地方発 ドキュメンタリー選「一歩ずつ更地のまちで〜大槌・夢ハウスの子どもたち」 2014.09.30

津波で更地となり草が生い茂る場所を歩く男の子。
震災前ここに自宅がありました。
あの日から3年4か月余り。
子供たちは今どんな日々を過ごしているのでしょうか。
光太君が毎日足を運んでいる場所があります。
「子ども夢ハウスおおつち」。
光太!放課後自宅を失ったり家族を亡くしたりした子供たちがやって来ます。
おかえり。
(一同)最初はグー。
ジャンケンポイ!ここは特別な事をする場所ではありません。
(笑い声)思い思いに遊ぶのです。
震災後仮設住宅に閉じ籠もる事が多かった光太君。
わ〜!夢ハウスに通うようになり遊ぶ機会が増えました。
これまでとは違う表情を見せるようになっています。
よ〜いどん!更地が広がる町の子供たち。
1年余りの記録です。
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町です。
あの日を境に子供たちの暮らしは大きく変わりました。
更地になったままの土地が広がる安渡地区です。
その高台に子ども夢ハウスおおつちが出来たのは去年4月の事でした。
「多くの子供が仮設暮らしで伸び伸び遊べない」と社会福祉法人がこの民家を借り上げました。
あ〜!ハハハハハ!子供なら誰でもいつでも出入り自由。
放課後やって来ては気ままに過ごします。
直した方がいいんじゃない「タ」は。
学校の先生だってこう書いてんだよ。
佐藤光太君はここで一番年下の男の子です。
ちっちぇ〜お前!低くなってる光太。
代表の藤原茂さんたちと一緒に毎日2〜3時間過ごしています。
ちっちゃい!小さくなったのか?光太君は自宅を流され仮設住宅で両親と小学6年の兄の4人で暮らしています。
ガソリンスタンドを夫婦で営んでいた父光憲さんと母ふき子さん。
あの日職場から避難し無事でしたが仕事を失いました。
光太君も保育所にいて助かりましたが自宅にあったものは全て津波で流されました。
生まれてからの思い出が詰まった写真も無くなり手元にあるのは親戚から譲ってもらったこの一枚だけです。
(取材者)光太君がですか?はい。
(取材者)その時どんな感じだったんですか?光太君の自宅は仮設住宅から歩いて5分ほどの所にありました。
実はこの場所で大切な家族を亡くしました。
津波が来た時ここにいたおじいちゃんが亡くなったのです。
両親が共働きの光太君の面倒をいつも見てくれました。
一緒にお風呂に入るのが光太君の何よりの楽しみでした。
おじいちゃん子だった光太君。
両親には忘れられない震災直後の出来事があります。
(取材者)怒ってたんですか?
(ふき子)怒ってましたね。
(取材者)おじいちゃんに?そうですね。
自分をいつも見守ってくれていたおじいちゃん。
光太君はやり場のない怒りを骨箱にぶつけたのです。
震災から2年余りは津波が怖いと仮設住宅に閉じ籠もる事が多かった光太君。
夢ハウスが出来るとすぐに気に入り毎日通うようになりました。
大好きな遊びはかくれんぼです。
もういいかい?探すよ。
隠れるのにお気に入りの場所があります。
押し入れの一番奥です。
いた!いた!光太見っけ。
もういいかい?一日に何度もかくれんぼをします。
隠れるのは決まって「この場所」です。
(笑い声)みんなのムードメーカーの男の子がいます。
小学2年の佐々木夏君です。
これうめえ。
これうめえな!夏君の自宅も津波で流され仮設住宅での暮らしが続いています。
(取材者)ご自宅だったんですか?
(順子)そう。
(取材者)一部見つかったけど流された写真もあるんですか?そうですね。
ただいま。
おかえり!夕方6時。
夢ハウスから帰ってくる夏君。
実は夏君も大切な家族と会えなくなってしまいました。
すぐ近くに住み保育所のお迎えや買い物に連れていってくれた…2人とも今も見つかっていません。
被災地では今子供たちが安心して遊べる場所がほとんどありません。
町の中は復興工事のトラックがひっきりなしに行き交っています。
小学校の校庭だった場所にも仮設住宅が建ち遊ぶ事はできません。
こうした子供たちに手を差し伸べたい。
夢ハウスは全国からの寄付で運営されています。
おお!悠人。
代表の藤原さんは子供たちにとってはおじいちゃんと同じ世代。
あだ名は「クッソー」。
藤原さん「KUSSOW」と名前の入ったユニフォームまで作ってしまいました。
よしさあ行こう。
藤原さんはふるさとの山口や首都圏でリハビリ施設を運営しています。
体の機能を回復させる独自の方法を取り入れ全国にその名が知られています。
私は目標を75だと決めたんですけどまだいけますねじゃあ。
児童養護施設で指導員を務めた経験も持ち子供とも多くの時間を過ごしてきました。
そんな藤原さんがなぜ去年夢ハウスを作ったのか。
きっかけは大槌町を訪れた時の事。
子供たちが置かれている状況を知りいてもたってもいられなくなったのです。
夢ハウスでは公園を造る事にしました。
じゃあいきましょう。
せ〜の!上げま〜す!地域の人たちと一緒に手作りです。
子供と大人が一緒になって完成を祝います。
わ〜!ハハハ!ハハハハ!
(笑い声)久しぶりに地域に笑い声があふれます。
怖い!いいぞいいぞ。
怖い!お前が怖いって言ったら小さい子はどうすりゃいいんだ。
すりむいても傷ができてもへっちゃらで遊んでほしいと藤原さんが名付けました。
震災から3年近く。
光太君の両親はガソリンスタンドを再開できずにいました。
目の前の道路を別の場所に移すなど町をつくり替える計画が持ち上がっているからです。
光太君は幼心にそんな両親の事が気になっていました。
震災前はいつもガソリンスタンドで元気に働いていたお父さんとお母さん。
仮設住宅にいる時間がほとんどになっていました。

(サイレン)安渡地区で避難訓練が行われました。
光太君は母のふき子さんと参加しました。
(アナウンス)「津波の到達予想時刻は10時30分です」。
消防団の人たちがやって来ました。
(ふき子)騒ぐな。
母ふき子さんには光太君の心の内が伝わっていました。
この日夢ハウスのメンバーはバスで遠出しました。
3時間かけてやって来たのはまだ雪が残る山あいの広場です。
(藤原)いた〜っ!イェーイ。
藤原さんと子供たちの雪合戦です。
球を投げるんじゃない。
ムードメーカーの夏君。
謝ったら許してやる。
そして光太君。
藤原さんとっておきの方法で防戦です。
倒れたやつにやるとはひきょうである!夢ハウスが出来て1年。
震災後には津波が怖いと外で遊ぼうとしなかった光太君。
少しずつ変わってきました。
宿題の日記にも夢ハウスでの出来事を書く事が多くなりました。
「今日は夢ハウスのすりきず公園で悠人君と夏君と和君で滑り台や鬼ごっこをして遊びました。
たくさんの人が来ていて楽しいなと思いました」。
「今日僕は夢ハウスで和葉君の誕生日会をみんなで祝いました。
僕はお買い物でジュースを選びました。
あとピザの生地作りもしました。
楽しいなと思いました」。
震災から3度目の3月11日。
光太君の両親は特別な日を迎えました。
町づくり計画の完成を待っていては一歩が踏み出せないとガソリンスタンドを再開する事にしたのです。
いらっしゃいませ!はいオーライオーライ。
オーライオーライオーライ。
夫婦で元気にお客さんを迎える生活が戻ってきました。
この日夢ハウスでは風船にメッセージを託して空に飛ばす事にしました。
学校が終わってからやって来た光太君。
手にメッセージカードを持っていました。
大好きだったおじいちゃんへのメッセージです。
3年前おじいちゃんに対して怒りをぶつけた光太君。
感謝の気持ちを書いていました。
はい離して下さい。
行け〜!光太君は2年生になりました。
この日は夢ハウス恒例の誕生会です。
これをさじゃあこうして…。
ムードメーカーの夏君はこの日も絶好調。
いけ光太!上だ!よ〜し…。
藤原さんは子供たち全員にプレゼントを用意していました。
小さい頃からの写真って無くなっちゃった?流された人。
流された人。
光太から。
はい次の人。
これ使っていいよ。
子供たちは早速写真撮影です。
はいチーズ。
チーズ!そして光太君は…。
光太君お父さんを撮りたいと外に出ていきました。
(藤原)光太君間もなく着きますよ〜。
仕事をしているガソリンスタンドへ藤原さんが連れていきます。
突然やって来た光太君を見てお父さんは事態がのみ込めません。
次にお母さん。
仕事の邪魔になるというのに気にせず追いかけます。
お母さんは次第に笑顔になっていきました。
アルバムの最初のページに写真が貼られました。
そして一枚一枚写真が増えています。
光太君の掛けがえのない時間。
その記憶が未来に残されていきます。
更地が広がる町で暮らす子供たち。
一歩ずつ懸命に毎日を過ごしています。
2014/09/30(火) 00:40〜01:23
NHK総合1・神戸
地方発 ドキュメンタリー選「一歩ずつ更地のまちで〜大槌・夢ハウスの子どもたち」[字]

震災4年目を迎えた被災地では、肉親をなくした子どもたちが、今も当時の記憶に悩みながら毎日を過ごしている。去年10月から9か月にわたり大槌町の子どもを見つめた。

詳細情報
番組内容
去年、岩手県大槌町に子どもたちの遊び場「子ども夢ハウスおおつち」ができた。震災で思い切り遊べる場所が無くなった子どもたちのためにと、介護やリハビリの分野で活躍する藤原茂さんが中心になって作られた。遊びに来るのは、自宅が流されたり肉親を失ったりした子どもたち。辛い記憶を抱えながら、この場所で自由に遊ぶ機会が増え、少しずつ変化が現れ始めている。震災から4年目を迎える被災地の子供たちの日々を記録した。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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