クローズアップ現代「緊急報告 御嶽山噴火」 2014.09.29

うわー、すごいね。
噴火する10分前の御嶽山。
NHKの取材班が撮影しました。
何?
わっ、噴火した。
噴火した。
噴火、噴火。
飛んできた、飛んできた。
そこまで飛んできた、石が。
逃げや、逃げや。
そのとき現場で何が起きていたのか。
火山のリスクとどう向き合うべきか緊急報告です。
こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
御嶽山の山頂付近の捜索できょう、新たに5人が心肺停止の状態で倒れているのが見つかりました。
落下してくる岩や石。
降り注ぐ火山灰。
視界を遮る噴煙。
そして熱風。
登山者を突然襲い多くの人々が負傷命を奪われた今回の噴火。
危険な活火山と隣り合わせで生きていることを改めて痛感させられます。
日本にある活火山は110。
世界の活火山の1割近くに上ります。
このうち47の山が24時間態勢で観測が続けられていまして御嶽山もそのうちの1つです。
記録が残っている中では1979年、1991年と2007年に噴火していますが最近では目立った火山活動はなく特になんの規制もされていませんでした。
ところが今回の噴火の前実際には僅かながら、事前に異変が捉えられていたのです。
異変が噴火の前触れか否か明確には分からない中捉えた異変について住民や山に入ろうとしている人々にどのように伝えていくのか。
登山の人気が高まる中で多くの犠牲者を出した今回の噴火は難しいこの課題を浮き彫りにしたのです。
初めに、登山者を襲った危険とはどのようなもので人々がそのときどう行動したのか。
山頂付近にいた人々の証言から明らかになってきた噴火の実態をご覧ください。
きょうの午前11時。
火山灰や噴石で姿を変えた御嶽山です。
2日前のまさに同じ時間。
8合目にある山小屋の映像です。
山の魅力を伝える番組の取材で訪れていたNHKのスタッフが撮影していました。
わー、すごいね。
紅葉シーズンの到来と週末が重なり多くの登山者が訪れていました。
午前11時52分。
山肌の紅葉を撮影していたそのとき。
何?
わっ、噴火した。
噴火、噴火。
山頂で突然噴火が起きました。
噴煙が瞬く間に押し寄せてきました。
このざーっという音なんだ、これ?
12分後。
8合目にも火山灰が降ってきました。
立ちこめる硫黄の臭い。
逃れてきた登山者は事態を受け止めきれない様子でした。
大丈夫ですか?
大丈夫でした。
真っ暗で。
山岳取材に精通したスタッフも経験したことのない恐怖を感じたといいます。
大惨事につながった今回の噴火。
人々は何に直面したのか。
長野と岐阜の境にある標高3067メートルの御嶽山。
このとき、山頂により近い9合目でも噴火の様子が捉えられていました。
ばりばりという異様なごう音がした30秒後に撮影したという映像です。
山小屋に必死に逃れようとする人々の姿が映し出されています。
この映像を撮影した黒田晃敏さんです。
間に合わん。
口隠せ、みんな。
ごう音を聞いてから1分後噴煙が一面を覆い尽くしました。
その後、さらに2回大きな爆発音を聞きました。
煙は、のどが焼けるような熱さを伴っていました。
黒田さんは口元を覆って呼吸を確保しながら山小屋に飛び込み九死に一生を得たといいます。
さらに火口の間近にいた人がいます。
津野裕次さんです。
津野さんがいたのは山頂から200メートル南。
噴火した瞬間の写真です。
目の前にいた親子が、父親の走れ!という声と共に駆け出しました。
津野さんも、すぐに駆け下りようとしたといいます。
穏やかな御嶽山が好きでこれまで何度となく登山してきたという津野さん。
噴煙が晴れた瞬間を見計らって山小屋に飛び込みました。
山頂から避難するまでの一部始終を記録していた人もいました。
山内喜康さんです。
山内さんが撮影した噴火10分前の山頂付近の写真です。
お昼近く、弁当を広げ始めた人もいました。
この直後、噴煙が立ち上りました。
しかし、山内さんは当初危機感を持てなかったといいます。
そんな山内さんに突然、無数の噴石が降りかかってきました。
このとき撮影された映像です。
噴石が地面をたたきつける不気味な音。
視界も失われていきました。
これは、山内さんが暗闇の中ヘッドライトで自分の足元を照らした写真です。
猛烈なスピードで押し寄せる噴煙。
過ぎ去るのを待つしかなかったといいます。
登山を楽しんでいた人々を襲った噴火から2日。
被害の全貌はまだ分かっていません。
今夜は、名古屋放送局のスタジオにいらっしゃいます、名古屋大学地震火山研究センター教授の山岡耕春さんと中継がつながっています。
取材にご協力いただきました方々の証言から、猛烈なスピードで噴煙が押し寄せてきた、あるいは、呼吸が苦しいほどのどが焼けるような熱風だったとか、どんなに恐ろしかったのだろうかということが想像できるわけですけれども、実際にどんな危険にさらされていたというふうに思われますか?
今の証言と、それからいろいろな映像が残っておりますし、それから火山の基本的な知識を一応、全部総動員すると、こういうことが起こってたっていうのは、大体分かってくるわけですけれども。
まず水蒸気爆発、水蒸気噴火が起こったわけです。
水蒸気が非常に勢いよくまず噴き出したと、そうすると、その辺りにあった火山灰を巻き上げるわけですね。
その巻き上げた火山灰が、普通の噴火って、どんどん上に火山灰が上がっていくんですけれども、今回の場合はそうではなくて、上に上がれない分だけ、横に広がっていったわけです。
そうすると、まず火山灰を含んだ風が吹いて、空気が横に動いていく。
水蒸気噴火ですので、ある程度、温度が高い風が横に吹いていって、湿り気を、水の湿り気を含んだものが吹いてますね。
横殴りの風ということですか?
それです。
そのあとに、さらに水蒸気の勢いが増しますから、それで今度、石をどんどんどんどん上に噴き上げていきます。
そうすると、大きい石も噴き上げますので、それが上から降ってくるということになるんですね。
大きさとしては、大きいものは石垣ぐらいといいますか、1メートルオーダーのものも降ってきたというふうな証言があるのを聞いています。
さらに、今回の噴火のタイミングは、風向きが、ちょうど山小屋のほうに、山頂の山小屋が風下になるような方向になっていたということもあって、上がった火山灰とか石が、そちらの方向に落ちていったのではないかと思っています。
それで火山灰、濃いですから、最初に出来た火山灰って、非常に密度が濃いので、太陽の光も遮ってそれで真っ暗になるというような、そういうようなことになったというふうに、私は想像しています。
亡くなられた方が12人、そして心肺停止の方が24人ということですけれども。
その犠牲となられた方々、これだけ大きな犠牲をもたらしたのは、どういうことが一番大きな要因だったというふうに見てらっしゃいますか?
これだけ多くの犠牲があったのは大変つらいことですけれども。
基本的には、やっぱり石が落ちてきたと、石に当たったっていうのが一番被害を大きくした原因だと思います。
その証拠は、やっぱり、火口に近い所で被害が大きかったということが、それを示しているというふうに考えています。
集中して火口付近にいらっしゃった方々が?
そうですね、そういうことです。
また後ほど伺います。
よろしくお願いします。
多くの方々が、死傷した今回の噴火ですけれども、山の異変、あるいは噴火の危険性をどう伝えていくのか。
課題が浮き彫りになりました。
きのう御嶽山周辺で行われた研究者の調査に同行しました。
火山地質学が専門の三宅康幸教授です。
目的は火山灰の採取。
灰に含まれる細かな粒子の形や色を詳しく解析しました。
その結果、灰には地下のマグマの成分が含まれていないことが分かりました。
水蒸気噴火は、地下水がマグマの熱で沸騰することで起こります。
急激に膨張した水蒸気が火口付近にたまっていた岩などを吹き飛ばし激しい噴火を起こします。
この水蒸気噴火。
マグマが噴出する大規模な噴火でないものの予測するのが難しいといわれています。
35年前に御嶽山で起きた噴火も水蒸気噴火でした。
このときも、噴火は突然起こりました。
ところが、今回の噴火では僅かながら事前に異変が捉えられていました。
御嶽山で起きた地震の震源です。
8月末、山頂から3キロ付近の地下で地震が集中的に起こり始めました。
今月10日に52回。
11日には85回の地震を観測しました。
気象庁は御嶽山に何らかの異変が起きていると判断。
今月11日から3回にわたって解説情報を発表しました。
解説情報は、気象庁から地元の自治体などに伝えられます。
地震の回数を詳しく記し火山活動の推移に注意を促しています。
しかし、解説情報は警報とは違い住民や登山者に知らせる仕組みはありません。
火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長はきのうの会見で解説情報の伝え方について今後改善が必要だと指摘しました。
日本列島にある活火山は110。
このうち、ことしに入って解説情報は御嶽山を含め7か所で発表されています。
三宅島では3月に1回解説情報が発表されました。
群馬県の草津白根山では19回。
6月以降、活動がやや活発化し火口周辺への立ち入りが規制されています。
熊本県の阿蘇山は33回。
鹿児島県の桜島では78回。
いずれも火口周辺の立ち入りが規制されています。
一方で、噴火の前に解説情報が一切発表されなかったケースもあります。
鹿児島県の口永良部島。
先月3日に噴火しました。
火口周辺に設置されていた地震計などの観測機器は異変を事前に検知することができませんでした。
解説情報は噴火のあとに発表となりました。
予知が難しい中で異変をいかに捉え住民や登山者にどう注意を促していくのか。
大きな課題が浮かび上がっています。
ここからは社会部災害担当の加藤記者にも加わってもらいます。
今回のように解説情報というものが出されていて、噴火したケースなんですけれども、出されていない場合でも噴火するケースがあるということで、通常とは違う現象が観測されているということについて、どこまで伝えていくのか。
この警戒火山についての警戒を呼びかける場合、どんなシステムになっていますか?
噴火の危険性がある場合に、気象庁は火口周辺警報などで警戒を呼びかけます。
今回の御嶽山を含む全国30の火山につきまして、警報と同時に、噴火警戒レベルを発表することになっています。
噴火警戒レベルは5段階に分かれていまして、御嶽山の噴火前に出されていたのは、レベルが1、平穏な状態を示すんですね。
これが今後、活動が活発になりまして、噴火の影響が火口の周辺に及ぶというおそれがある場合には、火口周辺警報に合わせて、レベルが2や3に上げられまして、発表されるということになります。
こうなりますと、登山者が火口に近づかないような規制というのも敷かれるんです。
今回は、そのレベル1。
しかし、解説情報が出されていて、この解説情報はどこまで伝わってたんでしょうか?
解説情報というのは、噴火警戒レベルとは別に、火山性の地震があった場合なんかに、いつもとは違う変化が見られたといったときに出されるんです。
こういった情報が、9月、噴火の前に3回出しているんですけれども、御嶽山周辺の自治体に取材しましたところ、情報が発表されているということを、地元の山小屋ですとか、そういった場所を伝えていたというケースがあったようです。
ただ、噴火警戒レベルは1のままだったということもありまして、登山者のすべてに広く伝わっていたとは、なかなかいえない状況だと思います。
もう一度名古屋の山岡さんにお聞きします。
山岡さん、今のリポートにありましたように、9月10日、11日に地震が集中して起きていますし、8月末にも、そういった傾向が見られていて、今回はこうした現象というのを、どのように捉えていらっしゃったんでしょうか。
9月の10日、11日で、地震活動が少し高まったときは、私たちも、少し議論をして噴火の可能性があるというふうには考えました。
ただそのときに、この地震活動のあとに、低周波地震が起きて、それが活動度が高まっていって、火山灰を出すような噴火があるというような想定は一応、頭の中ではしたんですね。
ただし、14日に低周波地震が起きたというところまでは、あったんですけれども、その後、活動が収まってきたので、これはこのまま収まるかもしれないというようなところが、そのときにはありました。
2007年、あるいは1991年にも噴火してますけれども、そうしたときの傾向が、参考になることはなかったんでしょうか?
そのときに、2007年の噴火の前の活動と比較はしました。
比較をしたところ、2007年の活動のほうが、やはり活動が活発で、それにもかかわらず、2007年の火山灰というのは、非常に少ないものでした。
なので今回はそれほど大きくならないだろうというのが当時の想像だったんですね。
それから1979年には、今回と同程度の水蒸気噴火をしたわけですけれども、そのときには、まだ当時は旧火山と思われていた御嶽が、有史以来噴火をしたということで、全く前兆となるような観測は、全くなされていなかったということでした。
結果論ですけれども、レベル1からレベル2、火山、火口周辺の立ち入りの規制ということに踏み込んでいればという思いはありませんか?
そうなんですね。
私たちもやっぱり、研究者はやっぱりある種の勘で、やっぱり嫌だなとか、おかしいなというようなことはよく感じるわけですよね。
ただ、それが当たるというか、そのとおりになるのは、それほど多くはないんですけれども、そのとおりになるようなこともございますので、そういうようなことがきちんと伝わるようにしたいと。
今回の気象庁の情報もそういうことなんですけれども、ただ、それを出しただけですと、じゃあ、どうするのだということをいわれて、なかなか情報出すのが難しいというのが、現状ですね。
レベル1からレベル2に上げるというところまで至らなくても、何かおかしいという情報を伝えられる方法を、これから見つけていきたいということですか?
そうですね。
そういうふうに私たちの感覚をうまく伝えるような仕組みができていくといいというふうに思っています。
加藤さん、取材をしていて、何が求められると思いますか?
やはり多少でも、危険性がある変化があった場合に、こういった不確実性があるんだということも含めまして、できるだけ分かりやすく情報を発信していくということは、できるんじゃないかと思うんですね。
例えば現在の解説情報なんですけれども、火山性地震の回数などは書かれているんですけれども、それが増加したことがどういう意味を持つんだということ自体には、あまり詳しく書かれていないんですね。
2014/09/29(月) 19:32〜19:58
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「緊急報告 御嶽山噴火」[字]

紅葉シーズンの週末、多くの登山客が訪れる中、突然噴火した御嶽山。当時の状況を登山者らの証言をもとに詳細に伝えるとともに、噴火のメカニズムに迫る。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】名古屋大学地震火山研究センター教授…山岡耕春,NHK社会部記者…加藤大和,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】名古屋大学地震火山研究センター教授…山岡耕春,NHK社会部記者…加藤大和,【キャスター】国谷裕子

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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