来月19日まで販売され、抽選は大晦日に行われます。
(山岡)これでいいか?
(滝田)おい見ろよ。
我らが作家先生のサインだぞ。
やめろって。
(滝田)へぇー。
でもすごいよな。
ホントに夢かなえたんだから。
(川本)言っとくけどこいつがデビューできたのは俺が出版社にいたお陰なんだからな。
で?新作は?いつ出るんだ?まあそのうちな。
(山岡)
作家としてデビューしたのはもう3年前。
それ以来1冊も本は出ていない。
当然それで食べていけるはずもなく…
これが現実。
ここから抜け出すためには新作を出すしかない
「8月31日」?今日だ。
何もないよいいことなんて。
何だよ?これ。
初めはどういうことか分からなかった
「9月1日曇り。
俺の名前は山岡貴志」
(男)おーい!山岡!「年は35。
仕事は小説家。
といっても全然食べていけなくてアルバイトに明け暮れる毎日。
一応新作は書いてるけどなかなかうまくいかなくて正直そろそろ小説はあきらめようかと思ってます」
まさかその言葉が本当に届くとは思ってなかった
(ゆりえ)「9月2日晴れ。
驚きました。
これってどういうことですか?とりあえず返事書いちゃいますね。
わたしの名前は北嶋ゆりえ。
年は17。
趣味は読書。
近くに大きなけやきの木があってその下のベンチでいつも本を読んでいます。
で早速読んじゃいました。
『あこがれ』新刊コーナーに平積みされてたんですぐに見つかりました。
『21世紀期待の新人』ってすごいですね。
感想聞きたいですか?えーっと。
初恋の人へのまっすぐな気持ちが書かれていて思わず引き込まれてしまいました」新刊コーナー?何で3年前の本が?「9月3日晴れ。
いきなり変な質問だけど今そっちは西暦何年ですか?その本が出たのはもう3年前。
それ以来僕の本は1冊も出てません」
(ゆりえ)「9月4日晴れ。
またまた驚きです。
確かに今こっちは2001年。
3年先にいる人と交換日記してるなんてすごく不思議。
でもとてもすてきなことだと思います。
新作すぐに読めないのは残念ですけどあきらめずに書いてください。
楽しみにしてます」こういうの書けば受けると思ったのか?いや別にそういうわけじゃ…。
今のお前には本当に書くべきことなんてない。
違うか?「9月5日曇り。
当分新作は出せそうにありません」「自分には才能がない。
そう考えると不安で死にたくなります。
これはものを書く人間じゃないと分からないことかもしれないけど」
(ゆりえ)「9月6日晴れ。
死にたいなんて簡単に言わないでください。
別に隠してたわけじゃないですけどわたしは今病気で入院中です」病気?「9月7日曇り。
昨日は軽々しくあんなことを書いてごめん。
毎日治療大変だね。
ゆりえちゃんは本当に強い人だと思いました。
それに比べれば自分が書けないつらさなんてすごく小さなことだなって」
(ゆりえ)「9月8日晴れ。
心配かけてすいません。
わたしそんなに強くないですよ。
山岡さんの書けないつらさわたしには想像つかないけどでもわたし言葉ってすごいと思います。
どんなに遠くにいてもちゃんと届くから。
時々思うんです。
もしロケットに小説家が乗ってたら宇宙の美しさを何て伝えるんだろうって。
きっとわたしには思いもつかない言葉なんじゃないかなって。
だから山岡さんももっと伝えてください。
言葉をもっといっぱい」えっ?お前の会社で?
(川本)ああ。
まぁうちの営業なんてお前には酷な話かもしれないけどな。
いやそれはありがたいけど。
でも小説書くには今のほうが。
また新しいの書こうと思ってさ。
今度こそ…。
(川本)山岡。
もういいだろう。
もう35だぞ。
そろそろ次の人生を考えたほうがいいって。
面接の日が決まったらすぐ連絡するから。
「9月9日曇り。
新しい仕事が決まりそうです。
たとえ小説を書けなくなっても腐らずに頑張りたいと思います。
いつも励ましてくれるゆりえちゃんのためにも。
だからゆりえちゃんも早く病気を治して元気になってください」
(ゆりえ)「9月10日晴れ。
お仕事決まってよかったですね。
わたしのほうはあまりいい知らせはありません。
山岡さんは骨の痛みって感じたことありますか?初めてこの検査を受けたとき痛くて涙が止まりませんでした。
でも今はもう涙なんて出ません。
それでも時々悔しくて泣きたいときがあります。
わたしだって学校に行きたい。
普通に友達と遊んだり恋をしたりそういう当たり前のことをしてみたい。
そう思うと悔しくてたまらないんです。
すいません。
今日はちょっと弱気です」
(ゆりえ)「わたしの命はもってあと1年だそうです」
(ゆりえ)「前に死ぬなんて簡単に言わないでなんて言ったけどホントはわたしも何度も口にしてます。
そこに楽になれるドアがあったら迷わず開けて飛び込みたいって。
すいません。
しばらく日記は書けません。
ごめんなさい」「あした君に会いに行きます。
僕にとってはあした。
ゆりえちゃんにとっては3年後のあした。
約束だよ。
絶対に忘れないで。
3年たってもゆりえちゃんはきっと生きてる。
だから僕らは必ず会える。
奇跡を起こすのは神様じゃない。
自分だよ」
(ゆりえ)「2004年9月20日病院の白いベンチに3時」
(川本)山岡悪い。
部長30分ぐらい遅れるみたいなんだ。
そうか。
ごめんな。
川本。
うん?すまん。
(川本)おい山岡!おいどうしたんだよ!?
奇跡は起きなかった
彼女はこの2004年の世界にはいなかった
「9月20日晴れ。
今日君に会えたよ。
二十歳の君は…」「すごく元気だった。
もうすっかり病気もよくなって僕らはたくさん話をしたよ。
すごく楽しくていつの間にか日が暮れてて…」嘘つき。
(ゆりえ)「よかった。
生きてるんだねわたし」「そう生きてる。
これから先もずっと。
だからゆりえちゃん信じてほしいんだ。
3年後の今日ここで僕と会えることを。
信じれば必ず会える。
必ず」
僕はずっとそのベンチに座っていた
しばらくしてやっと気づいた。
僕には書くべきことがある。
伝えるべきことが…
「拝啓北嶋ゆりえさん。
僕が今ここにいるのは君のお陰です」やっと見つけたな。
書くべきことを。
(社員)ユザワさん!出版社からお花届きました!
(社員)じゃあそこ置いて。
(社員)はい。
(川本)売り上げも上々でさ。
編集長が第二弾を出さないかって。
続きはないよ。
この物語はもう完結してるんだ。
俺の中では。
それでも僕は今も時々この場所を訪れる。
まだ心のどこかで奇跡を信じているのかもしれない
そのとき奇跡は起きた
信じてたよずっと。
(ストーリーテラー)全国いや全世界の男性の皆さま。
あなたは恋人のことをどこまで知っていますか?年齢職業趣味。
そして誰からいや何から生まれてきたか。
(ノック)
(配達員)富岡さん宅配便でーす。
(ノック)
(配達員)富岡さーん。
(ノック)
(春子)ねえ知ってる?
(雄太)知らない。
(春子)まだ言ってないし。
はぁ…。
何?
(春子)隣さあ変なおじさん越してきたの。
(雄太)へえー。
見た?
(雄太)いや見てないけど。
何か宅配便来てたね。
(春子)何かさあ若い女の子と一緒なの。
(雄太)やるじゃんおっさん。
不倫かなああれ。
(富岡)・「野球するならこういう具合にしやしゃんせ」・「アウトセーフよよいのよい!」
(騒ぎ声)
(春子)ねえバイトどうなった?あああさって面接行くよ。
(春子)そう。
決まるといいね。
うん。
(春子の泣き声)どうしたの?
(春子)ごめん。
実はあしたから急に出張になっちゃって。
(雄太)あ…そうなんだ。
週末まで会えなくなるから。
(雄太)あっそっか。
いやでもそんなんで泣くなよ春。
ごめんごめん。
じゃあいろいろとよろしくね。
(雄太)うん。
気を付けてね。
(富岡)手つないで行こうか。
(美女)うん。
(美女)ねえ富士夫さん。
(富岡)うん?
(美女)隣の男の子格好いいね。
(富岡)そうかぁ?
(美女)富士夫さんには勝てないけど。
(富岡)せやろ?ウフフフ…。
(ナターシャ)こんにちは。
もうかりまっか?
(雄太)えっ?
(美女)ぼちぼちでんなあ。
フフフ…。
バーイ。
(美女)バイバーイ。
(美女たち)超天気いい。
今日も元気今日も元気。
ああ今日も天気いいね。
あーすごいめっちゃいい天気。
(ざわめき)
(美女たち)富士夫さーん。
キャーッ富士夫さん富士夫さん!富士夫さん!格好いい!待ってたんですよ。
かわいい。
富士夫さん!じゃあみんないってらっしゃい。
(美女たち)いってきまーす!
(富岡)いってらっしゃい。
(雄太)えっ?えっ!?・
(足音)
(扉の開く音)・
(美女)あっもしもし。
ごめんねさっき出られなくて。
うんうん。
それで?えっホントに!?
(雄太)藤川サキ。
20歳。
(ナレーター)
まずは缶の上面にある記名欄に名前を入れましょう。
生まれてきた美女はそのとおりにあなたを呼んでくれます。
缶の中に入っている赤い色のゼリーを40度のお風呂のお湯にゆっくり入れます。
その際必ずふたをしましょう。
そうでないと生まれてくる…
(ナレーター)
扉を閉め外で30分間待ちましょう。
その間は掃除をするエッチなビデオを隠すなど美女の受け入れ態勢をつくってください
(ナレーター)
彼女たちは傷つきやすいです。
安易な性の対象だけとせず心の通った共同生活を目標に…
(サキ)富士夫さんバスタオル取ってくれる?えっ?マジかよ。
あっはい。
あのちょっと待って。
あっこっちだ。
(サキ)やだこっち見ないで。
(雄太)あっあっごめん。
(サキ)ありがとう。
シャワー貸してくれて。
(雄太)えっ?ああいや…。
どういたしまして。
(雄太)サ…サキちゃん?
(サキ)ん?
(携帯電話のプッシュ音)あっ携帯持ってんだ。
(サキ)えっ?当たり前じゃん。
何で?
(雄太)あっいや…。
そうか。
メール?
(サキ)うん相方に。
相方?
(サキ)あっわたしルームシェアしてるから。
(雄太)ああそうなんだ。
今日ケンカしてきちゃったからさ。
いろいろと面倒で。
ふうん。
《一体どんな設定なんだ?》ちょっと!何?
(雄太)いやだってあの…。
富士夫君。
いきなり…。
(雄太)あっていうか俺富士夫君じゃないけど。
いやだってそういうことなんじゃないの?女の子がみんなそうじゃないよ。
(雄太)あっごめん。
あっちょっと待っ…。
ええっ?さっきはごめん。
風邪ひくよ。
もう何もしないからさ。
(サキ)よいしょ。
(雄太)おはよ。
おはよ。
ねえ食べて食べて。
(雄太)朝からスパゲティ?ダメ?
(雄太)いやダメじゃないけどさ。
普通…。
(サキ)とりあえず食べて。
はい。
じゃあいただきます。
どう?
(雄太)うん。
うまいよ。
ちょっと。
(雄太)ん?何?
(雄太)いや。
いや…。
いやうまいよ。
(サキ)えっ?ダメ?ん…うまい。
じゃあ行ってくるね。
(雄太)えっ?ちょっとどこに?えっ?学校。
(ナレーター)「1984年。
ロサンゼルスオリンピックにわいたこの年サキは海辺の町愛知県半田所市で産声を上げた」
(ステファノン)「サキは海辺で育ったから海が好きなんだ。
デートに誘ってあげよう!」何だ?これ。
(ナレーター)「この店の娘に生まれたサキは幼いころからよく店の手伝いをしていた。
おとなしくてかわいい女の子だった。
高校卒業を控え進路に悩んでいたサキだが…」
(ナレーター)「上京し専門学校に入学した。
入学後半年がたちサキは友人とルームシェアを始める。
そして今日…」・
(ドアの開く音)
(サキ)ただいまー。
(雄太)ああおかえり。
何見てたの?
(雄太)ん?ああ映画映画。
エッチな映画じゃないの?
(雄太)違うよ。
あっそうだ。
あのあした暇?
(サキ)うん。
じゃあさ近くの海行かない?
(サキ)ああいいね。
海好き。
よっしゃ。
じゃ行こっか。
(サキ)うん。
(雄太)うわーっ海やっぱ気持ちいい!
(サキ)うん。
天気もいいしよかったね。
海久しぶり?
(サキ)うん。
すごい久しぶり。
あーっ見てきれい。
(雄太)おっきれいじゃん。
(サキ)早く早く。
(雄太)ちょっと待って。
大丈夫?はい。
これかぶって。
(雄太)冷たい。
(サキ)あーっやめて危なーい!
(雄太)ハハハハ…!もう!
(雄太)ホントに切ったことある?
(サキ)あるよ。
痛っ。
(サキ)ごめん。
(サキ)この貝持って帰ろ。
(雄太)どこに飾るの?
(サキ)おウチに飾る。
あーっ!
(雄太)危ない危ない!
(サキ)よいしょ。
(雄太)いつぐらいから切ってなかったの?
(サキ)えっ?この辺切ったばっかだよ。
(雄太)ホント?うん。
うん!うまい。
(サキ)はい。
うん?
(サキ)好きでしょ?いやいや今日はいい。
怒んなよ。
ねえ口ついてるよ。
(サキ)ハハ…。
あっかわいい。
(雄太)うん?ああいいじゃん。
フフフ…。
(雄太)何?じゃあいいよ。
あっいいよいいよ。
冗談冗談。
(サキの鼻歌)
(ナレーター)「半年がたちサキは友人と…」
(ナレーター)「ルームメートとケンカをした彼女は雨宿りをしていると…」
(ステファノン)「ここまでがサキの設定です。
この後はあなたと思い出をつくっていきます。
それではすばらしい美女ライフを!」やっぱ才能ないのかな。
ただいま。
ただいまー。
いないの?あっびっくりした。
(春子)何?どうしたの?あれ?今日だったっけ?
(春子)そうだよ。
あ…おかえり。
(春子)うん。
(雷鳴)ねえ。
あれ?髪切った?
(雄太)いや切ってないよ。
嘘。
何か変わったよね。
(雄太)気のせいじゃない?髪切ったでしょ。
(雄太)いやだから切ってないよ。
しつこいな。
お疲れさま。
ねえ雄太何かぬれてない?
(雄太)ああ…。
さっきちょっと出かけてて。
(春子)着替えなよ。
風邪ひくよ。
(雄太)ああそうだね。
(春子)ああ疲れた。
春。
ちょっと一瞬出かけてくるわ。
(春子)えっ?
(雄太)すぐ戻ってくるから。
(春子)ちょっちょっと待って。
(秒針の音)
(剛力)さあ始まりました。
今夜は2014/11/21(金) 14:57〜15:53
関西テレビ1
世にも奇妙な物語 傑作選[字]【「過去からの日記」西島秀俊 蒼井優 ほか1編 】
『過去からの日記』西島秀俊 蒼井優ほか
『美女缶』妻夫木聡ほか
詳細情報
番組内容
『過去からの日記』
山岡(西島秀俊)は、3年前に文学賞を受賞した新進の小説家だったが、その後は泣かず飛ばず。ところが偶然、古本屋で見つけた自分の本を束で購入したことから運命が変わり始めた。その中に、見知らぬ日記が紛れ込んでいたのだ。
『美女缶』
切ないラブストーリーと最後のどんでん返しで、今話題のクリエーター、自主映画出身の監督・筧昌也がテレビドラマに初挑戦する。妻夫木聡主演。
出演者
ストーリーテラー:タモリ
『過去からの日記』
西島秀俊
蒼井優 ほか
『美女缶』
妻夫木聡 ほか
原作・脚本
『過去からの日記』
原案:高橋徹郎
脚本:大野敏哉
『美女缶』
原作・脚本:筧昌也
監督・演出
『過去からの日記』
演出:土方政人
『美女缶』
演出:筧昌也
音楽