(テーマ音楽)
(太鼓)
8月半ば。
沖縄本島北部の大宜味村で行われた祭り…
(太鼓と呼び込む声)
(太鼓)
伝統の衣装を身にまとった女たちが海の神ウンガミに豊かな恵みを願います
(太鼓)
青い海と亜熱帯の深い緑に包まれた大宜味村。
その中にある喜如嘉集落。
430人ほどが暮らしています
この集落で目につくのは糸芭蕉の畑
生命力が強く3mほどの高さに成長します
糸芭蕉の繊維で作られるのが沖縄伝統の織物…
トンボの羽に例えられるほど薄く軽い布
蒸し暑い沖縄の気候に合った涼しげな肌触りです
500年以上前から沖縄の人たちに愛されてきました
喜如嘉は今も多くの人が芭蕉布作りに携わり「芭蕉布の里」と呼ばれています
こんにちは。
あれ?精が出ますね。
今何なさっているんですか?これは。
鎌持って。
葉っぱ落としてですねいっぱい生い茂ると大きくならないので4枚ぐらい残して葉っぱを落としていくんです。
あ〜そういう作業があるんだ。
これはバナナ?じゃないんです。
これは食べれないんです全然。
似てるねでも。
似てますがこれ以上大きくならないんですよね。
この集落にある一番大きな畑で糸芭蕉の刈り取りが行われていました
芭蕉布の糸になるのは幹から取れる繊維
着物用には内側の柔らかい部分だけが使われます
1本の糸芭蕉から取れるのは僅か5g
1反織るのに200本もの糸芭蕉が必要です
みんないいものを作りたいという気持ちが強いのでいい木とか原木見つけるとやっぱうれしいですよね。
糸芭蕉から取り出し十分に乾燥させた繊維
沖縄では「苧」と呼ばれています
芭蕉布作りは昔から女性たちの仕事でした
この工房では15人の女性たちが糸作りから布を織るまでを手がけています
かつて芭蕉布は沖縄県内各地で作られていました。
しかし今も地域で広く作り続けているのは喜如嘉だけです
芭蕉布作りの中で重要な仕事を担うのは経験豊かなおばあたちです
こんにちは。
すみません。
これは今何をなさってるんですか?これを裂いてですね…。
裂いてつなげてるの?つないでいますよ。
これ一本につながってるんだ。
これで一本つないでますからね。
あ〜そうかそうか。
じゃあこれもまたつなぐんだ。
はいこれつないで。
長年芭蕉布作りを続けてきた…
細く裂いた糸をつなげていくのは「苧績み」という作業です
糸がほどけないようしっかりと小さな結び目を作るのがコツです
根気の要るうーうみは昔からおばあたちの仕事でした
これだけ紡ぐのに…。
(山城)これは昨日ちょっとしてから。
昨日一日で。
昨日一日で?これは気の遠くなるような細かい作業ですね。
細かい作業です。
一番これがね。
山城さんは10年前に夫を亡くし今は次男と2人暮らしです
大工の夫との間に6人の子供を授かった山城さん。
サトウキビを作り豚を飼いながら子育てをしました
そんな生活のかたわらに常にあったのがうーうみでした
幼い頃から祖母ナベさんのうーうみを見て育った山城さん
6人の子供たちを皆大学や高校に進学させた事が誇りです
毎日5時間以上うーうみをする山城さん。
いつも口ずさむ歌があります
喜如嘉の誇り芭蕉布作りを担ってきた女たちの姿が歌われています
(「喜如嘉エイサー」)
午後6時。
作業の手を止めどこやら出かける山城さん
歩く事15分
向かったのは…集落に1軒だけある総菜屋の店先です
今日涼しい。
今日は涼しい。
今日涼しい。
シゲさんまだ来ない?ウンガミ行った?
次々に集まってくるおばあたち
ここはうーうみの合間におばあたちがやって来る憩いの場。
沖縄の言葉でおしゃべりを意味する「ゆんたく」から「ゆんたく広場」と呼ばれています
足りない。
バナナは3つしかないから!
集まってくるおばあたちの多くは夫に先立たれて今は独り暮らし
毎日同じ時間こうしておしゃべりするのが一番の楽しみだと言います
ゆんたくってあれですか健康にいいですか?健康にいいですよ。
どういうところがいいんですか?どうせ一人では話もできないですよね一人では。
だから皆集まってからお話しするだけで気持ちがいいですよね。
はいみんなでぜんざい食べま〜す。
いただきます。
うわぜんざいおいしい。
一日中うーうみをするおばあたちをねぎらい総菜屋のおかみさんからいつも差し入れがあります
この日は白玉と小豆の上にかき氷を載せた沖縄風のぜんざい
おばあたちの大好物です
おいしいね。
ゆんたく広場で最年長の前田キクさん90歳です。
18の時から芭蕉布作りを続けてきました
いいものが出来たですか?上質私が。
一番上等私が。
上物のよ。
上物は私がするわけよ。
一番上等は私が。
しかし芭蕉布を作る事ができなかった時代もありました
69年前の沖縄戦。
そして戦後のアメリカによる統治
アメリカ軍は糸芭蕉の畑を当時流行したマラリアの発生源だとして次々に伐採。
しかし喜如嘉の女たちは諦めませんでした。
畑に残された糸芭蕉の小さな芽を探し出し大切に育てました
そして数年かけて芭蕉布作りを本格的に再開したのです
喜びも悲しみも芭蕉布と共に
これがあったから生活できたわけですよ。
織物があったから。
あ〜そうか。
じゃあ芭蕉布はあってよかったねぇ。
芭蕉布が私の命宝ですよ。
芭蕉布が。
(「喜如嘉エイサー」)
夜。
喜如嘉公民館の前の広場です
(太鼓)
歌や踊りが大好きな山城さん。
得意の太鼓で盛り上げます
(太鼓)
おばあたちに交じって踊る一人の女性がいました
芭蕉布作りを学ぶため20年前に東京から移住しました
当時近くに住んでいた山城さんには身の回りの事から食事まで世話になったといいます
暑いから大変じゃない?ふふふっ。
そう。
お散歩してますか?
(山城)やってるよ。
やってる?毎日?
(糸を紡ぐ音)
平山さんは集落の一角に小さな工房を構えています
(糸を紡ぐ音)
糸作りから布を織るまで全て一人で手がけています
平山さんは喜如嘉に来る前東京の大手百貨店でデザイナーとして働いていました。
30歳の時偶然目にした芭蕉布の繊細な美しさに引かれました
2年後喜如嘉に移り住み芭蕉布作りの修業を始めます
しかし最初のうちはきれいに糸を作る事もできず失敗の連続でした
そんな時支えになったのが山城さんたち喜如嘉のおばあでした
(平山)よそから来て10年やった人いないから頑張んなさいねって。
おばあたちがすごいずっと言われてて。
すごい励ましてくれて。
随分支えられてきてますねおばさんたちに。
平山さんが大切にしているものがあります
着物なんですけどこれ私の自家用の。
ほとんど着ないんですけど。
平山さんが着るために。
8年前初めてデザインから織りまで一人で作り上げた着物です。
おばあたちに励まされ1年かけて完成させました
いいですねこのサラサラした感じが。
はい涼しい。
涼し気だなぁ。
喜如嘉の人たちの温かみに触れた平山さん
この作品だけは手元に残しています
おばあたちが守り続けてきた芭蕉布作り
平山さんは掛けがえのない喜如嘉の手仕事に生涯いそしみたいと考えています
自然の恵みと人間の手と体を使ってこんな美しいものが出来るっていうのが。
いい仕事だよってすごく楽しくて気持ちのいいすがすがしい仕事だよっていうのはもちろん作品もなんですけど仕事を伝えていきたいですね。
大宜味村喜如嘉。
女たちが受け継いでいく宝です
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2014/09/27(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「うーうみとおばあ〜沖縄県 大宜味村〜」[字]
赤瓦屋根の家々と青い海が広がる沖縄本島北部の大宜味村喜如嘉。琉球王朝から続く伝統の芭蕉布作りが、おばあたちによって行われている。芭蕉布を守り続ける女性たちの物語
詳細情報
番組内容
赤瓦屋根の家々と青い海が広がる沖縄本島北部の大宜味村喜如嘉地区(きじょか)。ここでは、琉球王朝時代から続く伝統の「芭蕉布」(ばしょうふ)作りが行われています。中でも経験が必要とされるのは、芭蕉の繊維を一本一本結んで糸にする「うーうみ」と呼ばれる手仕事。夏、軒先では、さわやかな風の中、おばあたちが静かに糸を紡ぎます。貧困や沖縄戦など困難な時代を乗り越え、芭蕉布を懸命に守り続けてきた女性たちの物語です
出演者
【語り】国井雅比古
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:2296(0x08F8)