スポーツで繰り広げられる幾多の名勝負。
ドラマを生み出すのは戦略か肉体かそれとも心理か?いや忘れてはならないのは数字だ!スポーツのだいご味を数字から読み解く
陸上トラックが興奮と熱狂に包まれる男子400mリレー。
4人の走者がバトンをつなぎ世界一速い国を決める。
日本は個人の走力では外国勢に及ばない。
だが…日本はオリンピック400mリレーで4大会連続決勝に残る強豪国。
北京では男子陸上トラック種目で初の銅メダルを獲得した
(実況)やった〜!日本は銅!
100mを9秒台で走る選手をそろえる外国勢になぜ勝てるのか?鍵を握るのは…
世界の強豪国は上からバトンを渡すオーバーハンドパス。
腕を伸ばしてパスするため走らなくてもいい距離が多く生まれる。
一方日本チームは下からのアンダーハンドパス。
かなり接近してパスするため得する距離は少ない。
400mで比べると日本は1m66cmも損をしている。
なのになぜ強い?
バトンパスはレースの行方を左右するようなトラブルも生む
まさにバトンパスを制する者がリレーを制す
(実況)イギリスちょっと遅れた!イギリスバトンで遅れました。
(実況)なんと大波乱!
距離で損するアンダーハンドパスで強豪国へのし上がった日本。
そこにどんな秘密があるのか?
さあ始まりました「ザ・データマン」。
今回は陸上400mリレーですね。
大会の最後に行われて盛り上がりますよね。
400mリレーは1本のバトンを4人の選手でつないで400mを走る競技。
陸上競技としては珍しい団体戦ですよね。
そうですね。
リレーの選手ってさやっぱりすげえ男は特に子どもの頃とか憧れの競技だよね。
運動会なんかでもリレーの選手に選ばれるやつが大体モテてた。
モテたんだよ。
子どもは本当にそうなの。
足が速いやつがモテるのよ。
今回リレーについて解説頂きますのは北京オリンピック陸上男子400mリレーでアンカーを務めて銅メダルを獲得しました朝原宣治さんです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
北京の時は最後決まった時にバトンバ〜ンって投げて「やった〜!」っていう。
記憶に残ってますあの映像。
よい子のみんなは投げない方がいい。
危ないですからね。
危ないです。
でもそれぐらいうれしかったんですよね。
興奮しましたね。
あの時思い返してメダルが取れるっていうのはどうだったですか?正直。
予選をいい順位で通過してこのままいけば銅メダルっていう状況に置かれましたのでそういう意味ではもう取らないといけないというかもう目の前にメダルがあるって事でかなりプレッシャーを受けましたよね。
朝原さんが銅メダルを獲得した北京オリンピックですけれどもこんなデータがあるんです。
こちらです。
世界各国リレーメンバー4選手の100m走のシーズンベストを単純に足し合わせたタイムなんですね。
ジャマイカなんて39秒36でしょ。
ここの2か国がいたらもう単純に40秒切らないとメダルじゃないよっていう戦いですもんね。
(日村)2秒ぐらい負けちゃうんですか?日本。
10位ですよ。
そうなんです。
そこでこちらですね。
こちらは実際のオリンピックの決勝のタイムです。
(日村)うわっ!ご覧下さい。
38秒15。
さっき合計だったら…。
41秒17ですよ。
すごく不思議ですよね。
(日村)3秒縮めたって事?日本の縮め方はこれ尋常じゃないですよね。
私たちから考えるとバトンってちょっとタイム落ちるようなイメージありません?そうです。
なのにそれよりも短くなるってちょっと不思議ですよね。
普通にただ速い国が勝つんじゃないって事ですよね。
ちょっとそこが面白いとこですよね。
ここで400mリレーのルールをおさらいしたいと思います。
まずバトンですね。
こちら実際朝原さんが使われていた…。
北京のオリンピックの時に使われていたものなんですよ。
そうなんですか?これ。
投げていたものですか?投げてじゃなく持って走ってたやつ。
(日村)え〜!それがそうなの?ちょっと持ってみますか?
(朝原)アルミっぽいですよね。
まあ軽いですよ。
バトンも規定がちゃんとありまして長さが28〜30cmの間そして重さが50g以上と決まっています。
このバトンを使ってバトンパスが行われるのが1走から2走ですよねまず。
2走から3走。
3走から4走の計3区間。
赤くなってる所ですね。
このリレーゾーンと呼ばれる20mの間で行われます。
このリレーゾーンを越えてしまったり隣のレーンに入った場合は失格となります。
あの間の所で渡さなきゃいけないんですか。
選手にとってはこれ短いんですか?長いんですか?勢いつけてその20mに突入していきますのでものすごい一瞬で終わるんですよ。
2秒かからない。
あっという間ですか。
(朝原)あっという間ですね。
そうなんです。
今回「データマン」が掘り下げる数字はこちら。
この数字はオーバーハンドパスの方がアンダーハンドパスより走らなくていい距離が1m66cmあり有利な事を示しています。
オーバーハンドパスとアンダーハンドパスの利得距離の差という事なんですね。
有利だよという距離です。
大丈夫ですか?日村さん。
もう今ギリギリですよ。
今ギリギリでやってますよ。
オーバーハンドの方が1.66得するって事ですか?そうです。
じゃあ下からやってたら…実は不利なんですね。
まあ距離で言うとね。
これ前に出て朝原さんに教えて頂きましょうか。
ちょっと動きましょうか。
せっかくバトンもありますから。
ちょっと分かりづらい。
オーバーハンドパスっていうのは手を結構高く上げて…。
こんな上げてました?そんなに?走ってる格好だとそうなるんじゃない?ちょっと腰が折れてるんでもうちょっとこれぐらいですね。
こういう事?そうですね。
それに上から…。
オーバーハンドパスだとこう。
なのでこれだけ手の長さで…。
設楽さんの右手分と日村さんの左手分とバトン分っていう事ですね。
そうですね。
その合わせた分は走らなくていい利得距離。
反対にアンダーハンドパスをすると…。
日村さんもうちょっと下がって頂けますか?これぐらいの感じで。
近づいて。
(朝原)寄り添いながら手を握り合うようにして。
手の所を持たせるんだ。
分かります?こうやって。
(日村)手を握る感じだもんね。
(朝原)そっと持たせる。
ちょっとベチャってるなって思われたりする事も…。
今日村さん相当汗ばんでますから。
緊張してんだよね。
なるほど。
もうここなんですね。
この距離なんだ利得距離っていうの。
はあ〜なるほど。
このまま手つないじゃって2人で並行して…。
いやいやこれは駄目だよ。
距離ある方が有利だから日本もそっちでやった方がいいんじゃないかって今単純に…。
思っちゃうね。
思っちゃうよね。
損してるよね。
なぜ日本チームはアンダーハンドパスを使うのか。
あの男が調べてきましたよ。
おっ来ましたね。
(2人)せ〜のデータマン!
徹底的にスポーツの数字を追い求め体を張るデータマン…
400mリレーのだいご味を数字から掘り起こせるか?横たわる謎は日本チームがなぜ一見損をするアンダーハンドパスを選ぶのか
初めまして。
データマンの安岡と申します。
ようこそいらっしゃいました。
順天堂大学の佐久間と申します。
アンダーハンドパスの秘密を解き明かしてくれるのが佐久間和彦先生。
日本代表選手を数多く指導してきた
「心をつなぐもの」。
すてきです。
もらう人が手のひらを下に向けます。
はい。
下から上の方に向かってやる。
これがアンダーハンドパスですちょっと待って下さい先生。
ここが90度ぐらいですかね。
はいそうですね。
ちょっとお待ち下さいね。
90度という事ですね。
さすが。
すごいとこ目つけてくるな。
あそこの角度…。
何か関係あるのかね?辺がですねここが1:1:っていう…。
腕の長さの平均はおよそ60cm。
それを基に計算すると利得距離は84.6cm。
バトンパスは3回行われるため合計で2m54cm。
一方オーバーハンドパスの利得距離は1m40cm。
それが3回で4m20cm
オーバーハンドパスの利得距離からアンダーハンドパスの距離を引くと1m66cm。
日本チームは損をしている
ところがアンダーハンドパスはいろんなところでいいところがあるんですね。
アンダーハンドパスにどんな利点が?バトンパスの瞬間を目の当たりにしその秘密をあぶり出す
はいこんにちは。
(一同)こんにちは。
実験に協力してくれるのは…
バトンの受け渡し区間リレーゾーンの20mをオーバーハンドパスとアンダーハンドパスで走り比べる。
通過タイムは光センサーで計測する
お願いします。
まずは…
うわっ速い。
はい!「はい!はい!」とか言うんですね。
2秒27。
2秒27。
いつもやっている多分メンバーなんでしょうね。
利得距離で有利なオーバーハンドパス。
通過タイムはどうだろうか
手ピ〜ンって伸びるんですね。
オーバーハンドパス3組の平均タイムは2秒29
みんな速いなでも。
続いて…
はい!
タイムは?
何秒でしょう。
2秒24。
お〜速い!速くなった。
オーバーハンドパスに比べて利得距離でかなり損をしているはずだがなぜかアンダーハンドパスの方がタイムが速い
何で速いの?
実験の結果オーバーハンドパスの平均2秒29に対しアンダーハンドパスは2秒27。
0秒02アンダーハンドパスの方が速かった。
そしてバトンパスは1レースで3回行われるため合計で0秒06。
100分の1秒が勝敗を分ける400mリレーでその差はかなり大きい
お〜なるほど。
損をしているはずのアンダーハンドパスの方がなぜ速いのか?実はオーバーハンドパスにも不利な点があるという
(佐久間)この腕を伸ばすという事が走るフォームランニングフォームから考えると非常にいびつな形。
走りづらい疾走フォームになっているという…。
そういう事で20mのゾーンの中でのタイムが上がらない一つの理由かというふうに考えられます。
なるほど。
確かにちょっと苦しそうですよね。
この腕の角度は。
一方アンダーハンドパスは…
(佐久間)渡す方ももらう方もランニングフォームの形を崩してないですね。
そうですね。
(日村)あ〜本当だ。
もうそのまますんなり行きそう。
(佐久間)加速をする事ができるという。
特にバトン受け走者が無理に手を上げてない状況でバトンの受け渡しができるというのが特徴ですね。
実際に走った選手にバトンパスの違いを聞いた
どっちでもいいよって言われたらどっちがいいですか?下信奉者ですね。
オーバーだと手を上げた分距離稼げるんですけどもかといって手が曲がってしまったりちゃんとまっすぐ伸ばして渡せればいいんですけど失敗とかもしやすいので。
バトンを落としやすかったりとかするのでそういう点では…
オーバーハンドパスに比べ距離で1m66cmも損をするアンダーハンドパス。
だが日本チームはスピードという得を取っていた
(実況)日本リレー種目初めてのメダルを取りました!これ実際アンダーの方が走りやすいんですか?走りやすいですね。
フォームがそのままで渡しやすいのも渡しやすいですしもらう方も手を高く上げるとどうしても体がブレるんですけどアンダーだとそのままのフォームを維持して低い姿勢から徐々に加速できるって事で。
これみんなやればいいじゃないかと思っちゃう。
だってジャマイカの選手だって何だってそっちの方が有利って事は分かってんじゃないですかね?では日本人選手と海外選手どう違うんでしょうか。
再現してみましょう。
(3人)はい。
陸上のトラックの1レーンは幅が122cmなんですね。
今足元に出ましたね。
122cm。
ここに海外の国の人たちがアンダーハンドパスやりたいけどできないという理由があるんですよね。
そうですね。
この幅に秘密があります。
1m22。
はい。
ここでジャマイカのリレーメンバーおなじみのウサイン・ボルト選手とヨハン・ブレーク選手の実寸サイズをご用意しました。
でかいな!
(朝原)ヨハン・ブレーク選手とかってものすごい体してるんですよ。
こう厚みも加わってきて…。
ボルト選手も2mぐらい身長ありますんでそういう意味では2人でピタッと横に並ぶというのは結構難しいかもしれないですね。
はあ〜!なるほど。
オーバーだと手の分がありますので縦にこう並んで走れますよね。
…なんですけどアンダーの場合は体を近づけて。
併走みたいな感じですよね。
なので結構幅が必要になるという事。
この中にね。
横に並んだ状態で…。
なるほど。
アンダーじゃあやろうと思ってもこの幅でできないんだ。
そう。
体格差がやっぱり日本人とは違いますから。
ああ〜なるほど。
日村さんじゃボルトの横に…。
体の横だったらこの辺の選手たちと変わらないかもしれない。
ここは…。
この辺かな?日村さん…ああ駄目だね。
これで渡したとしたらもうぶつかっちゃうからね。
こうなっちゃうね。
こうなって…。
もうボルトもぶつかってこっち行っちゃうかも…。
行っちゃうね。
ああなるほど。
…ね?このアンダーハンドパスにしたのは2001年なんですけど…。
2000年のシドニーオリンピックはオーバーハンドなんです。
変えようって言ったらすぐそれ変えられるもんなんですか?1年で変えましたね。
そのかわり冬の間とか合宿でアンダーハンドパスの練習をして。
なるほど。
でも結果それが功を奏して…。
そうなんですね。
そうやってバトン練習一生懸命練習してちょっとずつタイムも要は縮めていこうっていう作戦じゃないですか。
走力ではもうすごい差を特にジャマイカアメリカにはあけられてますのでそこをなんとか走力で本当は埋めたいんですけどまずは…すぐには埋まらないのでできるところでバトンでちょっと埋めようという。
日本チームはなぜリレーで好タイムをたたき出せるのか。
その秘密を探るためやって来たのは…
先生!データマンの安岡です!はい!学芸大の繁田です!よろしく!先生も大変。
柔軟な視点と発想でリレーを科学する繁田進先生。
リレーでタイムを短縮できる理由を聞いた
どうしてリレーだとそんなにタイムが短縮できるんですか?それは実際は100mではなく加速をつけていきますので120mぐらい走る事になるんですよね。
バトンの受け走者はリレーゾーンの10m手前にあるブルーラインから走りだす。
バトンをパスするのはリレーゾーンのほぼ真ん中。
10m付近で行われる。
そこから次の走者にバトンを渡すまでの距離が100m。
加速区間のない第1走者以外はおよそ120m走る計算になる。
加速区間とはバトンを受け取る前に走る20mの事。
これがタイムにどう影響するのか
この20mでそんなに違いが出るもんなんですね。
違うんですね。
この20m加速する事によって加速しない時に比べて大体0秒5から1秒違います。
そんなに違うんだ。
そんなに違います。
例えば北京オリンピック38秒15です。
日本チームの…。
それを4で割りますと1人9秒53なんです。
9秒53…あれ?そう。
ボルトの9秒58を上回ってるんですよ。
世界新記録ですよね。
そうなんです。
ジャマイカのウサイン・ボルト選手よりも速いとはリレーで何が起きている?
単純に計算したらね。
50m走を加速区間ありとなしで走り比べる
よ〜いスタート!
まずは加速なしの50m
ああっ!
タイムは…
データマン意外に足が速い。
続いて20mの加速を加え50mのタイムを計測する
よ〜いスタート!
どのくらいタイムは短縮するのか
データマンあんまり速そうじゃないんですけどね。
走り方…。
ああっ!おお!上がってる!50mで0秒6変わるって事は100m走ったら1秒近く変わりますからこの20mが魔法の20mなんです。
本当だ〜!すごい!
リレーでタイムが大幅に短縮する要因。
それはこの20mの加速にあった
ジャマイカとかアメリカの強豪国に比べて日本選手は走力が劣る訳じゃないですか。
そしたらその長くなった分不利になったりはしないんですか?それが違うんです。
繁田先生によれば最後の20mに日本人選手の強さの秘密が隠されているという。
最後に強いとはどういう事なのか
このデータを見て下さい。
これは朝原選手の100mの10mごとのスピード曲線なんですね。
一番出るのがこの70mぐらい。
普通は60mぐらいが一番高いんですけど。
トップスピード。
朝原選手と比べるのは…
パウエル選手のこれがスピード曲線なんですけれども。
100m元世界記録保持者ジャマイカのアサファ・パウエル選手
(繁田)最高速度が12近くいってでも最後の方は朝原選手とほとんど変わらないですね。
朝原選手は最高速度が11.35なんですけれどもパウエル選手よりも0.3低いんですけれども最後は11.0なんですね。
朝原選手に比べパウエル選手は後半の落ち込みが激しい
100では負けてますけど120まで走ったらどうなるか。
これを見てみますとですね。
あっ!
100m以降の推定値では朝原選手のスピードが上回る計算となった。
最後の20mで0秒06。
距離にしておよそ60cm差を縮めている。
筋力の少ない日本人選手は前半の爆発力こそないが体力が維持できる。
それが後半のスピードが落ちない理由だと繁田先生は言う
アンダーハンドパスにおいてはどういう利点が…?なるほど。
アンダーハンドパスの利点というのが日本人の走りの特徴と合致している。
日本チームの強さの秘密。
それは後半での落ちないスピード。
それをアンダーハンドパスが最大限に引き出しタイム短縮につなげていた
う〜ん!面白い!面白いデータ出てきましたけども日本人は後半のスピードが落ちない。
失速しないというかそのままスパ〜ンスパ〜ンスパ〜ンとうまくつながっていくって事…。
スピードが落ちないで走れるっていう。
それは上手だと思います。
さて緻密を究める日本の400mリレー。
実はもう一つ日本らしい緻密な戦略があるらしいんです。
足が長いと書いて足長というものなんです。
足が長いのだともうじゃあ俺とかまず駄目ですよね。
日村さんって割と太ってる割には足長いと思うんです。
バレてた!?うれしい。
この脚の長さじゃなくて足の裏というか…。
足の底の…。
ええ。
そこで勝負の鍵を握る足長の秘密を調べてきました。
足長とは一体…?データマンがやって来たのは…
苅部先生ですか!?おおすごい!高〜い!
400mハードルで2度のオリンピック出場を果たした苅部俊二先生。
北京では日本リレーチームのコーチを務めた。
苅部先生があるレースの映像を見せてくれた
これは北京オリンピックの予選になりますね。
このレースは波乱のレースだったのでバトンのミスっていうのが出てきます。
へえ。
バトンミスにより4か国が姿を消したこのレース。
選手はほぼ横一線のまま最終カーブへ。
6レーンのナイジェリアにご注目
(苅部)ナイジェリアなんですけど手を上げてるのに全然後ろの選手が来ない。
これ届いてないです。
ナイジェリアはなぜミスをしたのか。
その理由はレース前に行うお決まりの儀式足長にあった
これが足長?そうです。
ここから…知らないですね。
こんな事やってんですか。
地味な事やってるんですよ。
試合前に。
そしたらこう貼っ付けて取れないようにして…。
このテープは足長テープ。
受け走者が走りだしの目安としてレーンに必ず貼る。
そして渡し走者が足長テープを通過したと同時に受け走者は走りだす
ああなるほど。
渡し走者と受け走者のタイミングがずれると…
これを早出とか遅出とか我々は言ったりしますね。
バイトとか勤務体制みたい。
そこで足長がバトンパスに与える影響を実験してくれるのが…
黄色の旗は正しい足長の位置。
ここから走りだせばバトンパスはピッタリ合う計算だ。
しかし1足長およそ30cm受け走者の走りだしを早くしてみると…
渡し走者は受け走者に追いつけずバトンはつながらなかった。
ナイジェリアがバトンミスしたレースでもアンカーが待つレーンの数m手前には各国の選手の足長テープが貼られている。
ナイジェリアのバトンパスを見てみるとアンカーが走りだしの動作に入った時第3走者はまだ足長テープのおよそ2m手前にいた。
走りだしのタイミングよりアンカーが早出したのだ
ええ〜っ!何でそんな早く…。
うわっ全然早い。
(苅部)早く出てしまって追いつかない。
手出してるんですけどまだ渡せる距離に来てないんですね。
いざ渡せるっていう時にこの選手は多分これ以上行ったらバトンオーバーしてしまうなっていうので減速してるんですね。
なので急ブレーキをしてこれぶつかってます。
ここでもし渡ったとしてもここからまた走りだすというのはなかなか難しいですね。
減速から加速ってきついですもんね。
ここではナイジェリアのほかにアメリカも…
これね。
つかみ損ねた〜!
早出したナイジェリアの動きにつられた事が原因だという。
特に最終カーブでミスは起こりやすい
(苅部)やっぱり勝負が決まるところですので勝ちたいという気持ちがすごく強いので相手の速い選手に一緒につられて出てしまったりそういう事がありえるので…。
なのでなかなか冷静に自分のマークを見るっていうのは非常に難しい。
(設楽日村)はあ〜!
この波乱のレースで同じ組を走っていた日本チームは…
うわ〜!すごい!ちゃんとバッチシだ。
僅かなずれもなくタイミングはピッタリ。
足長が勝敗の鍵を握っていた
確かに職人だ。
(日村)なるほどね。
超面白い。
あのピッて貼った足長テープ。
全部の試合でよく見ればありますか?あれがなかったら出るタイミングが分からないのでありますね。
何であんな出ちゃうんですか?ナイジェリアの選手は。
そう!あんな世界のさ最高の…一番のとこじゃん。
過去のレース振り返ってみて焦って測った足長テープよりも先に動いた事ってありますか?僕しょっちゅうあるんですよ。
あるの?そんなにあるんですか?僕苅部監督に言われるんじゃないかなってドキドキしてたんですけど僕早出の朝原って…。
(日村)駄目駄目。
ナイジェリアの選手と一緒じゃないですか。
私はアンカーの所で待ってるじゃないですか。
二十何秒間か…。
その時に確認とかしたら最悪なんですよ。
確認はしますよ。
ちゃんと渡ってるかどうか。
でも本当に事務的に見るというかそこに感情を移すと「お〜よし来た!」ってなって早出する。
さっきのナイジェリアの選手みたくなりますよね。
やはり年を取ってそういう失敗を繰り返して北京はあのとおりバッチリで…。
コンディションではどうですか?個人の…足長変わります?それはもう全然変わりますので…。
なのでウオーミングアップ中のメンバーの体調とか自分の体調とか話し合ったり…あるいは見てこの選手最後まで今日は来そうだなっていう時はもうちょっと足長延ばしても大丈夫かとかそういう判断を…。
日本人は半足長とか微妙な…一歩の半分…足の半分ぐらいのところも調節して…。
ちょっと勝負じゃないですか。
そりゃ勝負ですよ。
だから北京の決勝の時とかは一か八かの勝負ですから足長ギリギリで長めにとってます。
予選の時はちょっと控えめにとって確実にバトンが渡る距離にしてるんですが決勝は広げて広げて…。
(日村)広げたんですか?これで渡らなかったらもうメダルはない。
ただ渡ればもしかしたら…。
なるほど。
ギリのところでみんなやってたんですね。
今鳥肌立った。
そんな事してるって知らなかったです。
勝負なんでね。
見よう見よう。
今度から足長。
さあ2016年のリオデジャネイロ・オリンピック2020年の東京オリンピックですけれども日本代表が金メダルを獲得できる可能性はあるのでしょうか。
データマンが大胆予測しました。
現在の世界記録はウサイン・ボルト率いるジャマイカの36秒84。
2012年ロンドンオリンピックで記録したものは…。
(実況)トップはジャマイカ1着フィニッシュ!また出た世界記録!日本が金メダルを獲得する夢物語は存在するんだろうか。
夢の可能性を探るべくジャマイカへ!
ジャマイカ行ったの?
ではなく鹿児島県にある…
わっびっくりした。
ジャマイカ行ったのかと思った。
どうも初めまして。
データマンの安岡と申します。
松尾と申します。
よろしくお願いします。
長年日本陸連の科学委員会で活躍した松尾彰文先生。
日本リレーチームの銅メダル獲得を陰で支えた
(朝原)あの先生データ大好きなんです。
日本チームが世界の頂点に立つ可能性はありますでしょうか?データいじってけばアメリカジャマイカに近づける事はできますけども…。
「データをいじれば」?「データマン」っぽくていいじゃないですか!先生それですよ!
日本がトラック種目で初の金メダルを獲得するには…
まず仮想の日本代表メンバーとして100m自己ベスト上位4選手を選出
(日村)桐生選手ね速いな〜。
この4人が400mリレーを走ったと仮定しタイムを割り出す
算出の基になるのは選手が100mで自己ベストを出した時のスピード曲線。
100m以降は後半のスピードの変化から推定した
そして受け走者がスタートし渡し走者のスピード曲線と交わる所をバトンの受け渡しポイントとする。
20mの加速区間も想定し算出されたタイムは…
37秒13。
おっ37秒13?速っ!37秒13。
(松尾)…になります。
これメダル…。
(朝原)確実ですね。
日本チームが北京オリンピックでマークした記録が38秒15。
それを1秒以上上回った
(日村)うわ〜!
ジャマイカの世界記録にも手が届きそう
更に日本のお家芸アンダーハンドパスの利得距離も計算。
84.6cm×3回で合計254cm。
タイムに換えるとおよそ0秒25
あと100分の4秒か。
それをジャマイカとの差0秒29から引くと…
あと僅か!
先生惜しいですよこれ!100分の4秒。
あと何かないですかね?何かもう一個あれば絶対これ超えますよ。
う〜ん…。
あとはもうバトンパスのゾーンの通過のところでどういうふうな工夫をするかという事になってくると思います。
工夫がまだできる余地があるんですね。
松尾先生が提案する秘策とは?極限まで攻めるバトンパス
日本チームを含め多くの国が20mのリレーゾーンの真ん中10m付近でバトンパスを行う。
残りの10mはミスが生じた時の保険だ。
だが松尾先生の秘策はリレーゾーンの出口20mギリギリでのバトンパス。
受け走者にできるだけ加速させるためだ。
そのためには渡し走者が後半の減速を抑える事が必要となる
お〜なるほど上がっていく訳だ。
それが実現した時タイムは…
まあそれぞれの区間とこれで…1か2…2までいかないかな。
それは分からないですけども。
可能性なんでコンマ02としましょう。
(松尾)だとしたら3か所で…。
コンマ06ですよね?コンマ06改善できればジャマイカをコンマ02上回りますよね。
世界記録ですよ。
世界記録よ。
仮想メンバーではね。
でもとてつもなく大変な作業です。
リレーゾーン20mギリギリでバトンがつながれば金メダル。
だが少しでもオーバーすれば失格
(日村)夢あるな〜。
プレッシャーのかかる恐怖のバトンパスに挑戦してくれるのは…
通常の受け渡しバージョンからお願いします。
まずリレーゾーンのほぼ真ん中でバトンパスを行う
はい!
ねらいどおりほぼ真ん中…
通過タイムは…?
次はバトンパスの位置を更に出口付近へと近づける
はい!
15m地点でバトンパスが完了した
真ん中でバトンパスを行うより0秒01速くなった
データどおり。
100分の1秒速くなったっていうのはバトンの受け渡し場所を後ろにずらしたから?そこか…ですよね。
違う要因というのはそこが大きいと思う。
意識としてはその先15mの所ぐらいで渡ってもいいのかもしれないっていうすごいいい参考…実証データになったと思います。
ただあと5m延ばすのはどうなのか…。
ギリギリやってみます?はい…。
お願いします!これはオーバーしてもいいから。
はい分かりました。
では20mギリギリのバトンパスでお願いします!
失敗覚悟のギリギリのバトンパス
はい!わ〜いった!すげえ〜!
リレーゾーンの入り口から19m。
あと1mタイミングがずれていれば失格
タイムが期待できそうだ
49。
2秒49です。
あれ?遅くなったのか。
なぜ遅くなった?
超ギリギリでしたよね今。
そうですね。
今日のタイムものすごい面白いトライアルだったのでこれやってよかったと思います。
可能性はゼロではないけど相当難しい…。
大変なチャレンジです。
…って事ですよね。
究極の攻めのバトンパス。
これを成し遂げた時表彰台の真ん中に立つ日がやって来る…のかもしれない
やった〜!金メダル〜!金メダル取りましたね。
ねえ!すばらしい。
陸上で金メダルって気持ちいいですね。
いやでもこれやる価値ありますよね。
もっと前にするっていうのは。
あの…条件がありましてねしっかり120mぐらいを落ちずに走れるっていう条件とあとはもう度胸です最後…。
僕らぞわぞわゾーンって呼んでるんですけどもうこれ以上行くと渡らないっていう…。
15以上ですか?15以上の所はもう…。
そこを勇気を持って突っ走るっていうのができれば…。
今回どうですか?朝原さん。
20mのバトンゾーンにスポットを当ててきましたけど…。
まあやはり渡す所っていうのはすごい繊細なデータもきっちり出ますし細かい作業でやってるんですけど結局はその細かい技術が成り立つっていうのはやはりそれぞれ走者が信頼関係を持ってるっていう事なんですよね。
それがないと思いっきり出る事もできないですし安心して渡す事もできないっていう事で結局は人間同士のつながりみたいな事が結構勝敗を左右する事になりますね。
日村さんどうでした?特に走る系の競技で日本がほかの国…アメリカやらジャマイカに勝てるとはとてもやっぱり…正直思えなかった。
このリレーに関してはもしかしたらあるっていうのがすごい分かりました。
夢のある競技だな400mリレーって。
今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
さようなら。
足長。
2014/10/01(水) 01:25〜02:10
NHK総合1・神戸
ザ・データマン「“1m66cm”損して得取れ 400mリレー金メダルへの道」[字]
スポーツを数字で徹底解剖する番組。今回は400mリレー日本代表の強さに迫る。日本の切り札は「アンダーハンドパス」。注目する数字は1.66m。そこに潜む秘密とは?
詳細情報
番組内容
スポーツを数字で徹底解剖する番組。今回は400mリレー日本代表の強さに迫る。4人の走者がベストタイムで走っても世界にかなわない。そこで、日本はバトンパスを徹底研究。ジャマイカやアメリカなど強豪国が「オーバーハンドパス」を行う中、「アンダーハンドパス」を採用する。それが、北京五輪の銅メダルという結果につながっていた。浮かび上がる数字は1.66m。銅メダリスト朝原宣治さんと共に、その秘密に迫る!
出演者
【ゲスト】朝原宣治,日村勇紀,【出演】安岡直,【司会】設楽統,竹中三佳,【語り】大江戸よし々
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – マラソン・陸上・水泳
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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