亀田音楽専門学校 第8回「揺れる心のビブラート」 2014.11.20

J−POPの名曲に隠された秘密を解き明かす亀田音楽専門学校。
ゲスト講師にゴスペラーズの皆さんを迎え今回は声を震わせて歌うビブラートの魅力に迫ります。
・「そうよかあさんもながいのよ」更に…それでは亀田音楽専門学校開講です。

(拍手)こんばんは。
亀田音楽専門学校校長の亀田誠治です。
どうぞよろしくお願いします。
助手の中村慶子です。
よろしくお願いします。
そしてピアノ演奏でお手伝い頂くのは助手の上杉洋史さんです。
よろしくお願いします。
(拍手)そして前回に引き続きゲスト講師はゴスペラーズの皆さんです。
(一同)よろしくお願いします。
この番組のテーマはズバリ「J−POP」です。
私たちが愛してやまないJ−POPは音楽のあらゆる魅力が詰まった総合芸術です。
この番組ではJ−POPがなぜ人々の心を捉えるのか名曲を題材にその核心に迫っていこうと思います。
さあ校長。
それではゴスペラーズ先生お迎えして今回の講義のテーマは?今回はこのゴスペラーズ先生のお力を借りてとあるボーカルテクニックに迫っていきたいと思います。
それは…。
それは…。
今日のテーマは…何かラブソングのタイトルみたいですね。
ありそうですね「揺れる心のビブラート」。
このビブラートってまあ聞いた事はあります。
はい。
ひと言で言うと簡単に言うと声を震わせるテクニックだね。
ああ声を震わせる…。
うん。
「我々は宇宙人だ〜」。
これもビブラートですか?何でしょう…。
というか中村君何かもう何でもやるようになってきたね。
これ駄目ですか?どう?今のビブラートっていう?
(一同)う〜ん…。
まあ大きい範囲では震えですからそうかもしれませんけど歌に使えないですよねこれ。
すごい皆さんを困らせてしまいました。
という事でまずはビブラートが印象的な歌い手さんの名曲を何曲か聴いていってみましょう。
これじゃないよね。
そうですね。
深いですね。
シルキーだね。
きめこまやかなビブラート。
決してこれじゃないから。
こうやってるMISIA見た事ないですね。
来た!伸びやかですね。
まさよしさんはもう本当にナチュラルにビブラートかかってますよね。
全てかかってるね。
そうそう。
今黒沢先生のお話聞いてるとビブラートもいろいろあるんですか?ビブラートは何種類かありますね。
そうですね。
少なくともこれでは…。
それだけは…それだけはもう。
それはもう間違いないです。
でねビブラートは声を震わせる事と言いましたがポイントがあって…。
今の人たちさみんなやっぱ歌上手に聞こえたでしょ。
ポイントがあってさ…これがポイントだよ。
同じ振れ幅。
同じ振れ幅っていうのは何がどう同じ振れ幅なんですか?声の揺らし方の振れ幅なんだけれどこれ分かんないと思うので今日は耳からだけじゃなくてちょっと目からも揺れてる幅っていうのをちょっとした機械で検出する事ができるんです。
まさかとは思うんですけどこれがそのマイクですか?そういう事なんじゃない?それっぽいですよね。
いってみますか。
じゃあラの音がいいですか?・「ラ」じゃあいきます。
・「ラ」
(2人)お〜!
(拍手)ちょっとこれ戻してもらっていい?
(拍手)すごいきれいに波形が…。
これがビブラートさ。
さっき僕が言った同じ周期同じ振れ幅ほぼね。
人間だから多少の差は出ますけど黒沢先生お歌上手ですから。
ありがとうございます。
この周期をしっかりと反復反復反復反復同じ振れ幅でキープできる。
…でこれまたまっすぐに戻ったとこですね。
黒沢先生はラの音を音程を外さず同じ周期と同じ振れ幅で声を震わせました。
同じ周期の時間軸と音程の幅で声を震わせるテクニックをビブラートという。
じゃあ同じ幅じゃなかったらビブラートとはもう言わない?基本はこれができていないとビブラートとは言わないという事です。
ちなみにさっきの「我々は宇宙人だ」をこれで見るとどうなるのかも見てみたいですけどね。
じゃあ俺やりましょうか。
じゃあラの音からワ〜ッとやってみて。
・「ラ」・「我々は」だいぶ乱降下してるよ!全然!本当だ。
これが失敗ビブラートです。
これだと音が外れてしまっているので正しい音がもう出せていないという事になっちゃうんですね。
この辺狙ってたつもりだったんですけどね。
じゃあそもそもどうしてビブラートを使うんですか?これね…まあ歌の表現力の一つなんだけど平たく言うとやっぱり歌がうまく聞こえるんだなビブラートを使うと。
このごろさカラオケに行くとビブラート採点みたいのあるよね。
ビブラートポイントみたいな。
あります。
ビブラートとりあえず入れとくと…。
加点されるっていうね。
なぜビブラートがあるとうまく聞こえるのか。
もしくはビブラートがないとうまく聞こえないのかっていう事をちょっと今日はゴスペラーズ先生がいらっしゃってるのでそこら辺を実験してみたいと思います。
まず村上さんに先週も歌ってもらったアカペラの「ひとり」っていう曲の歌い出し「愛してる」を渾身のビブラートで。
渾身の?レコード量多めぐらいの?盛っちゃって下さい。
渾身です。
(拍手)特にここにかかったね。
ここの…。
ロングトーンにね。
ここにかかった。
じゃあビブラートなしだと…。
お〜まっすぐ!まっすぐだったね今。
ビブラートなし。
何かちょっと愛してる気持ちが違うような気もしますね。
やっぱりこのビブラートが入る事によって音符に伸ばしてる音に声に感情がこもるよね。
明らかに愛の量がこっちもうこんな感じ。
てんこ盛り。
こっち「え〜?」みたいな。
サクッとしちゃいますよね。
さっぱりしちゃうんだね。
この曲その後の歌い出しのインパクトがすごい大切な曲なんで…。
この曲が始まったぞっていう来た感みたいなのがちょっと減っちゃいますねこれね。
僕ね今愛の分量って言ったけど「愛してる」を英語にすると…。
(一同)アイラブユー。
という事で…ヘヘヘヘッ仕込ましてあるんで。
ダ〜ン!なるほどね!これもビブラートありとビブラートなしで歌ってみてもらっていいですか。
これがビブラートありですね。
相当サービスしてくれて…。
結構「I」かけんのすごい大変なんですけど…。
こんな短い「I」にかかってましたよね。
ここでこうなって…。
そしてビブラートなし。
はい。
少年。
何かビブラートかけた方はいろいろあったのかなみたいな。
でもそういう事じゃないですか?まさにこの尾崎豊さんの「ILOVEYOU」はいろいろあったんだろうなという「ILOVEYOU」の曲なんですよ。
歌詞の内容全部。
この声の振れ幅っていうのはやっぱり感情の振れ幅とシンクロしてるんだよきっと。
それではここからビブラートを使った名曲をご紹介していきましょう。
まずは深いビブラートが特徴のこの曲。
スッと吐き捨てるような消えていくビブラート。
そして最後…。
・「なけばいいだろう」ここでグググッと余裕見せてるような…。
ちょっと深いですよね最後のビブラート。
ここのすごいよね?最後の。
渾身の揺らし。
明らかに音程変わってますもんね。
でもこの極端なビブラートが俺大好きです!ケンさんの聴いてきた音楽がにじみ出てる感じがして。
音楽性が伝わってきて好きです。
これ浅かったり深かったりするんですか?一定にかけてかける回数でそれを表現する方もいます。
例えばここは2回ここは2回ここは5回とかそういうふうに。
えっ2ビブ?そう2ビブ。
2ビブ5ビブみたいな?ビブラートを使い分ける方がいらっしゃるので…。
本当人それぞれなんですけどね。
だからビブラートの使い方には用法と用量があるって事だね。
それを皆さん使い分けて情念を込めたり…。
情念!情念。
まあ情念に近いものがあるね。
そうですね。
特にこの歌はすごいですね。
こうやって見てみると最後の音っていうかそこで使うものなんですか?あ〜でも基本的には…。
長い音ロングトーンの中の方が震えてるのも分かりやすいので。
声を伸ばしてる方が例えば短い所で言うと「し」に例えばかけられる?みんなだったらできちゃうか。
・「あいし〜た−」って事ですね。
だから「し」をちょっと長くしたくなっちゃう。
その分時間が必要なので。
次の音が来ちゃうから。
だからこういう長い音符のロングトーンで使うと効果的。
語尾に使う方が使いやすいですよね。
続いては泣きのビブラートが印象的なこの曲です。
いいですね。
内山田洋とクール・ファイブの「長崎は今日も雨だった」。
「いいですね」っておっしゃってましたけれども。
まさに泣きのビブラート。
泣き。
これは男女の別れ歌の歌なので。
それがロングトーンの時に揺れていく事でおいおい泣いているというか。
そういう感じが出てるんですけど。
嗚咽だ!オエオエオエオエオエ…。
(笑い声)横隔膜のけいれんが…。
感情が込められているというね。
だから本当に演じるという意味で必要だったビブラートだと思うんですね。
ちなみに基本ロングトーンは全部来てたよね。
そこにまず来ますねいきなり。
・「あ−−あ」・「ながさきは−きょうも〜」。
まあ最初は結構まっすぐからちょっとかけてくるって感じでしたけどね最後だけはね。
まっすぐからかけていくっていうビブテクもあるって事ですか?これはすごく広がるんですね音が。
そうですね。
最初にノンビブラートでやるとまっすぐな所からこういうふうに揺れをやるとすごく音が広がっていくようなイメージに。
盛り上がりが表現できますね。
あ〜ちょっとじらしてる訳だ?初めから行かないで。
じらしがあるって事ですね。
じらし好きですね。
・「泣いてないの」・「オウオウオウオウオウ」みたいな。
これ時間差攻撃。
まず歌詞を言う部分だけは歌詞はちゃんと届けきってから感情が抑えられなくなりましたという感じですね。
一人時間差…。
ちゃんと「雨だった」っていうこの情景をしっかり伝えきってそのあと…。
泣くという。
なるほど。
これは僕が子どもの頃の曲でもう大ヒットしていて大人の世界だなと思って聴いてましたけど。
大人っぽいですよね。
でも子どもながらにも大人の世界の事を歌ってるんだな。
別れの事を歌ってるんだなというふうに感じれたのはこのビブラートによる嗚咽のような泣きの揺れの心が入ってたという事だね。
続いては細かいビブラートが印象的なこの曲です。
今まで出てきた割と前の2つっていうのは結構強力にかかっている。
今のJUJUさんの声って本当にポイント絞って少し速いかなちょっとビブラートの感じっていうのが。
波の感じが。
「長崎は今日は雨だった」とか波がでかくて大波…。
少し大げさに言えば・「アウアウアウアウ」っていうのが。
まあ嗚咽ですからねっていうね。
大波で…。
クレイジーケンバンドのケンさんも確かに大きいうねりだがJUJUさんのは…。
優しいですよね。
単純に波の感じがさざ波のようなビブラートですよね。
さざ波ビブ。
その辺の具合も本当に多分JUJUさんだったらいくらでもコントロールできる。
なるほど。
いっぱい盛り込もうと思えばきっとできるんだよね。
深いビブラートできると思うんですけど。
熱すぎないというか歌い方が。
感情移入され過ぎちゃってうわ〜って言われてこちらが後ずさりしちゃう感じじゃなくて…。
逆に引く事で相手が寄ってくるというのもあるじゃないですか。
駆け引きだ。
それがすごいいろんな細かい設計図がきっとあるんだろうなっていう。
そういう歌い手さんですね。
続いては歌声のほぼ全てにビブラートがかかったこの曲です。
いいですね。
いいですね。
坂本九さんの「上を向いて歩こう」。
歌い方というか声そのものに…坂本九さんそうですね。
そうですよね。
もちろんそれはコントロールされてるんだと思うんですけども自分の声…歌唱法というよりも声の特色の方に取り入れてらっしゃるというか。
基本的にはかかってる状態震えてる状態ですよね。
それは伸ばす音だけじゃないという事なんですか?・「うえを」の「うえ」意識しなくても「ふ〜」っていうふうにかかってます。
もうほぼほぼ全部に本当にきめこまやかなこれが入っていますよね坂本さんの歌って。
そうですね。
でもくどくならないって事ですよね。
くどくならない。
まずね細かくて…。
浅いですよね。
浅いの。
なので優しく聞こえるっていうのが…。
坂本さんの歌を聴くと優しく包まれてるような気持ちになるっていうのはこのビブラートすごくきいてますよね。
普通にいたらひょっとしたら矯正されてしまったかもしれないような事なんですよ。
「ちょっと震え過ぎじゃない?取った方がいいんじゃない?」という事もあったかもしれないって事ですね。
でも一声聴いただけであっこれって九さんの声だよねって分かるそういう個性として捉えたんじゃないかな…。
捉えたし時代が受け入れたんだろうね。
恐らくあまりに明るい声だと思うんですこれ。
ビブラートがなかった時に九さんの声って。
だからそれが本当にそのままいこうとなったんだと思いますね。
やっぱり陰がこの震えによって絶対に陰が出てる。
何か僕も思うんだけどビブラートこの揺らしが入る事によって日本人独特の湿り気みたいのが加わると思うんですよね。
うん。
もしかしてそれは民謡とか演歌とかの由来の音楽の歴史の中でず〜っと受け継がれてきている。
声を出す歌を伸ばす歌に気持ちを込めるっていう時に欠かせない一つのテクニックというか技としてこのビブラートというのが受け継がれてるんじゃないのかなという感じはする。
これゴスペラーズのメンバーって5人いるから聞いちゃうけどビブラートきかせる方?きかせない方?ビブ派?ノンビブ派?僕はどっちかって言うとナチュラルにやってるとビブラートがかかってしまう方なので。
ナチュラルビブ?ええ。
だからふだんは割と意識してます。
ここかけちゃ駄目とか。
そうしないと全部かかっちゃう?普通に歌ってワ〜ッと歌えって言われたら割と細かめのビブラートがかかる方なんで。
それこそ坂本九さんタイプ。
安岡さんは?僕も一緒で何も考えないとかかってしまいがちなので取るという方のかけないという選択肢を常に持つようにしてますね。
酒井君は?全く逆でノンビブ派なんですね。
だからかける時には「ペペッ!よっしゃかけるぞ!ブ〜ン!」っつって「おっしゃ〜!」ってやらないと…。
モードに入れないと?そうですね。
心構えがいるぐらいですね。
村上先生は?僕ね声域によるんですよね。
音域による?声域ですね。
ほっとくとかかる地声のレンジと高いふわっとした声は意識的に行かないとそんなにはかからないです。
北山先生は?ゴスペラーズでやってる時というのは基本的にはみんなすごい音圧を持ってるので自分がたとえリードボーカルの時でもコーラスでグッと押し出されてくるとここはかけたくなるなという場面の方が多いかもしれないですね。
だからどっちかって言うとビブラート派です。
それぞれ使い分けてるという事ですね考えながらね。
続いては楽器のビブラートについて学びましょう。
実はビブラートで感情を表現できるのは人の声だけじゃないんです。
声だけじゃない?声だけじゃなくてほかの楽器でもビブラートというものを使っていろんな感情や表情を出す事ができるんです。
バイオリンを弾く時にバイオリンを必ずこうやってるじゃん。
あとチェロの人とかもこうやってるじゃないですか。
あれはビブラートなんです。
それで音の震えを出してるんですか?そう。
皆さん楽器にこの気持ちを込めたり…。
ちょっとその効果をね試してみましょうか。
ベースで僕が。
(拍手)よっ!題材にするのは椎名林檎さんの「本能」という曲がありましてど頭に林檎さんの歌とユニゾンでベースがフレーズを弾いてるんです。
ちょっとそれをやってみますね。
まずはビブラートなし。
手見てね。
手見てね。
ビブラートしてないよ。
さあビブラート入れるよ。
イエ〜イ!
(拍手)でねやっぱり楽器でも…まっすぐの時よりもビブラートをかけると表情が出るでしょ。
声で表現するというか声で聴かせるビブラートとは違う効果はあるものなんですか?いや僕は今同じ気持ちで…。
揺れる心であったりドロドロとした僕の本能むき出しの気持ちを込めて…。
顔がついてくるけどね。
顔ですね。
ビブラートっていうのはとにかく楽器でも弦楽器。
ピアノはできないね。
できないですね。
揺れが甘いんですねピアノは。
ピアノ揺らせば!揺らせば。
我々作戦だよ!「ア〜」っていう。
乱暴なやり方しか。
でもこうやってビブラート入れる事によってよく言うギターが泣くとかね。
はいはいはいはい!「ギターは泣いている」なんていう曲もありましたけども泣きであったり感情…。
やっぱり湿り気ですね。
なにかしら湿り気であったりドロドロッとした成分を表現する事ができるという。
すごい表現の幅のあるテクニックだと思います。
ノンビブラートの効果について学びましょう。
実はねさんざっぱら今ビブラートの話をしてきて「ビブラートはすばらしい」「ビブラートっていいね」って話をしてきましたが実はビブラートをしないボーカルビブラートしていない歌にもすばらしい歌すばらしい表現力名曲がたくさんあるんです。
そんなノンビブラートの楽曲をお聴き下さい。
これビブラートがないから泣けるんだねきっと。
間違いないです。
感情が入ってないから歌詞が直来ちゃうんですよね。
まっすぐ!何か澄んでる感じがしますね。
そうですね。
特に松任谷…荒井由実さんか。
やっぱりまっすぐ歌ってるからこそ歌詞の内容が直に胸に来るんですよね。
もしすごいビブラートかけて「私はすごいこういう気持ちで歌ってるのよ!」というふうに歌われたらひょっとしたら聴いてる方は素になっちゃうかもしれないですね。
お歌上手ですねになっちゃうかもしれないんだけどあのフラットな表現にフ〜ッと行くからこそ「うわっ!うわっもう悲しい」みたいになっちゃうんですね。
あの切なさというのはノンビブラートだからこそ表現届いてくる。
ピュアで無垢なものだからあの歌詞の内容人混みに流されて変わっていく。
大人になってしまってこの無垢なものが失われてしまうんじゃないかというところが聴く側に対してたまらないんですよね。
ちなみにビブラートをかけないという事は実はちょっとリスクというか危ない事もあって…。
ビブラートかけてるとちょっとごまけたりするんですけどビブラートかけないと音程がすごいシビアなんですね。
やっぱり本当にちゃんとコントロールしないと正しい音というか気持ちいい音に行ってるかどうかっていうのは如実に伝わるので。
それね奥田民生君が言ってたの。
バンドの中でうるさ〜いアンプとかドラムの中で負けない音をとにかくまっすぐな声で出そうとしてたらあの歌い方になっちゃったんだって。
なおさらそれだけだと物足りなくてピッチもしっかりしなきゃいけないというんでピタ〜ッと当てて周りの楽器の音に負けないためにノンビブラートでいく。
そういう決意の表れなんだって。
じゃあバンドの中の一要素としてどこまでも太い一要素でありたかったという事でしょうね。
という事なんだね。
AKBの皆さんの場合はどうなんですかね?あれビブラートがかかってるのを想像したら相当きつい。
何十人という方がそれぞれ…。
あれビブラートきかせたら…。
「Iwantyou」「Ineedyou」来たら大変だから?あの歌の価値がもう一気に下がると思いますね。
「Iwantyou」「Iloveyou」「Ineedyou」の辺りかけると相当濃くなりますよね。
48人の情念が…。
(笑い声)違う。
そうじゃないと思いますね。
あれまっすぐだからこそかわいらしさも出るし。
でもさこのノンビブラートの持つ純粋さとかかわいらしさもしくはまっすぐさっていうものがどれくらい音楽の中で表現できるのかっていうのをちょっとゴスペラーズ先生と一緒に実験してみませんか?
(一同)分かりました。
もしよければですね「ぞうさん」。
あの童謡のだよ。
「ぞうさん」を歌って頂けますでしょうか?じゃあビブラートなしからいってみましょうか。

(拍手)すばらしい!優しい!優しいね。
かわいらしい感じですねゴスペラーズの皆さんも。
少年のように見えた!じゃあここでこの「ぞうさん」に…。
挑戦ですね。
挑戦ですよ。
濃い口にね。
濃い口にビブラートボンって。
5人もうそれぞれでいいですね。
全部盛りでね。
いきましょうか。
お願いします。
酔ったお父さんですねこっちは。
(拍手)子どもの歌じゃないね。
ちょっとね。
いや〜すごい。
「巨大象現る!」みたいな。
巨大象?「巨大象現る!」みたいな。
すごいなこれ!何か込めた思いと歌詞の内容が何かよく分からない。
そうだね。
合ってないな。
こんだけやっぱりビブラートっていうのは情念とかいろんなものがこもっちゃうって事なんだね。
そう。
だからかければいいってもんじゃないと。
ノンビブラートの時の「ぞうさん」はやっぱりすごい純粋じゃん。
無垢イノセント。
イノセント「ぞうさん」が今どう…。
ちょっと体臭がありすぎる感じ…。
アダルト「ぞうさん」。
アダルト「ぞうさん」!イノセントからアダルトへ変わっちゃいましたね。
でね最近のJ−POPには実は意図的にビブラートを取っちゃって排除しちゃってすごく新鮮な新しい魅力を生み出しているアーティストもいます。
ちょっと聴いてみましょう。
全部最近の曲ですね。
そうでしょ?恐らく2010年以降ぐらいの作品ですよねどれもね。
ピシッと本当に針金だったりとか針だったりみたいにピシッとまっすぐになる事で逆に躍動感のある音楽の中で目立ってる。
出てくるっていう感じがあると思うんですよね。
本当に語尾がまっすぐで多分歌ってる時点でもうビブラートをかけない歌い方にしていて更に機械的にビブラートの部分を調整してまっすぐにしてるはずなんですね。
そうする事によって何か近未来的なイメージっていうかよい意味でのロボット感っていうか。
非現実的とかより夢の中の世界を表現する…。
すごくダイレクトにそういう非現実の世界へ連れてってくれるっていうか。
だからそれがアニメカルチャーとかいろんなものとひっついてクールジャパンのイメージとして今挙げたアーティストたちが海外でも注目されてるというのは分かる気がしますよね。
アニメーションみたいなものが日本がどんどん作っていった中で音楽にも生々しい人間のよさもあるけれどもこういう機械の力を借りる事によって空想の世界へ飛んでいけるようなそういうやり方を日本人だから思いついたという部分もあるんでしょうね。
最後にゴスペラーズの皆さんにこれぞビブラートという思い出の一曲を選んでもらいました。
ビートもかっこいいもん。
全部かっこいい。
我々これをカバーしてるんですね。
ああ。
これは当時のバンドのアレンジとか言葉のインパクトとか声のコントロールみたいなところどこを取っても今の1フレーズだけでも本当に隙がない曲だなと思いますね。
これさ具体的にはどこに?ビブツボはどこにあった?まず「う」に来てますね。
・「まなつのう〜みは〜」ここで来始めてここで一回グワッと来るよね。
「の」は最初ノンビブで来てそのあとビブラート。
何かこんな感じじゃない?引っかけてからですね。
細かいですねひばりさんのこのころのビブラートは。
細かいよね。
はい。
晩年のひばりさんは結構深いビブラートをかけてらっしゃいましたけどこのころは細かくてちょっと浅めですね。
多分楽曲によってビブラートを使い分けてるんだと思うんですけどこれはちょっとソウルテイストというかかなりファンキーなテイストなんでそこに合わせてあるんじゃないかと。
何かね完全に計算されて歌ってるような…。
そうだと思います。
感じます感じます。
だから2回目歌ってもきっと同じ…。
僕ずれちゃったけど同じ形で来ると思うんですよね。
さっきの機械みたいなもんでもし測定したら2回やって2回同じ線が描けるぐらい…。
それだけのテクニックがあったんじゃないかと思うんですよね。
美空さんの事で言うと僕すごい印象的なのは「お客様はレコードを聴いて来て下さるんですよねコンサートに。
だから全く同じものを歌います」と。
その「全く同じものを歌います」の意味が意味というかその精度が恐らくそういうところまでなんだと思うんです。
ビブラートまで?回数は絶対同じだと思います。
回数!?だって与える情感が変わっちゃうじゃないですか。
伸ばし方が。
なるほど。
だからこのビブラートをどう使うか使うか使わないかも含めて。
しかもそれにどれだけの物量のビブラートをかけていくかみたいな事をある意味イメージしたり考えたりするのもアーティストの個性であったり歌い手さんが歌を歌うという意味でのすごく大きなモチベーションになってるかもしれないね。
ビブラートを使うっていう事がね。
さあこれからゴスペラーズの皆さんと校長率いるバンドの皆さんに生演奏を披露して頂きます。
曲は「真赤な太陽」です。
ゴスペラーズ先生聴きどころは?聴きどころですね…。
こんだけ上がったハードルを僕らがどれだけ越えられるかでしょうね。
まあアレンジメントがだいぶ変わっているのでああこういうふうに演奏するんだって面白がってもらえるといいな。
僕らもこのアレンジでアマチュア時代から歌い続けてきているので…。
なるほど。
この曲をやったら日本中どこでもどんな人でもウケるわっていう。
それを体験としてつかんだのでものすごい大切なレパートリーなんですね自分たちにとって。
日本人の心に刺さるこの曲をでは演奏したいと思います。
それではお聴き頂きましょう。
「真赤な太陽」。
・「DownDownDowntostreet」・「オッオーオオッオーオ渚に溶ける心オッオーオオッオーオ荒ぶる海に沈めて」・「wowwowwowwow」・「バララバラッバラパッパラッパー」亀田音楽専門学校。
今回は「揺れる心のビブラート」と題してお送りしてきましたけれどもゴスペラーズ先生いかがでしたか?いや〜僕らもビブラートをここまで突き詰めて考えてきた事があるかと言うと正直なかったので今回すごく逆に勉強になりました。
自分たちのビブラートを見直すいいきっかけになったというか。
すごく楽しかったです。
校長総括お願いします。
ビブラートを使うとね単純に歌がうまく聞こえる。
でもねそれだけじゃなくて一番大事なのはその楽曲の表情を倍増させる。
いろんな表情をつける事ができるという事が一番大事な事だと思うんですよね。
日本人は貪欲にビブラートをJ−POPの中に取り入れてきてそしてそれは歌い手だけじゃなくて聞き手の皆さんいわゆる音楽の受け取り手もこのビブラートっていうものに対してすごく愛着を持っている。
だからこのビブラートっていうのは多分ね今後絶対になくならないボーカルテクだと思うんですよ。
これから新しい時代にいろんな形の音楽が生まれてく中でこのビブラートをアップデートして最適な表現をしていってほしいと思います。
それでは亀田音楽専門学校本日の講義を終わります。
ゴスペラーズ先生上杉さん亀田校長ありがとうございました。
(拍手)
(一同)ありがとうございました。
2014/11/20(木) 23:00〜23:45
NHKEテレ1大阪
亀田音楽専門学校 第8回「揺れる心のビブラート」[字]

時代の先端を走る音楽プロデューサー・亀田誠治が、J−POPのヒット曲に隠された音楽の秘密を解き明かす亀田音楽専門学校。ゲスト講師にゴスペラーズが登場!

詳細情報
番組内容
ゲスト講師は、ゴスペラーズ。今回のテーマは、「揺れる心のビブラート」。歌声をふるわせるビブラートがJ−POPにおいて、どんな効果をもたらしているのかを考察する。ビブラートの歌声を機械を通して波形でチェックするコーナーや、全くビブラートを使わないノンビブラートの歌を挙げて比較するコーナーなど盛りだくさん。またゴスペラーズは美空ひばりのカバー曲「真赤な太陽」を披露する。
出演者
【ゲスト】ゴスペラーズ,【出演】亀田誠治,中村慶子

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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