「黙とう」。
(鐘の音)今年もまたその時がやって来た。
(鐘の音)その瞬間町全体が動きを止める。
(鐘の音)でもそんな式典の前後には…。
(スピーカー)「我々は歴史の中での犠牲者…」。
原発は要らない!
(一同)原発は要らない!全国からさまざまな立場の人がここを目指して集まり…。
つかの間皆不思議とこの建物の前で立ち止まる。
みんなここで何を感じていくんだろう。
8月6日を挟んだ3日間。
原爆ドームの見える場所で人々の胸の内をのぞいてみた。
式典の2日前に撮影開始。
カメラを据えるのはドームのちょうど川を挟んだ反対側。
よく見ると年配の人の姿が。
こちらにも。
あれ?お昼から一杯ですか?何でも原爆ドームが見えるこのベンチでぼんやり過ごすのが好きらしい。
何だかのんびり。
ふだんは普通の公園なんだな〜。
こちらもだいぶおくつろぎの様子。
元はパチンコ関係の仕事。
リタイアしてから自転車でこの川に来るのが日課だという。
突然ドキッとする話を始めた。
(取材者)ありがとうございます。
そうか。
のどかにも見えるけど…。
69年前ここでたくさんの人が亡くなったんだよね。
夜。
ライトアップされたドームの前で一人たたずむ女性。
転職で広島に来て2年目。
仕事で疲れるといつも一人ここに来るという。
ありがとうございます。
すいません。
またここにもドームを見つめ物思いにふける人。
ちょっと派手めのファッションだけど…。
老いも若きも引き付ける…不思議な磁力を持った場所。
式典前日の朝5時。
ドームの前には早くも人の姿が。
男の子が無心になって描くのは詳細な原爆ドームの絵。
でも何で?お父さんによると前にたまたま立ち寄った資料館で戦争の展示を見てから何かが変わったらしい。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
8時を過ぎると辺りが何だかにぎやかになってきた。
(スピーカー)「我々は歴史の中での犠牲者…」。
記念式典を明日に控えいろんな人が会場に集まり始めたみたい。
けん騒の中自転車でやって来た2人組。
無言でドームの前に立ち止まる。
こんにちは。
休日を利用して愛媛からサイクリングの途中何となくここに立ち寄ったそうだけど…。
うまく言葉にできない感情だけが湧いてくる。
あれ?立ち去ろうとする2人に話しかける人。
被爆者の両親の間に生まれたという地元の男性。
毎年この時期の公園の在り方に思うところがあって出会った人と意見を交わすのだという。
それぞれの立場によって見え方は全く変わってくるみたい。
今度はすごく年季の入った自転車。
何でも自転車をこいで雨の中80km近く離れた山里からやって来たそう。
かつては会社員だったけど人間関係に疲れて山に籠もり自給自足の生活を送っている。
でも毎年この時期必ずここに来て行き交う人を眺める事にしているらしい。
ありがとうございます。
はい。
ふだん人とあまり接しない分ここでじっくり時代の空気を感じて帰るのかな。
夜になってもみんなドームの前を去ろうとしない。
さまざまな人たちがそれぞれのスタイルで思いを表現する。
こちらは何かの撮影かな?京都から来た大学生のグループ。
自主制作の映像作品を作っているという。
こちらがその動画。
それぞれの国の若者が一緒に踊る姿を通して平和を訴えたかったそうだけど…。
けん騒から離れ一人ドームを見つめる人。
10代からここに通う地元の女性。
被爆者だった父親を数年前に亡くしたらしい。
今は?いよいよ式典当日。
8月6日の雨は実に43年ぶり。
原爆が投下された8時15分まであと数時間。
関係者を追うマスコミのカメラ。
公園の隅々に人が入り乱れる。
総理大臣を乗せた車も到着。
そして…。
「黙とう」。
(鐘の音)「黙とう終わり。
ご着席願います」。
2時間後一人ドームと向き合う青年がいた。
東京でバイトをしながら前衛舞踊のダンサーを目指している彼。
ここで戦争を体で感じ踊ってみようとやって来たみたい。
だけど実際現場に立ってみると…。
ありがとうございました。
なかなか決心はつかないみたい。
気が付けばほかにもじっとドームを見つめる人。
69年間この圧倒的な存在がいろんな人を立ち止まらせてきた。
そして4時間後…。
川の向こうにあの青年の姿。
迷った末彼なりの思いをここに残していく。
真球。
それは2014/09/29(月) 16:05〜16:30
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「原爆ドームの見える岸辺で」[字][再]
毎回一つの場所にカメラを据えるドキュメント72時間。今回は8月6日前後の原爆ドームが舞台。おごそかな式典の裏側で繰り広げられる人間模様を見つめた。
詳細情報
番組内容
広島に原爆が落とされた8月6日。テレビからは毎年おなじみの厳粛な平和式典の中継が流れる一方で、会場の周辺には世界中からさまざまな人が押し寄せ、思い思いの主張やパフォーマンスを繰り広げる。原爆をテーマにした歌を歌う若者たち、祈りをささげる宗教団体、観光気分の外国人旅行者、過激な思想を叫ぶ人々…。終戦から69年。川向こうに原爆ドームを臨む公園の片隅で、それぞれの平和の形を見つめる三日間。
出演者
【語り】吹石一恵
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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