オイコノミア「“0円”のナゾ」(後編) 2014.09.30

(又吉)ああ!なるほど。
はいはいはい。
ああなるほど。
家で家事など。
家で家事など。
子どもとか主人のためには毎日。
はいはい。
それもある意味タダ働きなのかもしれないですね。
0円札!はい。
お配りしています。
ありがとうございます!何も買えないんですけど。
記念に。
前回に引き続き今回の「オイコノミア」のテーマは「0円」!それも報酬ゼロのナゾ。
あなたは報酬がなくても働けますか?又吉さんがやってきたのは…。
こんばんは!皆さん皆さん…そうです!それはなぜですか?分かりません!「報酬ゼロなんて考えられない!」というあなた。
今回の「オイコノミア」は報酬ゼロの意外な効果を経済学でひもときます!必見です。

(テーマ音楽)今回も知る人ぞ知る都会のフリースポットからお送りします。
又吉さん報酬ゼロの方がうまくいくことがあると聞いたらどう思います?ゼロの方がですか?はい。
そういうことあるんですかね?ふだんの仕事と切り離して考えられたという事なんですかね。
そうですね。
だからお金という報酬はすごく大きなインセンティブになります。
でも私たち仕事するときにいつもお金を目的に働いてるわけじゃないですよね。
はい。
行動経済学では実は人が「社会規範」と「市場規範」の両方の世界に生きているという。
それが理由だというふうに考えてるんですよね。
社会規範と市場規範。
はい。
社会規範とは家族や知り合いご近所など人と人とのつながりが密な関係のあるところで守らなければならない規則や道徳のこと。
それに対して市場規範は合理的でシビアなお金を介したやり取りのことです。
僕の父親は沖縄出身なんですけど沖縄では「結」っていうのがあってみんなで助け合うんですよね。
畑とかでも刈り入れの時期とかになるとそれぞれの畑にみんなが出向いていって助け合ったりとか。
一種社会規範が残ってるんですね。
はいはい。
又吉さんは若手の頃は結構「報酬なし」というので働いた事あるんじゃないですか?結構ありましたね。
芸人になって1年目ぐらいの時に社員の方から番組の何て言うんですかね。
ちょい役みたいな感じで。
エキストラ?エキストラでスキンヘッドにできる人を探してるっていう。
スキンヘッドですか!もちろんそれノーギャラなんですよ。
はい。
誰もいなくて「マッタンできる?」と言われたんですが。
すごいお世話になってたんですよ。
お世話になってたんで嫌やったんですけどその人も困ってましたし「みんな断った」って言ってたんで。
「ああじゃやります」と言ってホントにノーギャラでスキンヘッドにして朝から晩までそのロケに同行したことありますね。
それかなりのコストですよね。
出るだけじゃなくてそのあともずっとスキンヘッドじゃないですか。
たまたまですけどお坊さん役として。
はぁ〜!「いくらでやってくれ」と言われたんじゃなくって「頼むからちょっと困ってるからボウズになってくれ」と言われた。
そうですね。
例えば全く同じ仕事内容の5,000円とか1万円のバイトがあったとしても恐らくやってないと思いますね。
社会規範だからこそタダでボウズになるっていう。
コストをかけてボランティアで出たと。
そうですね。
又吉さんだけに限ったことではありません。
アメリカの退職者協会が弁護士協会にこんなお願いをしました。
「退職して生活に困っている人のために1時間3,000円で相談に乗ってほしい」。
多くの弁護士がこの申し出を断りました。
しかしその後「退職して生活に困っている人のためにどうか無料で相談に乗ってほしい」と依頼を変えると圧倒的多数の弁護士が引き受けたのです。
お金の話が出た途端に弁護士たちは市場規範を適用する。
市場での収入に比べて1時間3,000円はこれは足りないなぁと思うからお断りするという形になる訳です。
ところがお金の話抜きで「助けてください」と言われたら社会規範を適用して困っている人のために進んで時間を割こうというふうになるんですね。
私たちやっぱり社会規範と市場規範の境界線というのを知らず知らずのうちに引いて生活しててこの時は社会規範この時は市場規範っていうふうに行ったり来たりしてるんでしょうね。
そうですね。
だからそこが無報酬で働くということが結構私たちいろんな場面であるということも背景にあるんでしょうね。
はい。
夕飯時の商店街にやって参りました。
この辺りにですね報酬ゼロの現場があると聞いてやってきたのですが…。
どちらでしょうかね?こんばんは!こんばんは。
こちらごく普通の民家のようですが…。
こんばんは。
ああみんな食事中ですね。
みんな食事中みたいですね。
家の中では30人ほどの子どもたちがおいしそうに御飯を食べていました。
おいちいね!すごい子どもが多いですけど何でこんなに子どもが多いんですか?ここは「子ども食堂」っていう…。
子ども食堂。
子ども食堂。
何ですか?それは。
「あさやけ子ども食堂」は子どもだけで来ることのできる食堂です。
家で独りぼっちで御飯を食べている子どもがいることに気が付いた地域の主婦が始めました。
全てのスタッフは報酬ゼロ。
好きなときに好きな時間だけ参加して夕食作りを手伝っています。
今はスタッフ全員報酬ゼロで働いていますが過去に一度報酬を支払ってうまくいかなかった例があったといいます。
ああ!ボランティアの人たちが。
だけどそうじゃないボランティアという形で募集すると来れるときにいつでも来てくれたりとか。
なるほど。
つらいですよね。
なんかそうなっちゃうともう…そうですよね。
この日は大学生を含めた20人以上のスタッフが参加していました。
最近では近所の方などからご好意で食材が届くそうです。
店主の山田さんは元パン屋さん。
自宅と設備を無償で提供しています。
山田さんすごいですね!このおうちは。
はい。
お子さんが多くて。
今日はたくさん来てますね。
そうですね。
50人ぐらいいるんじゃないかな。
山田さん報酬ゼロでこれをやってるのはなぜですか?う〜ん。
最後は結局自分のためだよね。
う〜ん。
自分が楽しいとかみんなが来てくれてうれしいとか。
はい。
そういううれしそうな人の顔を見られるとか。
はいはい。
最後はそういう話になっちゃうと思います。
へぇ〜!まあねえ子どもたちも楽しそうですし山田さんも一緒に楽しんでると。
そうそうそう。
楽しくなかったらもうやりません。
う〜んなるほど。
それが一番大事ですよね。
料理をすることはすごい好きなのでそれでみんなが喜んでくれればあたしでもなんか役に立つんだな〜っと思います。
はい。
ちなみに食事の料金は1食300円。
でもお手伝いをした子どもはタダになります。
又吉さんもお手伝いをしていただきました〜!ああおいしい!報酬がないことでうまく回る仕組みというのもあるんですね。
そうですね。
例えばねボランティアというのを考えてみましょうよ。
人の役に立ちたいという内発的なモチベーションでやっているボランティアに金銭的な報酬を与えてしまうとかえってモチベーションが下がってしまうということがあるんですね。
これは「アンダーマイニング効果」と言われてるんですよ。
例えばね又吉さん読書がお好きですよね。
もし1冊読むたびに1,000円支払われるとなったときにどんなふうに思います?「それ結構いいんじゃないですか」と思うんですけど読んでいくと何て言うんですかねちょっと読みやすいやつになるときがあるんじゃないかなとも思いますね。
又吉さんはもともと本が好きだから読んでたのに1冊当たりいくらという金銭的な報酬が与えられたら報酬のために本を読んでしまう。
好きでやってたものが報酬というのを与えられるとモチベーションが変わってしまう。
はい。
そのモチベーションの変わり方がちょっと不適切だったらかえってやる気がなくなっちゃうことがあるんですよね。
モチベーションとお金の関係をイスラエルの経済学者が検証した例があります。
ある保育園で多くの保護者が子どものお迎えの時間に間に合わず遅刻していたので園はこんな張り紙をしたそうです。
その結果どうなったと思います?減ったんじゃないですか遅刻は。
…と思うでしょう。
実は逆に遅刻する人が増えてしまったんですよ。
増えたんですか?はい。
それはね今までは遅刻したら先生に申し訳ないと。
残業しなきゃいけないですからね。
保育園の先生が。
だからそれは申し訳ないと思って遅刻しないようにしてたんですよね。
だけど罰金があるとなってくると罰金を払えば遅刻してもいいというふうに思っちゃったんですね。
はい。
だから500円払ったら正々堂々と遅刻していいんだと。
なるほど。
うん。
これは先ほどの社会規範と市場規範の例でも説明することができますね。
遅刻しないようにしようというのは「保育士を待たせて悪い」という思いやりから来た社会規範で罰金というのは市場規範のルール。
だから社会規範である程度うまくいっているところに市場規範を不適切に持ってくるとかえって社会規範が壊れてしまう。
なるほど。
市場規範でいうと500円は安かったんですね。
そうなんですよね。
罰金の額の設定がやっぱり悪かったんですね。
う〜ん。
だから5万円とかだったら効いたかもしれませんね。
30分ぐらい早く迎えに来そうですよね。
(笑い声)実はこの実験続きがあるんですよ。
はい。
園側はすぐにこの罰金制度を取りやめたのですが遅刻は減りませんでした。
一度壊れてしまった社会規範はなかなか元に戻らないのです。
僕この社会規範と市場規範のお話を聞いててちょっと思うのがホントはそのとおりだなと思うんですけどたまにちょっと強制的な社会規範みたいなのあるじゃないですか。
例えば上下関係とか先輩は後輩に絶対おごらないといけないとか先輩に言われたら後輩は絶対にそれをしないといけないとか。
そういうのが僕あんまり好きじゃないんですよ。
だから後輩に何かものを頼むときにこれはもし例えばアルバイトでやったとしたらどれくらいの仕事なのかって考えてそれぐらいの金額を僕は渡したくなるんですよね。
誰しも人の役に立ちたいっていう気持ちはやっぱりありますよね。
でもやっぱりそれには限度っていうものがありますよね。
はい。
自分の時間をそこまで犠牲にして…。
そうなんですよね。
やっていいのかというところがありますよね。
「1〜2時間買い物してきてくれ」は大丈夫ですけど「ちょっと半日つきあってくれ」と荷物持たされるとかになるともうバイト代発生しないと。
やっぱりやってられないと。
何か変な事言ってますかね?僕。
いやいやいや。
市場規範を上下関係に持ち込んだりすると他の部分も崩れていきそうで。
そうですよね。
礼儀的な部分とか…。
難しいっすね!難しいですよ。
ねえ。
うかつにはいれれないですけど。
多分社会規範がうまく成り立ってるのはそういう貸し借りをみんなある程度カウントしたりとかこれ以上はやっちゃいけないとかというお互い共通の認識があるところではうまくいくんだと思うんですよね。
はい。
今日お邪魔しているこちらのお寺本堂前のスペースを広く一般に開放しています。

(僧侶)こちら麦茶でございます。
ありがとうございます。
あっ!わらび餅ですか?はい。
へぇ〜!おいしそうですね。
僧侶の木原さんは和菓子を手作りして訪れる人に無料で振る舞っています。
いただきます。
おいしいですね。
すごいおいしい!こんなおいしいお茶菓子もタダでサービスされてるんですか?心のつながりを?はい。
なるほど。
ありがとうございます。
いただきます。
ありがとうございます。
まさに人とのつながりというのを深めたいということですから社会規範から来た行動と言えますよね。
そうですね。
おいしいお茶菓子をいただいたあとは…。
報酬ゼロを実践中のこの方に登場していただきましょう!岡田さんどうぞ。
よろしくお願いします。
(2人)よろしくお願いします。
岡田斗司夫さんはオタクのカリスマとして知られていますよね!現在幅広い分野で活躍中!実はね今日岡田さんは報酬ゼロ。
つまりノーギャラで来てくれたんですよ。
はい。
そうなんですか?はい。
僕はあらゆる仕事ですね講演でもそうですし大学で教えるのでもテレビの出演あと本の印税も全部無料でやってるんですね。
へぇ〜!どういう仕掛けになってるかと言うと普通僕社長で社長が社員にお金を払って仕事してもらう。
そうですよね。
うちこれ逆なんですね。
社員と呼ばれる人たちが僕に年間12万円払ってくれる。
そういう社員が150人ぐらいいるんですね。
はい。
岡田さんの経営する会社の社員は岡田さんのインターネットコミュニティーに参加して月1万円年間12万円を社長である岡田斗司夫に支払います。
社員は岡田さんと共に仕事をしながらその方法を学んで能力を高められるというメリットがあります。
なるほど。
学校みたいな感じなんですか?学校なんですけど全てが「オンザジョブトレーニング」という実践で仕事をやるので学び方が半端でないんですよね。
へぇ〜!松尾芭蕉とその門下生たちみたいな。
はい。
社員さんからしたら12万円納めててサボってたら何の意味もないから12万円払って岡田さんから何かを学ぼうとするから働く?一緒に仕事をしないと損だって考え方になるんですね。
だからスポーツクラブと完全に同じで年間12万円の会費のスポーツクラブに行ってると行かないと損ですね。
はい。
そこに前向きで何かを生み出そうとしてる人たちが集まってきてるからその人たち同士でもこう刺激があるという。
おまけにこのシステムって僕3年で卒業って決めてるんですよ。
メンバーは3年間で12万×3年払ったらもうそこから先払わなくてもいいと。
又吉さんやってみないですか?僕ですか。
僕向いてないと思うんですよね。
ああ。
はい。
向き不向きありますよね。
あります。
結局集まってくるメンツって不思議なほど自分と似るんですよ。
はいはい。
面白いもんで。
又吉さんのところがこういう組織作ったら全員ちょっと人見知りっぽい人が来るんじゃないかな。
そうすると営業させるのにちょっと不利かも分からないです。
力合わせにくいかもしれないですよね。
岡田さんいわく今の時代だからこそできるのだとか。
今話してたみたいに僕が0円で働けるのを可能にしてるのは僕は「評価経済」と言ってるんです。
貨幣経済の次に来るもの。
決して貨幣はなくならないんですよ強いから。
ただ貨幣ではフォローできない部分があるのでこれからの社会は僕は「評価はお金より意味が大きくなる」と思ってるんですね。
はいはい。
Twitterとかで自分の発言を見てくれてる人読んでくれてる人「フォロアー」と言います。
又吉さん今何人ぐらいいらっしゃいますか?60万人ぐらいですかね。
60万人すごいですよ。
60万人に対して自分の考えが伝えられる。
その60万人という数字がこの評価なんですね。
それは多分お金より大きい。
もう僕今はね1億円持ってる人よりフォロアー数が60万人の人のほうが有利だと思ってるんですね。
へぇ〜!1億円持ってても1億円のお金って金で動く人しか集められないんです。
あ〜!ちょっともう頭の中でシミュレーションしきれないんですけど。
(笑い声)「評価経済」とは最近注目されている0円経済の1つです。
インターネット社会の広がりに伴い他人からの評価が目に見えたり数えたりできるようになりました。
岡田さんはまるで貨幣のように評価でモノやサービスを交換する事が可能になってきているといいます。
するとこれが評価社会じゃなくて評価経済社会になるんですね。
そういう社会の中では人からどう思われているか?自分をいいと思ってくれる人が何人いるかというのが一番大事な事になってくる。
それはお金より多分大事だと思います。
なるほど。
又吉さん。
以前ね脳の働きから人間の経済学的な行動を考えた「神経経済学」ってやったの覚えてます?覚えてます。
神経経済学の回では人は報酬を得ると伝達物質のドーパミンが放出され脳の側座核を刺激し満足感が得られるということを勉強しましたよね。
実はこの報酬っていうのは金銭的な報酬だけでなくても社会的に認められたり褒められたりすることでも同じメカニズムが働くということが分かってるんですよ。
「すごいね」とか「ありがとう」とかそういうのでもこう…。
だから同じようにうれしいんですよね。
脳の神経の伝達のメカニズムを見るとお金をもらってうれしいというのと褒められてうれしいというのは全く同じメカニズム。
認められてると思えるという事。
そうなんですね。
又吉さんもねフォロアーもたくさんいていつも褒められて。
今日の仕事楽しかったということですから報酬ゼロということでいかがでしょうか?ウフフフッ。
なんかだいぶ極論みたいなのが急に出てきましたけど。
側座核は報酬でも反応するんですよね。
そう。
金銭的な報酬でもそういう社会的な報酬でも反応すると。
今日はいったん報酬もらっときます。
そうですか。
アルバイトなのに学生に大きな負担を強いる仕事が問題になっています。
2014/09/30(火) 00:00〜00:25
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「“0円”のナゾ」(後編)[字][再]

もし「報酬なし」の仕事があったらあなたは引き受けるだろうか?この世には、報酬を支払わないことで働く人のやる気を引き出す仕組みがある。いったいどんな仕組み?

詳細情報
番組内容
アメリカで実際にあった話。退職者協会が、弁護士協会に「退職をした人の生活や仕事の悩み相談を1時間3000円で引き受けて欲しい」と依頼したら多くが断った。ところが「無料で相談を引き受けて欲しい」と頼むと、圧倒的多数が引き受けた。人の役に立ちたい、という内なる動機付けを生かすには、むしろ金銭的な報酬がないほうがうまくいくときがある。これは経済学でアンダーマイニング効果といわれている。
出演者
【ゲスト】マルチメディアプロデューサー、作家…岡田斗司夫,【出演】又吉直樹,【解説】大阪大学教授…大竹文雄,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

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