夏目漱石がイギリス留学中に見たとされる「人魚」。
小説「三四郎」にも登場します。
三四郎が思いを寄せる女性から画集を見せられる場面。
「『マーメイド』『マーメイド』。
頭を擦りつけた二人は同じ事をささやいた」とあります。
この絵は当時「ロイヤル・アカデミー」に寄贈されたばかりでした。
およそ250年イギリスの美術界を牽引してきた「ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ」のコレクションを紹介します。
ロイヤル・アカデミーは1768年国王ジョージ3世の庇護のもとに創設。
フランスに遅れをとっていた芸術の水準を引き上げる事が目的でした。
初代会長レノルズはアカデミーが目指す理想を描きました。
芸術には知性がなければならない。
考えるポーズで天を見上げる女神は向上心を表しています。
アカデミーの運営を担ったのは自ら会員となった芸術家たち。
展覧会を開催し無償の美術学校で専門的な教育も行いました。
イギリスの国民的画家ターナーが20代半ばでアカデミーの会員に選ばれた時の作品。
着想のもととなったのは中世の城に王子が幽閉されていたという実際にあった物語。
それを暗示させる不穏な風景です。
53歳で会員となったカンスタブル。
生涯イギリス東部にあるふるさとの風景を描き続けました。
忍び寄る雲。
嵐の前のざわめいた空気に包まれています。
アカデミーは時代をリードする画家たちを輩出。
ジョン・エヴァレット・ミレイもアカデミーの会員でした。
子供にかわいらしい衣装を着せポーズをとらせた「ファンシー・ピクチャー」というジャンルで絶大な人気を集めます。
フィレンツェの庭園を描いたサージェントの作品。
印象派風の表現でロイヤル・アカデミーに新風を吹き込みました。
ロイヤル・アカデミーの歴史をたどる展覧会。
鰯の頭を貼り付けた帽子。
ドイツ文学者にして知の「怪人」種村季弘です。
没後10年。
種村が愛した芸術家や作品を通して独自の視点を探ります。
種村の本は評論や翻訳などおよそ200冊。
秘密結社や錬金術ヨーロッパで異端とされていた文化を日本に紹介。
その範囲は美術の世界にも及びました。
美術評論を始めた頃に取り上げたのが「ウィーン幻想派」。
驚異的な細密描写。
フックスは「聖書」や神話をもとに幻想的な世界を描きました。
「天使や怪物は私たちの無意識の中に蓄積された共通のイメージ」だと種村は述べています。
教師だったハイデルバッハ。
生徒が作った未完成の人形に衝撃を受け絵にしました。
詳しく批評したのはいまだ種村ただ一人です。
種村にとって「のぞく」という行為は異空間へと迷い込む夢の入口でした。
「Scope」と呼ばれる桑原弘明の作品。
中をのぞくと…。
現実と見間違うほど隅々まで精巧に作られた部屋。
光が入る角度によって全く印象が変わる仕掛けです。
種村は人間の体の魔術性にも注目。
「暗黒舞踏」と呼ばれる新しい身体表現を確立した土方巽。
種村が土方に寄せた言葉。
「我々が忘却した身体運動の記憶を彼は消えない蒙古斑のように肉体に烙印している」。
妖しい美しさを放つ人形。
種村は人形の魅惑は「そのあどけない肌の下に湛えられている滅びの予感にある」と語っています。
種村の周りには四谷シモンをはじめ独創的な芸術家が集まり親密に交流していました。
当時ねやっぱり風潮として異端というものがちょっとやっぱり…何ていうんだろうちょっと追いやられてるところがあったんですよね。
それをあえてうちの父は「批判されてもいいから世に送りたい」と。
だから結構男気質みたいなのがすごくあってそういう硬派的なところが異端の作家を育てたというか世に出したようなところがあるんじゃないかなと思います。
種村季弘が見つめた美の迷宮。
浮世絵の人気を二分する葛飾北斎と歌川広重。
荒波の中必死に漁船をこぐ男たちを描いた…現存数が少なく大変貴重な作品です。
木の根を思わせる生命力日光の「霧降の滝」。
参拝客が驚きながら眺めています。
「諸国瀧廻り」全8枚が展示されています。
白と黒の雪景色の中人物だけが色を帯びています。
東海道の名所を描いた広重の傑作です。
大正から昭和にかけて活躍した彫刻家藤井浩祐の世界です。
張りのある体の線が美しい代表作「鏡」。
鏡を見る若い女性の感情が表現されています。
「爪を切る女」は繰り返し制作したテーマ。
戦争で作品の多くが焼失したため残された数少ない院展出品作です。
今年4月に亡くなった田中岑。
第一回安井賞を受賞した「海辺」。
赤は田中にとって戦争を象徴する色でした。
この絵は中国に上陸した時の戦争体験がもとになっています。
青の諧調を立体的に組み合わせた水底。
透明な光に満ちています。
アトリエを構えていた川崎市で開かれる展覧会。
現代美術に大きな影響を与えたドイツの芸術家ヨーゼフ・ボイス。
旧西ドイツの紙幣に「芸術=資本」と書かれた作品。
「人間の持つ創造力こそが社会の資本となるべき」という考えを表しています。
「社会彫刻」という概念を提唱したボイスはパフォーマンスを次々に行いました。
その写真やフィルム使った素材などを作品にして行動を形に残しました。
亡くなる前年カプリ島で制作した作品。
本物のレモンに白熱電球が差し込まれています。
限りある自分の命をなぞらえたのでしょうか?戦国武将にして茶の湯の名人古田織部。
信長秀吉家康に仕え斬新な美意識をもたらしました。
ゆがんだ形と抽象的な文様。
ふるさと美濃で焼かれた器は後に「織部焼」と呼ばれるようになりました。
古田織部400年忌を記念してゆかりの資料や焼き物を紹介します。
織部が絶賛した水指。
ひしゃげた形と大きなヒビ。
当時の茶人は織部の茶道具を見て「ひょうきん」を意味する「ヘウゲモノ」と称しました。
織部はわびさびを重んじるそれまでの茶道に遊び心を取り入れました。
碁盤の目のような蓋。
開けると一匹のカマキリが現れます。
織部好みの茶室「燕庵」が原寸大で再現され入る事もできます。
たくさんの窓がある開放的な空間。
織部の美意識が詰まった茶室です。
2014/09/28(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館アートシーン▽ロイヤル・アカデミー展 ターナーからラファエル前派まで[字]
「華麗なる英国美術の殿堂 ロイヤル・アカデミー展 −ターナーからラファエル前派まで−」(東京富士美術館 9月17日〜11月24日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「華麗なる英国美術の殿堂 ロイヤル・アカデミー展 ターナーからラファエル前派まで」(東京富士美術館 9月17日〜11月24日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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