あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?今回は…。
(「バイオリン協奏曲」)ロシアの作曲家…しかしこの曲が生まれたのはスイス。
その陰には旅先での運命の再会が…。
名曲の始まりは…チャイコフスキーの子供時代に遡ります。
バイオリンを輝かせる仕掛けにびっくり!ゲストの羽田美智子さんも感動!
(「バイオリン協奏曲」)今日は華やかな名曲に秘められたドラマをお届けします!「ららら♪クラシック」今日はチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」をご紹介します。
今日はこの曲にゆかりのある方をお招きしています。
本日のお客様は女優の羽田美智子さんです。
よろしくお願いします。
ようこそお越し下さいました。
さあ羽田さんは以前ドラマでこの曲を演奏した事が…。
演奏した事になってるっていうシーンなんですけど。
羽田美智子さんはこの曲を弾く世界的バイオリニストを演じました。
(「バイオリン協奏曲」)すばらしいじゃないですか。
かっこいいですね。
ちゃんとビブラートかけてましたよね。
実際にお弾きになれるんですか?バイオリン。
私は全くほんと弾けないので指揮者の方が台からずり落ちてました。
弾きだしたら。
自分なりに問いかけてだんだん自分なりに見えてきた答えがあったんですね。
答えてくれるんですか?聞くと。
なんか感じるものがあってすごい人生のバラ色の喜びを表現したかったんだよとかそれからまだ見ぬ自分の未来と向き合ってしゃべったんだよとか。
面白いですね。
でも実はこの曲を書いた時チャイコフスキーはボロボロの状態だったんですよね。
どういうボロボロだったんですかね?チャイコフスキー唯一のバイオリンのための協奏曲。
実はこの曲を作る少し前彼の心はボロボロだったのです。
1877年…しかしそれは望まない結婚でした。
実はチャイコフスキーは同性愛者でした。
世間体を気にして結婚したものの愛のない結婚生活に耐えきれず…チャイコフスキーは心身共に最悪の状態に追い込まれてしまいます。
そして仕事でも。
作曲への意欲が薄れ書いた作品への評価も得られない日々。
当時のロシア音楽界は貴族出身の作曲家ばかりが認められ平民のチャイコフスキーはなかなか活躍できませんでした。
公私共に行き詰まったチャイコフスキー。
全てを捨ててロシアから去ったのです。
ドイツフランスイタリア…自分の居場所を探してヨーロッパを転々としたチャイコフスキー。
旅先で無心に作曲を続けるうちに次第に心が落ち着いてきます。
「交響曲第4番」歌劇「エフゲーニ・オネーギン」といった作品がそんな日々から生まれました。
旅を始めて半年後チャイコフスキーはスイスを訪れます。
ここで彼を大きく変える出来事が。
それは同郷のバイオリニストイオシフ・コーテクとの再会でした。
当時ベルリンで活動していたコーテクはチャイコフスキーのためにいろいろな流行曲を弾いて聴かせました。
それまで1人で音楽と格闘していたチャイコフスキー。
気心の知れた仲間とのひとときは彼に音楽の楽しみを思い出させてくれました。
自分もバイオリンの大作を書きたい。
チャイコフスキーはすぐに作曲に取りかかります。
少し書いてはコーテクの意見を聞きまた書き進める。
その様子をつづった手紙が残っています。
チャイコフスキーは僅か20日で「バイオリン協奏曲」を書き上げます。
それは自分自身が心から満足できる音楽でした。
この曲の完成後チャイコフスキーはロシアへ戻る決心をします。
こうして自らを模索する旅は終わりを迎えるのです。
いかがですか?愛ですね。
信頼もできるバイオリニストが書いたそばからどんどん弾いてくれてあんなふうにコミュニケーションが取れたら作曲家としては一番乗っちゃいますよね。
考えてみれば3週間足らずで歴史に残る名曲が仕上がった。
まあ楽しかったろうなぁ。
あとはやっぱり外国にいるその自由っていうのも大きいんじゃないですかね。
旅での解放とか。
やっぱ発想もどんどんいろんな刺激があるでしょうし。
でもねこの曲実は初演したウィーンではまさにボロボロだったんですね。
批評家からは「悪臭を放つ音楽」とまで言われたんですよ。
この表現どう思います?ちょっと厳しすぎますよね。
でもソリストを務めたアドルフ・ブロズキーというバイオリニストが酷評にもめげずにとあるごとにこの曲を弾き続けてそのおかげで大ブレークしていった作品なんですよね。
その当時受け付けられなかったって事は当時としてはかなり革新的な…。
お年寄りの方が若い方の音楽を聴いてちょっと耳を塞ぎたくなるような音だなんてどの時代でも必ずあるじゃないですか。
そのぐらいすごい迫るものがあったのかもしれないですよね。
あとは難曲というか難しすぎてというのも演奏家にとっても非常に難しい問題も…。
技術的にもね。
では羽田さん今度はこの曲のルーツを見ていきたいと思うんですけれどもルーツはご存じですか?ルーツ?続いてはチャイコフスキーの原点に迫ります。
「バイオリン協奏曲」が生まれたきっかけはコーテクが弾いたある曲でした。
フランスの作曲家…スペイン民謡をふんだんに盛り込んだこの曲。
当時ヨーロッパではバイオリンを主役にした民族色の強い音楽が流行していました。
自分も…そうして出来たのがこの曲です。
(「バイオリン協奏曲」)3つの楽章からなるこの曲にチャイコフスキーはロシア民謡を独自の手法で取り入れたのです。
…を大体踏襲していると言えると思います。
一方2・3楽章というのはロシアの民族音楽の一つのジャンルである「ドゥムカ」というものがあるんですがその形をそのまま協奏曲の形に当てはめた非常に意欲的な曲になっています。
「ドゥムカ」とはゆっくりした切ない「歌」と明るくテンポの速い「踊り」がセットになったもの。
(「バイオリン協奏曲」)そして西ヨーロッパの形式で書かれた第1楽章。
専門家はここにもロシアらしさがあると言います。
ロシアの音楽の場合どんな楽器でもジャンルでも口ずさめるというのが大きなロシアの特徴だという事がロシアの音楽家たちみんな口をそろえて言ってるんですが第1楽章の第1主題などはなぜか非常にロシア的な何かを感じさせますね。
チャイコフスキーの2つの側面は彼の少年時代に形づくられました。
ロシア西部の小さな町ヴォトキンスクに生まれたチャイコフスキー。
農民や鉱山の労働者が歌うロシア民謡を聴いて育ちました。
幼いチャイコフスキーはそのメロディーをピアノで弾く事も。
こうしてロシアのさまざまな民謡が彼の体にしみこみ音楽的ルーツとなったのです。
そして2つ目のルーツは…穴の開いたシートを使って楽器を自動演奏する機械がチャイコフスキー4歳の頃家にやってきました。
オーケストリオンから流れてきたのは…中でもモーツァルトの歌劇が一番のお気に入りでした。
こうして2つのルーツを併せ持ちその感性を磨き上げていったチャイコフスキー。
西ヨーロッパの芸術音楽とロシアの民謡が絶妙に溶け合った音楽に彼は生涯かけて取り組んだのです。
一番見事に理想的な形で融合させた作曲家がチャイコフスキーじゃないかなと思います。
でその中の…チャイコフスキーの2つのルーツが見えてきたんですけれども羽田さんいかがですか?位の高いような厳格な感じの世界といきなり踊りだしてしまうような陽気な感じとかそういうのがあるのでなるほどなと思ったんですね。
やっぱこれは…新しい音楽の扉を開いていって彼独自の世界をつくっていくわけですよね。
西洋音楽もある程度行き着くところまで行っていてその周辺で…今になったらクラシックなんですけど当時は流行っていうのもあってそれはやっぱり取り入れて自分なりに咀嚼して新しい世界とかをつくっていくっていうのがすごい興味がありますね。
でもそのチャイコフスキーですけどもどこか野蛮であったりもする部分もあるんですよ。
なるほど!これはチャイコフスキーの音楽に対するすごい一番の評価かも。
何ていったらいいんでしょうね…。
ある種わい雑な部分っていうのもあってすごく品もいいんですけどなんかそこのところのせめぎ合いがすごく魅力的な女性像を描いてる作品な感じが…。
します。
僕もチャイコフスキーにはエロスは感じますね。
やっぱ弾いてる方がきれいに見えますよね。
かっこよく潔く。
弾いた方が言うと説得力が違いますね。
今日の名曲は…幼い頃に根づいたロシアと西ヨーロッパ2つの音楽が融合しています。
そして協奏曲の主役ソリストが輝くオーケストラの演出の秘密。
作曲家の美濃さんが解説します。
まさにバイオリンを輝かせるすばらしい作品。
チャイコフスキーの演出のたくみの技というのを紹介していきたいと思います。
まずはこの曲ヨーロッパの伝統的なソナタ形式という形式で作られているんですね。
大切なメロディーが2つあります。
第1主題と第2主題。
まずは第1主題ですね。
そしてもう1つ第2主題という。
それぞれに印象が第1主題と第2主題では違いますよね。
違いますね。
第2主題の方がどちらかというと軽やかで何かこう人生の中の春を思わせるような感じがしますよね。
面白いですね。
でも先ほどロシアの音楽の特徴は歌える事だって言ってましたが…では今度はソリストを引き立てるポイント聴いて頂きたいと思います。
第1主題のあとソリストをオーケストラが追いかけます。
…という技法なんですけれどもこれ実はバッハの時代に非常に「鉄板」だった技法なんですがバッハの作品でいうと…2つの旋律が重なり合っていく感じ。
バッハの曲でちょっと紹介すると対位法の曲こんな曲があります。
へぇ〜!こうやって旋律と旋律が追いかけっこをしながら…。
1人で輪唱してるみたいな感じですか?そうですねまさに。
この技法が実は出てくるんですが右手で羽田さんが演じたソリストそして左手でオーケストラのパートを弾いてみたいと思います。
追いかけっこしてたの分かりました?それは知らなかったです。
オーケストラパートでこの追いかけっこをしているのはファーストバイオリン。
同じ楽器を持った10人以上の集団が追いかけてくるのでソリストはそれに負けないというか私についていらっしゃいというようなバランスが絶妙にデリケートに響き渡るすばらしい部分なんですよね。
実はこのようにオーケストラが羽田さんの美しいメロディーの後ろをそっと歩いていた部分。
第2主題を支える縁の下の力持ちオーケストラに注目です。
今度ソリストを引き立てるポイント2つ目は私の左手に注目して第2主題を聴いて頂きたいと思います。
今左手でベースラインをやっていたんですけれどもコントラバスとかチェロが奏でていた低音部。
私の動きは一体どんな動きでしたか?同じ鍵盤をずっと押し続けて…。
ピンポンピンポン!さすがです。
まさにそのとおりです。
これ「保続音」っていって和音はどんどん変わっていくんですがベース音が変わらない事によってよりソリストが弾いているメロディーが際立っていくんです。
これが立ってくる。
これもしベースラインが激しく変わると…。
ええ〜!ケンカしちゃうみたいな感じですね。
ぶつかり合って。
ちょっとぶつかり合っちゃってますよね。
低音がしっかりと支えればいいという事ではなくてこうやってバタバタし始めると美しいソリストが生きてこないという事で…ほんとでも…でもこの曲はそうすると…そこに心に触れるロシアの歌えるようなメロディーが組み合わさっているという。
そういう意味では…ソリストにも注目しつつもオーケストラにも是非目を向けてまた違った聴き方をして頂けたらと思います。
今日この曲を演奏するのは…チャイコフスキー国際コンクールの覇者で世界を舞台に活躍中です。
バイオリンらしい曲っていうのは初演の時に大変だったっていう説が残っているようにやはり非常に技巧的なので非常にバイオリニスチックな曲です。
協奏曲やっぱり一番1楽章が演奏している側としては重たいんですね。
やはりそれはかなりバイオリンに集中されているので書き方がそういうふうになっているので…それではお聴き頂きましょう。
今日は第1楽章を抜粋でお届けします。
いかがでした?ああ!感動します。
もうず〜っとバイオリンのソロパートをハミングなさってましたよね。
いわゆる今でいう諏訪内さんを演じたという事ですよねきっと。
そういうふうにしてこの曲を掘り下げていった羽田さんと改めて聴けて面白かったですね今日は。
じゃあ羽田さんにとってクラシックで自分の一番好きな名曲というのはこの曲になるんですか?そうですね。
バイオリンっていう楽器になじみもなかった私がこんな事言うのほんとおかしいんですけどこの曲と何か月間か向き合ってこの曲に背中を押されてその場にいたという何か月間があるのが体になんかこう居ついちゃってるというかこの曲聴くとなんか涙が出てきちゃう。
人生ですね。
まさに羽田さんの人生の一曲。
大切にして下さいね。
映画「苦役列車」。
2014/09/27(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「これが私の原点〜チャイコフスキーのバイオリン協奏曲〜」[字]
これが私の原点〜チャイコフスキーのバイオリン協奏曲〜華やかな名曲に秘められたドラマ。結婚に失敗したチャイコフスキーが旅先スイスで書いた曲、その陰には運命の再会が
詳細情報
番組内容
今回はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。華やかな名曲に秘められたドラマ!結婚失敗、公私ともにボロボロ…放浪の旅のさなかに生まれた曲です。その陰には旅先スイスでの運命の再会がありました。さらに名曲の鍵を握る作曲家の幼少時代のルーツや、主役のソリストを輝かせるオーケストラの演出をご紹介します。ソリストはチャイコフスキー国際コンクールの覇者・諏訪内晶子。ゲストはこの曲と深い関わりを持つ女優羽田美智子。
出演者
【ゲスト】羽田美智子,【出演】バイオリニスト…諏訪内晶子,指揮者…尾高忠明,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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