしいからやここはな日本違う南極やで強いもんしか生きられへんのやなっ!鬼の訓練士さんも案外センチなとこあんなおいいや…先生の大イビキで目が覚めたら外でアイツら悲しげに鳴いとったんですわそれでつい…俺も同じだよおかげでお説教は聞かしてもらえるし風が強くなってきたからテントロール収納してもう一寝入りするか?はいおやすみなさいトウトウトウ!行け!頑張れリキ!リキおかしいなおいよーし!ブラーイブライ!よーし!先導犬シュウに代えよう
(越智)はい!デリーも下げて風連とタロ上げるかはい!
(ブリザードの音)大丈夫かおーい!
(越智)大丈夫ですブラーイブライ!越智君!はい…血出してるぞ!
(犬の鳴き声)どれだ?タロですひどいか?
(越智)大丈夫です
(尾崎)ジロもやられてるな
(越智)ほら引け!よいしょ!
(越智)引っ張れ!ほら行け!
(越智)引け!よーし!ブラーイブライ!ブラーイブライ!よし…力の強い風連先導犬に代えよう!
(犬の鳴き声)大丈夫か?…行くか!ブラーイブライ!どうしたゴロ!お前いちばん先輩じゃないか!越智君!交代してもらえ!
(尾崎)よーし!
(尾崎)行くぞー!
(越智)せーの!ブラーイ!ハァハァ…ハァ…よし…あとは下りだぞー!越智君行くぞはい…ドクター!おう!よーしトーウ!気をつけろ越智君!はい!
(尾崎)アッ!どうした!?ブラーイ!ブラーイ!
(越智)おい大丈夫か!?お前しっかり走らんからこういうことになるんじゃないか!
(犬のほえる声)おーい!大丈夫か?大丈夫です君じゃないよ犬だよ犬も僕も大丈夫ですメシでーす!
(尾崎)おい!シロ食うかうん?食う?
(越智)頂きます!これがね僕らの食料やったらね君は若いから腹が減るだろ!いやもうたまらんですよ一日600グラム4000カロリー我慢しますよ僕は夢にまで見た南極大陸やから
(ブリザードの音)よーしもう一息だ!おい…ゴロつないじゃえよはいゴロ!ゴロ行くぞ!ゴロ!ゴロ行くぞほら!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴッ!…ゴロ!ゴロ!どういうつもりだよお前!エサやってんの誰や!?ゴッゴロ!さっ行くぞさっ行くぞ…さあさあ行くぞ!役立たず行くぞ無駄メシ食い!ゴロ!ゴロ!ゴロ!ゴロー!帰ってこーい!帰ってきてくれー!
(越智)置いてくぞー!頼む帰ってきてくれ!このとおりや!頼む!誰がエサやってんのや!頼むこのとおりや!なんやお前分かってくれたんか…えっ?言葉が分かるみたいやなあさっ行くぞ!行こう!ゴロおいで
(越智)トーウトウトウ!よーし!どうした?ボツンヌーテン…ボツンヌーテン!おいちょっと待ってくれよこれ…樺太犬を集めて訓練してくれた北大の先輩や後輩森岩先生たちの寄せ書きなんですよ一緒にお願いしますハァ!
ボツンヌーテンからの帰路遠征隊は重苦しい霧に包まれ無風状態の中視界を一切奪われてしまった
いわゆるホワイトアウトの状態である
強い紫外線に目をやられ3人の隊員はそろって雪眼になった
重量制限のため重い無線機を持っていけなかった遠征隊は遭難寸前であった
ブラーイ!大丈夫か越智!大丈夫です犬ぞり隊が雪眼くらいで…情けないなあ…
(越智)潮田さん!おう!ちょっとは見えますか?少しはな!
(尾崎)どの辺かな?今出発してから約2時間たってますからもう基地から20〜30キロの所に来てると思うんですが犬が道を間違ってなければな何か見えるかな?いや霧が多くて何にも見えないですねさっきから考えてたんですけどねおう!タロとジロ…放してみたらどないです?ここでか!?ええこいつら帰ったら小沢隊長救援隊出してくれる思うんですわそれは…無事に基地に帰れたらの話だろ大丈夫ですよ!本気でそう思ってんのか
(尾崎)潮田さん…潮田さんの気持ちは分かりますが俺は越智君の意見に賛成だなタロとジロが迷子になるようだったら俺たちはもうとっくの前から迷子になってんじゃないかなあもしそうだったら放そうが放すまいが同じじゃないかなそうします…よーしやろう!
(犬の鳴き声)よーし行け!
(犬のほえる声)
タロとジロは子犬のときに南極に連れてこられ基地で育った兄弟である

(犬のほえる声)
(隊員)タロ!ジロ!小沢さん!
(犬のほえる声)
(犬のほえる声)よーし…
(小沢)越智君!大丈夫か!こっこいつはひどいや!
(小沢)尾崎君大丈夫か?はっ…
(小沢)雪上車に君たちは乗りたまえ犬はわたしたちが連れていく!我々は…犬たちと一緒に帰りたいと思います
(隊員たちの歌声)
(隊員)越智さんうん?大丈夫ですか?大丈夫タバコの煙が目にしみただけやでもよかったですねえ3人とも大したことなくて
(隊員)やりましたよ!雌シロが!子供が生まれたんです!
(一同)やったー!
(越智)あかんあかん!あんまり近寄ったらあかんて
昭和32年12月の末第2次越冬隊員を乗せた「宗谷」は氷海に突入したが翌年になっても連日の悪天候と厚い氷に阻まれ基地に近づくことができなかった
2月ついに宗谷はアメリカ海軍砕氷艦「バートン・アイランド号」の協力を要請した
(小沢)上車?雪上車がどうしました?雪
(無線)バートン・アイランド…直ちに脱出せよ…バートン・アイランド?バートンがどうしましたか?もしもし!?もしもし!アイランドがどうした!またまた磁気嵐か…
(隊員)隊長「バートン号が立往生を恐れている」そう言ってませんでしたか?
(小沢)そうかね!?ええわしの耳も年か…バートン・アイランドまで動けなくなったか
(隊員)この調子じゃ当分本隊は立往生だなあ
(越智)タロ!タロ!
(越智)つないどきますよしよし
(越智)ちょっと…潮田さん!そんなに甘やかしたら2次隊の犬ぞり係が迷惑するの違いますかよーし…うん?写真撮っといてやるか?ええ?
(ブザー)全員外へ集合外へ集合!昭和号が来たぞー!おーい!おーい!来たか…おーい!
(小沢)やあ…野々宮さん!
(野々宮)1年間ご苦労さんでした
(小沢)やっと会えましたね堀込君は元気ですか?
(野々宮)はあ実はここにいる全員に今日中に引き揚げていただくよう決定したんです引き揚げ!?引き継ぎもやらないで交代するんですか!?それじゃまるで脱出するようなもんです堀込隊長と岩切船長が内地の統合本部と打ち合わせした結果そう決定したんです申し訳ありませんが急いでください私がお供しますこの天気は今日いっぱいしか持ちませんビーバー機で資材をピストン輸送しますその帰りの便で3名ずつ引き揚げてください長谷川君と武井君はここに残ります通信と機械です
(小沢)諸君早急に荷物をまとめてくれ池内君一緒に行きましょう
(池内)はい
(隊員)急げ!時間がないぞ!荷物は1人45キロまでだ!
(隊員)はい!
(越智)よーしよしよしかわいがってもらえアンコ
(犬のほえる声)こらー!タロ!アンコ!やめろ!おら!タロ!アンコ!アンコ!おら!タロ!お前はホンマに最後の最後まで手焼かしやがって!よーしジロ…いいか今度のボスは俺と越智君みたいなわけにはいかんぞ
(犬のほえる声)アンコ!アンコステイ!ステイステイ潮田さんこれ首輪総点検せなあきませんね2次の人が来たら犬がウロウロしとったんじゃ恥さらしですわそうだなはいはい…お前かみぐせがあるからもうかんだらいかんぞもうちょっとジロのように愛想よくしろええ?いいか?・早くしてくださーい!・潮田さーん急いでくださーい!越智さーん!
(犬のほえる声)
(犬のほえる声)
(乗員)ご苦労さまでした!お疲れさまでした!飛行甲板着船準備よし航空機着船!
(隊員)おーっ!
(隊員)どうぞ!どうぞこちらへあの犬係の徳光さんか戸田さんはどこでしょうか
(英語の会話)
(戸田)こいつは完璧な記録だなあかみつき屋かあ
(徳光)これがリーダーのリキ
(徳光)こっちが一匹狼風連のクマ
(徳光)ホンマに頂いてもええんですか!?これ全部どうぞそのために作ったんだから
(徳光)そうですかじゃ遠慮なく…大事にします
(戸田)ほかに何か気をつけることは?首輪かなあ
(戸田)首輪?首輪だけは絶対に外さないようにしてくれ
(隊員)長谷川君武井君心配したぞ!
(隊員)長谷川さんお疲れさまでした!大丈夫ですか!
(隊員)大変でしたねお疲れさまです武井さん基地は…あの…ほかの犬はどうなってますか?
(長谷川)第2次越冬はまだ続行中ですですから残りの犬はまだあのままの状態ですエサはどうなってますか?
(武井)身欠ニシンを何日かずつ1匹あたり分けてきましたこの母犬も子犬もパイロットが予備のガソリンを捨てて運んだんです発する!本船は本14日0700バートン号とともにいったん外洋へ離脱気象状況の好転を待ち再び氷海に突入する
(ブリザードの音)
ブリザードを避けいったん外洋に出た宗谷は再び氷海に突入
第2次越冬隊を基地に送るべく必死の挑戦を続けた
爆破準備よし
(岩切)爆破!
(爆破音)
(岩切)後進いっぱい両舷後進いっぱい!・
(衝突音)潮田さん…首輪…首輪のことなんですけどねあんとき…首輪締め直したりするんやなかった
(越智)こうなる可能性もあったわけやしあんときアンコが首輪抜けせえへんかったら…越智君はい晴れるよここっつーときはいつも晴れてたんだ!きっと晴れるよそんな気休め言うても…このブリザード当分続くそうですよ・
(衝突音)氷が全く割れません!
(岩切)両舷前進微速両舷前進微速!よろしいですか?
(ブリザードの音)発する!宗谷乗組員の皆さんならびに観測隊員の諸君まことに残念かつ口惜しいことでありますが…天候の好転が見込めずまた宗谷の航行能力も限界に達し第2次越冬は断念やむなきに至りました昭和基地は放棄本24日1200…宗谷はすべての氷海行動を打ち切り帰国の途につきますわたしは諸君とともにできうるかぎりの努力をしたつもりであります!あらゆる方法を尽くし…潮田さん!すいません!
(越智)すいません!諸君らのこれまでの労を多とするとともにお互いいたわり合って国へ帰りたいと思います
(越智)隊長!海図室にいます
(越智)隊長!隊長犬…犬見捨てるんですか!?
(小沢)越智君…もうよしたまえみんなできるかぎりのことはしたんだよお願いしますあと2回!あと2回昭和号を飛ばしてください!そうしたら全部の犬収容できるんです!この天候じゃ無理ですよじゃああと1回だけ!あといっぺん飛ばしてもらえませんか1回じゃ無理です!全部で500キロ超えます!それでも飛びたいんです!殺してきます…ほかに…責任を取る方法がありますでしょうか…潮田さんでしたね今日で中止しないと統合本部の命令に違反することになるんですそれに…それに本船の飲料水がもうギリギリなんですよ造水機にこれ以上燃料を使用することはできないんだよ潮田君…スクリューも舵も壊れ宗谷は満身創痍なんだ燃料も尽きた
(小沢)ケープタウンまで帰れるギリギリなんだ
(小沢)これ以上無理は言うな船員の諸君にも悪い水ですか…水がないんじゃ…しょうがないですね
(汽笛)
(徳光)潮田さん…あの…これお返しします実は我々大事なもん預かってきたんです全国の…樺太犬のファンから犬舎に飾ってくれと送られてきたんです失礼しますよしヒゲでもそってさっぱりするか潮田さん!俺にはどうすることもできんよ俺に何ができるっていうんだよ
(鏡の割れる音)
(犬の鳴き声)
鎖を切って最初に放れた犬はアンコだった
2番目にジャック
そしてリーダー犬リキが首輪抜けをした
続いてジロも
シロが自由になった
(ブリザードの音)
自由になった犬たちが基地に戻ってきた
タロとジロの兄弟犬はいつでも行動をともにしていた
リキたちは人間の姿を求め基地の中を走り回った
(犬のほえる声)
ペスモクたち何頭かの犬が倒れた
犬たちのリーダーであったリキはアンコジャックシロジロを連れエサを求めて基地から出ていった

(犬の鳴き声)
風連のクマが放れた
(犬の鳴き声)
タロはクマと一緒になって仲間たちのあとを追った

現れたのはジロだった
ジロはタロが気になって引き返してきたのだ

犬たちは必死にエサを求めていた
もう1頭最後に鎖を切って自由になった犬デリーがいた
デリーも仲間のあとを追った
そして合流した
氷原には所々にクラックという氷の割れ目が走っていて黒い海面が顔を出している
そのクラックは潮の満ち引きによって開いたり閉じたりする
その勢いで海の生物が氷上に打ち上げられそのまま凍りついているのだ
そのことをリキや風連のクマはすでに知っていた
しかしクラックの近辺は犬にとっても危険な地帯であった
(犬の悲鳴)
(犬の悲鳴)
(森岩)まったく日本にはバカなヤツが多い!南極のことも犬のことも何にも知らんくせして…「かわいそうにかわいそうに」かくだらん!あなたのことだまさかそんな愚劣な声に負けたとは思わんが…大学辞めてこれからどうするんですか
(潮田)まだ何にも決めてませんオーストラリアへ行ってみる気ありませんか?ああ…いやメルボルンの地質学研究所から照会が来ててね気晴らしに2〜3年先生…お気持ちはとってもうれしいんですけどいや…分かった分かった気晴らしができるくらいなら大学を辞めはせんかハッハッ
5月の南極
犬たちにもしばしの休息があった
アンコとシロは仲がよかった
南極にはしばしば蜃気楼が現れる

(犬のほえる声)
リキと風連のクマに教えられてタロとジロはアザラシを襲うことを知った
アザラシやペンギンが遠く海氷の縁へ去った氷原に南極の冬がやってきた
リキは人間の痕跡を追って大陸のほうへと走りだした
それはボツンヌーテン遠征の道をたどることであった
しかし風連のクマは群れで行動することを嫌いこのクラック沿いにとどまった
(犬のほえる声)
南極では5月の終わりから7月初めまで太陽が姿を見せなくなり暗やみの世界になる
太陽に代わって南極の空を支配するオーロラ
犬たちはオーロラにおびえて身を寄せ合っていた

ジャックは突如狂ったように走りだした

たった1頭になった風連のクマも天を仰いでいた
ジャックは仲間たちとはぐれて大氷河に立ちすくんでいた
(祭りばやし)
(ノック)
(越智)はい
(慶子)いや堪忍遅なってなんやまだお勉強終わらへんのホンマに行くんか?行ったかて人ばっかで疲れるだけやでせやけどうち去年は見られへんかったし俺のせいか?そやないの地球の果てなんか行ってはるさかい悪いんよなあ行こう!
(越智)うん行こう!ほら
(越智)うんもうはよ支度し言うこと聞かへんと…結婚してあげへんよ
(見物客)あっ見えた見えた
(見物客)なぎなたや来たわ来たなぎなたが見えるわ
(慶子)きれいやわ〜フフッほらほらほこ来たえほらあれ「なぎなたぼこ」え見えるか?ウフッお好きなんどすか?犬が好きなお人は犬のほうでちゃんと分かるそうどすえ行こ…どうしたん!?
(慶子)なあ
(マスター)ホンマですか?先生何が?日本のいちばん暑いときが南極のいちばん寒いときやってのはマスターやめてえな南極のお話はうち嫌いや言うたやないのそりゃそやけどなんでそんなこと知ってんの?あかん!それ触ったらあかん!ほらほら!話そらさんと南極がどないしたって?しもうた…いやこのクソ暑いのに南のほうが冬やなんてそんなアホな思うたもんやさかいこれですわ…これが悪いんですわ!これを読んださかい!
(供出者)立派な仕事をして死んだんですからやむをえないと思っていますかわいそうですけれども別に誰も恨んだりなんかしておりませんのでそれじゃ…ご苦労さまですじゃこれ…受け取ってくださいお願いします
(麻子)あの…ひとつだけお聞きしたいことがあるんですけどはい最後…最後にリキを見たときリキは何をしていました?リキはあたしと妹と2人の犬なんです妹は今出かけていますが帰ってきたらきっと聞かれると思うんですほかの犬と一緒に…鎖につながれたまんま…鎖につながれて…申し訳ありませんこれリキの墓なんです妹が作りました
(マキ)いらない!こんなもの!子犬をもらったってリキは帰ってこない!いらない!こんなもん!どうしてリキを捨ててきたの!?どうして連れて帰ってこなかったの!?おじさんなんか嫌い!おじさんなんかおじさんなんかーっ!リキを返して!返してーっ!
(麻子)マキ!やめなさい!
(マキの泣き声)あたしたちもう犬は飼わないことにします!それは持ってってください!もういいでしょ?マキ…帰ろう
急にリキが勢いよく走りだした
人間のにおいがするボツンヌーテン遠征の折のデポ地点だった
そこにはアザラシの肉が残っていた

(犬の鳴き声)
落ちたのはアンコと仲がよかったシロであった
(犬の悲鳴)
(犬の遠ぼえ)
(犬の遠ぼえ)
(鼓笛隊の演奏)
(司会者)稚内市長が式辞を申し述べます
(市長)式辞南極学術探検の尊い犠牲となった樺太犬はこの北海道で生まれこの稚内で訓練されました
(市長)風連のクマ利尻のアンコみんなそうであります15頭の犬は私たち道産子の仲間であるとともに誇りであります
(市長)北海道の人間だけではありません日本人の誇りでありますこの仲間にわたしたちは今限りない感謝と…
(カトリーヌ)潮田さん!わたしたち西洋人も15匹の犬に大きな関心を持っています失礼しますお話聞かせてください質問に答えてください失礼!潮田さんあなたは大学を辞めました毎日犬の講演をして歩いていますね?それは「犬を置き去りにしてきた罪の意識」と考えてよろしいですか?「罪の意識」って何ですか…犬は我々の仲間でしたではその結果はどうですか?「生きたままに残す」というもっと残酷な方法をあなた方は選んだということになりますね確かに…だから自分たちのこの手で殺してやればよかったんですね失礼…どうして黙ってんだ何か俺に言いたいことあんだろ?
(越智)ありました潮田さんと会うてどうしても話せなあかんと思うて北海道まで来たんですけど…さっきの潮田さん見てたらもう言う気のうなりましたどうしてだい?結局…結局僕も一緒やいうこと気がついたんですわ自分のしたことにこだわるヤツとこだわらんフリして実はこだわってるヤツ自分のしたことにこだわるヤツか…それ何かに似てると思わないか?「何か」って?ほら…ボツンヌーテンに行ったとき…あんとき?覚えてないか?クジラの死体!そうでしょう!?そっくりですなあ!ホンマ似てますわ!あの中に今ごろどれか入ってないかないやそれはジロでしょ!ジロか…ええアンコやクマは入ってないかな?やっぱりリキかなあリキか…リキだったら仲間連れて入ってるなそうでしょう!越智…はいアイツら生きてると思うか?潮田さんどう思います?
(ブリザードの音)
犬たちはリキタロジロアンコの4頭になっていた

大陸から反転して氷海に向かった犬たちは疲労しきっていた

トウゾクカモメの飛来は厳しい冬の終わりを告げていた
しかし自然は犬たちを温かく迎えてくれたのではなかった

(犬の鳴き声)
突然のシャチの襲来にリキは身をもってタロとジロをかばった
(犬のほえる声)
タロとジロリキを気遣って舞い戻ってきた
クラック沿いにアザラシの死体があることをタロたちに教えたのもリキである
リキは生きるために必死に頑張った
しかし…リキはもう歩けなかった
(犬の遠ぼえ)
アンコを乗せた流氷は大陸のほうへ流されていった
戦前カナダに実在した日本人野球チームバンクーバー朝日
差別や迫害を受けながらも戦った彼らはやがて人々の希望となった
(麻子)こんにちは!こんにちはこれ…こないだ連れてきてくださった犬ですか?そうですおっきくなって…名前は…リキですリキ…あたしたちやっぱり犬を飼うことにしたんですそうですか…それは…リキもきっとうれしいでしょう
(麻子)リキ!リキ!待ってリキ!リキ!…リキリキは利尻島で育ったのあの島は冬になると犬はそのままにして人間だけ本土へ引き揚げちゃうから…犬はひとりでエサを見つけて…ちゃんと生きるんですだからリキはきっと自分ひとりで…頑張り屋だからアイツ…利尻島でひとりで暮らせたからって…南極と利尻じゃ比較にならないですよねそうですよね…「全部が…」と願うのはもちろん…無理でしょうがでも…何頭かは生き抜いてくれてるんじゃないかって…このごろそう思うんですでも…零下40℃にも50℃にもなるんでしょう?でも樺太犬は寒さに強いんですよじゃリキは自分でエサを取ってますねそう祈ってますよかった…自分は…ついこの間まで…「どうして犬たちを殺してこなかったか」って…そればっかり後悔してきましたでもそれは間違いでした生き物なんてそんなもんじゃないどんな生き物にも命があって誰もその命を奪う権利なんかないんだそんな簡単なことが分かるまで…ずいぶん遠回りしてきました
南極に春がやってきた

南極育ちのタロとジロには基地がふるさとであった

(犬のほえる声)
風連のクマが1頭の犬を連れて走ってきた
流氷に乗って大陸へと流されていったアンコだ
アンコはクラック沿いにとどまった風連のクマと一緒になることで生き長らえることができたのだ

野生化した風連のクマに従って3頭の犬は獲物を求めて走った

(犬のほえる声)
(アザラシの鳴き声)
(犬のほえる声)
(犬の悲鳴)
(犬のほえる声)
とうとう3頭になってしまった犬たち

風連のクマは再び大陸のほうへ消えていった
タロとジロはふるさとの基地から離れることができなかった

(越智)何や慌てて
(慶子)黙って行くつもりやった?いや…またお前ほっといて地球の果てに行くわけいかんやろそれに…行ったかてつらいばっかりやしなそれやったらまだメンバーに入ってへんのね?はよ…はよ東京行かはったら?今やったらまだ間に合うやろうち待ってるわ南極行ってその目で何もかも確かめてそのうえでうちを選ぶなりほかすなりしてちょうだい
(ブリザードの音)
(野々宮)旋回してくれ!潮田さん越智君ジャックだよすいません…あの丘のほうをもう一度回ってもらえませんか?
(パイロット)越冬隊長どうしますか?
(野々宮)基地に向かってくれ!潮田さん基地の調査が終わりしだい資材を空輸することになってるんだあきらめてくれますか潮田さん!ゴロ…はら減って…越智…はい風連のクマ…いや…タロとジロです
(犬のうなり声)
(犬の鳴き声)おーいっ!
(犬のほえる声)タロ!ジロ!よーし!タロ…2014/11/21(金) 19:57〜22:52
関西テレビ1
高倉健さん追悼特別番組映画『南極物語』[字]

高倉健主演、心に残る永遠の名作。厳寒の南極大陸で生き抜いた犬、タロ・ジロと、越冬隊員との奇跡の再会。地上波初リマスター版

詳細情報
番組内容
悪天候に阻まれ、南極探検隊員が飼っていた15匹のカラフト犬が南極昭和基地に取り残されたという実話を基に、南極の厳しい環境の中、犬たちの生への奮闘と南極探検隊員たちの姿を壮大なスケールで描く。
1958年(昭和33年)2月、南極昭和基地での越冬隊の活動は、悪天候に阻まれたため中止になり、犬係の潮田(高倉健)と越智(渡瀬恒彦)の要請も虚しく、越冬隊と行動を共にしてきた15匹のカラフト犬は
番組内容2
極寒の地にやむなく置き去りとなってしまう…。
出演者
潮田暁: 高倉健 
越智健二郎: 渡瀬恒彦 
北沢慶子: 夏目雅子 
志村麻子: 荻野目慶子 

ほか
スタッフ
【原作・脚本】
野上龍雄 
佐治乾 
石堂淑朗 
蔵原惟繕 

【監督・演出】
蔵原惟繕

ジャンル :
映画 – 邦画

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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