夫婦の愛そして様々な人生をつづった珠玉の感動作『あなたへ』
最後までご覧ください
ありがとう。
(風鈴の音)
(風鈴の音)
(風鈴の音)
(風鈴の音)
(風鈴の音)
(倉島英二)いい音。
(倉島洋子)でも秋になったら忘れずに外さなきゃね。
季節外れの風鈴ほど悲しい音はないもの。
(風鈴の音)そんな先の事言ってもしょうがないじゃないの。
(風鈴の音)おはようございます!
(警告音)
(刑務官)左左右!左左左右!左左!異状なし!左左左右!左左左右!
(刑務官)番号!1!2!3!4!作業指導願います!
(刑務官)よし!どうした?蕨手と本体の間に隙間が出来てしまいます。
見せてごらん。
はい。
ここをもうちょっとうまく削ればいいんじゃないか?はいありがとうございます。
(塚本和夫)倉島さん。
慶弔休暇なのに何してるんですか?来客ですよ。
(塚本)生前に洋子さんから預かったものがあるらしいです。
(笹岡紀子)わたくしどもが奥様の倉島洋子様から託されましたのは倉島英二様宛てのこの2通のお手紙です。
(紀子)こちらはご本人様に直接お渡ししてほしいとの事でした。
もう1通はこちらの郵便局に局留め郵便で送ってほしいとのご希望でした。
長崎でですか?はい…。
今ここで受け取るわけにいかないでしょうか?故人のご希望ですのでご指示どおりに本日発送させて頂きます。
局留め郵便が受け取れる期限は10日間ですので…。
妻はなぜこういう形に…?それはわたくしどもにも…。
こういうご依頼は初めてで少し驚いております。
ありがとうございました。
(紀子)失礼します。
こちらです。
後ろのシートは取っ払って木製のキャビンにしようと思ってるんだよ。
それでこれ…。
へえキッチンもあるのね。
あるよ。
これだったら簡単な調理も出来てホテル代どころか食費もかからないわね。
この車運転して好きな絵でも描いたらどう?素敵ねえ。
行きたい場所たくさんあるわ。
どこでも行くよ。
行くからさ早く治ってよ。
頼むよ…。
ねえこれ…。
え?置く場所作っといてね。
オッケー。
本当に頼むよ…。
(塚本久美子)この炊き合わせ洋子さんに教えてもらったんですよ。
いつもすいません。
何を言ってるんですか。
さあどうぞ。
あの…。
うん。
話もらってた墓地の件だけどあれ…もうちょっと考えさせてもらってもいいだろうか…。
今日のあれ…遺言の代行と関係あるんですか?
(久美子)出来具合味見してくださいね。
ふるさとの海に散骨してほしいっていうふうに書いてあった。
そうされるんですか?一度その海を見ておきたいんだよ。
あ…洋子さんの分忘れてた。
ああこりゃしまったああすいません。
えーと…どこでしたっけ?洋子さんの田舎。
薄香長崎県の平戸。
いらした事はないんですか?ああ。
ああすいません。
じゃあ献杯しましょうか。
ああいかんいかん。
そうだじゃあ…。
(塚本)献杯。
(久美子)献杯。
(塚本)ああいい笑顔だ。
堅物でとおった倉さんが陥落したのがわかりますよ。
何年になりますか?15年…。
ああ…。
今だから言いますけど倉さんは一生独身かと思っていたから…。
結婚と聞いた時は…驚きました。
(久美子)お相手が慰問に来ていた童謡歌手の方だと聞いてもっと驚きました。
(ピアノ)「あかいめだまのさそり」「ひろげた鷲のつばさ」「あおいめだまの小いぬ」「ひかりのへびのとぐろ」「オリオンは高くうたひ」「つゆとしもとをおとす」
(ピアノ)「アンドロメダのくもは」「さかなのくちのかたち」「大ぐまのあしをきたに」「五つのばしたところ」「小熊のひたいのうへは」「そらのめぐりのめあて」
(ピアノ)あの…失礼ですが…。
前によく慰問に見えてた井手さんですよね?最近お見えにならないんで気にしてました。
あのいつも最後に歌われる星の歌。
あれを聴きながら生まれたふるさとの夜空を思っておりました。
呼び止めて失礼しました。
そこまでお送りします。
どうぞ。
もうすぐ来ますので。
じゃあ失礼します。
ごめんなさい。
慰問なんかじゃなかったんです。
たった1人のために歌っていたんです…。
でも2年前に亡くなりました。
私皆さんをだましていたんです。
すみませんでした。
許してください。
どうした?
(塚本)木工場で突然倒れました。
意識は?ありません。
神輿作りのメンバーが亡くなったのは木工場にとってはちょっと痛手だったようですね。
ああ弁護士を通じて定期的に入れられていたようです。
内縁の妻もしくは親しかった友人でしょうか。
家族や縁者は皆無でした。
(塚本)スズメの餌付けをしていたんです。
規則では懲罰ですが黙認していました。
(塚本)倉さん倉さん!黙ってこんなもの置いてかれちゃ困りますよ!身勝手な行動だと思ったんですがけじめつけとこうと思って。
うちにはまだ倉さんの経験が必要なんです!総務部長としてこれは受理出来ません。
休暇という事にしておきます。
(塚本)まあそれはそれとしてもしかして本当にこの車で長崎行くんですか?1200〜1300キロはありますよ。
あいつとこれで旅をしようって言ってたんですよ。
一緒に行ってきます。
(ドアの開閉音)
(エンジン音)
(杉野輝夫)あ…量が多いですから先どうぞ。
いえいえとんでもない!いえいえ…。
いやもう…時間ありますから。
すいません。
すいません。
(クラクション)先ほどはどうも!あっ…!ありがとうございました。
いやあ…これハンドメードですか?いやあ素人大工ですから。
いや大したもんですね。
私なんか出来合いの車買っただけですから…。
はぁ〜。
埼玉からブラブラ来ました。
そちら…富山からですか?ええ。
失礼ですけど今晩車中泊ですか?ええ。
どっか…通りすがりのスーパーかコンビニの駐車場で寝ようと思っています。
車1台ぐらい止められると思ってるんでしょ?ええ。
実はねそう簡単にはいかないんですよ。
場所によってはね防犯だなんだってうるさいんです。
キャンピングカーなのに自由に止めて寝られないなんてね…。
日本だと思いませんか?あっ!あの…この先の湖畔にオートキャンプ場があるらしいんですけど行ってみます?よいしょ。
これさっきのお水で淹れました。
(杉野)ああそうですか。
はいよかったらどうぞ。
すいません。
いやあ…。
ああ…うまいですねこれ。
へえ〜。
「行き暮れてなんとここらの水のうまさは」。
ああ種田山頭火ですけどご存じですか?ええ。
あの…放浪しながら歌を詠んだ人ぐらい…。
興味がなきゃそんなもんですよね。
私はあの…3月まで国語の先生してましたから…。
女房に先立たれて…。
子供はいなかったんですけどね。
私が退職したら2人で日本中旅しようって言ってたんですよ。
放浪と旅の違いわかりますか?いえ…。
目的があるかないかです。
あの…芭蕉はうーん…旅ですよね?山頭火は放浪って事になりますか。
「分け入っても分け入っても青い山」。
山頭火は己が思うまま放浪して自然の思いを句にしたんです。
だからでしょうねなんか人々を魅了するのは…。
あっすいませんなんか…。
あの…教師の性分でね理屈っぽくなっちゃって…。
いえ…。
どちらまで行くんですか?ええ…。
長崎の平戸まで行こうと思ってます。
遠いですね。
私の考える旅の定義をもう1つ。
帰るところがあるという事です。
ちょっと喋りすぎですか?なんかあんた喋ってばっかりで人の言う事全然聞かないってカミさんにいつも怒られるんですよ。
今日もねこんなうまいコーヒーたててもらって1人で喋ってるでしょう。
お茶濁すってこういう事ですかね。
うまいですよ。
(波の音)あっ!ねえあれ。
あれは?ああいい手触りね。
え?これ…。
うーん…。
うーん…ねっ?長い時間使って波が磨いたもんだからね。
人がヤスリかけて磨いてもこうはならないんだよ。
いいものが出来るわね。
あれは?これは…これは…。
待て待て待て…。
(笑い声)
(カモメの鳴き声)ホホ〜…。
それはそうと海の近くに住むってのどう思う?突然どうしたの?え?いや…。
嘱託の技官も来年終わりにしようかと思ってるんだよ。
転勤転勤の連続だったからな。
どっかでゆっくり暮らしたいな。
なっ?終の住処ね。
「しぐれてゆくか」「あさなぎの島を二つおく」
(ノック)何か?
(田宮裕司)バッテリーケーブルをお持ちじゃないですか?ケーブル?はぁ。
(田宮)ああ駄目だこれ!これバッテリーじゃないんだな。
ああ参ったな。
これじゃあ間に合わないよ。
どこまで行くんですか?大阪なんですけどね。
じゃあ都合のいいところまで送ろうか?本当ですか?いや〜助かります!じゃあすいませんあの後ろを開けてもらえますか?えっ?
(田宮)後ろ後ろ。
ハハハ…いやあすいません。
ああごめんなさい。
いやあ実はですねこの車荷物乗るからいいなと思ってたんですよ。
いやあいいですねこれ。
じゃあこれとりあえず乗っけますから。
いやあ…いやあ助かります本当。
北海道の阿部商店の田宮といいます。
どうも。
駅弁の実演販売してます。
はあ…こうやって日本全国回るんですか?うちのいかめし弁当売り上げの9割は駅の立ち売りじゃなくて物産展やイベントでの実演販売なんです。
いやあしかし助かりました。
一緒に回っていた者に不幸があって北海道に帰したところなんです。
今日中に仕込みしないと明日の出店に間に合わないから。
それで都合よく私に出会ったって事ですか?客商売ですから人を見る目はあるつもりです。
お客さんなら助けてくださると思いました。
おはようございます。
こっちです。
おはようございます!おはようございます!おはようございます!よっ!おはようございます!おはようございます!いやあ大変なんですね。
実演販売の駅弁作りがこんなに大変だって初めて見ました。
出来たてをお出ししてお客さんが喜んでくださる顔を見るためですから。
なんか手伝う事あったら…。
よろしくお願いします!助かります。
いやあ…。
販売目標なんてあるんですか?1日2000食です。
富山からどちらまで行く予定なんですか?ええ南へ下ろうと思ってます。
気ままな一人旅ってわけですか。
うらやましいな。
僕なんか日本中のスーパーやデパートの場所を知ってても観光地なんか行った事ないですよ。
失礼ですがご家族は?ええ今は独りです。
田宮さんは?うちは女房と小学1年の女の子が1人です。
家族は寂しいでしょうね。
いやもう慣れたもんですよ。
こっちだってこの頃は帰るのが面倒だって思う時があるくらいですから。
ええ?おはようございます。
(南原慎一)おはようございます。
主任遅くなりました。
(田宮)ごくろうさまです。
うちの南原です。
こちら倉島さん。
色々助けて頂いて。
初めまして倉島です。
南原です。
車で送って頂くだけだったのに妙な事になっちゃいまして。
あっ自分がやります。
じゃあ…。
ええ。
まあ3人でやれば仕事早く終わりますようん。
じゃあお疲れさまです。
お疲れさま。
お疲れさまです。
お疲れさまです。
(店員)へいお待ち!ああ〜…。
ああうまい!倉島さん以前どんな仕事してたんですか?公務員です。
公務員ですか!言われてみればそんな雰囲気ですね。
お二人はこの仕事長いんですか?僕は10年目です。
私は4年です。
会社では僕が先輩なんです。
2人で旅を回るのは久しぶりです。
南原さん空き時間に観光なんかした事ありますか?ああ…仕事ですからそんな余裕ありませんね。
倉島さんはキャンピングカーで旅してるんですよ。
うらやましいですよね。
そうですか。
へいお待ち!今まで行ったところで一番どこがよかったですか?実は富山出てからまだ二晩目なんです。
長崎の平戸へ行こうと思ってます。
あっ…こんなところで寄り道して大丈夫だったんですか?まあ…。
(携帯電話)ちょっとすいません。
あっ家からだ。
(田宮)もしもし?平戸はどちらへ?ええ薄香という港町です。
そうですか。
随分と遠くまで行かれるんですね。
どうして主任を乗せたんです?あの強引さに負けました。
でもなんだか憎めない。
いやああなたが来なかったら1人で2000杯ものイカ洗わされるとこだったですよ。
仕込みどころか販売まで手伝わされましたよ。
助かりました。
ああ…。
なんだか盛り上がってますね。
主任が倉島さんを見込んだ勘がすごいって話ですよ。
いや…本当に今日はいい経験させてもらいました。
じゃあ明日ちょっとだけお客さんの喜ぶ顔見ていきませんか?ええっ?ぜひ。
いいですよね?ええ…。
いらっしゃいませー!いくつですか?
(女性)2個ください。
2つ。
(アナウンス)「ご来店頂きましてまことにありがとうございます」「阪急うめだ本店は…」あとは2人で大丈夫ですから。
本当にありがとうございました。
これ…。
とんでもない。
それは受け取れません。
タダってわけにいきませんよ!いや…。
じゃあガソリン代の足しにしてください!ありがとう。
とんでもない。
すごいね完売。
今日すごかったです。
あっ僕ら明後日から九州の門司にいますからもし時間あったら寄ってください。
ありがとう。
こちらこそありがとうございます。
今日はすごかったな〜。
『相棒』で大活躍のこの男が警察組織の闇に迫る!
(相原)盗聴器!?内部告発です。
(内村)そいつを暴いてどうなる。
(米沢)これは私の事件なんです。
(洋子の声)欲しいんでしょ?子供みたいな顔をして見ていたわよ。
いい道具だけどちょっと高いな。
いいわよ。
あなたの定年のお祝いに買いましょう。
これからも嘱託の作業技官で働けるんですもの。
ありがとう。
でも俺にはもったいない。
(客たち)あと1人!あと1人!あと1人!あと…。
(歓声)
(客たち)あと1球!あと1球!
(客たち)あと…。
ああ〜!「ありがとう。
でも…」あなたの口癖ね。
さっきね気づいたの。
私たちってお互いに気を使って暮らしてきたんだなって。
(客たち)あと1球!あと1球!あと1球!私が望まなかったから子供も持たなかった。
(客たち)あと1球!あと1球!あと1球!今までありがとう。
(実況)「ウイニングボールは…」
(客たちの歓声)夫婦なんだからそんな事言うなよ。
どないしたん?どないしたん?優勝優勝!おめでとう!おめでとう!
(実況)「2005年9月29日午後8時49分セントラルリーグ…」やっぱり湯豆腐にしといた方がよかったわね。
(客たち)「六甲颪に颯爽と」「蒼天翔ける日輪の」「あかいめだまのさそり」「ひろげた鷲のつばさ」「あおいめだまの小いぬ」「いかりのへびのとぐろ」「オリオンは高くうたひ」「つゆとしもとをおとす」
(演奏)「アンドロメダのくもは」「さかなのくちのかたち」「大ぐまのあしをきたに」「五つのばしたところ」「小熊のひたいのうへは」
(演奏)「そらのめぐりのめあて」
(演奏)
(拍手)
(太鼓)
(太鼓)
(太鼓と手拍子)せっかく来て頂いたのにうまく歌えませんでした。
いや…。
今日で歌をやめようと思います。
やめるんですか?歌う事に嘘をついてしまいましたから。
本当は皆さんの前でもう一度歌わなくてはいけないんです。
でもその勇気がありません。
大切なものってなくしてしまってからその価値に気づくのですね…。
あの中では流れているはずの時間が止まっています。
忘れられていいんじゃないでしょうか。
そうじゃないとあなたの時間が止まってしまいます。
忘れるためにあの人の事聞いてくれませんか?はい。
ありがとう。
いやあなかなかうまくいかない。
車作りに熱中するのはいいけれどちゃんと食事をしてくださいね。
あなたそれ取って。
これ?ああそれじゃなくって…。
ああそれそれ。
これ?簡単なお総菜のレシピ書いておいた。
ええ!?塚本さんに面倒かけてばかりじゃ悪いから。
大丈夫だよ。
ひじき煮?うん。
ちゃんと試しておくから…。
(笑い声)心配するなよ。
(笑い声)参ったね。
危ないからねちょっと離れててくれる?ねっごめんね。
はぁ…。
子供ってあっという間に大きくなるわね。
うん。
時間は止まらずに流れている。
誰かと再会するのっていいものだと思わない?ええ?転勤も悪いもんじゃないわね。
君は優しいよな。
ここはね職業指導に力入れてるんだよ。
指導員の免許を取ってみようと思うんだ。
刑務官辞めるの?いや職場は変わらない。
技官になって木工場であの連中と一緒に仕事してみたいと思ってるんだ。
あなたに向いてると思うわ。
そう?
(拍手)強度テストで担いでみてもよろしいでしょうか?かけ声を出すのは駄目だぞ。
よし!
(鈴の音)もっと元気にやらんとテストにならんぞ。
(鈴の音)よーし!
(子供たち)わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!そーれ!
(子供たち)わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!ああうまく撮れてるうまく撮れてる。
(笑い声)まあよく撮れてます。
あっやだ…。
いつの間に撮ったの?これ。
ひどい顔ばかり…もう。
(男性)「奥様の死亡保険金のご請求書に1か所捺印漏れがございまして改めて押印を頂きたいのですが…」「あっもしもし?」はい。
「倉島様?」はい。
「はい」えー…今旅行中なので改めてこちらからまたご連絡します。
「ああ…あの…お手続きが遅れますとお支払いの方も遅くなりますのでお早めにどうぞ」はい。
(クラクション)悪性のリンパ腫でした。
転移が早くて治療が間に合いませんでした。
(杉野)奥さんもあなたもさぞかしつらかったでしょう。
うちは…脳溢血であっけないもんでした。
お喋りな私が嫌いだったから妻にとってはよかったのかもしれません…。
旅と放浪の違いは帰る場所があるかないかっておっしゃいましたよね。
そんな理屈言いましたか?独りになったんです。
帰るところなんかこれから探しゃあいいじゃないですか。
生き残った者はまだ生きていかなきゃならないんです。
ごちそうさま!「ひとり山越えてまた山」。
これ読んで頂けました?
(車の走行音)手配車両に間違いないです。
こちら下関42どうぞ。
こんにちは。
あのこちらのキャンピングカーはおたくのですか?ええ…。
(警官)手配中の大宮88042‐10の車上荒らし被疑車両を発見。
あの…私んです。
あっおたくの。
あのね福岡県警の方から車上荒らしの容疑で手配が出てますから。
ね…。
(船の汽笛)放浪するうち迷ってしまいました。
念のためあんたも一緒に来てもらうよ。
あっすいません…。
富山刑務所の方と確認が取れました。
あの総務部長の塚本さんがくれぐれもよろしくとの事でした。
大変お手数をおかけしました。
すいません。
それにしてもとんでもない男とお知り合いになりましたね。
全国を旅しながら行く先々で車上荒らしを繰り返していたようですよ。
中学の教師をやってたとかって言ってましたが…。
そんな作り話をしていましたか…。
あっそれでこの本はあなたのものだから返してほしいと。
(電話)お願い。
はい。
(電話)はい塚本です。
ああ倉さん!大変でしたねえ。
いや心配かけてすまなかった。
(塚本)「被害には遭ってないんですね?」いやそれはない。
かえってこっちが世話になったくらいだよ。
(塚本)「車上荒らしに世話になった?」うん。
そいつも奥さん亡くして旅に出たらしいんだ。
ああ…。
ああそうだ!倉さん久しぶりに神輿の注文が入りました。
戻ってきたら存分に腕を振るってください。
だから倉さんくれぐれも無理をしないで。
わかったよ。
じゃあな。
倉さん大した事なかったらしい。
よかった!黙っててほしいって言われたんだけど私洋子さんに頼まれてNPOの人に手紙を渡したの。
ええ!?どうしてそんな事を。
理由なんて聞けなかったわ。
でも子供みたいに笑ってたの。
俺は嫌だからな。
嫌って?散骨だよ。
墓がないなんて寂しいじゃないか。
そんな事言ったって…。
散骨…無事に済むといいわね。
(携帯電話)もしもし倉島さん?今どの辺りですか?えっまだ下関ですか!?なんだか声が疲れてますね。
ああ今日は色々あったからなあ。
(田宮)「じゃあ今夜は門司でホテルに泊まりませんか?」「うちが使ってるホテルに割引きさせますから」また一緒に一杯やりましょう。
ありがとう。
2日目は3000食を売り上げました。
3000…!はい。
わあすごいな。
(店員)イカ刺しお待たせしました。
ありがとうござます!これ頼んだのって主任ですか?ここだけの話イカは刺し身の方がうまいっしょ。
じゃあイカ刺しに乾杯!乾杯。
(店主)いらっしゃいませ!前田やけど。
(店主)ああどうも。
お2階の方どうぞ。
どうぞこちら。
お願いします。
主任そろそろお開きにしましょう。
倉島さんもお疲れのようですし。
倉島さんもう少し付き合ってください。
なんなら明日も手伝ってくださいよ。
いや…明日は駄目なんだよ。
さっ主任帰りましょう。
帰っても寂しいだけなんですよ。
ビジネスホテルってどこも似たような部屋ばっかりで朝起きた時に自分がどこにいるのかわからなくなる時があるんですよ。
そんな時たまらなく寂しくなるんですよね…。
南原さんそんな時ないんですか?
(ため息)そういう事引き受ける覚悟がないんならこんな生活やめた方がいい。
やめたいけどやめられないんです。
女房に男がいるんですよ。
だけど…はっきりとさせるのは怖いんですよ。
(田宮)だから続けるしかないんです。
倉島さん話聞いてもらえませんか?俺最初に会った時にこの人なら話聞いてくれるって思ったんです。
倉島さん寂しそうな目してたから…。
倉島さんに失礼だ。
いい加減にしよう。
実は…女房を亡くしたんです。
遺言で「ふるさとの海へ散骨してほしい」。
明日が女房からの手紙を受け取る期限なんです。
ですから今日は付き合えますよ。
(キャスター)「明日の天気予報をお伝えします」「大型で非常に強い台風25号が九州西部に近づいています」「台風は現在沖縄の北の海上120キロの位置にあり…」
(運転手)はいお疲れさまです。
はいありがとう。
ありがとうございました。
おい気をつけろ。
はい。
はいどうもありがとう。
(運転手)ありがとうございました。
おいおいおいおい…!珍しく飲んだな…。
だって楽しかったんだもの。
あなたが…灯ってる。
(ノック)
(ノック)はい。
先ほどは主任が失礼しました。
強引なとこもあるけど素直な人ですよね。
子供みたいに開けっぴろげで…。
そこがうらやましかったりもします。
よかったらどうぞ。
いやあの…。
薄香で船のあてはあるんでしょうか?いえ向こう行ってから探そうと思ってます。
もし船の手配にお困りでしたらこの人に連絡してみてください。
行かれた事があるんですか?ああ…昔あの釣りに行った時お世話になりました。
おやすみなさい。
(波の音)
(雷鳴)もやいば解けんごしっかり結んじょれ!おう任せちょれ!おうこいも頼む!そっちの船ば利いとるかよう見とけ!ほーれ!こん時化ん中で船ばチャーター?嵐の接近しとるけんそれどこじゃなかですよ。
おお奈緒ちゃんごちそうさん。
(濱崎奈緒子)どうも。
あのどっかで散骨出来る船をチャーター出来るとこをご紹介頂けるかどうかという事なんですが…。
(事務員)散骨?例の遺骨ば海に撒くってやつですか。
ええ。
生け簀もあるし定置網もあるし勝手に撒かれちゃ困っとですよ。
いやご迷惑のかけないところでやりたいと思ってますが…。
まあ一応組合長のちょうどおるけん相談ばしてみます。
お願いします。
康栄丸がまだ戻っておらん!また7年前んごたる遭難はもうたまらん!大丈夫。
五島の平港に避難しとる。
ああそれなら安心たい。
あっ!すいません。
いいえ。
ありがとうございます。
やっぱそげんこつの紹介は組合としては難しかとですたい。
そうですか。
ええ。
ありがとうございました。
いや…。
予約も入っとるし外洋に出るとならボートじゃなくて太か船じゃなかとや無理たい。
あの…チャーターのお金も準備してあるんですが。
お金じゃのうて。
そげんとはあとで何言われるかわからんと。
勘弁してほしか。
わかりました。
(キャスター)「今回の台風は7年前に各地に大きな被害をもたらした台風23号に匹敵する強さで今夜長崎県を中心とする九州北部に上陸する恐れが…」
(奈緒子)父さんの遭難した時のような強か台風やって。
(戸が開く音)いらっしゃいませ。
(濱崎多恵子)いらっしゃい。
こんにちは。
どうぞ。
あっすいません。
先ほどはありがとうございます。
あっいえ。
今日のおすすめは煮魚です。
じゃあそれください。
はい。
煮魚定食。
はい。
本当は余計作りすぎて余ったとです。
でもすごく美味しかとですよ。
(大浦卓也)こん天気やけん明日の分も持ってきた。
(奈緒子)他ん事にもそんくらい気ぃの回るとよかとにね。
(卓也)表の車お客さんの?ええ。
あっ邪魔になってますか?ああ…そうじゃなか。
この辺で富山ナンバーなんて珍しかけん。
ちょっとどかんね。
はい。
お客さん富山からいらしたとですか?はい。
散骨をしてくれる船ば探しとっとですよね?ええ。
なんで薄香の海なんですか?ええこの場所の出身だったんです女房が。
ああそうやったとですか。
あの…。
「大浦吾郎」さんって方ご存じですか?うちのじいちゃんやけど。
あの…もし船に困ったらこの方に相談するようにって言われたんですが。
なんて人ね?ええ…南原さん。
釣りに来た事があるって聞いてます。
釣りで?はい。
じいちゃんの知り合いやろか?はいどうぞ…。
紹介者もいるんやけん船ば出してあげんね。
(奈緒子)大体組合長がろくに話も聞かんで断ったとよ。
こんままじゃ薄香の漁師は薄情だって事になるばい。
漁協のこつで俺に逆ギレされても…。
なんとかしてあげんばって思わんと?そりゃあ思う…ばってん一応船頭のじいちゃんに聞いてみんと。
思うとならなんとかせんね!わかった。
(卓也)俺来月あいつと結婚すっとですよ。
ああそうですか。
それはおめでとう。
ばってん今ケンカしとって…。
こっちです。
(大浦吾郎)申し訳ねえがよそをあたってくれ。
じいちゃんなしてね?わしの船たい。
出すかどうかはわしが決める。
帰ってもらえ。
こん人わざわざ富山からいらしたと。
じいちゃんの知り合いの南原さんって人の紹介やし。
それじゃあ薄香の漁師は薄情だって言われるばい。
そげん男は知らん。
薄情かどうかはこん人がわかっとるはずたい。
失礼しました。
どうせ明日は船ば出すのは無理やからあとでまた聞いてみますけん。
いざとなったら俺が黙って船ば出してもよかです。
いえ!それはもう本当に…。
ありがとう。
(ノック)
(ノック)…はい。
母さんが今晩はうちに泊まりませんか?って。
いえ自分はここで大丈夫です。
こげん日は人の厚意ば受けんと!台風が直撃したら死んでしまいますけん。
いや…すいません。
どうぞ。
すいません。
あいつ調子んよか事ば言ったくせに。
明日もういっぺん私がガツンと言いますけん。
いえいえ。
自分の頼み方が悪かったんですから。
すいません。
上に用意ばしましたけん。
いえいえ!自分は本当にこちらで結構ですから。
いやでも…。
本当にこちらで十分ですから。
ありがとうございます。
(多恵子)すいません眠れんで。
少し付き合うてくれませんか?こいば。
奥さんおいくつだったとですか?53でした。
ここにはいつまで?13で島を離れたって聞いてます。
そうですか。
うちは松浦の出身ですばってん夫が2つ下ですけん知っとったかもしれませんね。
7年前こげん天気の日に漁に出て帰ってこんでした。
はぁ…。
海難事故は遺体のあがらんでも3か月で死亡認定が下りるとです。
だからうちん人のお墓には遺骨は入っとらんとですよ。
大浦吾郎さんば紹介してもろうた方とはどういうご関係なんですか?旅の途中で知り合いました。
ご存じの方ですか?いえ…。
うちにも釣りのお客さんがお見えになりますけん知っとる方かと…。
明日うちからも頼んでみますけん。
大浦さんは…自分がまだ迷いがあるんだとわかってらっしゃるんだと思います。
女房が死んでからこれが届きました。
どうして生きているうちに言わなかったんだろう。
女房にとって自分はなんだったんだろうってそればっかり考えながらここまで来ました。
夫婦やけんって相手の事が全部わかりはしません。
奥さんが言わんかった訳なんてどうでもよかじゃなかですか。
こいば頼りにここまで来たって事で十分じゃなかですか?すいません勝手な事ば言うて。
あれ〜風の少し弱なったみたい。
きっと奥さんをこん海にかえしてあげられますばい。
(町内アナウンス)「こちらは平戸市役所です」「本日午後1時より薄香公民館において移動診療所が開かれます」「けがをされた方体調を崩された方は公民館の方までお越しください」こんにちは。
ああこんにちは。
ありがとう。
(拍手)大浦さん。
昨日は失礼致しました。
ああ。
改めてお願いに参りました。
妻の散骨のために船を出して頂けないでしょうか。
明日には海も静かになるけん。
よろしくお願いします。
奈緒子に船ば出すって言うたら自分の事のように喜んで。
おかげで仲直りが出来そうです。
2人のおかげです。
ありがとう。
俺ね奈緒子ば幸せにしてやりたかとですよ。
7年前あいつが高校3年の時父親が遭難したんです。
遺体のあがらんであいつ港で毎日捜索の船待っとりました。
(卓也)そん時の顔今でもよう覚えとるとです。
それなのにあいつはこん海が好きだって言います。
漁師の俺と結婚ばしてくれます。
優しい人と一緒になるんだね。
はい。
お待たせしました。
どうも。
どうぞ。
ああありがとう。
奈緒ちゃん郵便。
どうもありがとうございます。
(客)奈緒ちゃん。
はい。
(客)えー生姜焼き2つとちゃんぽん2つくれんね。
(奈緒子)はい。
生姜焼き2つちゃんぽん2つ。
はい。
お茶くれんね。
(奈緒子)はーい。
どうぞ。
こんばんは。
晩飯まだですよね?船よかったですね。
おかげさまで。
明日はきっと静かな海になりますよ。
どうぞ。
すいません。
どうぞ。
うちん人もこん海で漁師だけやっとればよかったとです。
妙なもうけ話に乗って借金ば作ってそいば返そうと焦ったのがようなかったとです。
保険金で借金ば返して残ったお金で釣り船屋を食堂に変えたとですよ。
バカな人たい。
命の代わりに残したとはあぎゃん店なんやから。
お願いがあります。
(多恵子)うちん人に見せたかとです。
明日海に流して頂けませんやろか。
そげんすればあん人に届くかもしれんけん。
わかりました。
お願いします。
(刑務官の声)左左左右!左左左右!左左左右!
(刑務官の声)左左左右!
(鉄扉の閉まる音)
(鉄扉の閉まる音)こい私と母さんから。
ありがとう。
卓ちゃん気ぃつけてね。
(卓也)任せろ。
おい!出るよ!出航!ここでよか。
ここならば誰の迷惑にもならん。
この海にはこいつの両親も眠っとる。
意地の悪かこつば言ってすまんかった。
いえ。
今日の海は優しかね。
こげん海にかえれて仏さんも喜んでおるやろ。
うん。
大浦さん。
お世話になりました。
おい!おい!油代だけもろうとけ。
はい。
久しぶりにきれいな海ば見た。
倉島さんと一緒に飲もうや。
えっ!?そっとしといてやらんね。
まったく気のきかんとやけん。
(風鈴の音)いい音。
でも秋になったら忘れずに外さなきゃね。
季節外れの風鈴ほど悲しい音はないもの。
(風鈴の音)フフフッ。
わかりました。
主任ちょっと出ていいですか?はい。
開店時間前には戻りますから。
倉島さん。
大浦吾郎さんの船で昨日無事に散骨が終わりました。
あなたのおかげです。
どうもありがとうございました。
それはよかったですね。
実は女房からの最後の手紙に…「さようなら」としか書いてありませんでした。
「さようなら」だけですか?ええ。
だからとっても迷いました。
そしたらあの町の食堂の女性が迷って当たり前なんじゃないかそう言ってくれました。
その言葉のおかげで…。
妻の遺言の本当の意味がわかったような気がしました。
あなたにはあなたの時間が流れてる。
そう言いたかったんだと思います。
その女性がこの写真を海へ流してほしいって。
そしたら…。
見てもらえるかもしれない。
(船の汽笛)薄香の港小さな港だったでしょう。
あの港で生まれて育ってあいつと結婚して奈緒子が生まれたんです。
小さな港から海に出て漁をする。
それで十分だったはずなのに陸に上がりたいなんて思ったのが間違いだったんです。
あの日壊れた船で漂流してる時ふと考えてしまったんです。
このまま遭難した事にすればって…。
私は南原という人間になってもう7年になります。
でもあいつはまだあの港で暮らしてる。
倉島さん…。
実は自分は長い間刑務官でした。
受刑者が人を使って外に情報を流すのを鳩を飛ばすって言います。
自分が今日…鳩になりました。
2個ください。
2つはい。
ありがとうございます。
2個ちょうだい。
2つはい。
じゃあ千円頂きます。
2つ。
2つはい。
ありがとうございます。
(米沢)自殺?
次回は『鑑識・米沢守の事件簿』
(米沢)何か奥の深い事実が隠されてる。
妻の死を追う2人の男が警察組織の闇に迫る!
(米沢)まさかこんな大きな事件に発展するとは…。
プレゼントのお知らせです
指原莉乃主演『薔薇色のブー子』のスペシャルブルーレイBOXを抽選で20名様にプレゼント致します
ご覧の宛先までご応募ください
2014/09/28(日) 21:00〜23:10
ABCテレビ1
日曜洋画劇場 特別企画「あなたへ」[デ][字]
高倉健主演、豪華キャストで贈る「あなたへ」。亡き妻が残した手紙。その真意を確かめるため、夫は妻の故郷へと旅に出る…。
詳細情報
◇番組内容
亡くなった妻から“遺言”として倉島(高倉健)に届けられた絵手紙。そこには「故郷の海へ散骨してほしい」という、今まで知らされることのなかった妻の想いが記されていた。そして、もう一通の手紙は、妻の故郷・長崎の郵便局の局留めとして届けられているという。倉島は妻の真意を知るために、遺骨を持って長崎への旅に出る。
◇出演者
高倉健
田中裕子、佐藤浩市、草